2006年にシングル「僕らの輝き」でデビュー。生々しい感情や経験を詩的に描いた歌詞、ロックンロール、アシッドフォーク、ポップスなどを自在に取り込んだサウンド、そして、聴く者の心と身体を刺激するボーカルによって、音楽ファンからの幅広い支持を得てきた。
今年8月にはアンソロジー・アルバム『Archives#2』を発表。2016年から2026年の間にリリースされた配信シングルを中心に、6枚のアルバム/ミニ・アルバムからセレクトされた楽曲、さらに「ライラ」「恋だったのさ」「宿る」など新録曲6曲を加えた全32曲を収めた本作は、この10年の軌跡と現在の長澤の充実ぶりが刻み込まれている。
そして8月15日(土)には、長澤とオフィスオーガスタの同期でもある秦 基博のデビュー20周年をフィーチャーした「Augusta Camp 2026 ~HATA MOTOHIRO & NAGASAWA TOMOYUKI 20th Anniversary~」を横浜ぴあアリーナMMで開催。アニバーサリーを彩る活動が続いている。
イベント「RIDE」は、2007年から始まった2マン企画。今年結成20周年を迎え、5月に初の日本武道館ライブを成功させたa flood of circleをゲストに迎え、互いのリスペクトが響き合う圧巻のステージが繰り広げられた。

最初に登場したのはa flood of circle。普段からリハーサルを行わない佐々木亮介(Vo,Gt)が開演10分前に一人でステージに上がり、ギターとマイクをチェック。19時ちょうどに渡邊一丘(Dr)、HISAYO(Ba)、アオキテツ(Gt)も姿を見せ、「KILLER KILLER」でライブをスタートさせた。
そのまま「ロックンロールバンド」「Human License」を続けたのだが、佐々木のギターのストラップが1曲演奏するたびにはずれ、そのたびにガムテープでくっつけようとする。フロアの照明はつけっぱなしで、ステージのライトもそのまま。演出もなにもない状態でただただロックンロールを叩きつける、いつも通りのa flood of circleだ。
「諦めてくださいね。ジョン・レノンとかカート・コバーンとか、本物の人はもういないので。そんななかでも、長澤知之って人がこの世にいるっていう。ラッキー」(佐々木)というMC、〈君が生きてる時代に間に合った〉というアカペラから始まったのは「マイ・モーターサイクル・ダイアリーズ」。「理由なき反抗(The Rebel Age)」では佐々木がステージを降り、フロアを通ってバーカウンターに向かうがライブ中は販売しておらず、そのまま客の中で歌いまくる。ラストはベストアルバム『革命未遂の蝶が見る夢』に収録された新曲「ロックンロール(Recorded at 日本武道館)」。最後は独りで〈ロックロール 君の戦いは 誰の目にも映らずに続くだろう〉と叫び、ステージを後にした。

そして、長澤知之のステージへ。バンドメンバーの松江 潤(Gt)、山本健太(Key)、須藤俊明(Ba)、吉田佳史(Dr)とともに登場した長澤が選んだ1曲目は新曲「100%」だった。4つ打ちのキックに続いたのは、鋭さと解放感を併せ持ったギターフレーズ。心地よく疾走するビート、気持ちよく上昇していくメロディ、そして、〈いつか100%になりたい〉というフレーズが共鳴し、観客のテンションを一気に引き上げる。さらに圧倒的なスピード感とアグレッシブな歌声がぶつかり合うアッパーチューン「渋谷のスーパーラット」を放ち、極彩色のサウンドのなかでロックンロールの激情が炸裂する「THE ROLE」、豪快にしてしなやかなバンドグルーヴが渦巻く「JUNKLIFE」と1stフルアルバム「JUNKLIFE」収録曲を続ける。20年のキャリアを自由に行き来するようなセットリストとともに、“今”の長澤知之がダイレクトに伝わってくる。
「「RIDE」に来てくれてありがとう。a flood of circle最高でした!」という挨拶の後は、長澤の歌をじっくりと堪能できる時間が続いた。孤独と絶望、“もし戻れたら、ちゃんと伝えるのに”という切実な願いをあっけらかんとしたパワーで歌い上げる「広い海の真ん中で」、〈ただ会いたい人はどこにもいない〉という人生の本質を射抜くようなフレーズが突き刺さる「センチメンタルフリーク」。あまりにも赤裸々、あまりにも生々しい感情がダイレクトに刻まれた歌はやはり唯一無二だ。

この日のライブの最初のクライマックスは「蜘蛛の糸」だった。切なさと美しさを内包したギターのフレーズが聴こえてきた瞬間、どよめきにも似た歓声が沸き起こったこの曲は長澤の代表曲のひとつ。“部屋に寝転がり、蜘蛛を見ている”というシチュエーションから始まり、〈明日の奇跡をまっている 天井の君を見つめて〉というフレーズに至るまでの心の動きを壮大なロックナンバーに結び付けていく。ライブでこの曲を聴くことはまちがいなく、長澤自身の感情を追体験することにつながっている。ボーカルをしっかりと際立たせつつ、プレイヤーとしてのセンスや癖を存分に発揮しまくるバンドメンバーの演奏も素晴らしい。
「デビューの頃から聴いてくれてる人は、ファミリーだと思っています。ただ、僕は更新したいんですね。“最近聴き始めた”という人がいることを、ずっと聴いてくれている人たちはどうぞ誇りに思ってください。あなたの好きなアーティストは、いい曲を書き続けています」
そんな言葉の後は、『Archives#2』に収められた新曲が続いた。サイケデリアが滲む音像とともに、遥かなる太古や宇宙とのつながりを感じさせる歌が広がる「宿る」。儚く、美しい旋律がメロディメイカーとしての才能をあらためて証明する「ライラ」。そして、〈迷いながら 傷つきながら/それでも 夢中だった〉というフレーズと長澤と音楽の関係を想起させる「恋だったのさ」。これらの楽曲が示しているのは、長澤知之というアーティストが今、新たなピークに向かっているという事実だ。

煌びやかで狂おしい歌声で会場全体を包み込んだ「バベル」で本編は終了。アンコールでは長澤と佐々木が登場し、a flood of circleの「オーロラソング」、長澤の「俺はグビ」をアコースティックスタイルで披露。さらに長澤のバンドメンバーも加わり「明日のラストナイト」をセッションし、イベントはエンディングを迎えた。
キャリアを網羅しつつ、現在進行形の表現をダイレクトに魅せつけた長澤知之。10月からスタートする「長澤知之~20th~Anniversary「恋だったのさ~TOUR」」のファイナルは、2027年2月28日(日)の東京・大手町三井ホール公演。進化を続ける長澤の現在地をライブ会場で体感してほしいと心から願う。
(おわり)
取材・文/森 朋之
写真/福政良治

a flood of circle TOUR 革命未遂の蝶が見る夢LIVE INFO
2026年8月26日(水) 千葉 LOOK
8月28日(金) 渋谷 CLUB QUATTRO
9月10日(木) 小倉 FUSE
9月11日(金) 大分 club SPOT
9月13日(日) 鹿児島 SR HALL
9月15日(火) 神戸 太陽と虎
9月20日(日) 福山 Cable
9月23日(水・祝) 浜松 窓枠
10月1日(木) いわき club SONIC
10月3日(土) 八戸 ROXX
10月4日(日) 秋田 SWINDLE
10月14日(水) 高松 DIME
10月16日(金) 奈良 NEVERLAND
10月17日(土) 京都 磔磔
10月22日(木) 札幌 Bessie Hall
10月23日(金) 旭川 CASINO DRIVE
10月25日(日) 函館 ARARA
10月29日(木) 金沢 vanvanV4
10月30日(金) 新潟 GOLDEN PIGS RED
11月1日(日) 長野 J
11月6日(金) 仙台 darwin
11月12日(木) 横浜 F.A.D
11月19日(木) 松山 Wstudio RED
11月21日(土) 高知X-pt.
12月2日(水) 四日市 CLUB CHAOS
12月4日(金) 岡山 PEPPERLAND
12月5日(土) 米子 AZTiC laughs
12月18日(金) 広島SECOND CRUTCH
12月20日(日) 福岡BEAT STATION
2027年1月15日(金) 大阪BIGCAT
1月17日(日) 名古屋THE BOTTOM LINE
1月24日(日) 豊洲PIT
1月30日(土) 沖縄OutPut(EXTRA SHOW)
1月31日(日) 沖縄OutPut(EXTRA SHOW)

長澤知之 20th Anniversary「恋だったのさ TOUR」LIVE INFO
2026年10月10日(土)くぅ(北海道)
10月18日(日)ジョイアミーア(新潟)
10月25日(日)TOKUZO(愛知)※DUO公演
11月7日(土)someno kyoto(京都)
11月8日(日)城下公会堂 in KOTYAE(岡山)
11月14日(土)悠日(栃木)
11月15日(日)Retro Back Page(宮城)※DUO公演
1月21日(土)LIV LABO(福岡)※DUO公演
2027年1月23日(土)高松燦庫(香川)
1月24日(日)梅田Shangri-La(大阪)※DUO公演
2月28日(日)大手町三井ホール(東京)
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