──4月の『FooDFooDFooD 2026』ではベリーグッドマンのステージでコラボされていましたね。“感慨深いステージだ”とXに書かれていましたが、改めてコラボステージを振り返っていただいてもいいですか?

聖七「ステージに立つ前に、ベリーグッドマンの3人と僕たちの5人でリハーサルをしたんですが、その時点で泣きそうになってしまいました」

十夢「イヤモニには5人の声しか返ってこないので完全アカペラみたいな聴こえ方になるんです。それでもう泣きそうになってしまって…本番もとても良かったです。僕たちと声質が合う気がしていて、歌っていても心地よくて。何よりも「さくら」は僕たちがずっと聴いてきた楽曲でもあるので、僕も泣きそうでした」

──そもそもコラボすることになったのはどういう経緯だったのでしょうか?

聖七「少し前にClubhouseというSNSが流行りましたよね。そこでベリーグッドマンさんと出会いました。そこから仲良くなって、“いつかコラボしたい”と思っていて。今回は同じフェスに出演するということで、コラボできるいい機会だと思って、季節的にも合いますし、僕たちがベリーグッドマンさんの曲の中で一番好きな「さくら」でコラボできないかな?と思って提案させてもらいました。聞くところによると「さくら」はベリーグッドマンも7年くらいライブで歌っていなかったらしくて」

十夢「“頑張って歌詞を覚えました”と言っていました(笑)」

聖七「そういう意味では僕たちはもちろん、ベリーグッドマンさんのファンも嬉しかったんじゃないかな?」

──そんな4月を経て、5月27日に鈴木鈴木の新曲「二人旅」が…。

十夢「(食い気味に)良いんですよ〜!」

──はい、間違いないです。5月27日に新曲「二人旅」が配信リリースされました。「二人旅」という曲名が出ただけで“良いんですよ!”と言ってしまうほど、お二人にとっても渾身の1曲だと思いますが、改めてこの曲について教えてください。

十夢「ウェディングソングです。これから結婚される方や最近結婚した方はもちろん、僕たちの両親を含めて上の世代の方にもぜひ届いてほしい楽曲です。曲自体は随分前にできていて、リリースまで2年半温めてきたので、その分、僕たちの魂も入っています」

──2年半前、そもそもこの曲を作ろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

十夢「大きなきっかけはなかった気がするんですけど、作った曲を母親に聴かせたら“どうしてあなたは自分の感情しか書かないの? もっと女性の気持ちを書いてみたら?”と言われて、そこからだんだんウェディングソングになっていきました。最初はもっとまっすぐなラブソングでした」

聖七「僕たちにはウェディングソングがなかったから欲しいとは思っていたんです。年齢的にも友達が結婚し始めるようになってきたから結婚式で僕たちのウェディングソングを使ってほしいですし。そういうこともあって、最初に兄から出来上がったものが送られてきたときは泣きました…良すぎて! 僕たちは結婚していないですけど、友達の結婚式を見たり、両親やおじいちゃんおばあちゃんの姿も見ながら作ったウェディングソングなので、リアルではないですけどリアルなウェディングソングだと思いました」

──TikTokで、ご両親が旅行に行っていたときの写真が送られてきたエピソードを添えられていたのも素敵でした。

聖七「ウェディングソングとしてブラッシュアップしていくタイミングくらいで両親の写真を見たんです。そう考えると、この曲はある種、両親の曲かもしれないです」

十夢「だからこの曲はもちろんいろんな人に届けたいですけど、やっぱり一番は僕たちの両親に届いてほしいです」

──ご両親はもうお聴きに…?

聖七「はい。実家に帰ったときに“ミッスク段階だけど”と言って聴いてもらいました。母親が号泣していました」

──この曲はリリース前からTikTokで解禁されていました。そこにも、曲に対する感想がたくさん溢れていましたね。

聖七「まさにその反応を見たかったんです。僕たちとしては“2年くらい温めてきた曲を満を持してリリースする”という意気込みだったのですが、初めて聴いた人はどう思うのかな?と思って。そしたら、いいリアクションが多かったので良かったです」

十夢
聖七

──ちなみに、2年前には出来ていた楽曲をこのタイミングでリリースしたのはどうしてだったのでしょうか?

聖七「2年前に兄がこの曲を作ったときに…手前味噌ですが、“この曲はみんなに聴かれるだろう”と思ったんです」

──勝負曲になると?

聖七「はい。だからこそ、リリースするタイミングが大事だと思って、タイミングを測っていました。そこで、僕たちの体制も整って、結婚式シーズンにもあわせられる2026年の527日にリリースすることになりました」

──ということは、お二人にとって今は勝負どきでもある?

聖七「そうですね」

十夢「来年10周年を迎えるので、より加速していきたいというタイミングです」

聖七「はい。今年はすごく大事です!」

──この曲はゆったりとしたバラードですが、レコーディングで歌う際に意識したことはありますか?

聖七「僕は友達の結婚式を勝手に想像していました。結婚しているけど結婚式を挙げていない友達がいて。その2人の結婚式を勝手に想像しながら歌っていました」

──しっかりと祝福の想いが入ったんですね。そうすることで、普段とは違うものが出たりしたのでしょうか?

聖七「出ました。Dメロの部分<想像以上 難航する⻑旅になるけど 唯⼀覚悟は前からずっと出来ている>は泣きながら歌いました」

──レコーディングまでに何度も聴いているはずなのに、それでも歌うとなると込み上げるものが…。

聖七「それがこの曲のすごいところなんです」

──確かにそうですね。十夢さんは歌う上で意識したことはありますか?

十夢「もちろん感情も大切なんですけど、僕は魂を入れすぎると聴き疲れしてしまうと思っていて。聴き疲れして2回目を聴いてもらえないのは嫌だったので、僕はそこまで感情を入れ過ぎず、語尾も伸ばし過ぎないということを考えながら歌っていました」

──バラードだと、感情を乗せようと思えばどこまででも乗せられますから。

十夢「はい。それはライブでやればいいと思っていて。まずはこの曲をどれだけ世の中に届けられるかを考えながらレコーディングしました」

──聖七さんがDメロで涙したというお話もありましたが、特に好きな歌詞やフレーズがあれば教えてください。

聖七「僕はやっぱりさっきも話したDメロです。まず、僕的に感情を込めやすいメロディラインで…しかもそこに乗っている歌詞の語呂も気持ちいいですし、あとはシンプルに歌詞がいいです」

十夢「それこそ唯一、“感情を爆発させていいよ”と言ったところだしね」

聖七「僕たち、お互いが歌うパートを、お互いにディレクションし合っているんです」

十夢「そう。だからここは僕が“これでいこう”と言ったんです。多分、このDメロまで聴いた人は最後まで聴いてくれるから、感情もりもりでも大丈夫だと思って。で、“感情爆していいよ”と言ったら…泣いていました(笑)」

聖七「はい。泣きました」

十夢「僕が好きな歌詞は<ぼくといればきみは綺麗なままだよ>と<ぼくといればきみは綺麗なママだよ>のところです。この言葉遊びはうまくいったと思います。聖七にも“天才だ!”と言われました(笑)」

聖七「本当に思いました。楽曲の構成上、この歌詞がなくなるかもしれなかったんです。だけど“この歌詞がなくなるのはヤバい!”と思って“絶対に入れたほうがいい”と言いました」

──十夢さんの好きな歌詞なのに、聖七さんのほうが熱く語ってくださるという(笑)。

聖七「いや、だって本当にすごいいいんですよ。母が言ってましたもん、「本当に二人が作ったの?」って(笑)」

十夢「“いやいや、あなたたちの人生、知ってますから”っていう」

──ご両親のことを想ってこの歌詞が出てくるというのも素敵ですね。

聖七「そう考えると、この曲の主人公って僕たちの親父ってこと?」

十夢「うん。実際、うちの親父って不器用なんですよ。だから2番の<下⼿っぴな愛情>とか、まさに親父です。親父の不器用な感じも可愛いんですよ。いや〜、この曲いい曲やな〜」

──何より、お二人がそう思えるのが素敵ですね。しかも、この曲はウェディングソングであり、ご両親のことを歌った曲でありながら、鈴木鈴木というユニットについても歌っていますよね。最後の<苗字は⼀つに ⼆⼈旅>というフレーズは兄弟のお二人だからこそ説得力も増します。

十夢「結成してからの9年間、鈴木鈴木として旅をしてきた僕たちにも当てはまる曲だと、曲ができてから気づきました」

──自然とご自身たちの道のりも反映されているんでしょうね。

──そしてミュージックビデオは9番街レトロと田中美久さんが出演するドラマチックで感動的な作品です。

聖七「ずっと“ウェディングソングや恋愛のバラードにはお笑い芸人さんにお願いしたい”と思っていました。芸人さんって下積みがある人たちが多いじゃないですか。お金もそんなにない中、ボロボロになりながらも頑張っているイメージがあって…。そういうものを経験してきた方だからこそ出せる、泥臭さが表現できるのはお笑い芸人さんだと思っていたんです」

──“二人旅”というテーマも、お笑い芸人さんの人生とも重なりますしね。

聖七「そうなんです」

──撮影はいかがでしたか?

聖七「とても楽しかったです」

十夢「楽しかったね」

聖七「会場のチャペルもすごく綺麗で、自分たちが作りたかった作品になっていると思いながら撮影できました。キャストの皆さんともいろいろお話をさせていただいて。皆さん“いい曲ですね”と言ってくださって嬉しかったです。9番街レトロの京極(風斗)さんは、アカペラをやっているから通ずるところもありましたし」

──そんな渾身の「二人旅」、出来上がってみていかがですか?

十夢「まだほっとはしていないです。もちろん完成して良かったという気持ちはありますけど…まだ何かが足りない気がしていて」

──目に見える結果を待っているとかでしょうか?

十夢「そういう自分がいるのかもしれないです。もちろん、今もたくさんの人に聴いてもらえていますし、両親にもちゃんと届いていて嬉しいですけど…多分、“欲の鈴木十夢”が出てきているんだと思います(笑)」

聖七「“欲の鈴木聖七”もいます(笑)。この曲は、日本人全員が聴いていないと嫌なんです。…ちょっと強気に出過ぎた?(笑) もちろん好みはあると思うんですけど…」

──それこそ結婚式で使われたり、カラオケで歌われたりして、じわじわ火がついていくタイプの曲かもしれないですね。

十夢「そうですね。今、その言葉で救われたような気がします」

──先ほどのお話でも少し出てきましたが、お二人から見たお父さま、お母さまはどんな方なのかも、この機会に少し教えてください。

十夢「親父は不器用ですね」

聖七「僕たちの前だとすごくカッコつけます」

十夢「だけど、僕たちがいないときは母親に結構甘えています」

聖七「それ、言っちゃって大丈夫?(笑)」

十夢「多分、このインタビューを読んで笑ってると思う(笑)」

聖七「母はすごく気さくで、僕たちだけじゃなくて、僕たちの友達にもしゃべりかけます。そんな母親に僕は何度もすごく救われていて…誰も気づかないようなことに気づくんです」

十夢「母親ってすごいよな」

聖七「母は偉大です。僕たち、母親のこと“オカン”とかじゃなくて、名前で呼んでいるんです。友達みたいな感じです」

──ご両親は鈴木鈴木の活動はどうご覧になっていますか? 応援してくれていますか?

聖七「はい。一番応援してくれています。さっき“親父は不器用だ”と言いましたが、僕たちがテレビに出たとき、母親に背を向けて泣いていたらしいです」

──素敵!

聖七「息子からしたら“泣くんや!”って驚きましたけど」

十夢 「ONE PIECE」のナミのシーンでしか泣いたことないって言ってたから(笑)。

聖七「でもその話を聞いて、少しだけでも親孝行できているのかな?って思いましたし、これからも一生親父を泣かせ続けたいと思います」

十夢「母はすぐ泣いてくれるので(笑)」

──2017年3月に活動をスタートさせた鈴木鈴木は、現在10周年イヤーです。これまでを振り返って、ご自身のなかで音楽や歌うことに対する考え方向き合い方が変わったターニングポイントを挙げるとしたらどこですか?

十夢「「海のリビング」(202218月リリース)をリリースたあとくらいです。ありがたいことにヒット…と言っていいのかわからないですけど、僕たちの名前が広がって、そこからいろんな方と出会うようになって。その中には想像以上に歌が上手い人たちがたくさんいて。そこで音楽や歌に対する考え方がかりました。“そんなに簡単じゃないんだよ”ってわかったというか…」

──さらにレベルの高いところに意識が向いたんですね。

十夢「はい。そこから歌い方もかなり変わりました」

──十夢さんの歌い方の変化は聖七さんも感じましたか?

聖七「はい。ずっと一緒にやっているので少しの変化にも気づきます。それで言うと、“自信がついたのかな?”とも思いました」

十夢「確かにそれもあるのかも。聖七も同じようなタイミングで歌い方が変わったから、ターニングポイントも同じじゃない?」

聖七「それもあるんだけど、僕は自分たちで会社を立ち上げたタイミングだと思っていて…」

十夢「あー、そうだね」

聖七「3年前くらいに自分たちでマネジメント会社を立ち上げたんです。事務所にやってもらってうまくいかなかったときに“もっと自分たちにできることがあったんじゃないか?”と思ってしまうのが嫌だったので…。だったら全部自分たちでできる形を取りたいと思って会社を立ち上げました。仲間に従業員という形で働いてもらって、一緒に活動してもらっています。アーティストってそういう内部事情を知らない人も多いと思うんですけど、僕たちはそれらを知っています。それはアーティストとしての強みにもなっていくと思いますし、自分たちでやってよかったと思っています」

十夢「スタッフたちもみんな僕たちが活動しやすいように頑張ってくれているので助かっています」

──今のお話を伺うと、改めて「二人旅」が鈴木鈴木の活動にもリンクしますね。<想像以上 難航する⻑旅になるけど 唯⼀覚悟は前からずっと出来ている>と歌っていますから。

聖七「確かに」

──2年前に作った「二人旅」をリリースした鈴木鈴木ですが、この先はどういった活動をしていきたい、どういった曲を作っていきたいと考えていますか?

聖七「これまでと変わらずです。自分たちが作りたいものをしっかり作る。ときどき見失いそうになるので、スタッフにも協力してもらいながら、ドームでライブができるようになるまで突っ走るだけです。あれやこれや考えるのは僕たちには向いていないので」

十夢「僕は、歌…特に僕たちの歌では小さな幸せを書くべきだと思っているので、そういう小さな幸せを感じられるような楽曲をこれからも作っていきたいです。そうやって死ぬまでに“名曲”と呼ばれる楽曲を何曲残せるか? それも考えながら突っ走っていこうと思っています」

(おわり)

取材・文/小林千絵
写真/井上友里

RELEASE INFORMATION

鈴木鈴木「二人旅」

2026年527日(水)配信

鈴木鈴木「二人旅」

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