2026年7月のMonthly Exclusive Mix selected by roph recordingsは、SubstantialとのBop AlloyでアルバムをリリースしたばかりのMarcus DによるExclusive Mixを放送中。

今回のプレイリストは、ジャズヒップホップ、ネオソウル、西海岸ヒップホップを軸に、Nujabes以降のビートミュージックの美学と現代ラップの感性を自然に繋いだセレクション。メロウなサンプリング、温かみのある生音、そしてストリートのリアリティが絶妙なバランスで共存している。

冒頭はNohelaniLihue」。柔らかなハワイアンAORの空気感からスタートし、Eme BallantyneMy Life」、Bop Alloy feat. BluAudio Sunshine」へと続く流れは、90年代ヒップホップとソウルへの愛情が色濃く感じられる。Haruki Mino & MISTRALLupin and Scotland Yard**でビートの質感を深めた後、Terry CallierOrdinary Joe」が持つ普遍的な温もりがプレイリスト全体の土台を作り上げる。

中盤は、Nujabesの「Yes」とKleerをブレンドしたMarcus D remixMaurice MassiahJust One Night」など、ジャズやAORを下敷きにした心地よいグルーヴが続き、藤井風「Casket Girl」からKendrick LamarDodger Blue」への流れが海外からの視点の新鮮なコントラストを生み出す。DJ DeckstreamGeorgy Porgy」やFunky DLJust One or Two」では、日本と海外のジャズヒップホップシーンが自然に交差し、Marcus DParentalらによる現代的なビート感覚へと繋がっていく。

後半はFreddie GibbsCosmos Freestyle」、NasDoo Rags」といったリリシストたちの楽曲がプレイリストに芯を与え、DJ Deckstream feat. Mos DefLife Is Good」では、クラシックと現代が交差するような空気感が漂う。さらにDrakeDave EastKendrick LamarNipsey Hussleらが続き、西海岸から東海岸まで、それぞれのストリート感覚と成熟した視点が描かれていく。

終盤はOmega Music LibraryGomagi」やMarcus D feat. mabanuaAll In」など、インストゥルメンタルと生演奏の要素が色濃くなり、ゆっくりとクールダウン。ラストはLion’s AmbitionNimbus」、そして最新作からBop Alloy feat. Uyama HirotoLast Song I’ll Ever Write」へ。Bop Alloyらしい叙情的なリリックとUyama Hirotoの美しいサウンドスケープが重なり、余韻たっぷりに幕を閉じる。

ジャズ、ソウル、ヒップホップを愛するリスナーなら思わず反応してしまうような選曲が並びながらも、単なる懐古主義には終わらない。NujabesMarcus Dの系譜を感じさせるビートミュージックと、Kendrick LamarFreddie Gibbsら現行シーンの重要アーティストが共存する、時代を横断した心地よいプレイリストとなっている。

ここではその中から象徴的な5曲を紹介する。

Terry Callier - Ordinary Joe

    “特別じゃない自分を受け入れる優しいメッセージを、温かな歌声とソウルフルな演奏で包み込んだ名曲。
    Nujabesの楽曲でも有名。ライブ映像
    Fujii Kaze - Casket Girl (Official Music Video)
    死や別れをモチーフにしながらも、どこか温かく美しいメロディで終わりの先にある救いを描いた一曲。
      Pete Flux & Parental - What They Need (Official Video)


          Usen mixでもお馴染みLexの兄弟であるParentalPete Fluxによる本当に必要なものは何かを静かに問いかける良質なブーンバップ。
            Marcus D ft. Pismo - Continuous Dream


                甘くメロウなビートに乗せて、惹かれ合う二人の揺れる感情を描いた心地よいラブソング。

                    Kendrick Lamar - Father Time ft. Sampha (Live on SNL)

                      父親との関係や男らしさの呪縛を赤裸々に見つめ直しながら、傷を受け継がない決意を歌った内省的な名曲

                      Marcus Dのプレイリストはこちら

                      Marcus D プロフィール

                      Marcus D(マーカス・ディー)は、米国シアトル出身、東京を拠点に活動するヒップホップ・プロデューサー、ビートメイカー、コンポーザー。
                       
                      幼少期からクラシックやジャズに親しむ一方、ヒップホップやゲーム音楽にも強く影響を受け、サンプリングと生演奏を融合させた独自のプロダクション・スタイルを築いてきた。繊細なピアノ、哀愁を帯びたメロディー、ジャズやソウルの温かみを取り入れたサウンドを特徴とし、Nujabesの音楽的系譜を受け継ぐプロデューサーの一人として、日本のジャジー・ヒップホップ・シーンでも高い支持を集めている。
                       
                      2009年には、Seattle Red Bull Big Tune Beat Battleで優勝。その後、Del the Funky HomosapienRoyce da 5'9"SaigonPlanet AsiaSkyzooCrooked IBluCurren$yShing02Uyama HirotoCise StarrFunky DLなど、国内外の幅広いアーティストと共演してきた。
                       
                      ソロ作品の中でも、2012年に発表した『Melancholy Hopeful』は、Marcus Dのキャリアを代表する最も重要な作品の一つである。Nujabesの逝去後、日本のジャジー・ヒップホップが大きな転換期を迎える中で制作された同作は、繊細なピアノ、哀愁を帯びたメロディー、生演奏とサンプリングを融合させた豊かな音楽性によって、Nujabes以後のジャジー・ヒップホップと、その後世界的に広がったローファイ・ヒップホップ/チルホップの間をつなぐ作品となった。後にローファイ・シーンを代表する存在となる多くのプロデューサーにも影響を与え、現在のローファイ・ヒップホップの美学を形作った先駆的作品の一つとして評価されている。
                       
                      ラッパーのSubstantialとはヒップホップ・ユニットBop Alloyを結成。2010年にデビュー・アルバム『Substantial & Marcus D Are Bop Alloy』を発表し、温かみのあるプロダクションと誠実で内省的なリリックを融合させた音楽性を確立した。20263月には、BluUyama Hirotoらを迎えた3作目のフルアルバム『Masters of the Artistry』をリリースした。
                       
                      ソロ名義では、2008年に『Revival of the Fittest』を発表。同作は2010年に日本盤として再リリースされた。その後も『The Lone Wolf LP』『The Keeper』など、多数の作品を発表している。2020年にはShing02との共作『Copycats』をリリースし、国境や世代を越えてジャジー・ヒップホップの可能性を広げる作品として注目を集めた。
                       
                      現在は東京を拠点に、自身のレーベルAbsolutzeroを運営しながら、ソロ作品、Bop Alloy、他アーティストへの楽曲提供、ライブ活動などを展開。米国のインディペンデント・ヒップホップと日本の音楽文化を結ぶプロデューサーとして、国境やジャンルを越えた制作活動を続けている。

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