Thundercat『Distracted』/BFCD165/BrainfeederThundercat『Distracted』
サンダーキャットによる6年ぶり通算5作目のアルバム。彼の軸となるジャズファンク、80s AOR、ローファイR&B、コズミックフュージョンは基本となりながらも、今作は引き算がキモ。派手な変拍子やフュージョン暴走は控えめで、超絶技巧ベースも曲の中に溶け込み、全体的にメロウ寄りでメランコリー、霞がかったネオンのようなミッドナイトを感じる。2018年にこの世を去った盟友Mac Millerとの未発表コラボレーション楽曲をはじめ、テーム・インパラ、エイサップ・ロッキー、リル・ヨッティなどを迎えた豪華客演陣との掛け合いも注目の要素。都市の生活に溶け込む、孤独な夜を漂うための作品に仕上がっている。
Gareth Donkin『Extraordinary』/AMIP-0394/drink sum wtrGareth Donkin『Extraordinary』
ロンドン出身のSSW、前作のファーストアルバム『Welcome Home』で多大なる高評価を受けたGareth Donkinによるセカンドアルバム。プリンスやスティーヴィー・ワンダーのようなワンマンバンドから影響を受けながらもディスコ、R&B、ファンク、ソウル、ポップの要素を横断することでソウルフルなポップ性と高度な音楽性が結実。ホーン、ストリングス、鍵盤、リズムが組み合わさった豊かなアレンジに、ソウルフルでメロディックな歌声で自己肯定、成長と解放を中心としたテーマを歌い上げる。よりダイナミックで成熟したサウンド、人生を肯定する強いメッセージ性が併存する作品へと仕上げている。
Katherine Priddy『These Frightening Machines』/CDCOOK954/Cooking VinylKatherine Priddy『These Frightening Machines』
イギリス・バーミンガム出身のSSW(シンガー・ソングライター)、Katherine Priddyによる3rdアルバム。デビュー作の『The Eternal Rocks Beneath』で一躍現代英国フォークミュージックシーンで最も注目すべきアーティストの一人としての地位を確固たるものにした彼女。今作ではキャリアの中で最も多様なサウンドを取り入れ、テーマとしても怒りや絶望から希望、憧れや欲望まであらゆる感情を網羅し、内省的に心の防衛装置、社会の構造、時間の不可逆性を静かに見つめ、問いかける。ゲストにはアメリカのSSWのTorres、「I'm Always Willing」でデュエットしているRichard Waltersなどを迎え、またアルバムの大半の楽曲にはBen Christophersが参加している。
冥丁『瑪瑙』/AMIP-0392/KITCHEN LABEL冥丁『瑪瑙』
国際的評価を集めるエレクトロニック・ミュージック・アーティスト、冥丁による2020年から2023年にかけて発表された三部作『古風』を追伸し辿り着いた最新作『瑪瑙(めのう)』。“自明でありながらも幽微な存在として漂う日本”の印象を「失日本」と名付け、日本の失われつつある風景や記憶をテーマに、環境音、フィールドレコーディング、アンビエント、電子音響を織り交ぜながら、どこか朧げで幽玄な音世界を描き出す。タイトルは長い時間をかけて層を成し、圧力と沈殿を経て形成される鉱物・瑪瑙の生成過程を音楽的思考の比喩とし、粒子が積み重なり、層をなし、やがてひとつの質感となるように名づけられている。霞がかったようなドローン、遠くから響く環境音、淡く滲む旋律が幾層にも重なり、時間の奥に沈んだ記憶を掘り起こすような幻想的なサウンドスケープを展開。
Bicep『CHROMA 000』/CHROMA000/ChromaBicep『CHROMA 000』
北アイルランドのベルファスト出身、ロンドンを拠点に活動するデュオ、Bicep。2017年のセルフタイトルアルバム、2022年の『Isles』で地位を確実なものとし、1万人規模のスタジアムライヴは即完させていしまうほどにまで上り詰めた、次世代UKダンスミュージックの雄。自身たちの新設レーベル「CHROMA」を立ち上げ、その第一号として自身らの作品をリリース。未だに「Feel My Bicep」という音楽紹介サイトを自身らで運営することもありミュージックナードな彼ら、今作は「ここ数年間に発表してきた楽曲の中でも、少しダークでクラブにフォーカスした楽曲」の言葉通り、テクノ、ジャングル、レイヴをフィルターに通したUKの薫り濃いダンスナンバーが並ぶ。
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