いい歌でありさえすれば必ずヒットする。
これが歌の本来あるべき姿です。しかし、現実は強力なタイアップが付いていなければ売れない時代です。いかがなものか?と思います。この風潮に私はあえてアンチテーゼを投げかけたい。いい歌は売れるべきだし、たくさんの人たちに聴いてもらいたい。そんな“音楽愛”が私のポリシーです。
「こんないい歌、聴かなきゃ損!」
音楽評論家の富澤一誠です。いい歌を見つけて紹介するのが私の仕事です。「演歌・歌謡曲」でもない。「Jポップ」でもない。良質な大人の歌を「Age Free Music」と名づけて私は推奨していますが、小田純平さんはまさに理想のAge Free Musicアーティストです。そこで今回は小田純平さんをゲストにお迎えして「大人の歌」の魅力にせまってみたいと思います。
★波乱万丈の人生ドラマから何を学ぶべきか?
小田純平さんをゲストに迎えるにあたり、私がひとつ意識したことは、今の小田さんの立ち位置を明確にしたうえで、なぜそこに至ったのか?ということを解きあかそうということです。
小田さんは現在独自の世界を築いています。基本的にはシンガー・ソングライターですが、作曲家でもあり、はたまたカラオケの先生というか審査員でもあるしカラオケグランプリの主宰者でもあります。ということで、この世界においてはキャリア・アーティストだと言っても過言ではありません。とは言っても、一朝一夕にしてなったものではありません。
小田さんのプロフィールを簡単に紹介しておきましょう。小田純平、本名・馬越敏幸、1957年4月15日、鹿児島県生まれの67歳。
父親は鹿児島を中心に活動していた「ナポリ演芸会」という家族経営の一座の座長として活躍したナポリ馬越。小田さんはこの一座で3歳のときに子役として初舞台を踏んだというから根っからの芸人と言っていい。
その後成長して、1979年にCBS・ソニーよりシングル「海を見ていよう」でデビュー。1983年に小田順平に名義を変更してシングルを2枚リリースするも売れず。1987年、現在の小田純平に名義を変えて再デビュー。「SAKE」「ちょうちん」シングル2枚を出すも、これまた日の目を見ずに、アーティストとしてはそれ以降14年間という長きにわたりリリースが止まってしまった。いわば小田さんにとっては暗黒時代だが、このとき彼は何を考えて、何をどうしていたのだろうか?興味がそそられる期間ではあります。
2004年9月29日リリースの「三年待ち屋」は長いブランクにもかかわらず有線放送やカラオケのリクエストで大きな反響を得て脚光をあびることになります。14年という長いブランクにもかかわらずになぜここで息を吹き返したのか、波乱万丈の人生のドラマがここから始まったと言っていいでしょう。いったい何があったのでしょうか?
続いて2010年12月1日にリリースされた「53」が、小田さんの人生を歌った「すごい歌」ということで話題となり、作曲家としてのオファーが多くなり作曲家への道が切り開かれました。シンガー・ソングライターと作曲家という2刀流でさらに強力になった小田さんはアーティストとして幅を広げパワーアップします。なぜ大谷翔平選手ばりの2刀流になれたのか?そこには何があったのか?小田さんの人生ドラマを深堀りしたいと思います。
そして今、小田さんは〈第二回小田純平を歌う全国縦断カラオケグランプリ〉を開催中。現在小田純平作品は「カラオケ@DAM」に500曲余りが登録されていますが、そんな中から11月23日にはグランプリが決まり、グランプリ受賞者には「小田純平書下ろし新曲」が送られます。まさに「ジャパニーズ・ドリーム」ではないでしょうか?
家族経営の1座の子役からスタートして今オンリーワンの世界を確立した小田純平さんの人生のドラマを知ることは、自分の人生を見つめ直すことではないでしょうか?そんな思いでこの〈音声版〉にチャレンジしてみました。ぜひ聴いていただきたい。まさに聴かなきゃ損!です。
<音声版>富澤一誠のこんないい歌、聴かなきゃ損! 第26回 小田純平さん
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富澤一誠
1951年、長野県須坂市生まれ。70年、東大文Ⅲ入学。71年、在学中に音楽雑誌への投稿を機に音楽評論家として活動開始し、Jポップ専門の評論家として50年のキャリアを持つ。レコード大賞審査員、同アルバム賞委員長、同常任実行委員、日本作詩大賞審査委員長を歴任し、現在尚美学園大学名誉教授&客員教授なども務めている。また「わかり易いキャッチコピーを駆使して音楽を語る音楽評論家」としてラジオ・パーソナリティー、テレビ・コメンテーターとしても活躍中。現在FM NACK5〈Age Free Music!〉(毎週木曜日24時から25時オンエア)、InterFM〈富澤一誠のAge Free Music~大人の音楽〉(毎月最終水曜日25時から26時オンエア)パーソナリティー。また「松山千春・さすらいの青春」「さだまさし・終りなき夢」「俺の井上陽水」「フォーク名曲事典300曲」「『こころの旅』を歌いながら」「私の青春四小節~音楽を熱く語る!」など著書多数。