前回、『ジャズ喫茶いーぐるの現代ジャズ入門』(シンコーミュージック刊)の内容をご紹介させていただいたばかりですが、このたび扶桑社さんから『マンガで学ぶジャズ教養』というタイトルの本を出版させていただくこととなりました。私は監修を担当し、飛鳥幸子さんがイラストを担当しています。

 内容は「教養」と銘打っていますが堅苦しいものではなく、古本屋さんに務めている青年がフトしたきっかけで父親がUKのハーフの女の子と出会い、ジャズに興味を持って行くというストーリーを軸に、ジャズの「いろは」が身に着くといった楽しいものです。

 詳しくは「https://www.amazon.co.jp/dp/4594095607」をご覧になってください。

 さて、今回も日本人ミュージシャンの聴き応えあるアルバムがたくさん出ました。トランぺッター、MAKOTO、サックス、DAISUKEによる2管カルテット、JABBERLOOPによるアルバム 『WAVE』 (Junonsaisai Records)はとにかく聴いていて気持ちがいい。勢いがハンパないんですね。「これがオレたちの音楽なんだ」という自信に満ちた主張がダイレクトに伝わってくる。日本のミュージック・シーン活性化を象徴するような作品と言っていいでしょう。

 映画音楽の世界で名を成した作曲家、ジョエル・グッドマンがたいへん興味深い作品を発表しました。『An Exquisite Moment』 (A 64)は今注目のサックス奏者、ダニー・マッキャスリン、ドラマー、エリック・ハーランドはじめ、ランディ・ブレッカーら豪華なゲストを迎えた贅沢なアルバム。映画音楽家らしい、聴き手の想像力を膨らませるような空間表現がジャズに新たな魅力を加えています。

 そして3番目にご紹介するのは日本のブラジル音楽グループの老舗「ショーロ・クラブ」のチャーミングな新作『Caleidoscopio』 (Happiness Record)です。バンドリン、秋岡欧、コントラバス、沢田譲治、ギター、笹子重治による日本唯一のブラジル伝統音楽ショーロを演奏するショーロ・クラブですが、ジャズとして聴いてもなんら違和感がないのは素晴らしいですね。

そして今回私が一番感心したのは超ベテラン渡辺貞夫の『Sadao Watanabe meets New Japan Philharmonic』(Victor Entertainment)です。近年クラシカルなストリングス・サウンドとジャズを融合させた作品が好評ですが、このアルバムは新日本フィルとナベサダという日本を代表する音楽家同士の顔合わせが凄い。

はるか昔、ナベサダは新日本フィルと共演しているのですが、このアルバムは彼らのなんと35年ぶりの共演。今年の春にスミダトリフォニーホールで1日限りの公演として開催された時のライブ・レコーディングです。

聴きどころは二つあって、まずは常時共演しているわけでないにもかかわらず、ナベサダ以下のジャズ・チームと新日本フィルのマッチングの素晴らしさです。これはジャズ畑の村田陽一の指揮の賜物でしょう。

そしてもう一つは何といってもナベサダのアルトの音色です。もう相当お歳を召しているにもかかわらず艶と張りのあるサウンドがたまらないですね。しかも年輪のワザか、一音一音に込められた豊かな情感が聴き手の心を深く惹きつけるのです。やはり彼は素晴らしい!

フランス出身のヴァイブラフォン奏者サイモン・ㇺリエによる『Simon Moullier Trio   Inception 』(Fresh Sound New Talent)は、彼が率いるレギュラー・トリオでジャズ・スタンダードに取り組んだアルバムです。フレンチ・ジャズらしい軽やかさが聴きどころですね。

そして最後に収録したのは東京のジャズ・シーンで活躍するUno Trioによる 『Ride On 』(Jazz Spot Sunroad)です。メンバーは宇野究人のピアノ、伊苅久裕のベース、そして芋川智輝のドラムスを中心にヴォーカリスト、三田珠理らがゲストで脇を固めています。彼らもまた冒頭にご紹介したJABBERLOOP同様、確信をもって自分たちの音楽をやっているスタンスが好ましい。

文/後藤雅洋(ジャズ喫茶いーぐる)

USEN音楽配信サービス 「ジャズ喫茶いーぐる (後藤雅洋)(D51)」

東京・四谷にある老舗ジャズ喫茶いーぐるのスピーカーから流れる音をそのままに、店主でありジャズ評論家としても著名な後藤雅洋自身が選ぶ硬派なジャズをお届けしているUSENの音楽配信サービス「ジャズ喫茶いーぐる (後藤雅洋)(D51)」。毎夜22:00~24:00のコーナー「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」は、ビギナーからマニアまでが楽しめるテーマ設定でジャズの魅力をお届けしている。

USEN音楽配信サービス ジャズ喫茶いーぐる (後藤雅洋)

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