――honokaとしてはencore初登場。ということで、まずは基本的なところからお聞きしたいと思います。2021年5月にリリースしたKMプロデュースの楽曲「rai-rai」でソロとしての活動をスタートさせたわけですが、そもそも、honokaとしてソロ活動をしようと思ったきっかけは何だったのか教えてください。
「前々から挑戦してみたい気持ちはあったんですよ。lol-エルオーエル-とは違って、ソロではもっとパーソナルな部分を発信していきたいなという気持ちがありましたし、自分ひとりでも表現できる力をつけたいという思いもありましたから。そしたら、ちょうどいいタイミングでKMさんにプロデュースしていただけるというお話をいただいて。ずっとKMさんの世界観は大好きだったので、”ぜひ！”とお願いしたんです。だから、ポップなlol-エルオーエル-のカラーとは真逆な感じではあるんですけど、カッコイイ世界観になっているんじゃないかと思いますね」
――KMさんと一緒にやりたいという気持ちも以前からあったんですか？
「そうですね。ソロを始めるに当たって、”誰にプロデュースしてもらおうか？”っていうことになったんですよ。その中にKMさんのお名前も出て来ていたんですけど、私自身（sic)boyさんとやられている楽曲が大好きだったので、最初は、”あのKMさんに私がプロデュースしてもらえるの？”っていう感じだったんです（笑）。でも、KMさんからも、”ぜひ”というお返事をいただけたので、いい出会いがあって嬉しかったですね」
――lol-エルオーエル-の中でもhonokaさんはラップを担当。ご自身のルーツとしてヒップホップがあるだけに、ソロもそういう方向性なんですね。
「はい。ただ、lol-エルオーエル-のときは、どちらかというと男っぽいイメージでやっていたところがあったんですよ。でも、ソロに関しては、ちょっと女性らしさも足したかった。先ほどパーソナルな部分を出したいって言っていたように、ひとりの女性として表現していきたい気持ちが強かったんです。そういう意味ではlol-エルオーエル-とソロでは別人格かもしれないですね」
――なるほど。確かにlol-エルオーエル-はもっと強いイメージですけど、ソロは女性らしいかわいらしさが漂っていますもんね。それは第1弾シングル「rai-rai」から感じましたが、この楽曲に関しては、honokaさん自身もKMさんに何かリクエストはしたんですか？
「していないんです。「rai-rai」は、全く私のことを知らないまま、”この曲、どうですか？”っていただいた曲なんです。でも、すごく自分に合っている気がして、”嬉しい！”って思いました」
――事前に何の打ち合わせもなく？
「そうなんです。もうKMさんにお任せで、”好きに作ってください”って（笑）。私は声が結構低いので、”私の声質的に合うのかな？”って思ったりもしたんですよ。でも、「rai-rai」には低音の部分もあったので、意外とマッチしましたし、自分のものに落とし込めましたね」
――そうやって実際にソロでレコーディングしてみて、どんなことを感じましたか？
「新しい世界というか。自分が表現したいことを全部自分で消化して表現するので、正直最初は少し不安もあったんですよ。でも、思いきりやってみた結果、”楽しい！”っていう方向に変わりました。ただ、自分の声だけで1曲が出来上がるのが不思議でしたけど（笑）」
――lol-エルオーエル-は5人ですからね（笑）。
「そうなんです（笑）。1曲の中のひとパートとかラップの部分だけだったりするので。でも、ひとりで全部歌うからこそ、lol-エルオーエル-とは違う発声にしてみたり、”ここはこう歌おう”っていうように自分でいろいろ考えたんですね。そうやってlol-エルオーエル-のhonokaとは違うアプローチで歌ってみるのも楽しかったです」
――いろいろな発見があったんですね。
「はい。コーラスというか、曲の中に入っている合いの手みたいなのも全部自分でやったんですよ。KMさんと一緒に楽曲を作られているLil'Leise But Goldさんが“全部自分の声でやってみれば？”っておっしゃってくださって。でも、やってみたら、それがすごく楽しかったんです。lol-エルオーエル-だったら私は絶対に言わない“にゃ～ん”っていうフレーズも言ったりしているので（笑）。”曲中にこんな言葉を入れちゃうんだ！”っていう驚きもありましたし、”自分の声だけでもいろんなことができるんだな”とも思いましたね」
――この第1弾シングル「rai-rai」が完成したとき、lol-エルオーエル-のメンバーは感想を言っていましたか？
「メンバーも“えっ！これhonokaの声なの！？”って驚いたり、”いい曲だね！”って言ってくれたりしましたね。みんなすごく応援してくれているので嬉しいです。実はhibikiは、「rai-rai」のMVの衣装もやってくれているんですよ。だから、そういう協力もしてくれていることにめちゃくちゃ感謝していますし、そのおかげでいいものができたと思います」
――仲間の絆ですね。そして第2弾の「future」を2021年9月にリリース。こちらは、ちょっとせつない楽曲ですよね。
「「rai-rai」は恋の始まりというか、女の子だったら誰もが経験あるような気持ちを表現した楽曲だったんですけど、「future」は真逆。恋の終わりを歌った曲になっていす。それで、”ちょっと気持ちが落ち込む日もあるよね”っていうような部分も入っているんですけど、もともと女の子ってアップダウンの激しい生き物（笑）。だから、その両面を1曲目と2曲目で表現できたことはよかったなって思いますし、どちらの曲も特に女の子には聴いてもらいたいですね」
――やっぱり女性に寄り添いたい気持ちが強いんですか？
「はい。lol-エルオーエル-は男女混合なので、いろいろな人に当てはまる曲を歌うことが多いんですよ。でも、ソロは私だけの曲ですし、ファンの人の中にも恋をしている女の子がたくさんいて、それに対する相談が届くこともあるんですね。だから、そういう子の人生を彩るような曲になればなとも思っています」
――ちなみに「future」は、どういう経緯で制作されていったんですか？先ほど「rai-rai」は、KMさんにお任せだと言っていましたけど。
「「future」は「rai-rai」を踏まえた上で、いろいろKMさんとお話をさせていただいて作っていきました。だから、私自身の感情とリンクしている部分も多いんです。でも、”私はこういう風にこの歌詞を読み取りました”っていうようなメッセージもたくさんいただくんですね。そうやって聴く人によって感じ方が違うのも面白いなって思いますし、ありがたいです」
――１曲目の「rai-rai」はお任せで、２曲目の「future」には自分の意見も取り入れてもらった。honokaさんとしては、どちらをやっていきたいですか？
「今後は確実に自分から発信したものを元にKMさんと一緒に作っていけたらなと思っています。すごくやりがいがありますから」
――そして、2月2日にリリースされるのが第3弾となる「celebrate」。これも女の子っぽいナンバーですが、同時にコロナ禍の今を反映した楽曲でもありますよね。
「そうなんです。今は人と会うこともタブーになってきている。でも、もしいつか会える日がきたら、きっと何でもない日でもお祝いになるよねっていう曲なんですよ。だから、「celebrate」。すごくワクワク感のある曲になっていると思いますね」
――とてもポジティブですし、聴いていて希望を感じる曲になっていると思います。
「そうですよね。夢があるなって思います。今って、ずっとコロナ禍が続いているので、気持ちが落ち込んでいる人やメンタルがぐらついている人が、きっとめちゃくちゃいると思うんですよ。だから、そういうイヤなニュースとかに左右されず、”嬉しいことを考えようよ”っていうのがこの曲には入っているんです。それだけに聴くだけでも、きっと明るい気持ちになれるんじゃないかと思いますね」
――楽曲自体もポップで楽しいですしね。
「そうなんですよ。よく聴いていただくとわかるんですけど、トラックの中に狼の遠吠えが入っているんですね。”なんで狼なんだろう？”って思っていたら、KMさんが“狼は山と山に分かれていても遠吠えで会話する。それが今、みんなが会えないことを表現しているこの曲にピッタリだと思って”って言ったんですよ。それを聞いて、“この人、ヤバ！”って思いました（笑）。だから、そういう細かい部分にも注目してもらいたいです」
――honokaさんの歌い方もサラッとしていていいですよね。いい意味で肩に力が入っていないので聴きやすいです。
「ちょっとギャルっぽい部分もあれば（笑）、しゃべっているところもあって、本当に等身大で歌っています。言葉で言うのは難しいんですけど、電話で話していたり、リモートでわちゃわちゃしているくらいのテンションで歌っている感じというか。今は実際に会えないので、電波を通して会話していることが多いと思うんですよ。だからこそ、それに合った歌い方をしてみたんです」
――その中でこだわった部分や苦戦した部分はありましたか？
「苦戦したのはギャルっぽいフレーズです（笑）。lol-エルオーエル-では本当にやらない歌い方ですし（笑）、しゃべっているのとも歌っているのとも違うっていう感じだったので。Aメロの最初に＜99gang＞って入っているんですけど、その発声というか言い方は、2000年代にいたルーズソックスを履いたギャルっぽい雰囲気を意識したんですよ。それが意外と難しかったんですけど、新しくて面白かったですね」
――そういうイメージだったんですね！ということは＜99gang＞も、その時代を意味したフレーズなんでしょうか？
「そうです。2番は＜98gang＞になっているんですけど、1998年や1999年って、一番音楽が盛り上がっていた時代なんですね。だから、その時代をリバイバルさせて、当時のパッションとかも今回の楽曲には取り入れているよっていう意味もある。それで、この言葉を選んだみたいです」
――腑に落ちました。とにかく、この楽曲で歌っているように、今は一刻でも早く、みんなで会って笑い合える日が訪れてほしいですよね。そういう以前だったら普通だったことができなくなってしまっただけに。
「本当にそう思います。だから“何でもない日を特別に感じよう”っていう、この曲にある考え方がステキだなって思いますね」
――この「celebrate」を含め、今まで3曲プロデュースしていただいたわけですが、honokaさんにとってKMさんは、どういう存在になっていますか？
「まさか私と一緒にお仕事していただけると思わなかったくらい、元々好きな方だったんですね。だから、KMさんのトラックで自分の楽曲が作れること自体が光栄ですし、さっきの狼の話もそうですけど、ご一緒してみて、すごい世界観の持ち主だなって改めて思いました。それ以外にも「celebrate」には＜元気？＞って日本語で家族や友達に問いかけているワードがあるんですね。そこが日本語だから、普通だったら銃声を入れたりしてトラックを飾るところも侍が刀でシャキーンってやっている音を入れているんですよ。そういう細かいエピソードが多すぎるから、毎回トラックを聴くたびに新しい発見がある。そのせいで何度聴いても新しい曲に聴こえるので、やっぱりすごい人だなって思いますね」
――しかも、その＜元気？＞っていうフレーズがあることで、リスナーも話しかけられたような気持ちになる。だから、身近感も出ていると思います。
「そうですよね！そういうKMマジックがすごいんですよ。”これからの音楽の時代を変えていく人なんだろうな”って、ご一緒させていただいてすごく感じました。だから、その方から作品をいただいた私も頑張りたいです」
――ところで、まさに「celebrate」で表現しているように、この2年間はいろいろなものが止まって、エンターテイメントの世界も大変だったじゃないですか？ それによって改めて気づいたことはありますか？
「これまでもファンの方に支えていただいているなっていうことは、もちろん感じていたんですね。でも、このコロナ禍をきっかけに、よりファンの方のありがたさを実感しました。今まではツアーができましたし、握手会に来てくださったみなさんとも普通におしゃべりができた。それを当たり前に感じていた自分が、今思うと超恥ずかしいです。本当は握手ができるのはありがたいことですし、この世界は自分ひとりで戦っているのではない。lol-エルオーエル-のメンバーもそうですし、私たちを支えてくれているスタッフさんや応援してくださるファンの方がいるおかげで、自分はステージに立てているんだなって思えたので。コロナ禍になったことで、そういう感謝の気持ちが今までは足りてなかったなって思いました。オンラインをやったりもしましたし、それはそれで新しい一歩だと思うんですね。ただ、やっぱりどこかでもの足りないなって思ってしまう自分がいる。だから、早く直接ファンのみなさんとコミュニケーションを取りたいなって思っています」
――コロナの蔓延は悲しく辛い出来事ですけど、自分の置かれた立場を再確認するきっかけにもなりましたよね。
「本当にそうです。今や、みんなでもみくちゃになって、キャーキャー言っていた日々が懐かしい。でも、これからの時代、オンラインライブと同じように新しいことを生み出す必要もあると思うので、お客さんが声を出せなくても楽しめることも考えたいですね」
――今後、有観客でライブができるようになったら、ソロとしてもやっていきたいですか？
「そうですね。まだhonokaとしてはイベントにしか出させていただいていないので、いつかはソロでも長尺のライブができたらいいなとは思っています。とはいえ、まだ楽曲自体が少ないので、まずは、それをどんどん積み上げていきたいですね」
――一方でlol-エルオーエル-に関してはどうですか？
「lol-エルオーエル-は、今、6作連続配信シングルリリース中で、その後、春にはツアーも予定しているんですね。そのツアーは2年ぶり。だから、それを成功させることが近々の目標です。自分たち自身久しぶりのツアーなのでドキドキもすると思うんですけど（笑）、地方のファンの方には今までなかなか会えなかったので、中にはちょっとlol-エルオーエル-への気持ちが冷めちゃった人もいると思うんですよ。それだけに直接会うことで、また気持ちに火をつけたいなって思っていますね」
――ソロ活動とlol-エルオーエル-を両立させて？
「はい。そうすることでいろんな自分を表現できたらいいなと思っています。グループではグループとして、ソロでは個人として」
――ソロ活動を始めたことで、グループのよさにも気づきましたか？
「むちゃくちゃ！lol-エルオーエル-では、メンバーに支えられているんだなって思いました。一度ソロでイベントに出たことがあるんですけど、そのときMCにすごく詰まっちゃったんですよ。lol-エルオーエル-だったら、私が噛み噛みになっても、（佐藤）友祐とかが“おお、どうした？”って突っ込んでくれるんですね（笑）。でも、ひとりだとどうしようもない（笑）。だから、グループってありがたいなって思いました。それにパフォーマンスしているときの心強さも違うし、メンバーが５人いて、しかも男女混合なのでいろんな見せ方ができる。そういう良さにも気づけたので、ソロでやってみたことはいい経験になりましたね」
――そういう意味では、ソロで得たものをlol-エルオーエル-にも持って帰れるでしょうね。では、最後にencore読者にメッセージをお願いします！
「いろいろな方が読んでくださっている媒体だと思うんですけど、私の曲は特に女性に刺さると思うので、たくさんの方に聴いていただけたら嬉しいです。そして、今後も個人でも頑張っていくんですけど、私をきっかけに今までlol-エルオーエル-を知らなかった人に知ってもらえたらいい。そういう連鎖を私が作っていけたら幸せなので、まずはhonokaの曲を聴いていただいて、この世界観を好きになってもらいたいですね」
（おわり）
取材・文／高橋栄理子
写真／野﨑慧嗣
Release Informationhonoka「celebrate」
2022年2月2日(水)配信
avex trax
honoka
1996年生まれ、京都出身。
ダンス＆ヴォーカルグループ
lol-エルオーエル-のメンバー。
小学校の頃からダンスをはじめ、アーティストを志してavex artist academy大阪校へ。
ラップへの探究心やヒップホップなどのエッジィなジャンルの表現を突き詰めることに興味を抱いていたときに、
KMとの出会いなどのきっかけが重なりソロ活動へ。
かっこいいサウンドを追い求めるとともに、
「自分と同年代の女性に元気を出してもらえたら」
という思いでクリエイティブに向き合っている。
