ゴールデンウィークの風物詩として親しまれているクラシック音楽の祭典「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO」が、今年も開催されます。初心者から熱心な愛好家まで、誰もが自由に音楽を楽しめるこの3日間、皆さんはもうチケットやプログラムのチェックなどの準備は万端でしょうか?
誰と行こうか、一人でじっくり楽しもうか、そしてどの公演を聴こうか……そんな風にプログラムを眺めて迷う時間も、LFJならではの醍醐味です。
今回のUSEN MUSIC LOUNGEは、USENのクラシック担当ディレクターが、数ある公演の中から、今年チェックしておくべき注目アーティストという視点でおすすめのプログラムを紹介します。 どの公演に行こうか迷っているというファンの方にとって、素敵な音楽との出会いのきっかけになれば幸いです。
アブデル・ラーマン・エル=バシャ(ピアノ)
LFJの常連として、日本のファンにも絶大な信頼を得ている巨匠アブデル・ラーマン・エル=バシャ。今年のステージでは、彼が最も深く慈しんできた作曲家、ショパンのプログラムを披露します。ショパンの全ピアノ作品を暗譜しているという驚異的な逸話を持つエル=バシャ。かつて協奏曲含むショパン全集をリリースするという金字塔を打ち立てましたが、還暦を機にショパンの再録音プロジェクトをスタートさせました。
▼アブデル・ラーマン・エル=バシャの公演(ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2026)
https://www.lfj.jp/lfj_2026/performance/artist/detail/art_A031.html
今回のLFJでは、「ピアノ協奏曲第2番」、「舟歌」、そして「24の前奏曲」を演奏。巨匠がたどり着いた”今の”ショパンを、ぜひ会場で味わいたいものです。2022年の新録音から「24の前奏曲より《雨だれ》」をYouTubeで。
アンヌ・ケフェレック(ピアノ)
こちらもLFJの常連としてファンに愛され続けているアンヌ・ケフェレック。今年は、同じくピアニストとして活躍する息子のガスパール・ドゥエンヌがLFJ初出演を果たします。一番の注目は、やはり親子共演。モーツァルトの「2台のピアノのための協奏曲」や、シューベルトの「幻想曲(4手のためのピアノ作品)」など、息の合った二人だからこそ到達できる濃密なプログラムが予定されています。
▼アンヌ・ケフェレックの公演(ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2026)
https://www.lfj.jp/lfj_2026/performance/artist/detail/art_A033.html
一方で、ケフェレックのソロ公演も見逃せません。バッハやヘンデルの独奏編曲、ショパンの「子守歌」、ドビュッシーの「水の反映」……そのラインナップを見ただけで、透き通るような美しい音色が耳に浮かぶようです。まさに”これぞケフェレック”というべき、気品あふれる世界観を堪能できるでしょう。2013年録音のバッハ&ヘンデルの演奏をYouTubeで。
アイレン・プリッチン(ヴァイオリン)
今、世界のクラシック界が熱い視線を注ぐロシアの若手実力派、アイレン・プリッチン。今年のLFJでは、彼の技巧と感性を存分に味わえる多彩なステージが用意されています。新日本フィルとの共演による「サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ」では、華やかな旋律を。また室内楽ではルーカス・ゲニューシャスとの「シューマン:ヴァイオリン・ソナタ第2番」、レミ・ジュニエとの「ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第1番《雨の歌》」など、現代最高峰の若手ピアニストたちとの豪華共演が楽しめます。
▼アイレン・プリッチンの公演(ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2026)
https://www.lfj.jp/lfj_2026/performance/artist/detail/art_A056.html
プリッチンとゲニューシャスは2021年にドビュッシー、レイナルド・アーン、ストラヴィンスキーを録音・リリースしています。ここではその録音の中から、演奏機会の少ない名曲、アーンの「ヴァイオリン・ソナタ」を。
フランソワ=フレデリック・ギィ(ピアノ)
ドイツ音楽の名手として揺るぎない地位を築き、ベートーヴェンのピアノ協奏曲・ソナタ全曲録音という金字塔を打ち立てているフランソワ=フレデリック・ギィ。LFJでもすっかりお馴染みの彼が、今年もその圧倒的な存在感を放ちます。今回の注目は、横浜シンフォニエッタとの共演による「ピアノ協奏曲第1番&第2番」。オーケストラとの濃密な対話から生まれる、ベートーヴェン初期の名作の瑞々しい響きは必聴でしょう。
▼フランソワ=フレデリック・ギィの公演(ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2026)
https://www.lfj.jp/lfj_2026/performance/artist/detail/art_A052.html
一方で、ソロ公演で見せる深化も見逃せません。披露されるのは、「ピアノ・ソナタ第17番《テンペスト》。ドラマチックで幻想的な世界観を、ギィがどう描き出すのか期待が高まります。華やかな協奏曲か、内省的なソロか……どちらも捨てがたい、贅沢な悩みに頭を抱えてしまいそうです。
フランソワ・ラザレヴィチ(笛)&レ・ミュジシャン・ド・サン=ジュリアン(古楽器アンサンブル)
フランス古楽界の至宝、フランソワ・ラザレヴィチ率いる古楽器アンサンブルが、満を持して日本へ初上陸!主宰のラザレヴィチは、バロックフルートに加え、古楽器「ミュゼット(バグパイプ)」の名手としても知られる稀有な存在。今回のLFJでは、バロックからロマン派の舞曲、さらには民俗音楽に至るまで、時代とジャンルを軽やかに横断する彼らならではの多彩なプログラムが用意されています。
▼フランソワ・ラザレヴィチの公演(ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2026)
https://www.lfj.jp/lfj_2026/performance/artist/detail/art_A025.html
▼レ・ミュジシャン・ド・サン=ジュリアンの公演(ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2026)
https://www.lfj.jp/lfj_2026/performance/artist/detail/art_A018.html
古楽の枠を超えた、生命力あふれる躍動的なステージはぜひ会場で体感したいですね!まずは彼らの魅力をYouTubeで。
アリエル・ベック(ピアノ)
アリエル・ベック(ピアノ)
「今年のLFJで誰を聴くべき?」と聞かれたら、真っ先に名前を挙げたい!個人的にも大注目の新星、アリエル・ベックです。弱冠17歳ながら、その実力は折り紙付き。今回は大阪フィルと共に、名曲「シューマン:ピアノ協奏曲」を披露してくれます。昨年リリースされた彼女のデビューアルバムでもシューマンの作品が取り上げられていますが、彼女にとってシューマンは、幼少期から特別な思い入れがある作曲家なのだそう。アリエルの瑞々しい感性と、深い作品愛が溶け合う感動のステージになることでしょう。
▼アリエル・ベックの公演(ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2026)
https://www.lfj.jp/lfj_2026/performance/artist/detail/art_A032.html
こちらは今年ひと足早くフランス・ナントにて開催されたラ・フォル・ジュルネでの演奏です。
プソフォス弦楽四重奏団(室内楽)
モディリアーニ、エベーヌ、トリオ・ヴァンダラー……毎年、世界最高峰の室内楽団を至近距離で堪能できるのは、ラ・フォル・ジュルネの魅力のひとつです。その中で今年気になっているのが、結成30周年の節目を迎える名門プソフォス弦楽四重奏団。彼らは今回、先に紹介したアリエル・ベックと共に、室内楽の金字塔「シューマン:ピアノ五重奏曲」を演奏します。熟練のアンサンブルを誇るベテラン四重奏団と、瑞々しい感性溢れる若き才能。この世代を超えた出会いが、シューマンの名曲にどのような「化学反応」を引き起こすのでしょうか。音楽祭ならではの一期一会の瞬間に、期待が膨らみます。
▼プソフォス弦楽四重奏団の公演(ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2026)
https://www.lfj.jp/lfj_2026/performance/artist/detail/art_A017.html
こちらでは2020年録音のプソフォスSQによる「ハイドン:弦楽四重奏曲 ト長調 Op. 54-1 (Hob. III: 58)」より一楽章を。
トリオ・オウオン(室内楽)
ヴァイオリンのオリヴィエ・シャルリエ、チェロのヤン・ソンウォン、ピアノのエマニュエル・シュトロッセ。2009年の結成以来、世界を舞台に深い対話を重ねてきた「トリオ・オウオン」が、今年のLFJに登場します。今回彼らが披露するのは、室内楽ファン垂涎のプログラム。 シューマンの情熱がほとばしる「第1番」、シューベルト晩年の傑作「第2番」、そして民族的な哀愁漂うドヴォルザークの「ドゥムキー」。
▼トリオ・オウオンの公演(ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2026)
https://www.lfj.jp/lfj_2026/performance/artist/detail/art_A015.html
それぞれがソロ奏者として第一線で活躍するベテランだからこそ成し得る、強固で安定したアンサンブル。音楽の深い呼吸を感じさせる彼らのステージは、今年聴くべき公演として自信を持っておすすめします!こちらでは韓国のライヴコンテンツStudio KIWAでの演奏を。
いかがでしたか?今回ここで紹介したのは数ある魅力的なプログラムのごく一部にすぎません。今年の「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO」では、他にも注目のアーティストによる素晴らしいステージが目白押しです。
USENの「クラシック特集」チャンネルでは、4月1日(金)から5月31日(日)まで、『ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2026「LES FLEUVES(レ・フルーヴ)―― 大河」』の開催にあわせて出演アーティストにスポットを当てた特別プログラムを放送中です。彼らの新旧のリリース音源の中から、選び抜いた名演をお届けします。
音楽祭へ行く前の予習として、そして鑑賞後の余韻に浸るひとときにぜひ!
(おわり)
文/大森有花
▼USENの『ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2026「LES FLEUVES(レ・フルーヴ)―― 大河」』特集は、2026年4月1日(金)から5月31日(日)まで
クラシック特集(USEN MUSIC GUIDE)

大森有花(おおもり ゆか)PROFILE
株式会社USEN 編成部。クラシックをメインに、各チャンネルの選曲、ディレクションを担当。ラ・フォル・ジュルネ TOKYOは、実は「ウェルカム・キッズ&ベビー」な音楽祭。オフィス街の丸の内も、最近は子連れママに嬉しいスポットがぐんと増えました。さて今年は子どもたちを連れて賑やかに行くか、それとも一人時間を確保してリフレッシュするか……どちらも捨てがたい、究極の選択になりそうです。

ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2026「LES FLEUVES(レ・フルーヴ)― 大河」LIVE INFO
2026年5月3日(日)~5月5日(火)
東京国際フォーラム、大手町、丸の内、有楽町、東京駅、京橋、銀座、八重洲、日比谷
関連リンク
…… and more!
-
ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2026「LES FLEUVES(レ・フルーヴ) ― 大河」、公演プログラムなどの全容を発表!
ライブ/イベント情報 -
年末年始に聴きたいクラシック Vol. 3――ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサート
USEN/U-NEXT関連 -
年末年始に聴きたいクラシック Vol. 2――ベートーヴェンの交響曲第9番「合唱付き」
USEN/U-NEXT関連 -
年末年始に聴きたいクラシック Vol. 1――チャイコフスキーのバレエ音楽「くるみ割り人形」
USEN/U-NEXT関連 -
夏の避暑地のCLASSIC――「やさしいクラシック」「クラシック(デイ)」......and more
USEN/U-NEXT関連 -
夏休みCLASSIC入門!近現代音楽編――「フレンチスタイル・クラシック」
USEN/U-NEXT関連 -
夏休みCLASSIC入門!ロマン派音楽編――「シューベルト」「ショパン」「ブラームス」「チャイコフスキー」「ラフマニノフ」
USEN/U-NEXT関連 -
夏休みCLASSIC入門!古典派音楽編――「モーツァルト」「ベートーヴェン」
USEN/U-NEXT関連 -
夏休みCLASSIC入門!バロック音楽編――「バロック」「バッハ」「ヴィヴァルディ」
USEN/U-NEXT関連
