2026年が幕を開け、ウェブやSNSなどのメディアでは、2025年の音楽シーンを振り返ったり、想い入れの強い音楽作品へのポストが飛び交い、音楽ファンたちが熱く語り合うというのが年始恒例の風景。かく言う私も個人的な発信は少ながらず行っている訳ですが、1月の終わりに差し掛かるとその熱気も落ち着きを見せ始め、そんな時に開催されるのが真打とも言える音楽界最大のイベント=グラミー賞。1年の集大成にしてクライマックス、世界中のアーティストたちが憧れ、音楽史に名を刻む瞬間でもある世界最高峰の舞台をもって、1年の区切りと感じる方も多いのでは。
今回は、主要6部門のノミネート作品をメインに、個人的に注目する楽曲をピックアップしつつ、おすすめのチャンネルも紹介します。「栄光のグラモフォン」を手にするのは誰なのか !?
年間最優秀レコード賞(Record Of The Year)
録音物としてのクリエイティヴとその完成度を称える賞。パフォーマンスしたアーティストもちろん、サウンド・プロダクションやレコーディング、プロデュースなど、制作や録音に携わったチーム全体に贈られるグラミー賞のハイライトのひとつ。その年の「総合力No.1の楽曲」が決まる言っても過言ではないかも?
サブリナ・カーペンター『マンズ・ベスト・フレンド』「歌も歌えるディズニー・スター」という肩書きを得てから約10年。前回の第67回グラミーにて「最優秀ポップ・パフォーマンス(ソロ)」「最優秀ポップ・ヴォーカル・アルバム」の2部門を受賞。アーティストとしてのキャリアも確実なものとした彼女が、その勢いのまま、さらに飛躍の年を迎え、キラーチューン「マンチャイルド」をもって今回のグラミーにもノミネート。キャリアを通じて培った表現力が結実したスター性、レトロモダンの一言では片づけられないサウンドアプローチ。毒っ気たっぷりのキャッチなーキャラクターとエヴァーグリーンなムード。今年を象徴するポップアンセムのひとつです。
▼サブリナ・カーペンターの楽曲を聴くなら……(USEN MUSIC GUIDE)
GIRLS POP
CONTEMPORARY VOCAL (ミドル~アップ)
年間最優秀アルバム賞(Album Of The Year)
この1年でもっとも優れたアルバム作品に対して贈られる。特定の1曲ではなく、アルバム作品としてのクオリティや創造性、影響力、商業的な成功など、総合芸術としてのインパクトに焦点が当てられ、メインアーティストを筆頭に、アルバム制作に携わった全てのスタッフへ贈られる、グラミーにおける最大規模の栄冠。
ケンドリック・ラマー 『GNX』ケンドリック・ラマー 『GNX』
今や、HIP HOPカルチャーの象徴という立ち位置を優に飛び越え、時代を象徴するアーティストとして、その一挙手一投足に注目が集めるケンドリック。前回、第67回グラミーでは「ノット・ライク・アス」で「年間最優秀レコード」「年間最優秀楽曲」を含む4部門を制覇。今回のグラミーでは、アルバム賞を加え最多となる8部門、9つの賞にノミネート。「年間最優秀レコード」「年間最優秀楽曲」には、TDEでのレーベルメイトであり兄妹的存在のSZAとのコラボ曲「luther」でノミネート。強豪ひしめく中、昨年以上の独占もあるかも?と思わせる存在感が恐ろしいです。
▼ケンドリック・ラマーの楽曲を聴くなら……(USEN MUSIC GUIDE)
HIP HOP
Chill HIP HOP
年間最優秀楽曲賞(Song Of The Year)
作品の生みの親であるソングライターを称える賞。音楽作品の根幹とも言える作詞・作曲において、メッセージ性やテーマ、メロディ、楽曲構造、社会的影響力、音楽の本質的な魅力などを評価し、年間を通じてもっとも優れた楽曲を生み出した描き手へ贈られる栄冠です。その年の音楽的象徴が決まる部門となります。
ROSÉ『rosie』ROSÉ&Bruno Mars「APT.」
「アーパトゥ、アパトゥ」の中毒性満載の掛け声と共に、世界中が歌い、踊りまくったバイラルヒット。BLACKPINKのロゼとブルーノ・マーズという、世界的ポップスター同士のコラボとして話題を集め、すでに数多の音楽賞を受賞し、もちろんグラミーにもノミネート。ロゼが作詞・作曲の原案を描き、ブルーノの手によってネクストレベルへと昇華。ソングライターとしてのクレジットは実に10人以上。コライト、飽きのこない構成、インターポレーションとしてトニー・バジル「Mickey」をネタとするなど、現代的な制作手法とヒット法則を凝縮したプロダクションから生み出された1曲。2020年代におけるK-POP~グローバルポップの決定打のひとつとして、最高峰の舞台でもスポットが当たるのか注目です。
▼ロゼの楽曲を聴くなら……(USEN MUSIC GUIDE)
K-POP
K-POP (ミドル~アップ)
最優秀新人賞(Best New Artist)
この1年でもっとも話題を集めた新星に贈られる賞。純粋な新人はもちろん、一気にブレイクを果たした若手なども対象に含まれ、音楽界が注目を集める「その年に飛躍したアーティスト」「音楽シーンが注目する次世代のスター」が選ばれます。これからの音楽シーンを牽引する存在として、新しい時代の「顔」が決まる瞬間が楽しめるのが、この部門です。
オリヴィア・ディーンオリヴィア・ディーン「ソー・イージー(トゥ・フォール・イン・ラヴ)」
オリヴィア・ディーン『ジ・アート・オブ・ラヴィング』イギリス音楽シーンにとって最注目のアーティストである彼女が、2025年、2作目のアルバム『ジ・アート・オブ・ラヴィング 』をもって、見事にブレイクスルー。一気にグローバルな支持を獲得すると同時に、グラミー賞にもノミネート。エイミー・ワインハウスやアデル、両親がその名をミドルネームとして授けたというローリン・ヒル、さらにはアンジー・ストーン、はたまたキャロル・キングまで、引き合いに出されるアーティストの名前が、そのポテンシャルを証明。ソウルミュージックを軸に、さまざまなシーンの垣根を優雅に飛び越えるタイムレスな魅力で、グラミーまでも一気に手中に収めてしまうのか?要チェックです。
▼オリヴィア・ディーンの楽曲を聴くなら……(USEN MUSIC GUIDE)
Organic Soul
トレンドR&B
年間最優秀プロデューサー(ノン・クラシック)賞(Producer Of The Year, Non-Classical)
音楽制作のプロデュース・ワークにおいて、もっとも優れた実績を残したプロデューサーやチームに贈られる賞。この1年を通してシーンを盛り立て、多くの名曲やヒット曲を支えたキャリアにスポットが当てられます。アーティストのビジョンの具現化、楽曲制作、録音における監修など、音楽クリエイティヴにおける総監督No.1が決まる部門です。
Dijon「HIGHER!」
今年の「年間最優秀アルバム」ノミネートのジャスティン・ビーバー『SWAG』を筆頭に、ボン・イヴェール、マット・チャンピオンなどの作品への参加で多忙を極めつつ、新世代のR&Bスタイルを提示し続ける気鋭のアーティスト、Dijon。盟友のMk.geeと共にキャリアをアップさせ、2025年には待望の2作目『BABY』をリリース。さまざまなメディアや耳の早い音楽ファンたちの年間ベストに数えられる1枚に。熱狂的なカルト人気を誇った彼が、裏方としても、表舞台においても、メインストリームを塗り替えるほどの存在にまで飛躍し、その希有な才能が初の栄冠を掴み取るか、個人的にもかなり注目しています。
▼Dijonの楽曲を聴くなら……(USEN MUSIC GUIDE)
R&B
R&B/HIP HOP ステーション
年間最優秀ソングライター(ノン・クラシック)賞(Songwriter Of The Year, Non-Classical)
対象期間におけるソングライティングの総合力が称えられる賞。特定の1曲ではなく、提供曲などの自身がメイン・アーティストではない楽曲を規定数以上生み出し、年間通じてのソングライティング・ワークにスポットが当てられる部門です。この1年の音楽シーンを支えたナンバーワンの作曲家、作詞家に栄冠が送られます。
エイミー・アレン「break」
ここまでに紹介した、サブリナ・カーペンター「マンチャイルド」、ROSÉ&Bruno Mars「APT.」、オリヴィア・ディーン「ソー・イージー(トゥ・フォール・イン・ラヴ)」にもソングライターとしてクレジットされている超売れっ子ヒットメイカー。過去にも、ハリー・スタイルズ『Harry's House』で第65回の「年間最優秀アルバム」、前回の第67回グラミー賞では女性ソングライターとしては初の「年間最優秀ソングライター(ノン・クラシック)賞」の栄光に輝きました。名実共に2020年代を代表するトップ・ソングライターとしての地位を確立し、今回のグラミーでも、果たして強者揃いの本部門での連覇を果たすのか、彼女が携わった音楽作品がいったい何部門を制するかが楽しみです。
▼エイミー・アレンの楽曲を聴くなら……(USEN MUSIC GUIDE)
Relaxing Pop for ワークスペース
特集「第68回グラミー賞のノミネート作品をピックアップ! 」いかがでしたか?授賞式を心待ちにしつつ、世界が注目する最先端の楽曲が楽しめるUSENを、店舗や商業施設の空間演出に役立ててください。
(おわり)
文/三浦祐司(USEN)

三浦祐司(みうら ゆうじ)PROFILE
株式会社USEN 編成部所属。各チャンネルにて選曲、ディレクションを担当。若い頃は自身が生まれる前の時代の音楽にどっぷりで、グラミーの歴史も後追いながらチェック済み。70年代中盤のスティーヴィーの無双期などを初めて知った時は「リアルタイムではどんな空気だったんだろう?」などの妄想も楽しんだり。今は今で、1年の風物詩のように楽しむのがルーティン化しつつ、チェック漏れ盤を知る機会として重宝しています。昨年(67回)のアルバム賞を勝ち取ったビヨンセは、盤の内容含め、感動しました。
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