「OTORAKU -音・楽- 」に関口シンゴのキュレーションによるプレイリストがローンチ！

――2022年は「Tender Rose」や「Raincoat」といったソロ作、Ovall名義でも「Find you in the dark feat. Nenashi」をリリースしつつ、さまざまなアーティストのプロデュースワークもありましたが、関口さん自身の印象はいかがですか。

「昨年は制作活動もしつつ、フェスやイベントなどへのライブ出演がかなり復活してきた年でもありました。「Find you in the dark feat. Nenashi」も音源ではわりとゆったりした印象ですが、ライブでは結構熱量高く盛り上がる曲になっていて、Nenashiのライブパフォーマンスも相まってフェスなどで印象的なシーンを何度も作れた気がします。やっぱりライブはいいなあと改めて感じましたね」

――2022年11月にリリースされた、さかいゆう＆origami PRODUCTIONS『CITY POP LOVERS』や、Keishi Tanaka『Let Me Feel It』などへの参加がソロ作品にインスピレーションを与えていると実感することは？

「それはとてもあると思います。さまざまな種類のプロジェクトに関わらせてもらっていますが、そこで得たものは必ず別のフィールドで活かされますね。だからバンドもソロもプロデュースも自分には欠かせないもの。楽曲の制作やアレンジでは、いつでも一度リスナーの耳に立ち返って聴くことが大切だと思います。その曲やデモを聴いて無条件に良いと思えるか、いつも自分に確認しています」

――ソロとOvallの活動で、クリエイティブやプレイのスタンス、コンセプトに違いはありますか。

「自分の場合、ソロは基本的にシンプルなビートと気持ちの良いボイシング・メロディーのギターというのを軸に考えていて、個人的な「好き」が詰め込まれているイメージです。Ovallは太いグルーヴ感や時代を意識し過ぎない普遍的な音像というのがベースにあります。3人共にプロデューサーでもあるので、いわゆるバンドサウンドとは少し違う音楽マニアな一面が楽しんでもらえるかもしれません！」

――関口さんにとってのルーツミュージック、あるいはミュージシャンを志す契機になった作品やアーティストは？

「ギターを始めたときはロックやメタルのカバーばかりやっていましたが、徐々にブルースやジャズ、ブラックミュージックに惹かれていき、今ではそういう音楽が自分のスタイルの土台になっています。契機になったミュージシャンを一人に絞るのは難しいですが、パット・メセニーは間違いなく音楽の自由さや喜びを与えてくれたギタリストだと思います」

――今回、OTORAKUキュレーターとして、BGMの選曲に携わっていただきましたが、プレイリストというアウトプットをどう捉えていますか。

「自分でもプレイリストを作っているくらい、曲を選ぶことは好きです。選曲は好きなインテリアを飾って心地いい空間を作ることに似ていますよね。それを自分だけでなく、他の皆さんとも共有できる素敵な機会だと思って参加させていただきました」

――関口さんが日常生活のなかで、BGMとして音楽を聴くシチュエーションや聴いている音楽のジャンルは？

「車の運転をしている時に最近の好きな曲をまとめて聴くことが多いです。また、少し仕事を離れてゆっくりと音楽を楽しみたい時には、リスニング用のコンポでコーヒーを飲みながらジャズを聴きます」

――そんな日常の延長線上で、お店などの商業施設などで聴こえてくる、いわゆる街鳴りの音楽に意識が向かうことはありますか。

「個人でやられている飲食店のBGMは個性が出ますよね。自分はそんなに気にする方ではないですけれど、外観や雰囲気とは全然違う音楽が流れてくると“おっ！”てなりますよね（笑）。でもそれはそれでお店の個性で、結構楽しんでしまいます。自分が好きな少しマニアックな曲とかが不意に流れてくると、やっぱりそのお店にも一気にシンパシーを感じます」

――今回のプレイリストは、コーヒーを楽しむ空間でのひとときをイメージした「～Coffee break with sunlight～」です。

「自分にとってコーヒーは毎日の生活の中でのアクセントというか、休憩の象徴みたいな感じなので一緒に聴く音楽もゆったりしたものが多いです。どうしても職業柄、チェックする耳で聴くことも多いのですが、コーヒータイムには音楽を純粋に楽しむようにしています」

――関口さんはオリジナルブレンドを手掛けるほどのコーヒー通として知られています。

「ブレンドは、以前OBSCURA COFFEE ROASTERSさんのコンピレーション・アルバムに参加した際に「OBSCURA」という曲を提供させていただいたご縁がきっかけですね。個人的には中から深煎りでわずかに果実味があるようなバランスのブレンドをよく飲みます」

――それほどまでにコーヒーにハマるようになったきっかけは？

「高校生くらいから少しずつ飲むようになっていたと思いますが、大好きな村上春樹さんの小説にコーヒーを飲むシーンがたくさん出てくるのもきっかけのひとつかもしれません。あとはお酒も飲まないのでその代わりみたいな部分もあるのかも」

関口シンゴのオリジナル・ブレンド・コーヒー「Southern Street Blend」。ローストはOBSCURA COFFEE ROASTERS

――プレイリスト「関口シンゴ　～Coffee break with sunlight～」の選曲時にイメージしたシチュエーションやコンセプトは？

「もし自分がコーヒーショップで音楽を流すとしたらこんな感じの選曲にするかな、というイメージで選びました。音の感触は柔らかいけれど、あまりゆったり過ぎず心地よいビート感があるものが中心になっています」

――プレイリストの象徴的な、あるいは選曲の軸になった曲やアーティストはありますか。

「ベニー・シングス「サニー・アフタヌーン」、beabadoobee「Coffee」「Sunny day」、パステル「Daylight feat. Ben Kessler」、MICHELLE「SUNRISE（feat. Arlo Parks）」など、音だけでなく楽曲のタイトルも今回のイメージに合いそうな曲を中心に選んでいます」

――このプレイリストと、さきほどお話いただいたようなふだん聴きのパーソナルミュージックとの違いは意識されましたか。

「ふだん聴くものが今回のコンセプトに近いので自然に選曲しました。ただ、よりポップなものやアコースティックなサウンドが多くなっているかもしれません。自分の好きな曲や、ある特定のコンセプトで選曲するって楽しいですよね。並んだものを見てみると改めて自分の音楽的な好みも浮かび上がってくるので面白いです。ぜひご自分でもオリジナルのプレイリストを作って楽しんでいただきたいです」

――最後に関口さんご自身の2023年の展望をぜひお聞かせください。

「今年は久しぶりに自分のソロの作品をリリースできたらと思っています。今年もたくさん新しい曲、面白い曲に出会うと思うので楽しみですね。それを自分なりに良い形でアウトプットしていきたいです！」

（おわり）

取材・選曲監修／林健斗（USEN）
文・構成／高橋豊（encore）
写真／平林岳志

「OTORAKU -音・楽- 」PLAY LIST「～Coffee break with sunlight～」 Curation by 関口シンゴ

暖かな陽ざしに包まれて飲むコーヒー。そこに流れるあたたかな音楽をイメージして選曲しました。ほっと一息、心ほぐれる時間にしてくれると思います。

1. Judee Sill「The Lamb Ran Away with the Crown （Remastered）」
2. Bibio「Town & Country」
3. タック&パティ「Time After Time」
4. ジョン・メイヤー「Do You Know Me」
5. ベニー・シングス「サニー・アフタヌーン」
6. ミニー・リパートン「ラヴィン・ユー」
7. ウーター・ヘメル「Breezy」
8. Nina Simone「Here Comes the Sun」
9. Bibio「Oakmoss」
10. Bibio「Lovers Carvings」
11. テイラー・スウィフト「cardigan」
12. MICHELLE「SUNRISE （feat. Arlo Parks）」
13. SZA「Good Days」
14. パステル「Daylight feat. Ben Kessler」
15. beabadoobee「Coffee」
16. Kehlani「Altar」
17. Moonchild「Too Good」
18. Clairo「Amoeba」
19. Clairo「Softly」
20. MICHELLE「EXPIRATION DATE」
21. Rex Orange County「AMAZING」
22. Laufey「Everything I Know About Love」
23. UMI「whatever u like」
24. beabadoobee「Sunny day」
25. デヴィッド「Here With Me」
26. Pat Metheny「Don't Know Why」
27. ノラ・ジョーンズ「カム・アウェイ・ウィズ・ミー」
28. マーティン・テイラー「Mona Lisa」
29. Mindy Gledhill「Hourglass」
30. Eric Clapton「Tears in Heaven」
31. Eric Johnson「Song For George [Instrumental]」
32. Jesse Harris「Don't Know Why」
33. アウスゲイル「On That Day」
34. リズ・ライト「トラブル」
35. Joe Sample,Lalah Hathaway「One Day I'll Fly Away」
36. The Beatles「Here, There And Everywhere [Remastered 2009]」
37. ヤエル・ナイム「COME HOME」
38. Bill Withers「ラヴリー・デイ」
39. コリーヌ・ベイリー・レイ「プット・ユア・レコーズ・オン」
40. Syd「Out Loud （feat.ケラーニ）」
41. Samm Henshaw「Loved By You」

OTORAKUキュレータープレイリスト

DISC INFOOvall「Find you in the dark feat. Nenashi」

2022年3月30日（水）配信
OPDS-1038
origami PRODUCTIONS

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さかいゆう＆origami PRODUCTIONS『CITY POP LOVERS』

2022年11月30日（水）発売
初回生産限定盤（CD＋DVD）／POCS-23909／4,950円（税込）
通常盤（CD）／POCS-23029／3,300円（税込）
newborder recordings / Office Augusta Co., Virgin Music Label & Artist Services

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