mabanuaの2025年を追って

リアルタイム世代にとって特に衝撃的だったディアンジェロの訃報。今年3月のアンジー・ストーンの急逝の傷も癒えぬ間、パートナーだったディアンジェロまでという――ここでは敬意を込めてブラックと称しますが――ブラック・ミュージック・ファンにとっては本当に辛い1年に。待望の4作目をラファエル・サディークと制作中だったとの噂に、より寂しさが募ります。

そんなディアンジェロの訃報に際し、すぐに追悼の演奏を公開したmabanua。2025年は、ソロとして『Minds&Colors』、在籍するOvallでは『Silent Storm』と、2枚のEPをリリース。また、プロデュースワークとしては星野源の6作目『Gen』でのクレジットを始め、imase、望月ヒナタなど、多彩なトピックを提供。もちろんステージ活動も多忙で、OvallでのFUJI ROCKへの出演、グループ単独公演としては久々のBillboard Live Tourなど、いちファンとしても非常に嬉しい充実の1年となりました。

何よりUSENでは、店舗向けBGMサービス「OTORAKU」で、mabanuaキュレーションによるプレイリスト「For Weekday Morning」を2025年10月より配信。”EP「Minds&Colors」を、自分の曲を使わずして表現するとしたらこういうプレイリストになる」という彼自身のコメントもありましたが、平日の朝に”今日も頑張って乗り切ろう!”という気持ちにさせるプレイリストをテーマにセレクト。配信開始時から多くの方々に利用されている大好評のプレイリストですので、興味を持たれた方は、ぜひ「OTORAKU -音・楽- 」にmabanuaキュレーションのプレイリストがローンチ!を、そしてディアンジェロの追悼コラムは音楽史に大きな足跡を残した音楽家たちへ(後編)――2025年の音楽シーン回顧録をチェックしてみてください!(三浦)

mabanua / So Real feat. Nicholas Ryan Gant & Suede Jury
シングルとしては2023年のリリースとなる「Minds & Colors」収録の1曲。NYから馴染みのゲストとしてNicholas Ryan Gant、Suede Juryが参加。彼のプライベートスタジオを舞台に、グローバルなコラボや、マルチな演奏風景も楽しめる1曲。

mabanua関連の楽曲はこのチャンネルで(USEN MUSIC GUIDE、OTORAKU プレイリスト)

三浦 祐司(みうら ゆうじ)PROFILE

株式会社USEN 編成制作課所属。各チャンネルにて選曲、ディレクションを担当。私事トピックとしては、mabanuaを憧れのドラマーの1人として練習に励んでいる息子と共に、Billboard Live Osaka公演に。初めて目の前で観る圧巻の演奏と存在感にクラった息子より、「座布団はもう嫌だ」と練習用のドラムセットを懇願され、購入。

『Reol Oneman Live「美辞学」in YOKOHAMA ARENA』ライブレポート

2025年も、多くのアーティストが素晴らしいライブを披露した年でした。"街なり"を提供するUSENのディレクターとしても、一人の音楽ファンとしても様々なアーティストのライブへ足を運び、刺激を受けてきた一年となりました。

ここでは2025年のライブの中でも私が特に印象に残った『Reol Oneman Live「美辞学」in YOKOHAMA ARENA』を楽曲を紹介しながら振り返ります。

Reolをご存知の方は思い出を振り返るように、まだご存知でない方は新しい音楽の扉を開く一助となれば幸いです。

Reolの誕生日当日に開催されたワンマンライブ『Reol Oneman Live「美辞学」in YOKOHAMA ARENA』。2024年に武道館で10周年記念ライブという大きな節目を迎えた彼女がどのような新境地を魅せてくれるのか?会場の全員が大きな期待を胸に抱くなかで開演。

当初「無題」と名付けられていた公演ですが、新曲「美辞目録」そして「平面鏡」を披露した直後、公演名が「無題」改めて「美辞学」と明かされ会場のボルテージは最高潮に達しました。

「平面鏡」はReolのラップスキルの高さを感じつつサビの縦ノリが気持ちいい楽曲です。

上がりきった熱が冷めることなく「切っ先」「No title - Seaside Remix」「アストロノーツ」「第六感」といったキラーチューンを次々と披露しました。Reolの"過去"と"現在"を繋ぎ、混ぜ合わせ、これまでの活動、生き様を全てぶつける様なセットリストに震えたのを今でも鮮明に覚えています。

「ギミアブレスタッナウ」「LUVORATORRRRRY!」と激しい楽曲を披露し前半戦は終了。休憩時間にはReolのこれまでの人生を振り返るムービーが上映。誕生日公演らしい微笑ましい映像に会場全体が暖かい空気に包まれました。

後半戦一曲目を飾ったのはレトロポップ調の新曲「おとめの肖像」。続いて披露された「感情御中」ではReolがバンドメンバーを引き連れ会場内を行進するパフォーマンスで会場を沸かせました。

「ディア」を披露した際には"愛してバースデイ"のコールが会場中に鳴り響き、全員が一体となってReolの誕生日を祝う空間となりました。このコールは会場で集合写真を撮影した際にも用いられていたのも記憶に残っています。

バックダンサー達のダンスパフォーマンスの後、赤いドレスに衣装を替えたReolが披露したのは観客の感情を揺さぶる「激白」と「白夜」。特に「白夜」はモノクロだった背景映像が色付いていく演出、感情を露わに声を荒げるようなサビの歌い方、マイクを通さずに地声を会場中に響かせるパフォーマンスと全てがライブでしか味わえない極上の体験となっていました。

「白夜」は音源は勿論、ライブで聴くと一気に引き込まれる作品なので、是非ライブに足を運んでみていただきたいです。

その後は「RE RESCUE」「煽げや尊し」とテンションの上がるナンバーを披露。会場全体がお祭り騒ぎのような様相となりました。「煽げや尊し」は私が特に好きなReolの楽曲です。電子音と和楽器の自然な融合が心地よく、歌詞からは胸を張って堂々と生きたら良いと前向きなメッセージを受け取れます。ライブで飛び跳ねながら聴くのにも最高の一曲です。

そのまま「劣等上等」「サイサキ」と人気曲を続けて披露し、最後に披露されたのが新曲「うつくしじごく」。人生にアンコールはないと告げると共に、本公演でもアンコールを実施しないことを表明。観客が固唾を飲んで見守る中披露された本楽曲は、ダークな空気感とハイテンポなビートで魅せる楽曲。力強い歌い出しに、聴き手に訴えかけるようなラップパート、今にも消え入りそうなウィスパーボイスとReolの歌唱力の高さが遺憾なく発揮されています。

最後のパフォーマンスで不意にハサミを取り出したReolが、武道館公演以降伸ばしていた髪を切り落とした際、会場でどよめきが起きつつも、彼女の覚悟を受け取った我々は精一杯の拍手でReolを次のステージへと送り出しました。

短髪姿でラストまで歌い切ったReolが地獄の先でまた会おうと観客に約束し公演は終了。最新アルバム『美辞学』の発売、アルバムツアーの開催が発表され私たちとReolの次の合流地点が示されました。

れをるからREOL、そしてReolとこれまでの活動を紡ぎ、新しい1ページを刻んだ本公演。これからも彼女の活躍に目が離せません。(豊島)

Reol関連の楽曲はこのチャンネルで(USEN MUSIC GUIDE)

豊島魁土(とよしま かいと)PROFILE

J-POPをこよなく愛するUSENのディレクター。「アガる!令和のJ-POP&洋楽」などを手掛ける。Reolの楽曲で一番のお気に入りは「サマーホラーパーティー」。

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