いい歌でありさえすれば必ずヒットする。
これが歌の本来あるべき姿です。しかし、現実は強力なタイアップが付いていなければ売れない時代です。いかがなものか?と思います。この風潮に私はあえてアンチテーゼを投げかけたい。いい歌は売れるべきだし、たくさんの人たちに聴いてもらいたい。そんな“音楽愛”が私のポリシーです。
「こんないい歌、聴かなきゃ損!」
音楽評論家の富澤一誠です。いい歌を見つけて紹介するのが私の仕事です。
今、世界中でムーブメントを起こしている日本の「シティ・ポップ」。その発端は1979年リリースの竹内まりや「SEPTEMBER」、松原みき「真夜中のドア」などです。これらは当時、作編曲家の林哲司さんが洋楽に負けないようなハイセンスの「日本のポップス」を作ろうという高い志を持って作ったものです。林さんの志が若いアーティストたちに引き継がれようとしています。そんな中のひとりがGOOD BYE APRILの倉品翔さんです。
その意味では、倉品さんはこれからの「シティ・ポップ」シーンを牽引するニューリーダーと言っても過言ではありません。
ということで、今回のゲストは、GOOD BYE APRILの倉品翔さんです。
★洋楽に負けないようなハイセンスの「日本のポップス」を作ろうという高い志を持っているアーティスト!
この〈音声版〉を聴く前に、私が折に触れて書いたコラムを読んでください。今回のインタビューはその集大成です。そこにたどり着くまでのプロセスを知っていただきたいと思います。
FM NACK5に〈Hit Hit Hit !!!〉という番組があります。その月にリリースされる新曲を紹介(100曲前後)して、リスナーに「いい曲」を選んでもらいランキングを決めます。その意味では〈Hit Hit Hit !!!〉ランキングは最新曲の〈いい曲ランキング〉であり、オリコン・チャートを今売れている曲の〈リアル・ヒット・チャート〉とするならば、あくまでも〈ビフォア・ヒット・チャート〉です。
〈Hit Hit Hit !!!〉チャートは最新曲の〈いい曲ランキング〉という性格上、これから伸びそうなアーティストを〈予見〉します。すなわち〈Hit Hit Hit !!!〉チャートの〈月間No.1ソング〉受賞アーティストは未来のスター候補であり、〈上位入賞〉アーティストは期待の逸材ということになります。
そんな〈Hit Hit Hit !!!〉チャートで〈月間No.1ソング〉を4回も受賞したのがGOOD BYE APRILなのです。ということは、紛れもなくリスナーが選んだ〈NEXT BREAK ARTIST〉ということになります。
この番組の〈スーパーバイザー〉としての私は毎月〈月間No.1ソング〉が決まったときに推薦文というかコメントを寄せることにしています。GOOD BYE APRILの4回の受賞のときに私はどう思ったのか、ぜひ読んでいただきたいと思います。



〈Hit Hit Hit !!!〉2023年12月度No.1はGOOD BYE APRIL「夜明けの電車に飛び乗って」 グランプリ・コメント
ニューミュージックの中で、歌詞に比重をおいたのが「叙情派フォーク」、サウンドに比重をおいたのが「シティ・ポップ」だ、と私は考えている。そして今、世界的な「シティ・ポップ」ムーブメントの中で求められているのは「叙情派フォーク」と「シティ・ポップ」のいいところをとってコラボレーションした「令和シティ・ポップ」ではないだろうか?「昭和シティ・ポップ」に日本人ならではのワビやサビの要素を取り入れた文学的匂いのある楷書の似合う知的音楽と言ったらいいかもしれない。そんなアーティストがいたらいいな、と思っていた矢先にGOOD BYE APRILを聴いた。4月5日にメジャー・デビュー・シングル「BRAND NEW MEMORY」をリリース。そのとき私は「これは……」と思った。そして今それが確信となった。「夜明けの電車に飛び乗って」はまず曲名がいい。これぞ叙情派フォークとシティ・ポップが融合した、私が求めているまさに「令和シティ・ポップ」である。

〈Hit Hit Hit !!!〉2024年5月度No.1はGOOD BYE APRIL「ニュアンスで伝えてfeat.ヒグチアイ」 グランプリ・コメント
この春から夏にかけて一服の清涼剤ともいうべきさわやかな風が吹き抜けようとしている。GOOD BYE APRILの新曲「ニュアンスで伝えてfeat.ヒグチアイ」を聴いているとそう思えてくる。
今、世界中でムーブメントを起こしている日本の「シティ・ポップ」。その発端は1979年にリリースされた竹内まりやの「SEPTEMBER」、松原みきの「真夜中のドア」にある。当時、作編曲家の林哲司が洋楽に負けないような日本のポップスを作ろうという高い志を持って作ったものだ。その高い志が若いミュージシャンに引きつながれた。そんな中のひとりがGOOD BYE APRILの倉品翔だが、その志が今、この新曲で見事に結実した。ヒグチアイとGOOD BYE APRILがコラボレーションして化学反応を起こしたことで清涼剤ともいうべき令和の「シティ・ポップ」が生まれたのである。これは奇跡と言っていい。

〈Hit Hit Hit !!!〉2024年7月度No.1はGOOD BYE APRIL「ふたりのBGM feat.土岐麻子」 グランプリ・コメント
『Hit Hit Hit !!!』はリスナーが選ぶ〈いい曲ランキング〉。リスナーは曲のどこを高く評価したのだろうか?リスナーのコメントが鋭くて新鮮である。
「新しさと懐かしさが融合した令和の夏ソング」
「夏の景色が目の前に浮かぶ、清涼感がある、さわやかな声が好き」
「聴いて青春を思いだす」
これらのコメントにはプロの評論家&ライターには書けない新鮮な切り口が感じられる。
現在、世界的に日本のシティ・ポップがムーブメントを起こしているが、そのシティ・ポップのホープともいうべき存在がGOOD BYE APRILだ。彼らがクイーン・オブ・シティ・ポップ=土岐麻子をフィーチャリングに迎えた透明で儚いサマーソング。土岐とボーカル・倉品翔の化学反応が見事でまさに令和の「シティ・ポップ」が誕生したと言っても過言ではない。聴かなきゃ損!

〈Hit Hit Hit !!!〉2024年11月度No.1はGOOD BYE APRIL「Love Letter」グランプリ・コメント
番組史上最多!4度目のNo.1に選ばれたGOOD BYE APRIL。リスナー投票でNo.1になるということはリスナーが「これは良い」と思った曲であるということ。その意味では「NEXT BREAK ARTIST」ということだ。
No.1になることはすごいことだが、私はこんなふうに考えている。
No.1受賞1回目ははっきり言って「まぐれ!」。2回目は「勢い!」。3回目は「はずみ!」。そして4回目は「実力!」。ということは、GOOD BYE APRILは今回4回目のNo.1受賞で完全に自分たち独自の世界を確立したということだ。「夜明けの電車に飛び乗って」「ニュアンスで伝えてfeat.ヒグチアイ」「ふたりのBGM feat.土岐麻子」と1曲ずつ積み上げて彼らは「NEXT BREAK ARTIST」に成長した。で、次回5回目を獲得したら「安定!」ということになるだろうか。大いに期待したい。
そして集大成として、初のメジャー・アルバム「HEARTDUST」のアルバム評を書きましたのでお読みください。
(毎日新聞夕刊2025年1月22日付)
GOOD BYE APRIL/HEARTDUST(クラウン)
今、世界中でムーブメントを起こしている日本の「シティ・ポップ」。その発端は1979年リリースの竹内まりや「SEPTEMBER」、松原みき「真夜中のドア」にある。当時、作編曲家の林哲司が洋楽に負けないようなハイセンスの「日本のポップス」を作ろうという高い志を持って作ったものだ。その志が若いアーティストたちに引き継がれようとしている。そんな中のひとりがGOOD BYE APRILの倉品翔だが、その志がこのアルバムで見事に結実した結果、「令和のシティ・ポップ」ともいうべき新しい音楽が生まれた。これは奇跡と言っていい。
「令和のシティ・ポップ」は「昭和のシティ・ポップ」に日本人ならではのワビやサビの要素を取り入れた文学的匂いのある楷書の似合う知的音楽と言ったらいいかもしれない。「Hit Hit Hit !!!」(FM NACK5)はリスナーが選ぶ〈いい曲ランキング〉。番組史上最多の4度目のNo.1曲に選ばれたGOOD BYE APRIL。リスナー投票で1位になるということはリスナーが「これは良い」と評価したということ。その意味では「NEXT BREAK ARTIST」ということである。
音楽の生まれた背景を知ると音楽に対する理解度が深まると思います。アーティストの高い志をぜひ知って欲しいと願っています。

<音声版>富澤一誠のこんないい歌、聴かなきゃ損! 第33回 GOOD BYE APRIL 倉品翔さん

GOOD BYE APRIL Major 1st Album HEARTDUST【CD】
2024.11.13 Release / PANAM
CRCP-20607 / 定価¥3,500 (税抜価格¥3,182)
1.Love Letter<林哲司プロデュース>
2.CITY ROMANCE
3.BRAND NEW MEMORY <林哲司プロデュース>
4.ふたりのBGM feat. 土岐麻子
5.ポートレイト・ラヴソング
6.Dusty Light
7.Highway Coconuts
8.サイレンスで踊りたい
9.ニュアンスで伝えて feat. ヒグチアイ
10.夜明けの列車に飛び乗って
11.優しい歌
[Bonus Track]※CDのみ
12.missing summer (Live ver.)
【CD】
¥3,500(tax in)
2024.11.13 Release / PANAM
★金澤寿和(Light Mellow)氏によるライナーノーツ付き
GOOD BYE APRILの最新情報はこちら
富澤一誠
1951年、長野県須坂市生まれ。70年、東大文Ⅲ入学。71年、在学中に音楽雑誌への投稿を機に音楽評論家として活動開始し、Jポップ専門の評論家として53年のキャリアをもつ。レコード大賞審査員、同アルバム賞委員長、同常任実行委員、日本作詩大賞審査委員長を歴任し、現在日本レコード大賞審査委員長。また尚美学園大学名誉教授&客員教授なども務めている。「わかり易いキャッチコピーを駆使して音楽を語る音楽評論家」としてラジオ・パーソナリティー、テレビ・コメンテーターとしても活躍中。現在FM NACK5〈Age Free Music !〉(毎週木曜日24時から25時オンエア)、Inter FM〈富澤一誠のAge Free Music~大人の音楽〉(毎月最終月曜日20時から21時オンエア)パーソナリティー。BS日テレ〈そのとき、歌は流れた〉(毎月第2・第3水曜日20時から22時オンエア)コメンテーター。また「松山千春・さすらいの青春」「さだまさし・終りなき夢」「俺の井上陽水」「フォーク名曲事典300曲」「『こころの旅』を歌いながら」「私の青春四小節~音楽を熱く語る!」など著書多数。
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