Age Free Music 富澤一誠のこんないい歌、聴かなきゃ損！ 第31回 広瀬倫子さん

いい歌でありさえすれば必ずヒットする。
これが歌の本来あるべき姿です。しかし、現実は強力なタイアップが付いていなければ売れない時代です。いかがなものか？と思います。この風潮に私はあえてアンチテーゼを投げかけたい。いい歌は売れるべきだし、たくさんの人たちに聴いてもらいたい。そんな“音楽愛”が私のポリシーです。

　「こんないい歌、聴かなきゃ損！」

音楽評論家の富澤一誠です。いい歌を見つけて紹介するのが私の仕事です。

今回紹介するのは広瀬倫子さんのアルバム「広瀬倫子アンソロジー 2013～2024 熟恋歌からザ・リンコスタまで」です。

このアルバムには私が求めている「大人の歌」が凝縮されています。「演歌・歌謡曲」でもない。「Jポップ」でもない。良質な大人の歌を「Age Free Music」と名づけて私は推奨していますが、彼女は大人のラブソング「熟恋歌」からフレンチ・ポップス、アニソン、ジャズなどに至るまで縦横無尽に歌いこなしています。その意味では彼女は私が求めている「Age Free Music」の歌姫なのです。

ということで、今回のゲストは「Age Free Music」の歌姫・広瀬倫子さんです。

★ベスト・アルバムにしてオリジナル・アルバム！

この〈音声版〉を聴く前にぜひ読んでおいていただきたいコラムがあります。私が毎日新聞夕刊（2024年12月18日付）に書いたCD評です。

アルバム「広瀬倫子アンソロジー」は「ベスト・アルバムにしてオリジナル・アルバムである」という観点は我ながら的を射ていると自負しています。なぜそうなのか？このコラムを読んでからアルバムを聴いて考えてみるきっかけになれば幸いです。

それにしても深いアルバムです。このアルバムを紹介することがまさに私の仕事です。

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富澤一誠選

広瀬倫子／広瀬倫子アンソロジー 2013-2024～熟恋歌からザ・リンコスタまで（テイチク） 「Age Free Music」（テイチクエンタテインメント）は「演歌・歌謡曲」でもない。「Jポップ」でもない。良質な大人の歌に特化した専門レーベルである。そのレーベルのメイン・アーティストが広瀬だが、彼女の歌う大人のラブソングは「熟恋歌」と呼ばれている。これまで熟恋歌は「生まれ変わって」（レーモンド松屋作曲）、「恋の誤算」（高見沢俊彦作曲）、「愛を舐めるな」（来生たかお作曲）など6枚のCDシングルがリリースされているがいずれも名曲と言われている。この6曲がこのアルバムに収録されているので「ベスト・アルバム」と言っていいが、と同時にオリジナル・アルバムとも言えるのだ。というのは、シングル盤のカップリング曲はカバー曲だが、こちらは実力派ジャズ・ミュージシャンが主にレコーディングに参加しているので、今回の新録音となる3曲の要素（ジャズ、ラテン、ファンク、ラウンジミュージック、フレンチ・ポップス）とエッセンスが統一されているので、こちらはオリジナル・アルバムの様相を呈しているのだ。これがベスト・アルバムにしてオリジナル・アルバムの所以である。

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＜音声版＞富澤一誠のこんないい歌、聴かなきゃ損！ 第31回 広瀬倫子さん