――ニューアルバム『ANSWER...』は、前作『Who Are You?』での問いかけに対する“ANSWER”であると同時に、2017年のソロプロジェクトスタート時からØMIさん自身が思い描いてきたストーリーの“完結編”でもあるとのこと。まずは率直にアルバムが完成した心境を教えてください。

「昨年から、自分の弱さや葛藤、孤独な部分を表現した「ANSWER... SHADOW」、それとは逆の、自分自身が持っている強さ、光り輝く部分を描いた「ANSWER... SHINE」という2つの世界観をテーマに作品を発表してきて、それを一つにまとめたのが今回のアルバムになります。<DISC-1>と<DISC-2>の2枚組になっていて、ジャケットが黒と白になっていたり、場合によっては裏と表と言われたりするんですけど、僕にとっては両方とも“DISC-1”というか、どちらも自分自身。今の自分が表現できるすべてが入っているアルバムになったなと思っています」

――すでにリリースされている楽曲の中でも、特に「ANSWER... SHADOW」に収録されている楽曲は、今回のアルバムの中で聴くと、ØMIさんの赤裸々な心情がより浮き彫りになるような気がしました。自分のすべてをさらけ出すのは、アーティストとしても個人としても、そこに怖さみたいなものを感じても不思議じゃないと思うのですが、ØMIさんの場合はいかがでしたか?

「そうですね。数年前までの自分は、そういった自分の弱さや心の底で思っていることを表現するには勇気が必要でした。あと、僕自身がどちらかというと、自分の弱さや葛藤を見せることに対して、それをカッコいいと感じる美学を持っていなかったんですよね。逆に、そういう部分は見せないほうがカッコいいと思っていて。でも、三代目 J SOUL BROTHERSとして12年目、ソロとしても5年目と、長く活動するにつれて考え方が変わったというか。自分の強さだけでなく、弱さすらも赤裸々に表現することを、自分自身が許せるようになったんです。だからこそできたのが『ANSWER...』なのかなって」

――もしかしたら、そこに音楽というものがあるからこそ、赤裸々になれたのかもしれないですね。

「本当にそうで。音楽じゃなかったら、絶対できなかったと思います(笑)」

――また、『Who Are You?』のリリース後、新型コロナウイルスによって世界の状況も大きく変わりました。それによって自分が表現したいこと、それこそ今作で提示する“ANSWER”の形に影響することはありましたか?

「パンデミックが起きて気付かされたこともたくさんありましたし、アーティストとしての在り方や発信する音楽について考えるきっかけにもなりました。でも、2年前に『Who Are You?』を作り、次に『ANSWER...』で表現しようと思っていたことが、パンデミックによってブレてしまったかというと、そこはブレなかったように思います。ただ、やっぱり歌詞の中には、この状況下だからこそ浮かんだ言葉っていうのが多いです」

――時期が時期なだけに、制作も結構オンラインで行うことが多かったんですか?

「そうですね。まさにBTSSUGAさんとやらせていただいたYou(Prod. SUGA of BTS)なんかは、本来であればどちらかの国で一緒にスタジオに入って作るっていうのが、こういうコラボレーションの醍醐味でもあったと思うんですけど。とはいえ、お互いの国を行き来するのも難しい状況だったので、オンラインでのやり取りで制作しました」

――オンラインだと、対面のときとは違うやり方だったり、気持ちの持ち方だったりがありそうですね。

「確かに、スタジオに入ってやるのだと、“この時間内に収めなきゃ”など、どこか時間を気にしてしまうんですけど、オンラインだと自宅にいるので時間はあまり関係ないというか。どちらかというと、僕はオンラインのほうが向いているなって思いました(笑)。ずっと繋ぎっぱなしにして、家のことをやりながら楽曲のことを話すっていう。スタジオにこもって、みんなでああだこうだ話すのも好きなんですけど、こういう状況になって初めてそういった楽曲の作り方を体験して、これはこれですごくいいなって思いました」

――家でリラックスしながらだったからこそ、本当は出すつもりのなかった本音が出てしまったり?

「そういうところもあると思います(笑)」

――『ANSWER...』で印象的なのが、<You>や<君>、<Love>や<愛>といったワードが頻繁に登場することでした。それは、ØMIさんが自分の“ANSWER”として意識的に使ったのか、それとも結果としてそれらが“ANSWER”になったのか、どちらの要素が大きいと思いますか?

「今回のアルバムに入っている楽曲の対象相手、それこそ歌詞に出てくる<You>とか<君>っていうのは、すべてファンの方を表しているんです。それも、そうしようと思って作っていったわけではなく、自然とそうなっていった。メッセージを伝えようと思って作っていくと、自然とファンの人たちを想像しているし、ファンの人にどんなメッセージを伝えたいかなって思うと、自然と愛とか感謝とかになっていくという感じでした」

――さらに、今作からはØMIさんのアーティストとしての覚悟みたいなものも伝わってきます。

「自分自身も今回のアルバムがアーティストとして一つの節目というか、集大成のような位置付けの作品になるのかなとは思っていました。もっと言えば、25日から始まる全国ツアー『ØMI LIVE TOUR 2022 ANSWER...”』をやり終えた時に、このアルバムの世界観が本当に完結すると思うんです。それまでベストを尽くすっていう感覚があるので、このアルバムから覚悟みたいなものを感じ取ってもらえたのは、僕自身がそういう想いで制作に臨んでいたからなのかなっていうふうに思います」

――ØMIさんの中に、ここで一度すべてを出し切りたいという衝動もあるのでしょうか。

「そうだと思います。それは、昨年の三代目 J SOUL BROTHERSの活動でもずっと感じていたことでした。ドームツアーを回らせていただきながら、1公演1公演、ステージから見える景色を心に焼き付けて、噛み締めて。やっぱり、いつまでも自分たちがこのステージに立っていられる約束はない世界ですし、パンデミックが起きて以降は、ライブやツアーができること自体が貴重で……。その中で、昨年はグループとしても僕個人としても、ファンの目の前でやり切ることに全力を注いでいたんですよね。今回はそれを経てのアルバム制作、ツアーだったりするので、ソロアーティストとしても今の自分を出し尽くしたいという思いがあります」

――なるほど。ちなみに、<DISC-1>に収められている「Just the way you are」ですが、この楽曲はライブを意識して作られたんですか?というのも、冒頭の<君の瞳の中の僕はどんな顔してる? 僕の瞳の中の君は誰よりBeautiful>という歌詞の具体性が印象的で、今のお話を伺って、もしかしたらステージから見える景色がヒントになったのかな、と。

「まさに、今回のアルバムの中で一番ライブを意識した楽曲です。ライブでファンとの距離をグッと縮められたらなって」

――それこそ<君の瞳の中の僕はどんな顔してる? 僕の瞳の中の君は誰よりBeautiful>が、楽曲の中でØMIさんと目が合った気になるというか(笑)。

「あはは。その部分は、僕のイメージだと、自分がファンの方の手を取ってステージに上げて、そこで一緒に踊るみたいな。それくらいの距離感を感じられるライブの曲にしたかったんですよね」

――さらに<DISC-1>には新曲として「Love Letter」と「After the rain」を収録。「Love Letter」のほうは2020年、三代目 J SOUL BROTHERSの10周年記念日にØMIさんのInstagramにアップされた楽曲ですが、歌詞の内容的に「After the rain」とリンクする部分もありますね。

「アルバムの中で聴いていただくと、確かに流れとしては繋がっていく形にはなりますが、Love Letterのほうはリリースすること自体まったく考えていなくて。本当、グループの10周年のタイミングで、ファンのみんなに感謝の気持ちと自分の想いを伝えたかっただけなので。だから、タイトルもシンプルに「Love Letter」っていう(笑)。それが、今回のアルバムを作るにあたり、この曲を収録してほしいという声をたくさんいただいたので、それならばってことで入れることにしたんです。そういう意味では、今作の中で自分の想いを詰め込んだのはAfter the rainになります」

――美しいバラードに仕上がっていますが、どんなイメージで作られたんですか?

「それまで「ANSWER... SHADOW」や「ANSWER... SHINE」を作る中で、影も光もすべて自分っていう激動の世界観をものすごい勢いで表現してきて、それを出し切ったときに、何もない空が目の前に広がっていて。そこに、ふっとこの曲が流れるイメージが、映像としても自分の中に浮かんできたんですよね。そしたら本当にこの言葉がそのまんま出てきて。あっという間にできました」

――言葉数も少なく、シンプルだからこそØMIさんの想いが伝わってくる気がします。

「僕も歌詞を書きながら、小学生でも書けるくらいの言葉だなって思いました(笑)。もちろん、やろうと思えば、言い回しや比喩表現などいろいろ複雑にすることもできます。でも、自分の心を裸にして言葉にするとなると、“本当にこういうシンプルな言葉が並ぶんだな”って感じでしたね。あと、先ほどパンデミックの影響の話をしましたけど、この曲の一番最後の<世界は愛で溢れている>というフレーズは、今のこういう状況下だから出てきた言葉なのかなって気がします。変わってしまった世界、コロナに限らず毎日暗いニュースが流れている中で、僕が自分なりの“ANSWER”を突き詰めて、その先に見えた景色は、“こんな状況下でもきっと愛は溢れているだろうな”と思える世界だった。それはパンデミックによって気付かされたことで、そうじゃなかったらまた違った表現になっていたかなと思います」

――今作で歌い手としてチャレンジしたことはありますか?

「それで言うと、「Starlight」はガッツリR&Bサウンドなので、コーラスもブラックミュージックの方たちがやるような積み方をしました。ソロの楽曲ではあまりやってこなかったんですけど、楽曲のテイストに合わせて今回トライして。また、技術的に難しかったのはANSWER... SHADOW。自分でも、作りながら、“これはスキルを問われる楽曲だな”と思っていたんですけど、やっぱり難しかった(笑)。でも、自分の声の武器を生かせるのはANSWER... SHADOWかなと思います。ただ、総じて一番苦労したのは「After the rain」で……。僕は普段のレコーディングで歌い直したりすることってほとんどないんですけど、この曲は何回も歌い直しました。途中、スタジオの部屋を変更してもらったりもして」

――スタジオの部屋の変更まで!?

「そうなんです。この楽曲に関しては、音やブレスの一つ一つ、歌詞の一語一句にまで気持ちを込めて繊細に表現したくて。そのためにも、とにかく集中したかったのに、最初のスタジオの部屋だとなんか集中できなくて(笑)、同じスタジオの別の部屋に移動して歌ってみたりしました。そうやってなんとか最後までできあがっても、それを家で何回も聴いて、もう1回スタジオに入って歌い直して……っていうのを何回か繰り返しましたね」

――それは、スタッフさんのOKが出てるのに、ØMIさん自身が納得できなかったからとか?

「そうです。OKは出ていたんですけど、自分的には全然OKじゃなくて。“いや、なんか、もっとできると思うんだよな”って(笑)。もっと行けると思ってトライするけど行けなくて、“なんで行けないんだろう?”……ってスタジオで葛藤する。その繰り返しでした。アルバムの中でも特にシンプルな楽曲なんですけど、歌い手として一番こだわり、時間をかけ、思いを込めて歌ったのは、この楽曲かもしれません」

――今作をリリース後、すぐに全国ツアーが始まります。ØMIさん自身、ツアーまでを含めて『ANSWER...』の世界観が完結するとおっしゃっていましたが、どんなステージになる予定ですか?

「アルバムの世界観が体感できるライブにしたいのはもちろんですが、公開されているミュージックビデオをご覧になっていただくと、その先のストーリーがライブによって展開されていくので、より楽しめるんじゃないかなと思います。僕は映像もライブの大切な演出の一つだと思っていて、割と映像を駆使したライブを作ることが多いんですね。なので、今回もライブと映像のリンク感を楽しんでいただけるライブになる予定です」

――個人的な印象ですが、ØMIさんにとって今回のアルバムがホップ・ステップ・ジャンプの“ステップ”にあたる存在のような気がしていて。ツアー、あるいはツアーを終えた後に、大きく“ジャンプ”するというか。

ØMI「確かに」

――ジャンプした後の展開として、ØMIさんが思い描くのはどんなことですか?

「何だろう……。でも、まずはツアーまでをしっかりやり切りたいって気持ちのほうが強いですね。で、そこから先が“ジャンプ”になると思うんですけど、どこに着地するかは、“ジャンプ”してから考えようかなって(笑)。逆に言うと、“ジャンプ”した先を考えていないっていうのが唯一の楽しみと言ったらヘンなんですけど、今までそういうことがなかったので。いつ、何をしていても、常に次のこと、何年か先のことを考えていましたからね。だから、今の“着地は考えます”って感じが僕にとっては新鮮だし、ツアーを思い切りやり切った後、自分がどんな気持ちになるのかも楽しみなんです」

(おわり)

取材・文/片貝久美子
写真/野﨑慧嗣

DISC INFORMATION

ØMI 『ANSWER...』 Deluxe Edition

2022年22() 発売
※初回生産限定、三方背BOX仕様
2CD+Blu-ray/XNLD-1012021/B7,700円(税込)
※封入特典: 100Pオリジナルフォトブック、応募抽選特典シリアルナンバー
CDL entertainment

ØMI 『ANSWER...』 初回生産限定盤

2022年22() 発売
※スリーブケース仕様
2CD+Blu-ray/XNLD-1012223/B5,500円(税込)
※封入特典: 応募抽選特典シリアルナンバー
CDL entertainment

ØMI 『ANSWER...』 通常盤

2022年22() 発売
※スリーブケース仕様
2CD/XNLD-10124253,300円(税込)
※封入特典: 応募抽選特典シリアルナンバー
CDL entertainment

ØMI 『ANSWER...』 EXILE TRIBE FAMILY/LDH official mobile会員限定盤

2022年22() 発売
※15,000SET限定、ディフューザー付スペシャル・パッケージ
2CD+Blu-ray/XNLD-10126~27/B/13,200円(税込)
★オリジナルグッズ: ディフューザー((200ml)
※封入特典: 100Pオリジナルフォトブック、応募抽選特典シリアルコード
CDL entertainment

TOUR INFORMATION

ØMI LIVE TOUR 2022 “ANSWER...”

2/5(土) 福井・サンドーム福井 17:3018:30
2/6(日) 福井・サンドーム福井 15:3016:30
2/12(土) 新潟・朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンター 16:3017:30
2/19(土) 広島・広島グリーンアリーナ 16:3017:30
2/20(日) 広島・広島グリーンアリーナ 14:0015:00
3/12(土) 静岡・静岡エコパアリーナ 16:3017:30
3/13(日) 静岡・静岡エコパアリーナ 14:0015:00
3/26(土) 東京・武蔵野の森アリーナ総合スポーツプラザメインアリーナ 16:3017:30
3/27(日) 東京・武蔵野の森アリーナ総合スポーツプラザメインアリーナ 14:0015:00
4/2(土) 熊本・グランメッセ熊本 16:0017:30
4/3(日) 熊本・グランメッセ熊本 13:3015:00
4/16(土) 神奈川・ぴあアリーナMM 16:0017:30
4/17(日) 神奈川・ぴあアリーナMM 13:3015:00
4/23(土) 大阪・大阪城ホール 16:0017:30
4/24(日) 大阪・大阪城ホール 13:3015:00
4/27(水) 愛知・日本ガイシホール 17:3018:30
4/28(木) 愛知・日本ガイシホール 17:3018:30

ØMI LIVE TOUR 2022 “ANSWER...”

関連リンク

一覧へ戻る