──今回の「ナニコレ最高!!!」は、なんと82枚目のシングル。とてもグルーヴィーでキャッチーな楽曲になっていますが、今回、この楽曲をシングルにしようとお思いになった経緯から教えていただけますでしょうか?
「毎年、年末にスタッフとレコード会社のプロデューサーの方と、“来年は、こんな感じでいこう”とテーマを決めて制作しているんです。僕は、昭和歌謡曲風やジャジーな楽曲、ファンキーな楽曲、バラードなど、いろいろな曲調を歌いますし、お願いするのも松井五郎さんや都志見隆さん、網倉一也先生といった大作家陣も多いので、方向性を決めてから依頼しています。でも、今回はMISSING Sound Tracksというわりと新しいアーティストにお願いしました。とは言っても世界を股にかけて活躍されている方たちなので、“田原俊彦に相応しい、ド派手で踊れるファンキーな曲”というテーマでお願いしました」
──まさにそのリクエスト通りの楽曲だと思いますが、田原さんとしても最初にお聴きになった瞬間から納得されましたか?
「そうですね。本当に派手ですし、ノリがよくて。ライブでオーディエンスのみなさんと一緒に歌って踊れる曲になったので、ステージでパフォーマンスするのが楽しみです。歌詞は真間稜さんが書いてくださったんですけど、現在の原寸大の田原俊彦の世界観を表現した内容になっています。だから、僕も歌いやすいですし、ファンのみなさんも“これ、トシちゃんのことを歌っているね”という歌詞になっているので、一緒にグルーヴできると思っています」

──サビはとてもキャッチーなので、すぐに覚えられそうですしね。
「そうですね。“ナニコレ最高!!! チャチャッ”って(笑)。ここをオーディエンスのみんなと一緒にやりたいです。ミュージックビデオ(MV)は見てくれましたか?」
──もちろんです。拝見しました。すごく踊ってらっしゃいますね。
「いやいや。すごく踊っていると言っても、あれはリハーサルを2回やって、すぐ本番でしたから(笑)。だいたい、適当なんですよ。ノリですから、僕は(笑)」
──でも、若いダンサー陣4人を従えて、キレっキレに踊ってらっしゃいます。
「ダンサー陣は10年選手もいれば、5年選手もいるという男性2人に女性2人。彼らはツアーメンバーなんです。だから、僕との呼吸はわかってくれています」
──そのパフォーマンスを拝見していて、やはり田原さんはセンターが似合うと思いました。存在感が素晴らしいです。
「今回、セット的にはそんなにゴージャスさはなくて…でも、全体的にモノトーンな感じで、照明に凝っています。その結果、わりとアダルト感が出て、スタイリッシュにできたと思っています。監督の坂本(あゆみ)さんには、去年「LIFE IS A CARNIVAL」のMVも撮っていただいたんですけど、それとは全然違うシチュエーションで撮ってくださいました」
──先ほどもおっしゃっていましたが、<時代変わって 巡っても 貫け このスタイル>とか、<年齢ただのナンバー>というフレーズは、まさに田原さんしか歌えないのでは?と思いました。とてもポジティブですね。この歌詞の内容は、田原さんからリクエストしたものではないのですか?
「曲先なので、僕は曲がカッコよければ、“これにどんな歌詞が付くのかな?”と楽しみにするタイプなんです。でも、松井さんも都志見さんも網倉さんも、アレンジャーの船山(基紀)先生も、今回歌詞を書いてくださった真間さんも、みなさん僕のライブに、ここ数年毎年来てくださっています。だから、こういう詞の世界観を表現してくださったと思います」
──目の前で歌って踊る“田原俊彦”を、実際にご覧になっているんですね。
「そうです。それで感じたところを曲に乗せてくれたんだと思います。僕は、自分のことを歌っているから、ちょっとこっぱずかしいですけど(笑)。でも、“まぁいいか。貫け!”と思って歌っています(笑)」
──そうですよ。田原さんが歌うからこそ説得力がありますから。
「「ナニコレ最高!!!」というタイトルからしてふざけていますけど、そこも僕らしくていいと思います(笑)」
──田原さんのボーカルも、とても勢いがあって弾けた感じですよね。レコーディング時にこだわった点はありますか?
「レコーディングでは、マイクの前に立ってズバッと歌うので、そんなに苦労はしなかったんです。サラッといけましたね。ただ、これに振りがつくと、とてもしんどいんですよ(笑)。MVでも、僕は声をしっかり出して歌いながら撮っているのでキツイです(笑)。でも、全部体に入ってしまえば大丈夫なので、ライブのリハーサルでバンドと合わせてやっていけば仕上がると思います」
──MV撮影のときに歌うのは、そのほうが臨場感が出るからですか?
「歌った方がウソっぽくないじゃないですか。だから、映像がひどい顔になってしまうんですけど(笑)、“これで完璧に体に入れるぞ!”と思って挑んでいます」
──そのほうが映像にも熱量が出ますしね。
「そうそう。やっぱり本気を見せないといけないですから」
──振付もキャッチーで、とても楽しいです。
「なんか、おちゃらけた振りでね(笑)。でも、遊びも入れつつ、7月から始まるツアータイトル『パーティはこれからだ!』にリンクするような楽しい感じになっていると思います。あと、ファンのみなさんにも踊ってもらうようなシーンを作ろうと思っています」
──振付の中に田原さんらしいポージングもありましたが、それも遊び心のひとつなんでしょうか?
「トラボルタ風のがあったりしますよね(笑)。振付を考えたのは、ツアーメンバーのダンサーのリーダーですけど、あそこがポイントらしいです(笑)。でも、イントロ、サビ、間奏、コーダーはダンサー陣とユニゾンで踊りますけど、歌中はフリースタイルです。ボーカルに専念しています」
──歌中はご自身の中から湧き出るものを表現している田原さんのアドリブなんですね!
「そうです。もう47年やっていますから、僕の見せ方というかコツ、スキルがあるんです。だから、いろいろな技を繰り出しながらやっています」

──「ナニコレ最高!!!」のリリースはツアー直前でもありますが、ツアーに向けた楽曲でもあるのでしょうか?
「はい。毎年シングルを6月にリリースして、その曲を一番の核にしながらツアーの構成を練っています。今年のツアーは7月23日から始まるので、今、どういう構成にしようか?と作戦を立てているところです」
──ニューシングルをツアーの核にする。それは、やはり楽曲をライブでパフォーマンスすることを大切に考えていらっしゃるからですか?
「僕が一番大好きな場所、場面はライブですから。それにファンの方もライブに来ることを楽しみに生活のリズムを作ってくださっていたりします。そういうお手紙をいただいたりするんですよ。生きていたら、フラストレーションや忙しさなど大変なことがたくさんあるじゃないですか。だからこそ、僕のライブを楽しみに待ってくださっています。そう思うので、損はさせないステージを提供できるように頑張ります」
──例え日常生活に嫌なことがあっても、ライブ中は忘れられますから。
「そう! だから、来てくださったみなさんに、いい想いをして帰ってもらいたいです。だから僕も本気でエンターテイメントを届けたいと思っています」
──田原さんは、長年ずっと新曲のリリースとツアーを休まずに続けてこられました。その原動力は、何なのでしょうか?
「何だろう? 休むのが怖いのもありますけど、毎年毎年それを楽しみに待ってくださっている方がいるというのが一番かな。だから、継続することが、僕は普通だと思っています。それに歌って踊って魅せることがマイライフですから!」
──歌って踊ることが、田原さんの人生の核なんですね。
「そうです。それがしたくてこの世界に飛び込んで始まった“田原俊彦”ですから。それは10代の頃から変わりません。でも、今は60代で前期高齢者(笑)。もう死にそうです(笑)」
──とんでもないです! MVでも、脚がすごく上がっていましたし、若々しいです!
「いやいや。ライブはね、めっちゃしんどいですよ(笑)。毎年そのしんどさの度合いは高まっています。やっぱり20代の頃の僕のステージを映像で見たりすると、“ヤバい!”と思うくらいキレッキレなんです。あの頃と同じようには、さすがにもうできないですけど、退化はしないようにしたいです。今の年齢だからこそ出せる雰囲気、見せ方、スキルというものが上がっていると思うので、そこでカバーして、その年齢ならではの良さというものを出していきたいと思っています。歌も若い頃よりしっかり歌えるようになりましたし、魅せられるようにもなりましたから」
──そしてファンの方も全国で待ってらっしゃいますし。
「そうなんですよ! 今回のツアーは全国18ヶ所で開催しますけど、年に1回しか会えない方もいれば、もしかしたら一生に一度しか僕のステージを観ることがない方もいると思うんです。“今回は自分が住む町に来たから”とか、“隣町に来たから行ってみよう”という方もいると思いますし、“トシちゃん、昔好きだった。元気なのかな?”と思って来てくださる方もいると思うんです。そういう方たちに最高の僕をお見せすることが僕の役割です。そして、“また来たい!”と思っていただきたいです。そういう想いでやっています」
──やはり生で観るのが一番だと思います。
「ライブの臨場感、雰囲気は、しっかり生で観ないと伝わらないものがありますから。テレビの3分、4分では難しいです。ライブではトークもして、お客さんとコミュニケーションを取りますし、楽曲もいろいろなジャンルの曲を見てもらえます。“It's Showtime!”という感じです。僕のライブは、ライブですけど、エンターテイメントショーになっていると自負していますから。しかも、音響や照明も毎年毎年手を変え品を変えショーアップするために頑張っていますし、バンドも、もう28年一緒にやっています。ダンサーも含めてチームとしての総合力は上がっているので、それがステージからも伝わると思います」
──いいステージを作る。それを使命だと感じてらっしゃるんですね。少し休みたいと考えたことはないのでしょうか?
「あまり考えたことがないです。仕事なんですけど、やっぱり好きだからこそできるんだと思います。もちろん本番を迎えるまでには、大変なこともあります。でも、本番を迎えるときは最高の気分になっています。だから、その喜びのために頑張れていますし、僕のライブを待っていてくれる人たちがいるから頑張れるんだと思います」
──ずっと応援してくださっているファンの方の存在も大きいですね。
「そうですよ! いくら僕が“やりたい”と言っても、やっぱりファンのみなさんがいてこそです。みなさんが集まってくださらないとライブもできないですし、CDもリリースできないですから。だから、その応援に応えるためにもやり続けることが大切なんです」
──田原さんはお若い頃からスターでいらっしゃいましたし、ツアータイトルにも『Dance with KING of IDOL』とつけられてらっしゃいますね。
「『Dance with KING of IDOL』は去年から使っているタイトルです。そのあとの『パーティはこれからだ!』は、今年独自のもので、去年は『踊るパワースポット!』でした。今年がデビュー47年目に入るんですけど、このタイトルを50周年に向けて繋げていこうと思っています」
──『KING of IDOL』と謳ってらっしゃるのは、やはり田原さんにとってアイドルでいることがプライドだからですか?
「プライドというほどでもないですけど、僕はアイドルですから。それが僕の職業なので、変わらずに続けていきたいと思っています。でも、どんなジャンルの人も、僕はそのカテゴリーの中のアイドルだと思っています。若いバンドもダンサーも、強いて言えば演歌の人だって、その世代のアイドルだと思います。先輩で言えば、沢田(研二)さんだって、いまだに走り回って歌っています。矢沢永吉さんもそう。そういう先輩方が頑張っているのを見ていると、“みなさん、すごいな!”と励みになりますし、嬉しいです」
──アイドルという道を選ばれたことは、今でも正しい選択だったとお考えですか?
「僕は、ジャクソン5のマイケル・ジャクソンに憧れて、この世界に入りました。そして自分のなりたい存在になれました。それはラッキーでしたし、恵まれていたと思います。「哀愁でいと」を歌っていた頃の“田原俊彦”は、まさか47年後まで歌って踊っているなんて考えられなかったでしょうし、考えてもいなかったです。でも、好きだから続けてこられました。好きじゃなかったらできなかったでしょうね…多分。しかも、応援してくださる方がいつもいた“田原俊彦”は、誰よりもいい想いができたと思います。それって最高でしょ?」
──最高だと思います。そんな田原さんは、これからも“アイドル 田原俊彦”として、どんな挑戦をしていきたいとお考えですか?
「続けていくことです。継続は力なりになればいいと思っています。逆に言うと、僕はこれしかできないですから。でも、自分自身もアイドルでいることに飽きたりもしなかったですし、放棄したいとも思わなかったです。いい加減でしたけど、これだけ続けられたのだから、まあまあだと思いますね(笑)」
──すごいと思います。なかなかそういう方はいらっしゃいませんから。
「ラッキーでした。自分がやりたいと思っても、時代が許してくれない場合もありますよね。僕よりカッコイイ人はたくさんいますし、僕より歌がうまい人はたくさんいます。僕より魅せられる人も、もちろんたくさんいます。でも、僕はその中で走れて天下を取れました。それは運とタイミングがうまく合致したスタートが切れたからだと思います。今も後輩諸君は頑張っていますけど、ソロシンガーは少なくなりましたよね」
──はい。今はグループばかりです。
「グループというのは、いろいろな個性がひとつにならないといけないので、それはそれで大変だと思います。みんな自分のポリシーを持って生きている人たちだろうから、それをひとつにまとめるのは、なかなか大変だと思いますし、グループは、いつか解散や休止というものが来るものだと思うんです。でも、ソロの場合は、自分が“やーめた!”と言わない限りは戦わないといけなくて。その分、責任もありますけど、自分で自分の人生を賭けて生きていけるので、やりがいはあると思います。他人のせいにできないですから、大変ではありますけど…」
──田原さんもソロシンガーであることに意味を見出してらっしゃるのではないですか?
「はい。僕は今回のシングルが82作目ですけど、これだけのシングル財産がありますし、ツアーでも全国を回れています。それは本当に恵まれていると思います」

──7月23日にスタートするツアーは11月14日がツアーファイナルと、かなり長期間ですね。
「7大都市は毎年回っているんですけど、それに加えて去年に行けなかった地方をはめ込んだツアースケジュールになっています。いつもファイナルが九州になるのは、どうしてだろう?…打ち上げの食べ物がおいしいからかな(笑)」
──では、最後にそのライブにいらっしゃるお客様に、どんなことを楽しみにしていてほしいか、メッセージをお願いします。
「僕の曲はシングル曲が82作あって70曲くらい踊っているので、かなりキツイです。でも、2時間のライブに収めようと思ったら、今度は曲が多すぎて…。ザ・ヒット曲という“田原俊彦”の看板的な曲は、必ずやりたいですし。しかも、年々新曲は増えていますし、アルバムの中にも歌いたい曲があって。その中からいろいろなジャンルを混ぜ合わせて選択して、オープニングからアンコールまでのセットリストを作っています。そして毎年、僕なりにサプライズ的なものも考えて挑みます。ここのところのライブはシングル曲が多かったので、今回は夏をテーマにしたコーナーを作ろうかな?と思っています。あと、少しバラードを増やそうかな? だって、踊りっぱなしはキツイですから(笑)」
──「ナニコレ最高!!!」のカップリング曲「恋のミラージュ」もムーディーなテイストですし。
「そうそう。「恋のミラージュ」はセクシーな振付にして、女性ダンサーと踊ろうと思っているんです。ひとつの見せ場になる予定です。僕もいろいろな曲を歌ってきましたけど、この曲は少しラテンな感じで魅せられると思っています。若い頃にはできなかった魅せ方ができる曲が加わったのも嬉しいです」
──大人の色気をタップリと味わえるんですね!
「はい。でも、あとは見てのお楽しみです!(笑)2時間ビッチリとやりますから、期待していていただきたいです」
(おわり)
取材・文/高橋栄理子
写真/中村功
RELEASE INFORMATION
LIVE INFORMATION

Dance with KING of IDOL 2026 〜パーティはこれからだ!〜
7月23日(木) 埼玉県 川口総合文化センター・リリアフカガワみらいホール
7月30日(木) 北海道 札幌文化芸術劇場hitaru
8月3日(月) 大阪府 オリックス劇場
8月14日(金) 千葉県 千葉県文化会館大ホール
8月20日(木) 宮城県 トークネットホール仙台大ホール
8月28日(金) 広島県 広島文化学園HBGホール
9月2日(水) 静岡県 アクトシティ浜松大ホール
9月6日(日) 岩手県 トーサイクラシックホール岩手大ホール
9月18日(金) 岡山県 岡山芸術創造劇場ハレノワ大劇場
9月23日(水・祝) 東京都 NHKホール
10月4日(日) 京都府 ロームシアター京都メインホール
10月12日(月・祝) 福岡県 福岡市民ホール大ホール
10月16日(金) 石川県 本多の森北電ホール
10月25日(日) 愛知県 Niterra日本特殊陶業市民会館フォレストホール
10月30日(金) 神奈川県 よこすか芸術劇場
11月7日(土) 群馬県 高崎芸術劇場大劇場
11月13日(金) 鹿児島県 宝山ホール
11月14日(土) 熊本県 熊本城ホールメインホール




