ジャズの歴史を辿ると、ディキシーランド・ジャズ、スウィングジャズ、ビバップ、クールジャズ、ハードバップ、モードジャズ、フリージャズなど、時代とともにさまざまなスタイルが生まれてきました。今回取り上げる「コーヒー・ジャズ」チャンネルは、1940年代から50年代前半にかけてのジャズをベースに選曲したUSENオリジナルコンセプトのBGMです。

1940年代から50年代前半には、ビバップやクールジャズといったスタイルが生まれました。ともすると、ビバップの複雑な即興演奏を難解だと感じたり、クールジャズの抑制された雰囲気に馴染めないという方もいるかもしれません。また、当時の録音技術が十分ではなかったため、BGMとしては音質がネックとなることもありました。

しかし「コーヒー・ジャズ」はひと味違います。ジャズはちょっと難しい……という方にも、この時代の愛らしい曲を気軽に楽しんでいただきたい。そんな思いから「コーヒー・ジャズ」と名付けました。難解な曲を排し、あえてシンプルな曲を中心にセレクト。フレンチやラテンテイストの楽しいジャズも加えることで、こだわりのブレンドコーヒーのように、多彩な楽曲を楽しめるよう仕立てました。

当時の音質も、温かくてレトロな雰囲気を醸し出しています。さらに現代のアナログ風なジャズもブレンドして、懐かしさと新しさが調和した、かわいくて親しみやすいコンピレーションになりました。

カフェや食品スーパー、ベーカリー、ブックストアなど、コーヒーの香りと共に心地よさを演出したい時間に一度試してみてください。日曜日の朝のゆったりとした時間、午後のティータイム、あるいは夜のくつろぎのひとときに、シンプルでかわいいジャズはいかがでしょう?

(おわり)

文/小島万奈(USEN)


「コーヒー・ジャズ」チャンネルを知るためのレファレンス

チャーリー・パーカー「マイ・リトル・スエード・シューズ(Alternate Take)」
ビバップの代名詞でもあるアルトサックス奏者、チャーリー・パーカーの貴重な音源。ラテンの要素がブレンドされた、キュートな演奏となっています。フライドチキンが好物だったパーカーの愛称は「バード」。イエローが映えるレコードジャケットも可愛いのです。



ビリー・ホリデイ「ブルー・ムーン」
1954年にビリー・ホリデイに歌われたことをきっかけに、大人気となったスタンダード曲。甘いスウィング感の中に漂う、メランコリックな雰囲気が彼女らしくて素敵です。実はこの曲が「コーヒー・ジャズ」チャンネルのアイデアになりました。



ジェリー・マリガン「ライン・フォー・ライオンズ」
ここでクール・ジャズの流れを汲んだウェストコースト・ジャズもご紹介。バリトン奏者ジェリー・マリガンが、トランペットのチェット・ベイカーを迎えた一作。西海岸のオールスターが勢揃いして、1950年代前半のリラックスした空気を演出します



レイチェル&ヴィルレイ「ジャスト・トゥー」
ジャズの名門校、ニューイングランド音楽院出身のふたり、レイチェル&ヴィルレイ。2023年リリースの作品ですが、昔の演奏スタイルや歌い方によるレトロさが魅力。オーセンティックながらも、どこか新しくて可愛い仕上がりとなっています。



小島万奈(こじま まな)PROFILE

株式会社USEN 制作1部所属のジャズ担当。もちろん趣味はジャズを聴くこと。最近は薬膳に興味があるが、好きな食べ物はアメリカンなジャンクフード。

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