2025年7月のMonthly Exclusive Mix selected by roph recordingsは、スケーターとして広く知られ、DJとしても素晴らしい選曲を聞かせてくれるTOMY-NTによるExclusive Mixを放送中

90年代アンダーグラウンド・ヒップホップへのリスペクトと、洗練されたビートセンスが共存するこのMixは、耳の肥えたリスナーにこそ刺さる、まさに玄人好みの内容。

幕開けはE. Brosによる「Funky Piano」。粗削りながらもグルーヴを失わないループと、タイトなドラムが象徴するように、このミックスは最初から最後まで“耳で掘る”感覚に満ちている。

Godfather Don「Properties of Steel」やSlum Brothers「The Sure Shot」、Dark Skinned Assassin「Lock Shit Down」など、90年代のサブレーベル盤でしか出回らなかったようなディープな楽曲が続き、頭を縦に振らざるを得ない展開が続く。

Blue Black「Bon Vi」、Flying Pupa「Werdz」、SaukRatesの「Farther Time(Grooveman Spot Remix)」など、US東海岸の空気感に、Grooveman Spot Remixを入れ込むあたりも練り込まれた選曲なのが伺える。Citizen Kane「The Gambler」〜「Elements of Mind」やMathematik「On My Mind」に至る流れは、カナダ・トロントのアングラシーンを丹念に掘り下げた証であり、このミックスの深度を物語る。

中盤以降は、Kev Brown「Struggla's Theme」、Grap Luva「Rocking with Elegance」、INI「Mind Over Matter」と続き、Pete Rock直系のビートサイエンスが丁寧に紡がれていく。続くDEDA「How I’m Livin」やThe B.U.M.S「Take a Look Around (Vinyl Reanimator Remix)」など、レコードでしか味わえない空気感がそのまま封じ込められており、耳だけでなく指先までざらついた質感を感じさせてくれる。

後半にかけてはTalib Kweliが参加するRubixとの「Terra Farma」や、Jazz Liberatorz、Visioneersといったジャズ・ヒップホップの文脈も加わり、Mixの振り幅が大きく広がっていく。The Roots「Act Too」「Silent Treatment」やThe Pharcyde「Passin’ Me By」など、メジャーな存在ながら今もクラシックと呼ばれる曲たちも、ここでは“通過点”として機能しているのが面白い。

ラストのKero One「In All the Wrong Places」、そしてMiles Davis「The Doo-Bop Song」では、ヒップホップがジャズを呑み込んだあと、静かに原点へ帰っていくような静謐さが漂う。

名の知れたクラシックだけでなく、知られざる名盤、限定プレス、海外インディ盤までを織り交ぜ、ひとつのストーリーとして仕上げた本作は、単なるノスタルジーでは終わらない。深掘りこそが喜びだという玄人リスナーにこそ、じっくりと味わってもらいたい貴重なミックスである。

ここではその中から象徴的な5曲を紹介する。

The Slum Brothers Sure Shot 1995
90' アングラクラシック! SLUM BROTHERSによる95年のデビュー作。
The B.U.M.S. (Brothas Unda Madness) - Take A Look Around (Vinyl Reanimator Remix)
オークランド出身のThe B.U.M.Sによる95年にプロモオンリーでリリースされたアングラ名曲。
The Pharcyde - Passin' Me By (Official Music Video)
93年のファーストアルバムに収録されたPharcydeを代表する曲の一つ。
Little Indian Feat The Foreigner - One Little Indian Buckwild Remix
95年リリース。90年代を代表するプロデューサーでD.I.T.CのメンバーでもあるBackwildによるremix
Miles Davis - The Doo-Bop Song
ミックスの最後に収録されたこの曲。90年代の重要作品であり、Milesの死後に発表された楽曲。

TOMY-NT (N.T.ORIGINAL)のMIXプレイリストはこちら

TOMY-NT (N.T.ORIGINAL)


80年代後半にスケートボードに出会い、日本のスケートシーンのゲームチェンジャーである”NEW TYPE”のメンバー。
スケートビデオから流れる様々な音楽に影響を受けつつ、UNDERGROUND HIP HOP に深い愛情を持ち93年辺りからレコードの収集、DJを始める。
現在は都内、神奈川を中心にDJを行い、不定期で”SHOW & PROVE” “Loungin”などのイベントを主催している。

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