──今年8月に加入した有馬さん参加の初シングル「Freely/FLAVOR OF BLUE」が完成しましたが、まずは新メンバーとして加入した有馬さんから見たPassCodeの印象は?
有馬えみり「加入から初ライブまで1ヵ月ぐらいしかなかったので、急ピッチで練習して、ひたすら目の前のことに集中していました。なので、“PassCodeって、こうやな”って考える時間は、正直あまりなかったです。でも、ライブをしてあらためて思いましたけど、やっぱり楽曲がかっこいいし、ここまで楽しく活動できていると思っています」
──加入する前と、加入後の印象に違いはありましたか?
有馬「そんなに違わなかったです。ふだんはアイドルの曲はあまり聴かないんですけど、PassCodeは聴いていたし、MVも見ていたので。そのMVに出ていた人たちが目の前におるって経験は人生で初めてでしたけど、MVで見ていた印象とリアルが同じで良かったです(笑)」
──有馬さんが加入したことで、グループに変化はありましたか?
高嶋 楓「ライブ終わりとか、今まではここがダメだったとか、反省点を話すことが多かったんです。でも、えみりちゃんは自分のいいところを見つけるのが得意で。今日のライブはここが良かったとか、あのシャウトが良かったとか自分から言うので、その影響を受けてえみりちゃん以外の私たち3人も、自分のことをポジティブに捉えるようになりました。その変化は、すごくありがたいなあって思います」
──有馬さんは、物事をポジティブに捉えるタイプなんですか?
有馬「ポジティブに捉えるというより、事実をそのまま受け止めるというか。事実が良かったから、良かったって言ってます!」
南 菜生「良かったとしても、それを素直に口にする人って、意外と少ないじゃないですか。でも、えみりは言葉にするんです。それが、すごくいいなって」
──有馬さんには、他にどんな印象を持っていますか?
南「シャウトしている姿しか知らなかったので、最初は怖い感じの人なのかなというイメージがあったんです(笑)。でも、話してみると同じ関西出身ということもあって、わりとメンバーのみんなと同じ雰囲気を持っているなと感じました。そこが予想外でしたね。関西出身にこだわって決めたわけじゃないし、関西出身でもいろんなタイプがいますけど、テンション感が同じで良かったなと思います」
大上陽奈子「私も、SNSの動画とかでゴリゴリのシャウトを見ていたし、服装もロックな感じが多かったりしたので、ハードな性格かなと思っていました。だから、もしも馴染めなかったらどうしようって。でも、話してみたら喋り方もほんわかした感じで、イメージよりも女の子な感じだけどさっぱりしてて。いっしょに練習していくうちにどんどん馴染んできました。何より、PassCodeの曲が好きっていうのが、こんなに早く馴染んだ理由だと思うんですけど」
有馬「怖い人かもって思われていたのが、すごくびっくりです。自分では、自分の顔は善人顔やなと思っていて、それがけっこう悩みやったんで。メタル系の音楽をやるんやったら、強くてクールなツンとした女性の方がいいじゃないですか。そう考えると、怖いと思ってもらってて良かったんですけど」
南「自分のこと、善人顔で悩んでんのも不思議や(笑)」
──新体制のいい雰囲気が伝わってきます。そんな4人の新体制初シングル「Freely/FLAVOR OF BLUE」は、PassCodeらしいハードさとかっこよさがありますが、ご本人的な推しポイントは?
南「えみりは初めてのレコーディングやったけど、いちばん良かったなと思うシャウトはどこなん?」
有馬「うーん……「FLAVOR OF BLUE」のAメロっていうか、最初に畳み掛けるところの発音のコントロールがバッチリでした」
南「バッチリやったんや(笑)」
有馬「最高でしたね!」
南「お気に入りのポイントは?」
有馬「私は、「FLAVOR OF BLUE」のサビのメロディーが好きです。めっちゃシャウトで畳み掛けるやんって思った瞬間の、あのメロディアスな展開。急に切なくなる展開が、すごいなって思います。自分たちの曲やけど、“ドラマ性あるやん!”って(笑)」
高嶋「私は「Freely」の最後のサビが好き。メンバーが一人ずつ歌ってシャウトして、勢い良く畳み掛けるパートだけど、歌詞も相まってこれからのPassCodeのことを歌っているなって。「→『FLAVOR OF BLUE」→』は、声を震わせたりしているお経っぽいパートがあるんですけど、そこがポイントだなと思う。あのクセがすごく強いパートがあるからこそ、音楽的に変態チックで面白い曲になっているなって。そのパートは、めちゃめちゃ好き!」
南「私が好きなのは、「Freely」のサビ前のパートかなあ。レコーディングしたときの息継ぎが全部入っていて、ライブ感が感じられて聴いていても気持ちいいし、あの息継ぎによって私たちの感情も伝わるんじゃないかなと思います。人によってはああいう息継ぎを全部消したりするんですけど、プロデューサーの平地孝次さんがあえて人間味を残してくれたのかなって」
大上「「Freely」のラスサビの最後に、高嶋の<はい>っていうパートがあるんですけど、そこで遊び心が入ってくるんやってところがPassCodeらしくて好きですね。サビは全員で歌っているんですけど、そのあとに疲れているのに頑張ってるって感じで<はい>って言うんです(笑)。それがすごくいいし、ライブでも注目してもらいたいですね」
高嶋「そこまでがけっこう盛り上がる感じで曲が進んでいたので、最初はその盛り上がった感じの<はい>にしたら、平地さんから“そうじゃなくて、もっと真面目で落ち着いたトーンの<はい>のイメージで”と言われて。盛り上がった展開から続くパートなのでむずかしかったんですけど、頑張りました。感情を押し殺して(笑)」
有馬「7年間シャウトやってきたんですけど、「Freely」は今まで出会ったことのないボーカルラインというか、シャウトボーカルというよりはビビビッビッビとかギギギッギッギって感じで、歌というよりは音、パーカッションやギターリフみたいに使われている楽曲なんです。それが新鮮で、すごくいいと思います」
──新体制になって、音楽的に変化した部分はありますか?
南「今回のシングルは、えみりが加入する前に作られた曲なので、大きい変化は次の作品から出てくるのかもしれないです。でも、メンバーが変わればグループは変わるし、同じシャウトでも(前メンバーの今田)夢菜とは当然違うので、今回のシングルでも以前からのファンの方には変化を感じ取ってもらえると思います。えみりが加入する前の曲では夢菜が担当していたパートを引き継いでもらっているけど、夢菜をなぞることをせずに自分らしく、えみりの7年間のシャウト経験を思う存分に発揮してほしいです。最近のライブ映像を見ると、えみりが加入したことで元からいた私たち3人も変化してきているなと感じます。そう感じることで、えみりが加入して私たち3人も成長する時期になっているんだなって思いますね」
大上「えみりに振り付けを教えることで、自分たち3人も初心に返れるし、あらためてPassCodeの原点を認識できるんです。そういう変化は、あるなって思います。でも、精神年齢はみんなずっと変わってない気がしますね(笑)。だからこそ、いっしょにいて居心地がいいんですけど」
南「精神年齢、成長せんでいいのかなー(笑)」
──でも、ハードでラウドな楽曲とメンバーのほんわかした感じのギャップは、PassCodeの大きな魅力だと思います。
大上「なんか、かっちりしてないんですよね(笑)。そこは、ずっと変わってないです」
──有馬さんは、これからPassCodeにおいてどんな存在になっていきたいですか?
有馬「PassCodeみたいにこんなにシャウトが入っている音楽って、街で当たり前に流れる音楽ではないんですね。でも、PassCodeはアイドルって言ってもらえることもあるようなグループだし、こんなに激しい音楽って思わせずに、ふだんはそんなに激しくて重たい音楽を聴かない人の耳にも、私たちの楽曲を自然に届けることができたら、私はうれしいです。そのためにも、アンダーグラウンドなシャウトという技術をナチュラルに届ける存在になりたいですね」
──有馬さんのデスボイスは、かなり喉への負担が大きい印象を受けます。ふだんは、どんな喉のケアをしているんですか?
有馬「ライブとかがある日は、朝から吸入器で喉を潤して、マヌカハニーを紅茶にたっぷり入れて飲んだり、のど飴を舐めたり」
南「ライブの前に、フライドチキンを食べてたよね。バンドのボーカルの人が、“ライブの前はツナ缶を食べて油で喉を潤します”って言ってたりするのは知ってたんですよ。でも、そんな人は見たことなかった。そしたら、えみりがライブ前にフライドチキンを食べてて、“いた!フライドチキンを食べて、油で喉を潤してる人が!”って(笑)」
──ユニークすぎます(笑)。ところで来年の2月21日には、日本武道館ライブが決まっています。
南「武道館だからって、特別な意識はないです。今までも一本一本のライブを大事にして、その積み重ねで前に進んできたので、武道館に対しても今やっている活動がその日につながっていくっていう、その気持ちが強いですね」
──その武道館ライブからスタートする2022年は、どんな1年にしたいですか?
高嶋「PassCodeというグループを長く続けていきたいので、まずは武道館ライブを成功させて、もっとたくさんの人に好きになってもらうことで、その先が広がっていく1年にしたいです。それができれば、PassCodeはずっと続くグループになれると思うので!」
南「武道館を成功させて、この4人ならもっと大きな舞台に立てるって思わせるパフォーマンスをしていく1年にしたいと思います」
有馬「まだダンスとかはメンバーに助けてもらいながらやっている部分が多いので、シャウト以外の面でも早くグループに還元できるような存在になりたいですね」
大上「コロナ禍でなかなか思うようにライブができない状況が続いていたんですけど、今年のツアーを発表したらファンの方たちが想像していた以上にすごく喜んでくれたんですね。だから、もっともっとライブをする1年にしたいですね。特に、まだ行ったことのないところでライブをして、私たちを待っていてくれる人たちに会いに行く年にしたいです!」
(おわり)
取材・文/大久保和則
写真/中村 功
USEN「C-43 MUSIC&TALK WAGON ~音バナ~」音ナ図鑑~第2巻~
11月15日(月)~11月21日(日)のパーソナリティはPassCode!
LIVE INFO
■PassCode Zepp Tour 2021(イープラス)
2022年11月25日(木)Zepp Nagoya(愛知)
■PassCode VERSUS PASSCODE 2021(イープラス)
2021年11月19日(金)フェニーチェ堺(大阪)
┗ ゲスト/THE ORAL CIGARETTES
2021年11月28日(日)パシフィコ横浜国立大ホール(神奈川)
┗ ゲスト/MY FIRST STORY
■PassCode“STRIVE”for BUDOKAN Tour 2021 FINAL(イープラス)
2021年12月16日(木)Zepp DiverCity(東京)
■PassCode NIPPON BUDOKAN 2022(イープラス)
2022年2月12日(土)日本武道館(東京)
BOOK INFO
『LLYL』
2021年11月10日(水)発売
写真集/4,950円(税込)
ユニバーサルミュージック刊
フォトグラファー、MELONによる撮りおろしフォト、直筆Q&A、ロングインタビューからなる前76ページの写真集。タイトルの『LLYL(エルエルワイエル)』は、ボブ・マーリーの名言、Love the life you live, Live the life you love.(自分の人生を愛し、愛することができる人生を生きろ)から。ファッション誌『NYLON JAPAN』プロデュース。
DISC INFO
PassCode「Freely/FLAVOR OF BLUE」
2021年11月10日(水)発売
初回限定盤(CD+DVD)/UICZ-9182/1,980円(税込)