──2月23日にリリースするメジャー4thデジタルシングル「未来話」は、2021年12月リリースの「世界中にメリークリスマス」、2022年1月の「CANVAS」に続く三ヵ月連続配信の第三弾となります。まず三ヵ月連続リリースに至った経緯を教えてください。

「2021年7月の「Start」でメジャーデビューしてから目まぐるしく環境が変わって、ちょっと自分自身がついていけない時期があったんですよ。これはどういうふうにやってければいいんだろう?って自分なりに考えてはいたんですけど、なかなか追いつかなくて。スピード感もやっぱり違ったので、自分の気持ちを追いつかせるのに必死で必死で。"あー、自分ってなんなんだろう?"みたいなことを結構早い段階で思っちゃったんですよ。なので、本当はもう少し前に出す予定の曲もあったんですけど、自分自身がちゃんと整った状態になった段階で曲を出そうということで、三ヵ月連続リリースという形になりました。その時に"自分らしさ"ってなんなんだろうなって思ったことを、そのまま歌詞にしたのが「CANVAS」なんです」

──「CANVAS」で想いを吐き出して作品にしたことで、混沌から抜け出せたのでしょうか?

「それが結構大きかったかもしれないですね。より自分のことを理解しながら、もう一度向き合いながら作詞したので、それがよかったのかなと思います」

──前後しますが、「世界中にメリークリスマス」はご自身初のクリスマスソングですか?

「そうですね。メジャーデビューする前もクリスマスソングは作ったことがなかったんですよ。そもそも僕、あんまりクリスマスにいい思い出がなくて(笑)。だからクリスマスに着目してこなかったんですけど、年齢を重ねると、イルミネーションっていいなとか、クリスマスが近づくと街の雰囲気がいいなとか、そういうことを感じられるようになったので、感情を入れながら気持ちよく歌わせていただきました」

──そして第三弾の「未来話」がリリースになりますが、この曲を初めて聴かれた時の印象を聞かせてください。

「僕は今まで明るい曲を出してきたんですけど、どこかでバラードというか、ゆったりとした、語りかけるような曲をやりたいと思っていたんです。そのタイミングでこの楽曲を聴かせていただいたので、ぜひ歌わせてくださいとお伝えしました。最初に聴いた時は、ハッピーなラブソングなのかなと思ったんですけど、いろいろと紐解いていくと、ハッピーだけじゃなくて儚さもあるような気がしてきて。この二人は、今はもう一緒にいなくて、離れているけど相手のことを強く思い続けているような、そんな感覚になったんですよ」

──確かに"夢みたいで"という言葉もありますし、どちらとも受け取れる表現がありますね。

「そうなんですよ。受け取り方は聴いた人によってそれぞれだと思うので、それを楽しんでいただければと思いますが、解釈の変化で歌い方も変えたんですね。最後の<好きだよ>という部分も、最初は結構明るい感じで歌っていたんですよ。だけど、相手のことを遠くで思っているっていう解釈をした時に、ニュアンスの違う<好きだよ>が僕の中から出てきて、そっちの方がしっくりときたんです。それで僕の中で解釈がすべて紐づいたので、最終的に儚さのあるイメージで歌わせていただきました」

──今作ではSNSで話題のピアニスト、菊池亮太さんとコラボレーションされたということですが、菊池さんとはもともと面識があったのですか?

「今回初めてお会いしました。この楽曲は生で音を録ってレコーディングしたいねっていう話になった時に、"こんな方がいるよ"って菊池さんの映像を見させていただいて、素晴らしいなと思って。ぜひ「未来話」の伴奏を弾いてもらいたいなと思って、紹介していただいたという感じです」

──菊池さんとのレコーディングはいかがでしたか?

「最初はデモに忠実に弾いていただいたんですけど、"もっと菊池さんらしく弾いちゃってください"って言うと、あったかいような感覚もありながら儚い感じもピアノの音色に出ていたので、すごいなあと思って。で、僕が歌うと、その歌に合わせて伴奏もちょっと変わっていったりして、わりとセッションに近いような感じで、すごく寄り添っていただきました」

──三浦さんにとって路上ライブはアーティストとしてのルーツであり、育った場所でもあると思いますが、今まで路上ライブをやってきて、印象深いエピソードはありますか?

「ほんとに自分の始まりはストリートだと思っていて、100人、200人、300人と路上ライブでお客さんを作ってきたので、僕にとって大事なところの一つです。一番印象深かったのは、2回目のワンマンライブを横浜のO-SITE――いまのYokohama mint hallですね――でやったんですけど、200人集める目標だったのに初動で30枚しかチケットが売れなくて、これはやばいぞ!ってなって(笑)。そこから路上ライブに対して、どうしたら初めての方が止まってくれるんだろう?ということをすごく考えるようになって。それからラスト2週間でチケット完売することができたんです。それは自分の中で路上ライブに対する想いややり方が変わったターニングポイントになりました」

──具体的にどんなふうに変えたんですか?

「その前のファーストワンマンの時は100人の方が来てくれたんですよ。そこでちょっと調子に乗っちゃったんでしょうね(笑)。路上ライブに対する態度が"俺の歌声を聴け"みたいなスタイルで、ちょっと自分に酔っちゃってるような感じだったんですよ。でも、それが違うなと思って。自分のライブに足を運んでもらうために、どうしたらいいんだろう?と思った時に、やっぱり自分の熱量を伝えることが一番大事だなと気がついて。それで、次のステップに行くために200人集めたいんだっていうことを、歌よりもトークの方が熱いんじゃないかなっていうくらいに(笑)、もう演説に近いんじゃないかっていうぐらい語って。看板も置いてるだけじゃなくて、ちゃんと手に持って"観てください。三浦風雅です"ってやるようになってから、ちょっとずつ人が集まってくれるようになったんです。そしてチケットが手売りで売れていって、無事に完売することができて。今でも路上ライブをやる時は、看板は手に持って"三浦風雅です、よろしくお願いします"って言って、終わったあとも"聴いてくださってありがとうございます"と、想いをちゃんと伝えるように心掛けています」

──謙虚な気持ちが伝わったんですね。今後やってみたいことや挑戦したいことはありますか?

「4月23日、SHIBUYA PLEASURE PLEASUREでワンマンライブが決まったので、それに向けてまた頑張らないとなと思っています。あとは早くコロナが収まってくれ、と。それこそ全国路上ライブをやってきたので、またいろんな場所に行けるツアーが組めたらいいなと思っています。アルバムも作れたらいいなと思っているので、今年1年でアルバムを出して、それを引っ提げたツアーがやれたらいいなと思います」

──そして三浦さんにレコチョク×USENの店舗用BGMアプリ「OTORAKU -音・楽-」で、オリジナルプレイリストを作成していただきました。今回、声に着目してプレイリストを作られたということですが。

「そうなんです。安らぐような声もあったり、心に突き刺すような力強い声があったり、ちょっと掠れていて儚さのある声もあったり、そういういろんな声を聴くのが好きで。なので、自分の好きな声を選ばせていただいたっていう感じです」

──ちなみに、ご自身の声は好きですか?

「好きは好きなんですけど、もうちょっと力強さが欲しいなと思ったりもします(笑)」

──このプレイリストの中で、たとえば三浦さんが影響を受けた楽曲はありますか?

「僕は、実は2、3年前まではあまり女性アーティストの歌を聴いてこなかったんですね。というのも、女性の歌声は自分じゃ真似できないじゃないですか。それで聴いてこなかったんですけど、今回6曲目に選んだ「ずっと、、、」は遥海っていうアーティストの曲で、音楽を通して僕が18の頃からの友人なんですよ。彼女の声を聴いた時に、初めて女性アーティストの凄さを知って、そこから女性ボーカルの楽曲をいろいろと聴くようになったんです。特に「ずっと、、、」は好きな曲なので選ばせていただきました。あと、9曲目のSUPER BEAVERの「your song」は、ボーカルの渋谷龍太さんの歌声が、自分の心に訴えかけてくるような、心を響かせるような歌声ですごいなと感じていて。特に「your song」という楽曲は、訴えかけつつもどこか寄り添ってくれるような、そういうあったかい声だなと思っていて。しかも曲の最後の方では自分の迷いや葛藤を伝えてくる。曲の中でいろいろと声の印象が変わるので、それがすごく好きで選ばせていただきました」

──プレイリストの最初と最後はご自身の曲をセレクトされましたね。

「1曲目はタイトル通り「Start」で。2曲目に「CANVAS」を入れたのは、自分の中で「Start」から繋がるようなストーリーがあるので、この2曲を続けて聴いてほしいなっていう想いがあったからです。最後の「誓い」はウエディングソングなんですけど、歌詞の中に<君を連れていくよ>という言葉があって、それは自分が目標としている夢だったり、ライブをしたい場所だったり、そういうところにファンの方達を連れていくよっていう想いもあって、この曲で締めくくりたいなと思いました」

──このプレイリストはどういうシチュエーションで聴いてほしいですか?

「僕がイメージしたのは、いろんな商業施設だったり、飲食店やカフェだったり、そういうところで心地いいなと思ってもらえる瞬間を作りたかったんです。僕自身、心地いいなと思える瞬間って、やっぱり自分の好みの声が聴こえてきた時なんですよ。たとえば明るい時間帯のカフェで、友達を待っている間にふと耳にする、みたいな。一人でいる時にスッと耳に入ってくるような楽曲を選んだので、そんな感じで聴いていただけたらいいなと思います」

(おわり)

取材・文/大窪由香
写真/野﨑慧嗣



 レコチョク×USEN「OTORAKU -音・楽-」SPECIAL バックナンバー 

2022.01.11 ヒグチアイ「悪魔の子」インタビュー――自分を豊かにすること
2021.12.27 木下百花「悪い友達」インタビュー――好きな音楽と向き合って
2021.12.23 Non Stop Rabbit『TRINITY』インタビュー――三位一体が最強である!
2021.11.17 GARNiDELiA『Duality Code』インタビュー――もっと近くで歌っている感じ
2021.11.17 安藤裕子『Kongtong Recordings』インタビュー――まるでミュージカルのように
2021.08.04 鬼頭明里『Kaleidoscope』インタビュー――歌いこなせるとすごく気持ちいい
2021.05.26 flumpool「ディスタンス」インタビュー――一人は楽だけど、それはそれで寂しい


PLAY LIST空間の音楽 by 三浦風雅 ~デイタイムの飲食店やカフェで聴こえてくる心地よい声~

ジャンル問わず心地いい声、力強声、柔らかい声、透き通る声、それぞれ違う声の中で色んな角度から心に響く楽曲を選びました。アーティストの持つ歌声がその人自身を表している。

1.三浦風雅「Start」
2.三浦風雅「CANVAS」
3.向井太一「Bravest」
4.Milet「inside you」
5.Nissy(西島隆弘)「君に触れた時から」
6.遥海「ずっと、、、」
7.eill 「片っぽ」
8.清水翔太「プロローグ(feat.Aimer)」
9.SUPER BEAVER「your song」
10.ReN「We’ll be fine(Acoustic Version)」
11.GeG&Hiplin「Grow Up」
12.SPiCYSOL「 あの街で」
13.平井大「もしも、僕がいなくても。」
14.村上佳佑「Somebody」
15.Blue Vintage「So Old,but Gold」
16.AI「アルデバラン」
17.SHE’S「Chained」
18.Mrs. GREEN APPLE「The are」
19.アンジェラ・アキ「始まりのバラード」
20.三浦風雅「誓い。」

キュレータープレイリスト(OTORAKU -音・楽-)

レコチョク「レコログ」インタビュー ストリートライブ、SNSで注目を集める三浦風雅、新曲「未来話」をリリース!3カ月連続リリースに込めた想いや彼の素顔に迫る(撮りおろしあり)

レコログ

DISC INFO三浦風雅「未来話」

2022年2月23日(水)配信
ポニーキャニオン

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関連リンク

LIVE INFOMIURA FUGA LIVE 「Call my name」~Oath episode4~

2022年4月23日(土)SHIBUYA PLEASURE PLEASURE(東京都)※2部制

F-LAND NEO

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