『Mask Lady and Late Night Girl』 / Marci / Arbutus Records / ABT117LP『Mask Lady and Late Night Girl』 Marci
モントリオールのインディーポップバンドTOPS(トップス)のキーボーディストMarta Cikojevic(マルタ・チコイェヴィッチ)によるソロプロジェクト、Marci(マルシ)のセカンドアルバム。 前作『Marci』に引き続き、TOPSのDavid Carriere(デイヴィッド・キャリエール)との共同制作である本作。 前作からの1980年代のシンセポップ、ソフトロック、R&Bを現代的な感覚で再解釈したサウンドの持ち味を継承しながら、さらにY2Kのポップ、ダンスミュージック、グラムメタルなどの要素を新たに取り入れ、より大胆なサウンドに踏み込んでいる。 アルバムタイトルにある「Mask Lady」と「Late Night Girl」は自身の内面にある二面性を表現したコンセプトであり、パーティーの高揚感と、その後に訪れる孤独や自己との対話という相反する感情をテーマに、シンセサイザーを軸としたポップサウンドで描き出している。 TOPSで培ったメロウさとポップセンスを軸としながら80年代から2000年代までを自由に行き来する彼女の新たな名刺になりそうな作品に仕上がっている。
『B-Sides Singles & Forgotten Gems』 / Kelly Finnigan / Colemine Records / CLMN12083『B-Sides Singles & Forgotten Gems』 Kelly Finnigan
Monophonics(モノフォニックス)のフロントマン、SSW、プロデューサー、マルチインストゥルメンタリストとして知られるモダンソウルシーンの代表的存在であるKelly Finnigan(ケリー・フィニガン)の、Colemine Recordsとの15年に及ぶ歩みを振り返るアンソロジー作品。 今作はシングルのB面曲や限定盤音源、カヴァー、未発表曲をまとめた内容であり、一人の音楽家の成長をたどるドキュメントとしても機能。初期衝動が色濃く反映された「Freedom」から、「Trouble」、「Keep Me In Mind」など7インチで発表された作品、「It's Not That Easy」や「It Hurts Me So Much」といったカヴァー曲、またトリには未発表曲「The Hurting Truth」が収録されており、長年のファンには散逸していた名演をまとめて味わえる喜び、初めて触れるリスナーには彼の魅力を俯瞰できる最良の入口となるような作品に仕上がっている。
『The Womack Sisters』 / The Womack Sisters / Daptone / CDDAPT086『The Womack Sisters』 The Womack Sisters
Sam Cooke(サム・クック)を祖父に持ち、Bobby Womack(ボビー・ウーマック)の姪っ子というサラブレッド3姉妹であるThe Womack Sisters(ザ・ウーマック・シスターズ)によるフルレングスデビューアルバム。 サザンソウル、ゴスペル、カントリーソウル、アメリカーナなどを軸とした今作は現代のモダンR&Bやネオソウルとは一味違う。 むしろトラディショナルなファミリーヴォーカルグループの伝統を感じさせ、歌やコーラスが前に出る熱量の高さが特徴にある。リードシンガーを立てるというよりは3人の歌声のハーモニーをメインとして捉えた厚みのあるた濃密なソウルアルバムに仕上がっている。
『Joyce e Tutty Moreno JID027』 / Joyce & Tutty Moreno, Adrian Younge / Jazz Is Dead / JID027『Joyce e Tutty Moreno JID027』 Joyce & Tutty Moreno, Adrian Younge
Adrian Younge(エイドリアン・ヤング)主催のJazz Is Deadレーベルが仕掛ける大人気シリーズにブラジリアンミュージック(MPB)の生ける伝説Joyce Moreno(ジョイス・モレーノ)と、その夫であり長年彼女の音楽を支え続ける名ドラマーTutty Moreno(トゥッチ・モレーノ)が登場。 2023年に急逝したブラジル音楽の巨匠Joao Donato(ジョアン・ドナート)の推挙により動き出したプロジェクトである今作は、セッションが始まろうという矢先に帰らぬ人となった彼への深い追悼と、残された者たちの不屈の精神が込められた、極めてエモーショナルな背景を持つ。 今作ではザラッとした太いドラムや重いベースは影を潜め、主役であるJoyceのしなやかなギターと歌声、Tuttyの軽妙なドラミングが中心に据えられており、一発録りのようなロウな空気感の中にAdrianならではのサイケデリックなエレクトロニクスや鍵盤が静かに影を落とす。 キャリアを代表する「Mandala」や「Uana Ete」、「Is This Love?」といった楽曲の今回の特別なトリオでのセルフカバー、Adrianによるインスト曲、Joyceによるポルトガル語でのMachado de Assis(マシャード・デ・アシス)の詩の朗読まで、LAの湿度の低い空気の中でサウダージを再定義したかのようなアルバムが完成した。
『The Essential』 / ShitKid / PNKSLM Recordings / PNKSLM128『The Essential』 ShitKid
スウェーデン出身のSSW、ShitKid(シット・キッド)のベストアルバム第2弾。 彼女の2020年以降にリリースされた作品から中心に選曲された本作は『20/20 ShitKid』、『Sort Stjerne!』、『Rejected Fish』などから代表曲を収録。2020年に突然プロジェクトを終了し、音楽シーンから完全に姿を消した後、ShitKidは2026年に世界ツアーによるライブカムバックで復活、そして本作はそれを機に発表された作品である。 ガレージパンク、ローファイ、インディーロック、シンセポップを自由に行き来するサウンドと型にはまらないDIY精神で欧米インディーシーンで独自の存在感を放ち続けてきた彼女の近年の作品群から進化を俯瞰できる作品。
『Oxis 8』 / Oxis / BOOM / BOQM11『Oxis 8』 Oxis
ロサンゼルスを拠点に活動するプロデューサー、マルチインストゥルメンタリスト、Oxis(オクシス)による8作目のアルバム。 サンプリングカルチャーへの深い造詣を背景に、生演奏とビートメイキングを融合させた作品を継続的に発表しているOxis。 レアグルーヴやライブラリーミュージック、1970年代のソウル、ジャズから影響を受けたサウンドで、世界各地のビート・シーンやDJから支持を集めてきた。 今作ではフェンダーローズやオルガン、ホーン、ギターを取り入れた有機的なアンサンブルをベースにタイトなドラムグルーヴとメロウなメロディが共存、ヒップホップ的ループ感覚がありながら生演奏の躍動感が感じられる仕上がり。 現代的なビート感覚とヴィンテージ機材の生演奏の融合が実に心地よい
『Don't Call It Love』 / Jonathan Bree / Lil Chief / LCR056CD『Don't Call It Love』 Jonathan Bree
1998年から2009年までニュージーランドのインディーポップバンドThe Brunettes(ザ・ブリュネッツ)のフロントマンとして活動していたJonathan Bree(ジョナサン・ブリー)の6枚目のスタジオアルバム。 今作は、“性愛”をテーマに据えたコンセプト作品で、前作の華やかさから一転、ダークポップの深淵へと引きずり込むような作風に。 レトロフューチャーで退廃的な夜のムードを醸し出し、ミニマルでエッジの効いたモダンなダークウェーヴへと昇華。 また、元The Brunettesのメンバー Princess Chelsea(プリンセス・チェルシー)、Adah Dylan(アダ・ディラン)、新進気鋭のフランスのフォトグラファー、ヴィジュアルアーティストEloise Labarbe-Lafon(エロイーズ・ラバルベ=ラフォン)といった女性アーティストとのコラボ楽曲が多数収録され、メランコリックで妖艶なムードを演出、人間のセクシュアリティや官能性を妖しくヴィンテージでシネマティックなノワール感たっぷりに表現する。
_ ▼ bonjour recordsプロデュースのチャンネルもラインナップ!――USEN(有線音楽放送)の番組情報はこちら _
関連記事
-
「recommended of the month」by bonjour records――October 2026
連載 -
「recommended of the month」by bonjour records――August, 2026
連載 -
「recommended of the month」by bonjour records――July, 2026
連載 -
「recommended of the month」by bonjour records――June, 2026
連載 -
「recommended of the month」by bonjour records――May, 2026
連載 -
「recommended of the month」by bonjour records――April, 2026
連載 -
「recommended of the month」by bonjour records――March, 2026
連載 -
「recommended of the month」by bonjour records――February, 2026
連載 -
「recommended of the month」by bonjour records――January, 2026
連載 -
「recommended of the month」by bonjour records――December, 2025
連載 -
「recommended of the month」by bonjour records――November, 2025
連載 -
「recommended of the month」by bonjour records――October, 2025
連載 -
「recommended of the month」by bonjour records――September, 2025
連載

