――2021年9月にメジャー1stアルバム『IMAGINE』をリリースしましたが、コロナ禍中の制作は難しい部分もあったのでは?

「2020年ひとつ孤独について己の答えとして出したアルバムに続いて、自分自身がアーティストとして何を発していくべきか?自分以外のひとがそこにいるからこそ生まれるコミュニケーションという連鎖の大切さ、その上でお互いに一丸となって守りたいもの、そういったものを見つけるための答えを作品という形に残せて、そして生きて来れてよかったなと改めて感じる制作期間でした」

――TENDREさんにとってのルーツミュージック、あるいはリスペクトするアーティストは?

「自分の両親。Jazz、R&B、Soul、母から教えてもらった音楽。スティービー・ワンダー」

――TENDREさんは日常生活のなかのどんなシチュエーションで趣味としての音楽を楽しんでいますか?

「家でご飯を食べる時、制作に取りかかる前に耳と体を解す時間、制作の合間の休憩、お茶を飲む時、一通りの家事の合間、それが終わった後。ずっと何かしらは聴いているか、全く音楽を流さない1日を作るか、0か100です」

――では、店舗などの商業施設で流れているBGMに耳を傾けたり、気を惹かれることはありますか?

「選曲にもそのひとの個性や、お店やロケーションに対する思い入れがやはり見えてくると思うので、店員さんの個性がよく見えるプレイリストだったりするとジャンル関係なくグッとくるものがあるのかな、なんて思います」

――今回、USENのOTORAKUにキュレーターとして参加していただくことになりました。

「近頃お仕事以外でも、自らプレイリストをつくってシェアする楽しさを噛み締めていたところもありまして。“最近こういうの聴いてるんだよねえ”と、よくミュージシャンの友人同士でも共有する中で、相手の近頃の心境と云いますかムードを汲み取ることができたり……なのでこういうタイミングでお話しいただけましてとてもうれしかったです」

――OTORAKUのプレイリストもそういったTENDREさんのパーソナリティが落とし込まれているといえますか?

「賑やかなお店ならば適度に体が揺れるテンション感、落ち着いたお店ならいつもよりもほんの気持ちだけテンションを持ちあげる温度感。割とどこで流れても揺られる柔軟なプレイリストになったのかなと思います。あくまで個人的に!」

――プレイリストの中で、選曲の軸というか、レファレンス的な位置づけになった楽曲はありますか?

「GoldLink「Rough Soul (feat. April George)」、NIKI「Every SDummertime」、Lolo Zouaï「Galipette」あたりでしょうか」

――それらの選曲と、ふだん聴きのパーソナルミュージックとの差分は?

「ふだんは、本当だとジャズのピアノトリオを家で聴くことが多いのですが、そこまでかけ離れてることはあまりないと思います。“こういうの聴きたいときもあるよなあ”という雰囲気で選びましたね。やはりプレイリストをつくるって楽しいですし、自分の好きな音楽をこうした形でシェアできることはあらためて有難きしあわせと思います。なんならユーザーの皆さんやリスナーの皆さんの旬な音楽も知ってみたい。これからもお互いに良き温度感で様々なきもちをシェア致しましょ」

――最後に、TENDREさん自身の2021年の振り返りと2022年の展望をぜひお聞かせください。

「2021年よく生きてこれた、わたし。そして皆さん。よろけたり挫けそうな瞬間はいつだってありますけれど、どんな場面も次のチャプターへ進む歩みに変わりないと思うのです。ぼくはそう考えようと生きてきた2021年。2022年がどんな事態に見舞わられるか、より予測がむずかしかろうとも、2022年を生きる音楽家たちは皆どこか開けた道を探そうとギラギラしています。負けじと、いやより一層たのしく真摯に、紳士に開き直っていこうと思います」

(おわり)

取材・選曲監修/林 健斗(USEN)
文・構成/高橋 豊(encore)

「OTORAKU -音・楽- 」PLAY LIST「THE WAVE」 Curation by TENDRE

1. Domo Genesis「Dapper(feat.Anderson .Paak)」
2. Elli Ingram「Sweet & Sour」
3. サラ・スー「Hurray(feat.TOBI)」
4. Mk.gee「Isn't It So Convenient」
5. Moonchild「Love I Need(feat. Rapsody)」
6. GoldLink「Rough Soul(feat.April George)」
7. JAWNY「Best Thing」
8. イージー・ライフ「pockets」
9. Joji「CAN'T GET OVER YOU(feat. Clams Casino)」
10. Pomo「Intoxicated」
11. TOKiMONSTA「Get Me Some」
12. GoldLink「Spectrum」
13. The Internet「Roll(Burbank Funk)」
14. Mac Miller「Ladders」
15. Sunni Colón「Provide」
16. NIKI「エヴリ・サマータイム」
17. ジョン・バティステ「ショウ・ミー・ザ・ウェイ(feat.ゼイディー・スミス)」
18. MAMAS GUN「Looking for Moses」
19. Bruno Mars, Anderson .Paak, Silk Sonic「Blast Off」
20. Lucky Daye「Real Games」
21. AUDREY NUNA「Time」
22. Lolo Zouaï「Galipette」
23. アレッシア・カーラ「Clockwork」
24. Cordae「Bad Idea(feat. Chance the Rapper)」
25. BJ The Chicago Kid「ターニン・ミー・アップ」

OTORAKUキュレータープレイリスト



 レコチョク×USEN「OTORAKU -音・楽-」SPECIAL バックナンバー 
2022.02.24 三浦風雅「未来話」インタビュー――自分ってなんなんだろう?
2021.12.27 木下百花「悪い友達」インタビュー――好きな音楽と向き合って
2021.12.23 Non Stop Rabbit『TRINITY』インタビュー――三位一体が最強である!
2021.11.17 GARNiDELiA『Duality Code』インタビュー――もっと近くで歌っている感じ
2021.11.17 安藤裕子『Kongtong Recordings』インタビュー――まるでミュージカルのように
2021.08.04 鬼頭明里『Kaleidoscope』インタビュー――歌いこなせるとすごく気持ちいい
2021.05.26 flumpool「ディスタンス」インタビュー――一人は楽だけど、それはそれで寂しい


DISC INFOTENDRE『IMAGINE』

2021年9月29日(水)発売
DELUXE EDITION(CD+2DVD)/UPCH-20595/8,580円(税込)
通常盤(CD)/UPCH-20595/3,080円(税込)
ユニバーサルミュージック

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