いい歌でありさえすれば必ずヒットする。

これが歌の本来あるべき姿です。しかし、現実は強力なタイアップが付いていなければ売れない時代です。いかがなものか?と思います。この風潮に私はあえてアンチテーゼを投げかけたい。いい歌は売れるべきだし、たくさんの人たちに聴いてもらいたい。そんな“音楽愛”が私のポリシーです。

 「こんないい歌、聴かなきゃ損!」

音楽評論家の富澤一誠です。いい歌、いいアーティストを見つけて紹介するのが私の仕事です。「演歌・歌謡曲」でもない。「Jポップ」でもない。良質な大人の歌を「Age Free Music」と名づけて私は推奨していますが、今回ご紹介する「Age Free Music」アーティストは平松愛理さんです。

平松さんの歌は私たちの現実を超えています。歌が現実を超えているからこそ、私たちはその歌にリアリティーを感じるのだし、共感を覚えるのではないでしょうか?
ということで、今回のゲストは平松愛理さんです。

この〈音声版〉を聴く前にぜひ読んでおいていただきたい私のコラムがあります。

それは「部屋とYシャツと私」が大ヒットとなる背景です。コンパクトにまとめた平松ストーリーを知ってからこの〈音声版〉をお聴きいただいた方がより理解度が深まると思います。

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★部屋とYシャツと私/平松愛理

 結婚式で歌われる曲には微笑ましいものからちょっと毒のあるものまで、いろいろな楽曲が登場します。新郎側からの毒のある曲の代表格といえば、さだまさしの「関白宣言」ですが、新婦側のそれとして挙げられるのが、平松愛理の「部屋とYシャツと私」です。どちらもドキッとさせる内容ながら、その愛情に溢れた表現がたくさんの共感を集め、大ヒットを記録しました。
「部屋とYシャツと私」を歌った平松愛理は一九八九年にアルバム『TREASURE』とシングル「青春のアルバム」でデビューを飾ったシンガー・ソングライターです。「部屋とYシャツと私」はデビュー3年目に生まれた記念すべきヒット曲となったのですが、彼女の場合、デビューまでの道程がけっして順風満帆だったわけではありません。

 一九八〇年に女友達と結成したWIPE OUTというバンドが、彼女にとってポップ・ミュージックへの第一歩となるわけですが、このバンドは朝日放送のフレッシュサウンズ・コンテストやヤマハ・ライト・ミュージック・コンテスト、ポプコンなどの地区大会で優秀な成績を残し、八四年には地元の関西以外に東京でのライブもスタート、翌八五年にはライブツアーを行うまでに成長を遂げます。

 しかし、八六年に平松は突如としてこのバンドを脱退してしまいます。自身のバンドを結成しますが、それは再び関西中心のライブ活動からスタートすることを意味していました。WIPE OUTの結成からすでに6年という歳月が流れていました。
「何が何でも音楽をやっていくんだ」

 という思いに駆られた平松は、上京する決心を固めます。いつまでも関西に腰を据えたままではデビューできないという焦りにも似た決断は、企画盤へのレコーディング参加という形を経て、八九年に実を結ぶこととなります。

 しかし、デビュー後の世界も甘いものではありませんでした。大物女性シンガー・ソングライターのデビューという前評判とは裏腹に、実績が伴わない日々が続き、大胆な方向転換がなされます。そんな中で制作されたサード・アルバム『MY DEAR』が話題となりヒット・チャートを席捲。ところが、ここで芽生えた彼女の幸運はこれで終わりませんでした。アルバムの中に収められていた、自称“オンナ版関白宣言”の面白さが口コミで広がり、有線チャートを上昇し始めたのです。その勢いにレコード会社も慌ててシングルカットを決定。アルバム発売から16カ月後のシングル発売となったのです。

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<音声版>富澤一誠のこんないい歌、聴かなきゃ損! 第37回 平松愛理さん

平松愛理DVD発売記念 35th Live ~ ERI & WANDERLAST

今年2月2日に開催された「平松愛理 35th Anniversary Project Live 〜ERI & WANDERLAST 60 Party〜」が、DVDとなって甦ります!あの感動をもう一度お楽しみください。そして発売記念として、2025年10月19日(日)日本橋三井ホールにて "ERI & WANDERLAST" はまたしても再集結!チケット即日完売により入手困難だった2月2日の公演の再演が決定しました。

2月2日のFCジャンケン大会で選曲権を勝ち取った方のリクエスト曲を歌います。
当日はDVD先行販売もありますのでお楽しみに(DVD一般発売日は11月中旬)

皆さんのお越しをお待ちしております!

[ERI & WANDERLAST]
平松愛理がアマチュア時代 "いつかプロになったらまた東京で会おう" と約束した幻のバンド
Vo.平松愛理/Key.森俊之/Gt.古川昌義/Dr.山下政人
*Guest Programming & Keyboard ジミー岩崎

2025年10月19日(日)
開場16:15/開演17:00
会場:日本橋三井ホール
料金:S席8,500円、A席6,000円、B席4,000円、高校生以下1,000円
※税込み/全席指定/別途1ドリンク代
主催:TOKYO FM
企画制作:ひらまつ堂/キャピタルヴィレッジ

詳細はこちら

富澤一誠プロデュース「フォーエバーヤングミュージック&トーク・ライブ vol.11 平松愛理」

2025年9月14日(日)

開場16:00/開演16:30

会場:須坂市文化会館メセナホール 小ホール


料金:前売4,500円/当日5,000円(税込)
全席指定
※メセナフレンズは500円引き


出演:平松愛理/富澤一誠(ナビゲーター・プロデューサー) 


主催:(一財)須坂市文化振興事業団
制作:キャピタルヴィレッジ

詳細はこちら

配信リリース 「平松愛理 35th Self Selection Notes」

2024年にデビュー35周年を迎えた平松愛理。
ポニーキャニオンからリリースされた楽曲に、2021年に配信リリースされた3曲を加えた全15曲を収録した35周年アニバーサリーアルバムを12月25日(水)に配信リリース!


タイトルは、『平松愛理 35th Self Selection Notes』 


ブライダルソングとして今もなお歌い継がれている「部屋とYシャツと私」をはじめ、アルバム収録曲やカップリング曲、さらに新しい楽曲を加えた、平松愛理本人がセレクトした名曲たちを収録した、これまでのベストとは一味違う作品を楽しんでもらいたいです。


[収録曲]

1. あの日の忘れ物
2. 君にしとけば良かったなんて
3. 素敵なルネッサンス
4. BLUE MOON
5. 愛をあげたい
6. ピラフになりたい
7. Roseの花束
8. 部屋とYシャツと私  ※Album「MY DEAR」収録ver.
9. 白夜
10. 転ばぬ先の闇
11. Single is Best!?
12. Miss Very well
13. 悲しくて悲しすぎて
14. 追伸
15. 戻れない道

各種配信先はこちら

富澤一誠

1951年、長野県須坂市生まれ。70年、東大文Ⅲ入学。71年、在学中に音楽雑誌への投稿を機に音楽評論家として活動開始し、Jポップ専門の評論家として53年のキャリアをもつ。レコード大賞審査員、同アルバム賞委員長、同常任実行委員、日本作詩大賞審査委員長を歴任し、現在日本レコード大賞審査委員長。また尚美学園大学名誉教授&客員教授なども務めている。「わかり易いキャッチコピーを駆使して音楽を語る音楽評論家」としてラジオ・パーソナリティー、テレビ・コメンテーターとしても活躍中。現在FM NACK5〈Age Free Music !〉(毎週木曜日24時から25時オンエア)、Inter FM〈富澤一誠のAge Free Music~大人の音楽〉(毎月最終月曜日20時から21時オンエア)パーソナリティー。BS日テレ〈そのとき、歌は流れた〉(毎月第2・第3水曜日20時から22時オンエア)コメンテーター。また「松山千春・さすらいの青春」「さだまさし・終りなき夢」「俺の井上陽水」「フォーク名曲事典300曲」「『こころの旅』を歌いながら」「私の青春四小節~音楽を熱く語る!」など著書多数。

俺が言う!by富澤一誠

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