2025年の10月のMonthly Exclusive Mix selected by roph recordingsは、度々このコーナでミックスを披露してくれている気鋭のビートメイカーのtajima halによるExclusive Mixを放送中。

ミックスの冒頭はBahamadiaBeautiful Things feat. Dwele」。Dweleのスムースなヴォーカルと共に幕を開け、Maxwellの「Dub Ever Wonder (Ascension)」で90sネオ・ソウルの空気感に包まれる。Slum VillageLa La」やThe RootsEve」で一気にソウルフルなヒップホップの黄金期へ。Vinia Mojica参加のHeltah SkeltahTherapy」ではNYらしい質感も感じさせてくれる。

中盤にはMF DOOMをフィーチャーしたScienz Of LifeBlu & ExileA Tribe Called Quest × Noreagaなど、アングラとメジャーの狭間を突く通好みなラインアップが続き、Large ProfessorによるCannonball Adderleyのリミックスでは、ジャズとヒップホップの理想的な融合が際立つ。

後半はRonny JordanCloser Than Close」やDJ CamLove Junkee」など、ジャジーで洗練された楽曲が中心に展開。KeiyaAThe Detroit Experimentといった現行ソウル勢、King BrittSlick RickDe La Soulといったリヴィングレジェンドたちの楽曲が、懐かしさと新しさを絶妙に織り交ぜる。

ラストに向けては、Tribe Called QuestPhife DawgThought U Wuz Nice」やGang StarrNice Girl, Wrong Place」といった珠玉のリリックを経て、CommonKooley Highや日本のベーシストであるRyozoのリーダーバンドRYOZO BANDの楽曲をフランスのビートメイカーLex (de Kalhex)Remixした「Pleasure」、そして最近アルバムをリリースしたばかりのドイツのビートメイカーFloFilzと今回のミックスを担当してくれたtajima halLidlyによる「Yokohama Yard」、と、再びビートの温度を落としながら、内省的でエレガントなグルーヴへ。MadlibTwo For Pay Jay」からlojiiLidlySUPPLEで静かに降りていくラスト数曲は、深夜のヘッドフォンリスニングにもぴったりなクールダウン。

全体として、90年代ヒップホップ〜現代ビート・ミュージックまでの文脈をしっかりと踏まえつつ、過剰なノスタルジーに偏らず、今の耳でも心地よく響くバランスが絶妙。クラシックと現行の粒立ったビートが、音楽の「知」と「感性」を結ぶように構成されている。

今月は、言葉とグルーヴに浸るこの2時間を、じっくりと楽しんでほしい。

ここではその中から象徴的な5曲を紹介する。

Heltah Skeltah feat. Vinia Mojica Therapy
ハードなラップにVinia Mojicaのソウルフルな歌声が寄り添う、90年代NYアンダーグラウンドを象徴する一曲。
Vel The Wonder - Fine Art (Official Music Video)
ハードなラップにVinia Mojicaのソウルフルな歌声が寄り添う、90年代NYアンダーグラウンドを象徴する一曲。
Slide Five - Outerspace
Che Noirの鋭いリリックにSon Littleのソウルフルな歌声が重なる、希望と再生をテーマにした深みのある一曲。
Matt Johnson 'Earth's Mysteries' (Official Video)
幻想的なシンセとスピリチュアルなグルーヴが広がる、宇宙的なスケールを感じさせるジャズ・フュージョン。
Mambo (Echoes) / Wally Badarou
ジャジーなループと軽やかなビートが織りなす、夜の都会に溶け込むようなチルで洗練されたインスト。

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tajima hal プロフィール

横浜を拠点に主に関東圏で活動するビートメイカー。
LAやヨーロッパのビート・ミュージックに影響を受け、2011年よりInstrumental Hiphop/Beatsに重きを置いた楽曲制作を始める。
2017年には初のヨーロッパツアーを行い、2019年には二度目のヨーロッパツアーで10都市を回った。同年Fuzzo ScopeによるΔKTRのリリースツアー in Californiaに参加。老舗レコードストアFatbeatsでのインストア・イベントやKPFK Radio stationでライヴ・パフォーマンスを行なった。
ビート・ミュージックに焦点を当てたレーベルHermit City Recordingsを主宰し、国内ビートメイカー総勢18名によるコンピレーション「Beats In Cycle」をリリース。
中目黒Solfaにて主催イベントOPEN1を不定期で開催し、インターネット・ラジオOPEN1 RadioをLidlyと共に展開する。
ワールドワイドにゆったり活動している。

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