2025年の9月のMonthly Exclusive Mix selected by roph recordingsは、90年代からストリートカルチャーに没頭し、その類まれなるセンスと膨大なライブラリから他とは一線を画すDJ yucciによるExclusive Mixを放送中。

今月のMixは、Hip Hopやストレートなジャズからのアプローチでは無く、ジャズ、ブロークンビーツ、ダウンテンポ、クロスオーバーなど多彩なジャンルを股にかけながら、リスナーをゆるやかにトランジションさせていく、珠玉のセレクションとなっている。

冒頭はNine Yards Orchestra「Further Away Than Yesterday」。アンビエントと柔らかなギターのメロディーが心をゆっくりとほどき、Paz「Time Stood Still」へと流れ込む。妖艶なシンセの音とメロウなピアノが美しい。

続くEast New York Ensemble「Little Sunflower」でスピリチュアルジャズの空気が立ち上がり、Guy Pedersen「Patio Bass」、Stéphane Grappelli「Uptown Dance」では、ミドルテンポの洒落たグルーヴが広がっていく。

Extended Spirit「Solid Water」からHefner「An Evening With Hefner Part3」まで、クラブ・ジャズ~ダウンテンポ文脈の名曲が連なり、音の流れはよりリズミカルに。Booster「Summer」の軽快なサンプリング・ビーツを挟み、Him「The Lila」では深い没入感のある音像へ。

Azymuth「What Price Samba」でブラジリアン・グルーヴが差し込み、Conjoint EarprintsやColo Flowのエクスペリメンタルなビートワークが続く。特にMugabe’s DubRedistributionは、音の空間性が際立つ一曲。

終盤にはMedeski Martin & WoodやGreyboyといったアシッド・ジャズ/ファンク系の重鎮が登場し、Eric Roberson「Pleasure Before Pain」、Laurnea「Keep Your Head Up」で再びR&B〜ネオ・ソウルに寄せていく構成も秀逸。

Suff Daddy「5 O’clock Suff」やMudd & Chico Hamilton「Kerry’s Caravan (Ray Mang Mix)」では、ビート・カルチャーへの愛が滲み出る。

そしてSt Germain「La Goutte D’or」、Mighty Bop「Feelin’ Good」でパリジャンな空気を漂わせつつ、Ian Simmonds、Wally Badarouらがダンサブルかつディープに展開。

最後はB.J.Smith「Prototype」やMr. Spockを経て、心地の良いグルーヴィーな空間の中へと着地していく。
ジャンルを越境しながらも、一本筋の通ったストーリーテリング。昼下がりの部屋にも、深夜のヘッドフォンにも合う、知的で奥行きある選曲となっている。今月はぜひこの音の旅を楽しんほしい。

ここではその中から象徴的な5曲を紹介する。

Time Stood Still / Paz
メロウな旋律とスピリチュアルな雰囲気が魅力の、UKジャズ・シーンを象徴するしなやかな名演。
An Evening With Hefner Pt. 3 / Hefner
ダウンテンポでジャジーな質感にソウルフルなサンプリングが重なる、心地よいチルアウト・グルーヴ。
Slide Five - Outerspace
スペーシーなジャズ・ファンク感と浮遊感のあるビートが心地よい、90年代らしいクラブ・ジャズの名曲。
Suff Daddy - 5 O'Clock Suff feat. Miles Bonny
スムースなビートにMiles Bonnyの温かみあるヴォーカルとホーンが溶け合う、チルでジャジーな一曲。
Mambo (Echoes) / Wally Badarou
トロピカルなシンセサウンドと軽快なリズムが織りなす、エキゾチックで多幸感あふれる

バレアリック・クラシック。

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DJ yucci プロフィール

東京都出身
ストリートカルチャーに没頭するさなか90年代から都内を中心にDJ活動を開始する。国内外問わずレコード収集に明け暮れ、膨大なレコードコレクションの中からセレクトされたジャンルにとらわれない独自のプレイスタイルで多くのミュージック玄人を魅了し、現在も縦横無人に駆け巡るスタイルで都内を中心に活動中。


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