開演前から波音に包まれていた東京ガーデンシアター。モニターに映し出された映像も海の底のような神秘的なイメージだ。

アルバム『WAVE』を引っ提げた、亀梨和也独立後の初ライブツアーは、彼自身のセルフプロデュースによるもの。亀梨の美学とこだわりが、随所に詰まったものになっていた。

だが、実はこの昼公演、チケットのシステムトラブルで開演が30分以上遅延。そのため亀梨本人が最初は影アナでオーディエンスに詫び、それでもトラブルが解消されないと知ると、ついにはステージに姿を現して、自ら“前説”を始めたのだ。

しかも、そのトークの内容が、彼がこの日の朝、サウナでデジタルトラブルに遭遇したというもの。アクシデントを逆手に取った楽しく気の利いた話で観客をなごませるところが、さすがエンターテイナー。

そして、トラブルが解消されると「カッコつけてきます」と言って、本来のオープニングポジションに戻っていった。

そんな経緯でスタートしたにも関わらず、1曲目の『POMPEII』からアーティスト・亀梨和也ワールドが全開!

紗幕の向こうには黒いレースのアイマスクをした亀梨。その姿がスポットライトの中に浮かび上がった瞬間から、さっきまで笑顔だったオーディエンスをライブの世界に没入させたのだ。

火山が噴火し、マグマが吹き出す映像をバックに黒い衣装の亀梨が白い衣装のダンサー6人と共にパフォーマンス。マグマの赤、亀梨の黒、ダンサーの白という対比が実に鮮やかだ。しかも、楽曲は2人だけの地獄に落ちるという情熱的な愛の歌。1曲目から7000人の観客の目を釘付けにしてみせる。

演出を担当した亀梨は、おそらく楽曲ごとの色彩にもこだわったのだろう。続く『WAVE』ではステージ全体をブルーで統一し、亀梨も白いセットアップに衣装チェンジ。セットの額縁に座り、海の中でたゆうように歌う様が、なんとも美しい。

雨の映像が楽曲のせつなさを増幅させていた『Rain』。ダンサーと共にキレのいいダンスを見せたオシャレなナンバー『That is that』。そしてソファを使った演出でセクシーな空間を作り上げた『ゆらゆら』と続けていく。

亀梨和也が持つ幅広い世界を1stブロックから惜しげもなく披露。ライブでも、最初からエンターテイナーの本領を発揮していた。

2ndブロックもアルバム『WAVE』の楽曲を中心に。

ドラムが刻むビートが聴く者の気持ちを高揚させる『Crushing On You』では、電球スタンドを持ったダンサーが亀梨を取り囲んで夜の雰囲気を醸し出したかと思えば、『36度5分』では、その中央にいた亀梨が頭に三角巾をして登場するというユーモラスな場面も。“君がきっと僕を生かしている”という歌詞になぞらえ、オーディエンスの声援の大きさで蘇生するという演出になっていたのだ。

『Crushing On You』の際には黄色く輝いていたダンサーが手にしたロープも血管のように赤く光り、まるで脈打っているよう。こういった楽曲が持つ意味を生かした演出が、とても印象的だった。

その一方、シンプルにバンド演奏と歌で聴かせる楽曲も存在。愛する人との間に生まれる化学反応に喜びを感じると歌うロッカバラード『Chemistry』では、主人公の心情をストレートに
歌い上げ、バンドサウンドが炸裂したアグレッシブなロックチューン『Cross』では、亀梨もエネルギッシュにシャウト!

そして、別れと出会いを描いた『さよならの代わりに』は、繊細なバンド演奏と一緒に説得力あるボーカルを聴かせるといった具合。作り込んだ演出も圧巻だが、表情や歌い方、声のトーンを変えながら楽曲を表現してみせる力も、また秀逸だ。

KAT-TUN時代の2017年に行った1stソロコンサート以来、およそ9年ぶりだった、今回のツアー。その9年間に積んだ経験が、表現者としての亀梨和也をさらにスケールアップさせたことは間違いない。

この日は亀梨本人のご両親もライブに参加。おそらく多少の照れもあるのだろう、MCでは、
楽屋にやってきた父親が、亀梨に会った瞬間に振込用紙を差し出したことなどを面白おかしく、だが、楽しそうにトーク。アーティストとはまた別の親しみやすい一面を見せてくれた。

さらに衣装チェンジの様子も映像つきで実況したり、アンコールでパフォーマンスする『Love it!!』の振付をオーディエンスにレクチャーしたりとファンとの距離を縮める場面も。

スター性を感じさせるステージでの姿と人間・亀梨和也のギャップ。それも彼の魅力になっているのだろう。

チェックのシャツに着替えて『TALK to ME』を歌ったあとは、これまでの亀梨の歴史を辿るかのような3rdブロックへ。

和柄の羽織を身に着けた妖艶な姿でパフォーマンスした『1582』ではフライングも見せ、ワインレッドの華やかな衣装で見せた『LOST MY WAY』と『Plastic Tears』では、ダンサーを従えてミステリアス、かつスリリングなステージを展開。

そして、男女のダンサーが刹那的な愛をダンスで表現した『CAN'T CRY』で観客を楽曲の世界に誘った次の瞬間、亀梨がアリーナにトロッコで登場!ファンへの思いを歌ったような『someday for somebody』をタップリのファンサービスと共に7000人と分かち合ったのだ。

東京ガーデンシアターを埋め尽くしたオーディエンスは、誰もが幸せそうな笑顔に。亀梨和也の本領発揮といったブロックになっていた。

本編最後のブロックは、ハットに黒のセットアップという衣装でスタイリッシュに。メッセージ性のあるドラマチックな楽曲『現在』。

深くかぶっていたハットを浅くかぶり直して表情を見せて歌った、爽快感ある『Diamond』。

亀梨が「もっともっと来いよ!」とあおると、客席からサビの大合唱が沸き起こった『'O sole mio』。

赤いリボンを亀梨が手に巻き付け、やはり赤いグローブをしたダンサーと
一緒に物語性の高い一幕を作り上げた『Passion Overdose』と、最後まで様々な演出でオーディエンスを魅了してくれたのだ。

そして、本編ラストには、強く深い愛情を感じる『ここにいなくても』をチョイス。ラブソングだが、ファンへ捧げた曲にも感じられるナンバーで本編を締めくくり、自分でシルバーの紙吹雪を舞い散らして、亀梨はステージから去っていった。

MCタイムに振付をレクチャーした『Love it!!』を含め、アンコールでも『The truth』『手をのばせ』『絆』の4曲を披露し、アーティスト・亀梨和也の現在地を存分に見せてくれた

独立後初のツアー。彼の新たなる船出が、この場所から始まったのだ。

取材・文/高橋栄理子

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