──まずは6月から9月にかけて行なっていた『SUPER★DRAGON LIVE TOUR 2025「SUPER X」』の手応えを教えてください。
古川毅「楽しかったです」
志村玲於「シンプル!(笑) でも確かに楽しかったよね」
古川「楽しかった。今までで1番いいツアーだったんじゃないかな? というか、何ていうんだろう…理想に近いツアーができた感覚があります」
──どうしてそういう手応えを感じたのでしょうか?
古川「そもそもアルバム『SUPER X』が自分たち主体となって制作し、クリエイティブに対しての考え方が変わったアルバムでした。その変化した状態で、アルバムの世界観を表現するツアーを作ったからだと思います」
──実際、今のSUPER★DRAGONと、『SUPER X』というアルバムが凝縮されたライブですごく見応えがありました。特に印象的だった場面や楽曲は何でしたか?
伊藤壮吾「「Dark Heroes」を含めて、ツアー初日に初披露した曲がたくさんあったので、3ヶ月かけてBLUEと僕たちで一緒に成長させていった感覚が強くて。その手応えが印象的です」
ジャン海渡「僕は「Omaejanai」です。この曲って、“ライブしてるな〜”って感じがするんです。記憶をなくすくらい…果てる感じの曲なので。これまでもロック調の曲はありましたけど、あそこまで命を燃やす曲はなかったので、毎公演毎公演、「Omaejanai」の前になると“今からだ! 疲れるぞ!”みたいなマインドになっていました。それが楽しかったです」
松村和哉「僕は「New Rise」のロックアレンジです。“メジャーデビュー曲「New Rise」をセトリの最後に持ってくるのは粋だよね”と、最後の曲が「New Rise」になることは早々に決めていたんですけど、毅くんが“ロックアレンジにしようよ”と言い出して。結果、すごく良い方向になって、ロックアレンジにしたことでこれまでとはまた違う愛情がこの曲に芽生えました」
──『SUPER X』の世界観に、ロックアレンジが見事にハマりましたよね。
松村「はい」
志村「僕は「Dreamland」の毅のビリヤードのシーン。あそこはみんな注目したと思います」
古川「確かにね。あまりライブのステージでビリヤードをやる機会ってないから(笑)」
ジャン「全公演、成功したんだっけ?」
古川「いや…2回くらい失敗している(笑)。あれ、本当にプレッシャーがすごいんです。そのプレッシャーに負ける瞬間もありましたけど、最高の仲間がいてくれたので…(笑)」
ジャン「アチい!(笑)」
古川「あれ、外すと気まずいんですけど、外さなくても気まずくて。結局、気まずいのは確定なんですよ。なんか…いいツアーでしたね(笑)」
──志村さん、印象に残った場面が、ご自身のパフォーマンスではなくて、毅さんのビリヤードのシーンで良いんですか?
志村「はい、もう自分は全然!(笑) 今までもいろんな小道具を使う演出はありましたけど、こんなにみんなで誰か一人のメンバーに集中することってなかったと思って。そのみんなで見ている感じや、外した時の光景が忘れられないです」
古川「“外したとき”って言うな!(笑)」
飯島颯「僕はこのツアーから「Untouchable MAX」前の煽りを始めたんです。毎回毎回、前回を超えようと思って挑みました」
ジャン「アスリートか!(笑)」
飯島「結果、ツアーファイナルが1番楽しかったです」
──ツアーファイナルでの「Untouchable MAX」は、感涙の「笑い話」をパフォーマンスした直後ということで、かなりしんみりしたムードでしたが、飯島さんの煽りがより光りましたよね。
古川「あの空気感の中でやる煽り…背徳感すごそう(笑)」
飯島「はい、忘れられないです。もともとこの曲はスパドラの10年の中でもたくさんパフォーマンスしてきて、BLUEとの思い出も深い曲です。いろいろなシーンが浮かぶ曲なので、そのシーンを更新していきたいという想いでした」
ジャン「シーンを更新!」
松村「韻、踏んでる!」
──ラッパー陣の食いつきが(笑)。今後も「Untouchable MAX」の煽りは飯島さんがやることになりそうですか?
松村「絶対にやったほうがいい!」
飯島「そうですね…やりたいです。もっともっと更新していきたいです」
池田彪馬「僕は「DOG」です。この曲はラッパー3人がオンマイクで、普段歌っている僕と毅くんはマイクを持たずにダンサーとして立つ曲で。僕も結成当初はダンサーだったので、結成10周年を迎えるツアーで、自分の原点の姿を表現できたのはすごく大きかったです。やっぱり踊ることが好きなので、ダンスのことだけを考えられたのも久しぶりで楽しかったです」
古川「僕はFIRE DRAGONの「Good Times & Tan Lines」ですね。この曲はアルバム『SUPER X』の曲の中でもかなり早い段階でできて、個人的にもすごく好きな曲なんですけど、ツアーでよりその魅力が増した気がします。やっていて気持ちいいですし、曲の後半はジャンと遊びまくって…“フェイクが一回でもかぶったら罰ゲームね”とか言って。なんだか楽しかったです」
──実際、かぶったことはあったんですか?
古川「多分、何かしらかぶったと思います。でもタイミングが少し違うとか、同じラインを違うところで歌っているとか…」
ジャン「そう思うと罰ゲーム確定ですね(笑)」
古川「そうだね(笑)」
柴崎「僕は「Mada' Mada'」でガスをシューってやったのが楽しかったです。BLUEにワーっとガスをかけたんですけど、こういう演出はこれまで意外とやったことなかったので。BLUEにとっても新しい体験だったと思います」
──ツアーの最終日には、10周年を振り返るMCから、新曲「笑い話」を披露しました。MCからの感涙もあり、かなり感動的な時間でしたが、「笑い話」という楽曲を作ることになった経緯を教えてください。
古川「ツアーが始まる少し前くらいに、“ツアーファイナルでバラードを披露したい”ということを僕が提案させてもらいました。どういうテーマにするかということは、制作しながら決めていきました。こういうプロジェクトの着地点としては、ファンに感謝を伝えるキラキラした曲が安牌だと思うんです…だけどそれだとすごくありきたりですし、SUPER★DRAGONらしくないと思って。SUPER★DRAGONの男臭さとか、がむしゃらに不器用にやってきた感じをパッケージにするのが一番誠意ある自分たちの10周年の向き合い方だと思いました。その軸をぶらさずに、みんなでメッセージを作ることができたと思います」
──「笑い話」はメンバー皆さんが作詞にクレジットされていますが、制作工程はどのようなものだったのでしょうか?
古川「主に歌詞を書いたのはマイクを持つ5人ですけど、10年を振り返った自分たちの曲なのに5人だけの視点になるのは違うと思って。9人で活動してきたので、マイクを持たない4人の思い出や想いも反映したくて、10年を振り返る打ち合わせ…というよりは、もっとざっくばらんな“お話会”みたいな場で全員集まったんです。あとは、各々で“こいつの話を聞きたい”というのもあったりして、いろいろなコミュニケーションを経て、それらをヒントに書いていきました」

──歌詞の説明をするのは野暮だと思うのですが、それぞれ特に好きなところや、特に自分の思いが反映されていると思うところを教えてもらっても良いでしょうか?
古川「各々が自分のバースを自分で管理運営するスタイルだったので、それぞれの担当パートが届いたときは感動しました。その中からどこか1箇所をピックするのは難しいんですけど…ジャンが書いてくれた<誰かは取りに戻るかもしれない でもその時には皆んなで行こうよ>。ここはすごく感動しました。“優し”って思いました」
松村「“優し”(笑)」
──すごく素敵な歌詞ですよね。
古川「“たまらんな”と思ってしまいました」
松村「僕はヒップホップで育ったので、やっぱり<汚れたナイキ>ですね。“こいつ、ヒップホップやん”と思いました。これは壮吾の靴の話なんですけど、壮吾のダンスシューズは8年くらい変わっていなくて、それが…バカ汚くて(笑)」
──使い古しているんですね?
松村「いや、もうバカ汚いんです(笑)。“汚いからいいでしょ”とか言って落書きしたりしていて。そこをピックアップしていて…良いと思いました」
伊藤「「笑い話」って、ここに限らず歌詞を読むと全部が何の話かわかるんですよ。だから本当にどこを聞いても思い出します」
古川「だからこうやって話をするのって本当に照れくさいんですよ。リリースイベントでもBLUEにいろいろと質問されると思うんですけど…あまり言いたくないかもしれない(笑)」
飯島「でも<いつもの Stationから上がる坂は辛い>は、“マジ、それな!”って思う…」
志村「わかる!」
飯島「リハーサルやレッスンで毎回通る坂があるんですけど、そこは10年…いや、10年以上歩いているので、エモいです」
松村「あの坂、ガチでウザい!」
柴崎「あと、和哉のラップが面白いです」
松村「…面白い?」
柴崎「あのパートは和哉が“9人を書きたい”と言って、一人ひとりのことを書いてくれているんです。和哉の視点ですけど、全員がわかることで。歌詞を読んで“いいな”って思いました」
ジャン「歌詞を深掘りするのは聴いた皆さんにお任せしたいのですが、後半のサビの<俺らの笑い話/全部 笑い話/腹抱えていたい物語>の3行はすごく僕たちらしいと思いました。SUPER★DRAGONらしいですし、過去はもちろん、これからもこれがいいなと思いました」
──そもそもこの10年の思い出を綴った曲を「笑い話」としてまとめるのが素敵ですよね。
ジャン「それは毅くんです」
古川「…迷いましたけど。ネガティブに捉えられるかな?とも思いましたけど、“そういうものも全部超えてすべてを笑い話にする”という意味も込めています。そもそも僕たちは本当に笑ってきたんです。10年を振り返ったときに“笑ってきたな”という印象が強くて。くだらないことでギャーギャー笑ってきました。それが9人の共通した思い出ですし、だからこそ続けてこられたんだと思います。でも、それだけではなくて…ものすごく自分たちのことを書いていますけど、サビとかは、聴いてくれた人たちの記憶や大事な人との関係性に照らし合わせてもらえられると思って。普遍的な意味も込められた、すごくいい曲になったと思います」
──MVにも、過去の映像がたくさん使われていますよね。昔の映像で特に印象的なものはありますか?
一同「…カッパ?」
古川「7年くらい前かな? 経緯はわからないんですけどみんなでご飯を食べているときにジャンがカッパの被り物をかぶっていて、洸希が爆笑している作品があって」
一同「作品!(笑)」
ジャン「作品のつもりでやってないのよ(笑)」
古川「まぁ、でもあれは自分たちにとって大事な思い出です。MVは、それぞれのカメラロールに入っている、メンバーが撮った映像も資料の中にあって、そこからピックしてもらう形で作ってもらいました。初稿を見せてもらったときに、アンニュイな質感の映像の中にこれが入っていて、笑っちゃいました。“笑っちゃっていいのか?”とも思ったんですけど、“いや、それでいいんだ”と思って。この曲は、これまでの10年を悲観的に捉えるのではなくて、“いろんなことをひっくるめて全部笑えるよね?”という曲なんです。だから結局はこれが正解でした」
──そういうくだらないことで笑ってきた10年だったということですよね。
ジャン「そうです」
池田「歌詞以外に、曲の中で笑い声とか雑談の声も入っていて…あれは実際の僕たちの笑い声や雑談を、集まった動画からサンプリングしたものなんです。このタイミングでそれができたのも面白いと思いました。これまでの思い出が全部踏襲されていて」
──あの笑い声や話し声はレコーディングしたものではないんですか!?
古川「マネージャーが撮っていた動画とか自分たちの持っていた動画、それこそ、この曲についての打ち合わせをしているときの笑い声とかを、プロデュースしてくれたシンジくん(Shinji Miyauchi)に渡して、そこからピックアップしてくれました」
──10年の歴史を辿るような振り付けも素敵でした。
志村「振りは、僕と颯がメインで作りました。楽と洸希が2人で歌いながら歩いているところは楽にも考えてもらって。サビは、毅から“コンテンポラリーな感じがいい”というリクエストがあったので、毅に“これだって思うものがあったら言って”と、毅の前で踊り続けて…そういう感じで作っていきました」
──歌詞、振付、笑い声、MV、すべてに皆さんの10年間が詰まっていたんですね。
──そんな「笑い話」も収録されたシングル「Concealer」が12月3日にリリースされました。表題曲「Concealer」は読売テレビ『悪いのはあなたです』のエンディング主題歌で、すでに公開されているMVのコメントなどを見てもわかる通り、BLUE以外の方にも広く届いているい印象がありますが、どういう楽曲にしたいと思って作り始めたのでしょうか?
ジャン「まずドラマ自体がすごく難しいテーマで…どす黒くて、シビアな世界観。まずはその世界観をどう表現させていくかを考えました。今、“BLUE以外にも届いている”と言っていただきましたが、プロデューサーからも“外に届けたい”ということは要望としてもらっていたので、頭に残るという意味でのキャッチーさは意識しました」
──自分たちの感情や状況を歌った曲だけでなく、タイアップ曲までメンバーで作れるようになると、もう怖いものなしですよね。
ジャン「そうですね。うん、怖いものないです」
古川「ないね」
──ミステリアスで色気のある楽曲ですが、ボーカルの皆さんはどのようなことを意識してレコーディングしましたか?
古川「ジャンが作ってくれた曲ですし、ディレクションもジャンがしてくれたので、エゴを出すというよりも、ジャンのエッセンスを活かしながら歌いました。曲のためにはジャンのエッセンスをしっかり解釈するということが自分の中では大事だったので。おかげでいいテイクが録れたと思います」
池田「トラックだけの状態のデモを聴いた段階でジャンくんが表現したいことが伝わってきましたし、歌割でそれぞれの適性や特徴がすごく反映されていると思ったので、そのまま歌うだけでこの曲の良さが出ると思いました。その結果、ジャンくんっぽさだけではない、メンバーそれぞれの良さも混ざった、SUPER★DRAGONとしての新たなジャンルの曲が生まれたと思います」
──彪馬さんのボーカルは、いつもよりも抑えているのに色っぽさが増していますよね。
池田「確かに“張らない”ということは意識しました。僕はレコーディングの順番が遅くて、他のメンバーのテイクも声も聴いていたから、バランスも考えて少し抑えたほうがいいかな?と思って」
松村「僕は自分で書いたリリックで、何を意味しているのか自分でわかっているので、レコーディングは“なるはやで”くらいしか考えていなかったです」
──ただ、そのリリックはご自身のことを綴ったものではないですよね。そのあたりはいかがですか?
松村「不倫を扱ったドラマなので、魔が差してしまった瞬間を切り取って書きたいと思いました。“やべ、やっちまった”みたいな感じを書いて、それをラップでも出したいと思いました」
──振り付けはRyusei haradaさんです。振付してもらうのは初めてですよね?
ジャン「はい。何度かレッスンをしていただいたことはあるのですが、振りをお願いしたのは初めてです」
志村「ジャンル的にはR&BとPOP。ベースはR&Bで、少しずつPOPが増えてくるという、最近のボーイズグループには割と多い感じのスタイルで、カッコいい振りになっています」
──そんなクールなパフォーマンスも見られるMVがまたカッコ良くて!
ジャン「ミュージックビデオは木村太一さんにお願いしました。曲を作っている段階で、楽曲も歌詞も唯一無二のものになっていると感じたので、ミュージックビデオも世界観に振り切った独自性が確立できるものにしたくて。そう考えると、木村さんにお願いしたいと思ったのですが、木村さんはグループのMVを作っているイメージがあまりなくて…でも、ダメ元でお願いしたところ引き受けてくれました。“騙す”というテーマを、こう表現するんだ!?って驚きましたし、今までのSUPER★DRAGONにはなかったミュージックビデオになったと思います。納得いく作品になりました」
──「Concealer」は10周年イヤー最初のシングルですが、この先のSUPER★DRAGONはどういうものを目指していきたいと考えていますか?
松村「目標として掲げている日本武道館でライブをしたいという気持ちは、もちろんすごくあるんですが、それとは別に、自分の中では10周年を迎えて一度区切りになった感じがあります。“もっと頑張らなきゃいけない”という気持ちも、“このままでいいんだな”っていうい気持ちもあって。だから、これからも大事にしているものが、ずっとあればいいと思います」
ジャン「そのためにも、メンバーみんながクリエイティブでい続けてほしいです。日常でどれだけ音楽を好きでいられるか…それがSUPER★DRAGONの楽曲にも反映されてくると思うので。SUPER★DRAGONらしさというのは、意識するよりも、制作の過程で出てくるものだと思うので、その都度やりたい音楽を、SUPER★DRAGONらしく作っていきたいですし、その過程を楽しんでできたらいいと思います」
──では最後に。本日は田中洸希さんがお休みなので、欲望に狂わされた人を歌った「Concealer」にちなんで、今の田中さんが一番欲しいと思っていそうなものを教えてください。
古川「免疫?」
松村「時間とかじゃない?」
ジャン「アクセもずっと欲しいだろうし、いいマイクも欲しいだろうな〜」
古川「でも洸希が、この質問を実際にされていたら…」
古川・志村「金!」
古川「うん、“金っすね”と言うと思います(笑)」
(おわり)
取材・文/小林千絵
写真/中村功
RELEASE INFORMATION
LIVE INFORMATION

SUPER★DRAGON LIVE TOUR 2026
2026年4月12日(日) 大阪 NHK大阪ホール
開場17:00/開演18:00
2026年4月19日(日) 東京 Kanadevia Hall
<1部>開場13:00/開演14:00
<2部>開場17:00/開演18:00
2026年5月9日(土) 福岡 福岡国際会議場
<1部>開場13:00/開演14:00
<2部>開場17:00/開演18:00
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