いい歌でありさえすれば必ずヒットする。
これが歌の本来あるべき姿です。しかし、現実は強力なタイアップが付いていなければ売れない時代です。いかがなものか?と思います。この風潮に私はあえてアンチテーゼを投げかけたい。いい歌は売れるべきだし、たくさんの人たちに聴いてもらいたい。そんな“音楽愛”が私のポリシーです。
「こんないい歌、聴かなきゃ損!」
音楽評論家の富澤一誠です。いい歌、いいアーティストを見つけて紹介するのが私の仕事です。
「演歌・歌謡曲」でもない。「Jポップ」でもない。良質な大人の歌を「Age Free Music」と名づけて私は推奨していますが、今回ご紹介する「Age Free Music」アーティストは中西保志さんです。
このたび15年ぶりとなる新作アルバム『BONUS TRACKs~最後の雨2025』をリリースされた中西さんに、大人のラブソングの魅力についてせまってみたいと思います。
ということで、今回のゲストは中西保志さんです。よろしくお願いします。
★中西保志は「いい曲」を「いい歌」に昇華する「名人」です!
この〈音声版〉を聴く前にぜひ読んでおいていただきたいコラムがあります。今回、中西保志さんにインタビューするにあたって、改めて中西さんの魅力を考えてみようと思いました。
そこで15年ぶりとなる新作アルバムを聴きこむことにしました。その結果、得た結論は、中西さんの魅力は「いい曲」を「いい歌」に昇華する名人ではないか、ということです。
オリジナル曲を始めとしてカヴァー曲でも、その曲に最もふさわしい歌を歌うことによって聴き手のハートを瞬時にして鷲づかみにしてしまう、そんな歌力があるのです。そんな観点から書いたコラムを読んでから〈音声版〉を聴いていただくと中西さんの魅力をより深く理解できるのではないでしょうか。その意味で、ぜひ聴く前に読んでいただきたいと思います。
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いい曲を「いい歌」に昇華する名人・中西保志
いい曲イコール、いい歌ではない。いい曲はそれにふさわしい歌い手に歌われて初めて「いい歌」となり、たくさんのリスナーのハートを鷲づかみにするのだ。その意味では、中西保志こそ、いい曲を「いい歌」に昇華する名人と言っていい。
そんな観点からアルバム『BONUS TRACKs~最後の雨2025』をひもといてみると、こんなふうになる。
中西保志は1992年4月21日にシングル「愛しかないよ」でデビューし、同年8月10日にリリースしたセカンドシングル「最後の雨」が異例の大ヒットを記録。30年以上が経過した今でも「最後の雨」はカラオケランキングで上位を記録するほど、広い世代に聴かれ歌われているスタンダードナンバーと言ってもいい。そんな中西保志がなんと15年ぶりとなるニューアルバム『BONUS TRACKs~最後の雨2025』をリリースした。本作は中西がこれまでの歌手人生の中で関わってきた縁の深いアーティストとのコラボレーション作品集となっており、70年代から90年代の名曲のカヴァーや、新たに制作されたオリジナル楽曲で構成された一作だ。レコード会社からサンプルが送付され、初めにこの作品を手に取ったときには単なる企画盤かなと思ったが、実際にアルバムを聴き進めていくとかなり力の入った作品で中西保志の本気度が伝わってくるとても興味深い作品だ。アルバム冒頭を飾る「最後の雨2025」では若手サックスプレイヤーのユッコ・ミラーが客演しており、素晴らしい新時代のコラボレーションを聴くことができる。他にも佐藤竹善(SING LIKE TALKING)や山根康広、澤田知可子と往年の名曲をカヴァーしている。なかでも中西保志×中西圭三のダブル中西による「あずさ2号」はかなり迫力のある仕上がりだ。豪華アーティストとのコラボレーションによりお互いの良さがより引き出され、また楽曲の良さにも磨きがかかっている興味深いアルバムだ。カヴァーはオリジナルを意識しすぎるとモノマネになってしまが、自分の色を出し過ぎても原曲の良さが消えてしまう難しさがある。しかし中西は本作で、どの楽曲もカヴァーを超えたオリジナル作品のようにさえ聴こえる領域にまで歌い上げている。そこがいい曲を「いい歌」に昇華する名人、中西保志のすごいところだろう。
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<音声版>富澤一誠のこんないい歌、聴かなきゃ損! 第41回 中西保志さん

中西保志『BONUS TRACKs ~最後の雨2025』
1.最後の雨2025 〔中西保志 × ユッコ・ミラー(Sax)〕
2.ジョニーの子守唄 〔中西保志 × 佐藤竹善(SING LIKE TALKING)〕
3.すれ違いの恋人たち (中西保志 × 山根康広)
4.エンドレス・ラブ (中西保志 × 澤田知可子)
5.あずさ2号 (中西保志 × 中西圭三)
6.夏・海・恋・歌 1984 ~Summer side story~ (中西保志)
7.溶ける愛 (中西保志)
8.サイレント・イヴ (中西保志)
9.1/52 (中西保志)
10.タイム・トゥ・セイ・グッバイ 〔中西保志 × 真園ありす(ソプラノ)〕
11.バス・ストップ (中西保志 × 杉山清貴)
富澤一誠
1951年、長野県須坂市生まれ。70年、東大文Ⅲ入学。71年、在学中に音楽雑誌への投稿を機に音楽評論家として活動開始し、Jポップ専門の評論家として53年のキャリアをもつ。レコード大賞審査員、同アルバム賞委員長、同常任実行委員、日本作詩大賞審査委員長を歴任し、現在日本レコード大賞審査委員長。また尚美学園大学名誉教授&客員教授なども務めている。「わかり易いキャッチコピーを駆使して音楽を語る音楽評論家」としてラジオ・パーソナリティー、テレビ・コメンテーターとしても活躍中。現在FM NACK5〈Age Free Music !〉(毎週木曜日24時から25時オンエア)、Inter FM〈富澤一誠のAge Free Music~大人の音楽〉(毎月最終月曜日20時から21時オンエア)パーソナリティー。BS日テレ 〈そのとき、歌は流れた〉 (毎月第2・第3木曜日20時から22時オンエア) コメンテーター。また「松山千春・さすらいの青春」「さだまさし・終りなき夢」「俺の井上陽水」「フォーク名曲事典300曲」「『こころの旅』を歌いながら」「私の青春四小節~音楽を熱く語る!」など著書多数。
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