──9月いっぱいの活動をもって、SKE48を卒業することが決まっていますが、卒業ソロ曲「ひかりさす」をソロシングルとしてリリースすることになりました。これまでも、歴代のメンバーが最後に参加するシングルのカップリング曲として卒業ソロ曲が収録されるというケースはありましたが、卒業ソロ曲がソロシングルとしてリリースされるのは非常に珍しいと思います。

SKE48の最新シングルは921日にリリース(取材時※105日リリースに延期)されるんですけど、私が9月末に卒業することから逆算すると、活動的に間に合わない部分もあって。それ以外にも、いろんな縁が重なってソロシングルとしてリリースさせていただくことになりました」

──ゴスペラーズの黒沢薫さんは作詞作曲を手掛けています(作詞は、遠坂めぐとの共作)。

「黒沢さんは、私も出場した 『AKB48歌唱力No.1決定戦』の審査員を第2回から第4回まで務めてくださっているんです。それで、第3回のファイナリスト9人のユニット=Nona Diamondsの楽曲「はじまりの唄」も作詞作曲していただいているんですけど、その曲が本当に大好きなんです。だから、“もし自分の卒業ソロ曲をいただけるなら、黒沢さんに書いてもらえたらうれしいな、夢だな”と思っていたんですよ。その思いを伝えたら、本当に黒沢さんに書いていただけることになって。なので、すごくすごくありがたいです」

──「ひかりさす」は、今までの気持ちとこれからの決意が詰まっている楽曲だなと感じました。古畑さんがSKE48に加入してから11年の歩みを知っているファンはもちろん、古畑さんの歩みを知らない人でもいろんな思いを重ね合わせられる楽曲だなとも思います。まず、歌詞については?

「すごいですよね。ファンの人も、“奈和ちゃんが書いた?”って言うぐらいで(笑)。そのぐらい、私の気持ちとシンクロしている歌詞だと思います」

──黒沢さんとは、いろんな話をしたんですか?

「歌詞を書いてくださることが決まってから、いろいろお話をしました。私はどういう気持ちでアイドル活動をしていたのか、今回の卒業ソロ曲をどんな歌詞にしたいか。その上で、どんなメロディがいいか、セリフは入れたいか、ラップ的な表現はどうか。そんなことをお話しさせていただきました」

──かなり話したんですね。その中で、どんなことを伝えたんですか?

「さよならじゃない。ここで終わりじゃない。アイドルとしては終わりだけど、古畑奈和とファンの関係性は終わらない。そういうことを伝えたいと、黒沢さんには伝えました。そしたら、その気持ちにぴったりの曲を書いていただいて」

──どんな思いを込めて歌ったんでしょうか?

「本当に感情のままというか、歌詞に身を任せて歌ったという感じですね。やさしいところはやさしく歌ったし、<キミとはこれでサヨナラじゃないんだから>という歌詞を歌うときは強い思いを込めました。そこをサラッと歌ってしまったら、こんなに素敵な歌詞なのにただ流れていってしまう。だから、強く歌って私からのメッセージを届けたいと思ったんです。レコーディングのときは、ファンの方から温かい言葉をいただいたときの光景を思い出したりしていましたね。ある意味、これまで歌ってきたどの曲よりも、一番強く自分の感情を込めた曲になったと思っています」

──アイドルになってから11年分の思いを込めたと言っても過言ではない?

「はい。むしろ、込めましたと断言してもいいと思っています」

──冒頭ではバラードかなと思わせつつ、想像を裏切るような展開のメロディとサウンドも魅力的なナンバーです。

「確かに、最初はバラードかなと思うんですけど、そこからちょっとダークなメロディとサウンドが展開されたり、落ち着いたセリフもあったり、音楽としていろんな楽しみ方ができる曲だと思います。ずっと聴きたくなるようなメロディも、すごく好きですね。ここまで自分の感情に近い曲を歌うのは初めてですし、あらためて歌っていいなとも思いました。いつか、自分でこういう歌詞が書けたらいいんですけど」

──MVは、今回着ている深紅の衣装と白の衣装のコントラストが印象的です。

「今回のMVは、全部スタッフさんに任せました。自分の希望を言い出すと、あれがやりたい、これがやりたいって止まらないので(笑)、だったら信頼しているスタッフさんに全部を任せようって思ったんです。スタッフさんたちを信頼している上で、どんなMVをプレゼントしてくれるかなって、自分自身も楽しんでいた部分もあるかもしれないですね(笑)」

──卒業ソロ曲のMVの内容をスタッフさんに任せられる、委ねられるのは、自分に自信がないとできないことのような気がします。

「今までは、スタッフさんを信頼していないのではなくて、自分で自分のことを信頼していなかったし、誰かに任せることも怖かったんだと思います。でも、ここにきてやっとなんですけど(笑)、“自分だけで頑張らなくていいんだ”って、誰かに頼ることを覚えたんです。ソロライブをしたときも、自分はこうしたいああしたいって、それが実はきつかったりしたんですよ。他人に委ねられないのが。でも、今回のMVでスタッフさんに委ねてみて、こんなにも違う感覚になれるんだなって」

──すごくいい経験になったんだなということが伝わってきます。

──そんな古畑さんですが、ここから9月末のSKE48卒業までは、どんな駆け抜け方をしていきたいですか?

「やっぱりアイドルとしての私を“応援していて良かったな”って思われたいし、卒業後が楽しみになる人でありたいというか、“まだまだ輝き続けられるんだろうな”って思ってもらえるように。卒業だからってあんまりしんみりするのも好きではないので、9月末までも今まで通り、無理をせずフラットな私を見せていけたらなと思っています」

──11年間のアイドル活動を通して、アイドルとはどんなものだと思いますか?

「なんだろうな…私にとってアイドルは、夢みたいなものですかね」

──アイドルになることが夢で、その夢が叶ったあとの11年間もずっと夢は夢のままだったというか?

「そんな感じかもしれないです。アイドルになりたいという夢が叶って11年間、ずっと幸せな状態だったと思います。アイドルはキラキラしている姿をファンに見せたり、時には寄り添ったりしながら夢を見せるお仕事だと私は思っているんですけど、その中で私は誰かを支えられていると実感できることが、アイドルとしてのやりがいでした。私は誰かを支えたくて、自分が誰かの役に立っていたく、それを実感することでアイドルとしての自分が成り立っている部分があったんです。例えば、お医者さんも誰かを助けているけど、私はお医者さんにはなれないから、自分ができるアイドルで誰かを支えたかった。そういう思いで、アイドルを11年間やってきました。その11年間は本当に幸せだったし、人間的にも強くなれたし、すごく充実した時間だったと思っています」

──「ひかりさす」で<キミとはこれでサヨナラじゃないんだから>と歌っていますが、卒業後の活動は?

「具体的にはまだわからない部分もあるんですけど、この世界での活動は続けていくので、楽しみにしていてください!<キミとはこれでサヨナラじゃないんだから>とも歌っていますから、嘘はつけないです(笑)。私はあんまり先を考えないタイプなので、これからもデンジャラスかもしれないですけど(笑)、直感で生きていきたいですね!」

──卒業ソロ曲のタイトルは「ひかりさす」ですから、しっかり輝かないと!

「そうなんですよ!「ひかりさす」という曲を卒業ソロ曲で歌っている以上、卒業までの期間も、卒業してからの自分にも、光が差してもらわないと困りますからね!」

(おわり)

取材・文/大久保和則
写真/野﨑 慧嗣

Release Information

古畑奈和「ひかりさす」

2022年824日(水)発売
ZEST-0016/1,650円(税込)

古畑奈和「ひかりさす」

Live Information

古畑奈和卒業コンサート ~ハニーフェス~

日程/会場:924日(土)/日本ガイシホール
開場/開演時間:開場 10:30 開演 12:00

古畑奈和卒業コンサート ~ハニーフェス~

古畑奈和(ふるはた・なお)

1996 年 9 月 15 日生まれ。愛知県出身。
2011 年 にSKE48 5 期生として加入し、2013 年から 2015 年まで AKB48と兼任を務めた。
2013 年に SKE48 の 12th シングル『美しい稲妻』で初選抜以来、現在に至るまで表題曲選抜メンバーとして活動。
2017 年 AKB48 グループ「選抜総選挙」では14 位にランクイン。
2017 年にソロシングル 「オルフェス 」、2018年にミニアルバム 『Dear 君とボク。 』を リリース。
2019 年 SKE48 25th 『FRUSTRATION』ではセンターを務めた。
特技のサックスを活かし、雑誌「サックス・ワールド」にて 5 年以上も連載。
第 3 回・4 回「AKB48 歌唱力 No1 決定戦」決勝戦へ出場し、ユニット「Nona Diamonds」にも参加。
2019 年・2021 年にはソロライブ、御園座 三月特別公演 『水戸黄門』、30-DELUX NAGOYA アクションクラブ MIX『ナナシ 2021』に舞台に出演するなど、多岐にわたって活躍。
2022 年 5 月 31 日には自身初となる写真集『古畑奈和1st 写真集 「感情の境界線」』を発売した。
9 月 24 日(土)には名古屋ガイシホールにて卒業コンサートを控えている。

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