Geordie Greep『The New Sound』/RT0499CXDJP/Rough Trade

Geordie Greep『The New Sound』

圧巻の演奏スキルと爆発的イマジネーションで、新世代UKシーンの核として活躍してきたバンド、ブラック・ミディのギタリスト兼ヴォーカリストであるGeordie Greepが、ソロ・デビュー・アルバムをRough Tradeからリリース。サンパウロとロンドン、制作に2つの大陸にまたがる30人以上のセッション・ミュージシャンが関わっているこのアルバムは、ミュージシャン達と、ジョディー・グリープによるブラック・ミディ仕込みの信じられないほどハイレベルな演奏、爆音、衝撃音、ささやくような独り言など、音楽的、叙情的なテクニックと様々な音楽ジャンルが見事な化学反応を起こしており、オルタナティヴ・ポップの醍醐味が堪能できる。 ラテンでドリーミーなサウンド、そして熱唱という言葉がとても似合うボーカルが脳裏に焼き付きます。彼が影響元に挙げているキース・ジャレット、ジ・アソシエイツ、マーク=アーモンド、ピーター・ハミル、ナット・キング・コール、オレンジ・ジュースといったかなり幅の広い要素が垣間見れる独創的な作品。アートワークはカルト日本アーティストの佐伯俊男氏、更に独創的なPVも必見!

Kokoroko『Tuff Times Never Last』/BWOD1803272/Brownswood

Kokoroko『Tuff Times Never Last』

UKジャズシーンを代表するKOKOROKOがジャイルス・ピーターソン主宰のレーベル、Brownswood Recordingsより待望の2ndフルアルバムをリリース。ジャズをベースに80'sのイギリスのR&B、ネオソウル、西アフリカのディスコ、ボサノヴァ、ラヴァーズロック、ファンクの影響が色濃く感じられるアルバムに仕上がっている。ホルンがリードする西アフリカのディスコに敬意を表したミッド・アフロ・グルーヴM2「Sweetie」、アフロビート流のミニマルな浮遊感のあるリズムをベースにコーラス/ホーンが煽るように響くM6「Three Piece Suit」では、ナイジェリア生まれのSSW/プロデューサー、Azekelをフィーチャー 。ほっこりトリッピーなウォーミー・アフロビート・ジャズ/ソウルを味わうM7「Time And Time」など、アフロビート+ジャズ+ネオソウルの融合のさらなる進化と広がりで楽しませてくれる注目作。

Future Bubblers『Future Bubblers 8.0 EP』/BWOOD375LP/Brownswood

Future Bubblers『Future Bubblers 8.0 EP』

まだ見つかっていない才能を発掘し、無名のアーティストたちをサポート・育成するジャイルス・ピーターソン主催の『Future Bubblers』コンピのvol8.0がリリース。M2「Damn」はレスターを拠点とするサイケデリック・スペース・ソウル・バンド、Shadeemusによるもので、オールドスクールなフロウのラップ、すっきりとまとまりつつソリッドなバックがクール。M3「Easy Loving」はテープエフェクトな鍵盤とアナログシンセサウンド、部分的に登場するストリングス、ハイゲインながら心地よいドラム、気だるげなラップが心地よい一曲。M4「Legs」はブリストル出身のヴォーカリストでプロデューサーのtlk。幽玄なサウンドスケープ、トラックのセンスや歌唱、中盤から走り出すエレクトロなサウンドが唯一無二な雰囲気を漂わせ、ダンスミュージックというひとことでは語れない作品。

Tony Price『Street Theatre』/****/****

Tony Price『Street Theatre』

エレクトロニックミュージックを語る上で最も重要なレーベルの1つ『L.I.E.S. Records』でもおなじみ、トロントのジャンル横断型アウトサイダー・プロデューサー、Anthony Nemet aka Tony Price による新作は自身主宰『MAXIMUM EXPOSURE』からリリース。前作で見せたサイケ・ジャズ路線から一転、本作ではリアル・ハウス・マッドネスが全開サウンド。スリージーでサイケなハウスジャムのM1「Gone」で幕開け、無駄を削ぎ落としてパンピンに踊らせるM3「Release」、幻想的なサウンドに渇きのある音のループに引き込まれるM8「Visage」など、プロトハウスに対する偏執的嗜好、マシンサウンドの美学が宿る一枚。現代のRon Hardyと言わんばかりの暗黒グルーヴ、ドラムマシンが唸りを上げ、レーザーのように鋭く突き刺さるシンセ、ファンクの残響……何気にリピートしたくなる中毒性が秘められたサウンドが最高です。

Raisa K『Affectionately』/FTL007/15 LOVE

Raisa K『Affectionately』

インディ・ロックとアヴァン・ポップの橋渡し&配合の達人という立ち位置を世界に示したGOOD SAD HAPPY BAD。そのキーボーディストでありヴォーカルも担当するRAISA Kが初めてソロ名義でアルバムをリリース。バンドの同僚でサウンドトラック制作に定評のあるMICA LEVIやUKインディ界注目の逸材COBY SEYがゲスト参加。自宅を始め公園や電車内、または仕事の休憩時間や子供達を寝かしつけているベッドの中と場所や時間を問わずほぼラップトップで制作された曲は、ラップトップをまるでアコースティック・ギターの弾き語りのように用い、冷徹さの中に牧歌的なムードさえ感じさせる彼女の特有のヴォーカルが唯一無二の世界観を作り上げている。ざらざらとしたシンセサイザーのぼやけた音像、金属のきしむむような寂しげなサンプリング、不安定なドタドタとしたリズムが印象的。M10「Stay」のCOBYと歌声を交差させMICAが弾くギターのループに身を任せるRAISAの自然体に思わず涙。ML BUCH、YEULE達の音が好きな人は絶対刺さりまくる2025年必聴盤!

Jeanines『How Long Can It Last』/SKEPWAX029CD/Skep Wax Records

Jeanines『How Long Can It Last』

マサチューセッツ州を拠点に活動するAlicia JeanineとJed Smithによるインディ・ポップ・バンド、Jeaninesの3rdアルバム。Fairport Conventionの初期作品~Vashti Bunyanの60年代フォーク、Margo GuryanやLaura Nyroのサンシャイン・ポップ、Dear Nora、Marine Girls、Dolly Mixtureなど、多様な影響を反映した、独特のジャングリー・ポップアルバム。テーマは時に重いものの、メロディーとハーモニーはまさに天上的であり、これらの簡潔な楽曲を、まるで失われた名曲のような感覚へと高めている。全曲通して陽気な音とバンドマン的ロマンスを迸らせた熱い演奏も相まって一筋縄じゃいかない、だけどしっかり悶絶級のインディ・ポップを叩き出した快作。

Wet Leg『Moisturizer』/BRC790/Domino

Wet Leg『Moisturizer』

イギリス ワイト島出身の5人組バンド、Wet Legによる2025年2ndアルバム。デビューアルバム「Wet Leg」は、全英チャートはもちろん海外でも1位となり、グラミー賞3冠、ブリット・アワード2冠に輝き、5億回超のストリーミングを記録するなど、目覚ましい成果を次々と打ち立てた。「ポップ路線に行く」か、それとも「自分たちの直感を信じて進む」か。Wet Legは、迷うことなく後者を選択、そして再びプロデューサーとしてダン・キャリーとタッグを組んだ。タイトで刺激的なライブバンドへと進化し、デビュー作の成功を確固たるものにした。シングルカットされたM3「Catch These Fists」は挑発的で狂騒的で、いきなりエネルギー全開のイントロで幕を開ける圧倒的に爽快なダンス・パンク・チューン。ベースラインは唸るシンセの壁に跳ね返り、雷鳴のようなビートがリアンの冷酷なほどに無表情なボーカルと交錯する。アルバム全体としてはM7「Pond Song」で歌っているような深く恋に落ちるラブソングがメインで、ストレスに満ちたもの、感傷的なもの、欲望を剥き出しにしたもの、陶酔したもの、執着にまみれたもの、そしてミステリアスなものまで、あらゆる形の愛が詰まっている。





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