現代音楽史において、誕生から三四半世紀近くの年月を重ねてきたロックシーン。もちろんここ日本でもポピュラー音楽として定着したジャンルであり、世界規模で見ても、1960年代に若者文化を牽引し、音楽シーンを席巻。以降、その発展に大きな影響を与え、進化し、多様化しつつ現在に至りました。周期的な原点回帰やリバイバルによって、ルーツを忘れない希有な精神性も興味深いところです。



「Cool Beat ~おしゃれ洋楽ROCK」チャンネルを知るためのレファレンス
Cool Beat ~おしゃれ洋楽ROCK(USEN MUSIC GUIDE)

このチャンネルでは、近年にリリースされた洋楽のロックナンバーを中心に、モダンなビートが楽しめる楽曲をピックアップ。メジャー/インディ・シーン問わず、近年のロックシーンより店内をクールに彩る楽曲をセレクトしたロックBGMです。カジュアルかつハイセンスな雰囲気作りはもちろん、最新の洋楽シーンやロックでのBGM演出をお考えの方にまずおすすめです。



▼FUJI ROCK FESTIVAL '25、7月27日WHITE STAGEのトリを務めた3姉妹バンドの2025年盤より。それぞれの恋愛経験や失恋からの学び、自由の謳歌がテーマの本作を象徴するリードシングル。デビューからタッグを組んだAriel Rechtshaidと次女Danielleの破局もあり、本作の共同プロデュースには、共に時代を牽引したヴァンパイア・ウィークエンドの元メンバー、Rostamがクレジット。ちなみにヴァンパイア・ウィークエンドも同じ27日のFUJI、GREEN STAGEのヘッドライナーで、ロックファン感涙のラインナップでした。



▼シカゴのインディ・シーンを代表する1組、Whitney。2025年リリース予定のキャリア5作目となる『Small Talk』からの先行カット。Smith WesternsやUnknown Mortal Orchestraなどでの活動を経て、Whitneyとしてこれまで積み重ねてきたキャリアを見つめ直すような、ソウルフルで、美しい夏の情景を想起させる原点回帰的な1曲。前作『Spark』で大胆に導入されたエレクトロサウンドの面影は、この楽曲では鳴りを潜めながら、アルバム構成曲への期待が膨れ上がります。



▼2000年代に巻き起こったロックンロール、ポストパンクのリヴァイヴァルの流れを受け、次世代のUKバンドの1組としてデビューしたクークスの2025盤より。彗星の如く駆け抜けたキャリア初期以降、数々の紆余曲折を経てバンドの成熟化を図ってきた彼らですが、2人体制となった本作ではセルフプロデュースにて録音。様々なクラシックレコードへの憧憬が詰め込まれた収録楽曲が並ぶ中、ここでは今年のサマーシーズンを彩った1曲をピックアップ。



▼“ニューヨークDIYのローリエット”とも評される現代インディ・シーンの重要人物、Greta Kline。彼女のソロプロジェクトとして発足したフランキー・コスモスの2025年盤より、メンバー自らポップアンセムと謳う1曲を。インターネット・ネイティヴならではのアンダーグラウンドでの活動初期や、デビュー以降はプロジェクトの主幹として個人の表現が強かった彼女ですが、本作はNY北部の一軒家にてメンバーだけで録音。キャリアの転機と言える、バンドとしての個性を突き詰めた初の1枚に。



▼Chad DoriocourtとRachel Rascoeからなる男女デュオ、2025年リリースの3作目からの先行カット。本作のインスピレーション源となったのは、Dorioが見つけてきたお気に入りのドラムブレイクたち。それらをHIP HOPなどのカット&ペーストのメソッドを用いてアレンジし、楽曲の軸に置き換えるスタイルでそのほとんどを録音。この楽曲では、夏のチルムードやノスタルジックな空気、TR-808が生み出すビートが魅力的。グッドタイムなポップセンスと、モダンなムードを融合した1曲。



「Cool Beat ~おしゃれ洋楽ROCK」は、近年のロックシーンに焦点をあて、カフェやレストラン、ダイナーといった飲食店や、カジュアルでハイセンスな空間にアジャストしたロックナンバーをセレクトしています。オリジナリティのある最新洋楽ロックによる空間演出、いかがですか?

(おわり)

文/三浦祐司(USEN)
Photo by shankar s.(CC BY 2.0)

三浦祐司(みうら ゆうじ)PROFILE

株式会社USEN 編成部所属。各チャンネルの選曲、ディレクションを担当。音楽の興味への入り口となったのは多分に漏れずロックから。まわりの共通言語はゆらゆら帝国、THEE MICHELLE GUN ELEPHANT、スピッツ……という環境で過ごし、その後は憧れることしか出来ないクラシックロック時代にドップリ。ビート、ブルース、サイケ、ルーツ、ハード、西海岸、南部系、ニューオーリンズ、グラム、プログレ、ニューウェイヴ、数多のサブジャンルに衝撃を受けながら、トドメは渋谷道玄坂にあったロック喫茶「ブラック・ホーク」の存在。



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