──7月7日に発売された配信シングル「With you」は、改めてどんな作品に仕上がったと思いますか?

「今までのcluppoになかったような、それ以前に今まで私がやってきたことのなかったような楽曲で、新しい一面をまた見せることができる曲になったなってと思いますっぽ」

──この「With you」は、TVアニメ「咲う アルスノトリア すんっ!」のエンディングテーマです。

「お話をいただいてから、アニメの制作側の方たちとリモートでお話させていただきまして、“今までのcluppoさんにないような楽曲にしてほしい”という要望をいただいたんですっぽ。そこからいつもcluppoの楽曲を作ってくださっているCrowさんたちに、アニメ製作側のみなさんのご意見を伝えて、作っていただきましたっぽ。歌詞に関しては、“アニメの要素を取り入れてほしい”とのことだったので、TVアニメの原作であるゲームをやってみることにしましたっぽ。そうしたら、かわいらしい感じのキャラクターだったので、かわいい子たちが頑張る!みたいなお話なのかなって思っていたんですけど、実際にゲームをやってみたら結構ギャップがすごくて。最初のオープニングから闇要素があったりしていて、明るいだけじゃない、ちょっと哀愁のある切ない感じもあるんだなと知ったので、その部分は意識して書こうと思いましたっぽ」

──しっかりと作品の世界観を取り込みつつも、ゲームやアニメを知らない方も共感できるような歌詞になっていますね。

「BAND-MAIDでも歌詞を書いているので、共通して大事にしているところではあるんですけど、ターゲットを絞って書いた歌詞だからこそ響くものっていうのもいっぱいあるとは思うんですけど、私が歌詞を書く時にはあまり限定的なものにしないで、そうじゃない人たちもそれぞれに置き換えて聴けるようなものにしたいなと思っていますっぽ」

──普遍性であったり、共感であったり?

「そうですっぽね。どこかしらにちょっと共感だったり、いいなって思ってもらえる部分があったらいいなという気持ちで書いてますっぽ」

──BAND-MAIDとcluppoとどちらも歌詞を書いていますが、書き分けと言いますか、ご自身の中で意識していることはありますか?

「バンドの時はやっぱりSAIKIが歌っているイメージっていうのを主に考えているので。私とSAIKIは違うので、言葉尻だったり雰囲気の強さだったりというところは結構変わってくるなと思いますっぽ。BAND-MAIDでも私個人のソロ曲があったりしますけど、それともまたちょっと違うかなって。バンドの方は“征服してやる”っていう意思強めの女の子で(笑)、恋愛にしてもちょっとこじらせていて一筋縄じゃいかない感じのイメージで書いていますっぽ。どちらの方も自分のことを思いっきり書いているわけではないんですけど、バンドの方はストーリーから膨らませたり、特定の女性像をイメージして作ったりすることが多くて、cluppoの方はより自分の言葉や自分のクセが出ていると思うので、若干恥ずかしいですっぽね(笑)」

──cluppoさんの方が素の部分が出ているということですね。

「そうですね。絶対に見せてこなかったところが、たまにちらっと見えてくるところがありますっぽ。私としてはそれが恥ずかしかったりしますっぽ(笑)」

──今作は曲調も歌詞もそうですが、歌い方も今までとはまったく違っているように思いました。

「まったく違いましたっぽね。最初の打ち合わせの段階で、“歌い方やメロディも今までにない、ちょっと語りかけるような感じもほしい”っていうふうに言われていたので、優しい楽曲に合った歌い方にしたいなと思って、AメロやBメロはなるべく息で歌うみたいなことを意識して歌いました。今回ミュージックビデオでも一切ギターも持たずにっていう感じだったので、今まで聴いてくださっていた方たちもびっくりされるんじゃないかなと思いましたっぽ」

──とても新鮮でした。昨年の4月から約1年間、ソロ活動をやってきて気づいたことや変化したことはありますか?

「やっぱりメンバーの大切さをソロ活動をやることによって再確認できたなって思いますっぽ。一人だとやっぱりいろんなことが寂しいなって思いますっぽね。今回のミュージックビデオを撮った時、すごく寒かったんですけど、そういう過酷な状況でも、メンバーとわちゃわちゃしていたら意外と平気だったりするんですっぽ。でも、今回の撮影は一人だったから本当に辛かったですっぽ。改めてメンバーの大切さとか心強さを実感しましたっぽ。また、BAND-MAIDでは出来なかったような楽曲をcluppoでは歌っているので、作詞の部分だったり、歌い方だったり、自分の幅というものが広がったような気がしますっぽ。面白いことに、最近SAIKIのモノマネがうまくなったって言われるようになったんですっぽ(笑)。BAND-MAIDのレコーディングの時にハモったりするから、歌い方のニュアンスをあえて似せて歌ったりするんですけど、ソロをやったことによってよりSAIKIの歌い方のクセだったりが分かりやすくなった気がしてますっぽ。ソロをやったことが、バンドの表現向上にも繋がってるかなって思いますっぽ」

──それは理想的な活動が出来ていますね。

「そうですね。もともとそのためにというか、バンドにその成長を持っていけたらと思ってソロをやり始めたので、いい影響になっているなとは思いますっぽ」

──cluppoさんの次の展開は何か決まっているのでしょうか?

「今回はこのTVアニメのタイアップがあって、ちょうど3月以降バンドの方が空いている期間に制作が出来たんですが、10月からはBAND-MAIDのアメリカツアーが始まったり、その前には日本でのPRE US OKYUJIがあってBAND-MAIDの方に本腰を入れてやっていくので、今のところcluppoでの先の活動予定はないですが、またちょっとふっと空いたらcluppoもうまくやっていけたらいいなと思いますっぽ」

──そしてcluppoさんにレコチョク×USENの店舗用BGMアプリ「OTORAKU -音・楽-」で、オリジナルプレイリストを作成していただきました。テーマは「空間の音楽 by cluppo~涼しさを届けるサマー・ポップ~」ですが、どんなふうに選曲されましたか?

「私の趣味を詰め込みましたっぽ(笑)。今までもBAND-MAIDの小鳩ミクとしてプレイリストを作ったり、“ドライブに合う曲”というテーマで出したことはあるんですけど、BAND-MAIDとしての小鳩ミクだと絶対に選ばないプレイリストだと思いますっぽね。BAND-MAIDはハードロックなので、涼しさというより熱くなりすぎちゃうんですっぽ(笑)。今回は私の好みというか、普段から家でも聴いているような曲や懐かしい曲かも入れつつ作りましたっぽ。あと、全体的に空とか青とか、そういうイメージが出来るような曲を選んだ感じはありますっぽね」

──このプレイリストはどんなロケーションでかかっているイメージですか?

「お店でかかっているイメージですっぽ。大きなコーヒーショップではなく、個人経営のちょっと小さめの喫茶店というか……レモネードとかコーヒーが売っているようなところでかかったらテンションが上がるような感じにしたいなと思って考えましたっぽ」

──この曲順には何かストーリーがありますか?

「朝から夕方にかけてのイメージで。1曲目、2曲目のcluppoの辺りは、まだ仕込みをしている頃だなと思って(笑)。お店が開店する前のイメージですっぽ。朝はやっぱり眠いので、ちょっと元気が上がるような曲の方が店員さんもハッピーになれるじゃないですか。で、3曲目の「A Perfect Sky」で開店ですっぽ。この辺りは全部明るい感じですっぽね。3曲目以降は爽やかさとか青春っぽさがあるかな……ケツメイシの「夏の思い出」は学生時代にめちゃくちゃ聴いたんですっぽ。お友達とドライブしたり、昼間なのに花火をしてたなとか、当時を思い出しますっぽ」

──そしてランチタイムの忙しい時間帯が終わって……

「その頃は椎名林檎さんの「カプチーノ」ですっぽ。椎名林檎さんは私が歌手になりたいって思い始めた頃から尊敬していて、影響を受けたアーティストさんなので入れましたっぽ。「カプチーノ」は大好きな曲で、普段からよく聴いているんですっぽ。ランチタイムを終えてカフェタイムになって、ゆっくりカプチーノを飲む時間だなと思ってここに入れましたっぽ。それぐらいの時間帯だったら「スーパースター」とか「ふわふわ」とか、ちょっと緩やかな曲がいいなと思ったり。あと、ツユさんも前から好きなんですけど、TikTokでバズったりしているので、若い子が多い時間帯にツユさんの曲が流れたら、“あ!知ってる!”ってなるんじゃないかなと思って。で、知ってる!って言った後に、知らないcluppoが流れてきても聴いてくれるんじゃないかなっていう戦略も入っていますっぽ(笑)。Leolaちゃんも同じ熊本出身で仲が良くて、夏の爽やかな感じにぴったりだなと思うので入れましたっぽ。そのLeolaちゃんを海外の人に当てはめたらテイラー・スウィフトだなと思ったので、次にテイラー・スウィフトを入れましたっぽ」

──そこはセットなんですね(笑)。そしてだんだん陽が落ちてくる。

「夕方になっていってちょっと気分も落ちるけど、夏の爽やかな感じだったり、哀愁だったり、夏のちょっとじめっとした感じが、匂いでわかったりする時があるじゃないですか。梅雨は明けたんだけど、カラッとしてない夜の匂いとかが私は好きなので、この曲と一緒にお散歩したらちょっと気持ちいいだろうなって思うような選曲にしましたっぽ。最後は一番夜っぽいなと思って「With you」を入れましたっぽ。開店から閉店まで、楽しく働けるBGMだろうなと思いますっぽ。ぜひ使っていただけたらうれしいですっぽ」

──ふだん、cluppoさんは家で過ごす時間や移動中に音楽を聴きますか?

「常にずっと流してることが多いですっぽ。バンドももちろん聴きますし、メタル系も勉強がてら聴きますし、アニソンもめちゃくちゃ聴きますっぽ。なので本当に幅広いと思いますっぽ。あとはTikTokで流行ってる曲も結構好きで、最近めちゃくちゃいろいろ聴きましたっぽ」

──お店に入った時にBGMが気になったり?

「結構気にしますっぽ。お店で聴いていて、この歌詞いいなって思ったら、歌詞を急いで書き留めて調べたりしますっぽ。今はそういうアプリもあるみたいですけど、誰かと話してる時にそれで調べたりしていたら失礼じゃないですか(笑)。だから、話しながらこっそり書き留めたりしてますっぽ」

(おわり)

取材・文/大窪由香
写真/平野哲郎



 レコチョク×USEN「OTORAKU -音・楽-」SPECIAL バックナンバー 

2022.07.14 三浦風雅『君が君でいられるように』インタビュー――泣くのはまだ早い
2022.02.24 三浦風雅「未来話」インタビュー――自分ってなんなんだろう?
2022.01.11 ヒグチアイ「悪魔の子」インタビュー――自分を豊かにすること
2021.12.27 木下百花「悪い友達」インタビュー――好きな音楽と向き合って
2021.12.23 Non Stop Rabbit『TRINITY』インタビュー――三位一体が最強である!
2021.11.17 GARNiDELiA『Duality Code』インタビュー――もっと近くで歌っている感じ
2021.11.17 安藤裕子『Kongtong Recordings』インタビュー――まるでミュージカルのように
2021.08.04 鬼頭明里『Kaleidoscope』インタビュー――歌いこなせるとすごく気持ちいい
2021.05.26 flumpool「ディスタンス」インタビュー――一人は楽だけど、それはそれで寂しい


PLAY LIST空間の音楽 by cluppo~涼しさを届けるサマー・ポップ ~

「With You」にも通じる「心地よいテンポ感と清涼感」を意識して、“熱い夏の季節に、明るく、涼しい雰囲気になるようなBGM”をセレクトしましたっぽ!

1.cluppo「PEACE&LOVE」
2.cluppo「POGO!」
3.BONNIE PINK「A Perfect Sky」
4.ワンダイレクション「Live While We're Young」
5.Mrs. Green Apple「青と夏」
6.ケツメイシ「夏の思い出」
7. cluppo「voice」
8. ピットブル「Timber(Feat.Ke$ha)」
9. 椎名林檎「カプチーノ」
10. ツユ「風薫る空の下」
11. cluppo「スーパースター」
12. cluppo「ふわふわ」
13. Leola「Let it fly」
14. テイラー・スウィフト「We Are Never Ever Getting Back Together」
15. Shawn Mendes, Camila Cabello「Se?orita 」
16. PANIC! AT THE DISCO「High Hopes」
17. 椎名林檎「長く短い祭」
18. BAND-MAID「カタルシス」
19. cluppo「Flapping Wings」
20. llie「aimai」
21. cluppo「With you」

キュレータープレイリスト(OTORAKU -音・楽-)

レコチョク「レコログ」インタビュー BAND-MAIDを作り出した小鳩ミクのソロプロジェクト・cluppoの最新作「With you」に込められた想いと今後挑戦したいこととは?

レコログ

LIVE INFO

■BAND-MAID TOKYO GARDEN THEATER OKYUJI
2023年1月9日(月)@東京ガーデンシアター

■BAND-MAID US TOUR 2022
10月9日(日)AFTERSHOCK FES(SACRAMENTO, CA)
10月12日(水)NEPTUNE(SEATTLE, WA)
10月14日(金)AUGUST HALL(SAN FRANCISCO, CA)
10月15日(土)BELASCO(LOS ANGELES, CA)
10月17日(月)HOUSE OF BLUES(SAN DIEGO, CA)
10月19日(水)CRESCENT BALLROOM(PHOENIX, AZ)
10月21日(金)HOUSE OF BLUES(DALLAS, TX)
10月22日(土)HOUSE OF BLUES(HOUSTON, TX)
10月25日(火)THE FILLMORE(WASHINGTON, DC)
10月26日(水)TLA(PHILADELPHIA, PA)
10月28日(金)IRVING PLAZA(NEW YORK, NY)
10月29日(土)PARADISE ROCK CLUB(BOSTON, MA)
10月30日(日)AMERICAN DREAM(EAST RUTHERFORD, NJ)
11月1日(火)HOUSE OF BLUES(CHICAGO, IL)

MEDIA INFO「咲う アルスノトリア すんっ!」

2022年7月6日(水)よりTOKYO MX、BS日テレにて放送
ⒸSmile of the Arsnotoria the Animation Partners

「咲う アルスノトリア すんっ!」

DISC INFOcluppo「With you」

2022年7月7日(木)配信
ポニーキャニオン

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