bar italia『Some Like It Hot』/OLE2177CD/Matador

bar italia『Some Like It Hot』

ロンドンの鬼才、Dean Bluntのレーベル、World Musicから2枚のアルバムを出し、2023年よりMatador Recordsに移籍。謎多きロンドン・アンダーグラウンドの気鋭バンドがついにそのベールを脱いだ。アルバムタイトル『Some Like It Hot』は1959年、マリリン・モンロー主演作の邦題『お熱いのがお好き』と同名であり、彼らのスタイルである殆ど無加工のギターサウンド、タイトで乾いたリズムからなるざらついた質感と、都会的な虚無感とのギャップによるアイロニー、ユーモアが感じ取れる。とはいえ、抑圧された情緒、言葉にならない欲望、酩酊感、陶酔感に満ちており、シネマティックな情緒がふと共通点として頭をよぎる。気怠く、しかし熱い、曖昧さ、相反する感覚が同居する独自の世界観が表出されている。

C.L.A.W.S.『Splat City Ⅱ』/DE322/Dark Entries

C.L.A.W.S.『Splat City Ⅱ』

BronzeやThe Vanishingといったプロジェクトへの参加、Squirrels on FilmやImmortal Sinといったレーベルの運営など、20年以上もベイエリアのアングラシーンで活躍するサンフランシスコの鬼才、Brian Hockによるソロプロジェクト、C. L.A.W.S.によるLPがDark Entriesよりリリース。2019年にリリースしたデビューEP「Splat City」に引き続き「Splat City」という架空都市を舞台に退廃したサイバー都市の物語を断片的に描いており、太く歪んだアシッド・ベースライン、タールのように重いキック、スモークの中で鳴っているようなシンセの湿り気などが絡み合い、聴者を薄暗い都市の低層に誘う。オランダ、ハーグ発のホラー/サスペンステイストなジャッロエレクトロ、シカゴ・アシッドの歪んだミニマリズム、ポストパンクの精神性にインスパイアされ、荒々しくも洗練された没入型サウンドスケープに浸れる一作。

Thought Leadership『Ace Of Swords』/BEWITH191LP/Be With Records

Thought Leadership『Ace Of Swords』

イギリス、ストックポートで活動するThought Leadership。テラスハウスにあるマルチトラック・レコーダーで直接録音され、ギターのレイヤー、ペダル、シンセとベース、オーガニックなドラムが前作「Ⅲ Of Pentacles」よりもさらにサウンドの彩りと豊かさを演出。往年のFactory Records、初期4ADへの愛が色濃く現れ、コズミック・バレアリックな浮遊感。

Yugen Blakrok『The Illusion of Being』/IOT888LP/Iot Records

Yugen Blakrok『The Illusion of Being』

南アフリカ出身のフィメールラッパー、Yugen Blakrokによる、2019年『Anima Mysterium』以来6年ぶりの新作アルバム。 今作は本格的なDIYスタジオ環境、マルセイユに構えた廃屋スタジオで録音されたそうで、Yugen自身、この制作を「身体を張った挑戦」としている。アブストラクト・ヒップホップ、トリップ・ホップ、グランジなどのスピリットを踏襲し、前作のスタイルを打ち破りながら、ストーリーテラー/アーティストとしての進化を反映。「Free. Involved. Anti.」と自身でこのアルバムを称し、ダークでインテリジェンス、リリカルでイデオロギーに満ちた静かなる圧力を放っている。

L'Impératrice『Pulsar』/QLIMA040CD/Microqlima

L'Impératrice『Pulsar』/QLIMA040CD/Microqlima

パリ発の6人組コズミック・フレンチ・ディスコ・バンド、L'impératriceは2012年の結成以来、70~80年代のディスコやファンクのレトロな魅力に、現代的なエレクトロ・ポップのエッセンスを融合。紅一点ヴォーカルのパワフルで官能的な歌声、ヴィンテージのアナログシンセの煌びやかなメロディ、グルーヴィーなビートが混じり合うコズミック・ディスコサウンドが世界で厚い支持を獲得。Pulsarはヒップホップ、コスミッシェ、モダン・ポップ、そしてフレンチ・タッチやインターナショナル・ハウスを取り入れるなど、全10曲にわたってバンドが愛するサウンドをシームレスに表現した作品。2つのツアーの合間を縫って短期間でレコーディングをしたという本作は、プロデューサーを起用せず、メンバー6人の感性とアイデアを持ち寄って完成させたとのこと。

Oneohtrix Point Never『Tranquilizer』/WARPCD411/Warp Records

Oneohtrix Point Never『Tranquilizer』

ヴェイパーウェイヴのミックステープから出でて、シャネルの21/22年メティエダール・コレクションの音楽を担当するまでに上り詰めた現代電子音楽家、Oneohtrix Point Neverの最新アルバム。タイトルは精神安定剤。彼のアーティストネームも「歯科医で歯を削っている音に似ている」という理由で付けた彼らしいシンプルながら意味深なタイトル。オープニングから嘗ての作風を感じ、そのスタイル、静謐ながらサウンドスケープの山脈を感じる幻想音世界が今作にも広がっていくのが分かる。





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