――『PRODUSE 101 JAPAN』、『THE FIRST』を見ていた人たちにとって、男澤さんのデビューは“ついに!”と思っている人が多いと思います。男澤さん自身は、デビューが決まった時はどんな心境でしたか?
「“やっと”という気持ちが強かったですね。“プデュ”(『PRODUSE 101 JAPAN』)から考えると、3年が経っているので、“いよいよだな”という気持ちもありましたし、ワクワクも大きかったです。さらに、今の事務所に所属して、1年間の準備期間を経てのデビューだったので、“頑張ったな”という気持ちもありますし、“これから突っ走っていきたいな”という気持ちでいっぱいでした」
――オーディション番組に参加したり、コロナ禍となったりと、大きなことが多い3年間だったと思います。人生観はどう変化しましたか?
「人生観はかなり変わりましたし、音楽性も変わりました。さらに、友だちからは“性格も変わったね”って言われるんです」
――どのように変化したのでしょうか?
「“より柔らかくなった”と言われました。昔はもっと必死で、“頑張らなくちゃ!”って思い過ぎていたのかもしれないですね。今もその傾向はあるんですが、いろんなことを経験する中で視野が広がり、感謝を感じる瞬間が増えるようになりました」
――この3年間、デビューを目指す男澤さんにとっては、本当に過酷な道のりだったと思うのですが、どうやってモチベーションを保っていたのでしょうか?
「僕はライブを見たり、パフォーマンスを見ることが大好きなので、他のアーティストさんを見て“自分も頑張るぞ!”と気合いを入れていました。あとは、家族ですね」
――家族の存在が大きな支えになっていたんですね。
「はい。家族と普通の話をすることや、友だちと過ごす普通の生活があってこそ、パフォーマンスが輝いて見えるような気がしているんです。毎日音楽のことばかり考えると、特別感が薄れていくと思っているので、今後も家族と過ごしたり、友だちと遊んでリフレッシュしながら、音楽をやっていきたいなと思っています」
――ストイックに音楽だけを求めていた頃よりも、余裕が出たのかもしれないですね。
「本当にそう思います。その余裕は、エンターテイメントには絶対に必要なものだと思うので、心を充実させることを大事にしたいですね」
――この3年間、そのほかにどんなことに気付きましたか?
「以前は、自分が“どう歌いたい”という想いはとくになくて、それよりもただ歌が好きで歌っているという感じだったんです。それが、オーディション番組に参加することで、自分が見せたい色や、好きな色が大体分かってきたので、今度は“技術面を深めていきたいな”と思うようになりました。すごく意味のある3年間でした」
――オーディション番組を見ていると、男澤さんは、どんなことがあっても、ブレることなく、本当にまっすぐに歩いている印象があるのですが、それは小さな頃からの性格なのでしょうか?
「もともと自分に自信を持っているというのは大前提として、周りの声をちゃんと取り入れることをなによりも大事にしているんです。たとえ自信があったとしても、周りが認めてくれなかったら不安になりますしね。なので、ファンの方や、トレーナーの方に支えられながら、真っ直ぐに夢を目指してきました。なかでも、『THE FIRST』に参加したときに、SKY-HIさんから“もっと人に頼っていいよ”って言っていただけたんです。僕は“ダメに思われたくない”と、気を張ってしまうところがあったんですよね。でも、そんな僕を見抜いて、“教える人は、教えるために来ているから頼っていいんだよ”と言っていただいたんです。その言葉は心に刺さりました」
――少し甘えられるようになりましたか?
「はい。ちょっと甘えすぎる時があるくらいです(笑)。あとは、いろんなことを知りたい気持ちが増えて、素直に聞けるようになりました」
――なかでも知りたいなと思ったことはどんなことでしたか?
「僕は、歌は大好きなんですが、パフォーマンスを一緒にやると、最初はいっぱいいっぱいになってしまっていたんです。でも、このデビューまでの1年間に、振り付けも考え、練習を積み、鍛えることができたんです。そういえば、以前、事務所の先輩方に“自分が鏡で見て踊って歌うのと、TVを通して画面を通してみるのは違う”と言われたんです。それを先日実感して、“つねに120%出さないと緩く見えてしまうんだな”って思ったんです。それと同時に、DA PUMPさんや三浦大知さんは、テレビでも、ライブでも、本当にエネルギッシュにパッションを届けられるアーティストさんなので、いつかそうなりたいなと思っています」
――ソロだからできることはどんなことだと思いますか?
「1人からでるアイディアの量って、どうしても限られてしまうんです。でも、インプットをし続けることで、いろんなものを見せられるんじゃないかなと思っているので、その努力はし続けたいですね」
――それこそ、『THE FIRST』の仲間たちはソロで頑張っているアーティストが多いですよね。刺激を多く受けるのではないでしょうか。
「めちゃくちゃ受けますね。ライブで活躍していますし、曲のリリースも早かったので刺激になりました。なかでもAile The Shotaくんは、いまもご飯を食べに行くんですよ。ソロ同士だから分かり合えることがありますし、僕よりも先に歌詞を書いている人だったのでリリックの書き方やコツなどはShotaくんが教えてくれたんです。一緒に頑張っている仲間がいると思うだけで、本当に支えになるので、すごく大切な存在です」
――そしてついに8月3日のデビューシングル「Behind the moonlight」がリリースされました。この曲はどのように作られたんでしょうか?
「実はこの曲は2年前に作った曲なんです。当時の曲からはブラッシュアップされ、リリックも変わっているんですが、デビューに相応しいすごくいい曲ができたと思っています。作った当時と気持ちは変わっていないですし、これから始まるワクワク感が伝わる楽曲だなと思いました」
――2年前はまだデビューはわかっていなかったですよね?
「はい。実は今の事務所の社長と出会っていて、その時はまだ所属は決まっていなかったんですが、“曲を作ってみたら?”と言っていただいたんです。そこで、“夢を叶えたい”という気持ちで書いた曲だったので、それがデビュー曲になったのは運命的なものを感じています」
――リリックを書いたときに、一番伝えたいと思ったのはどんなことでしょうか。
ファンの方に向けて、“今まで支えてくれてありがとう”という気持ちを純粋に伝えられるように書きました」
――リリックはかなり赤裸々に書いていますが、もともとリアルな気持ちを言葉にできるタイプですか?
「そうですね。僕はどんなことも言っちゃうタイプです(笑)。ネガティブなことも、一番近しい人には言っちゃうところがあって…。そこはダメだとは思うんですが、伝えたいことはちゃんと伝えるようにしているんです。その気持ちがリリックから伝わったら嬉しいですね」
――自分で歌詞を書くようになってから、どんな変化がありましたか?
「僕はこれまで大好きなK-POPばかり聞いていたんですが、J-POPも聴くようになりました。そこで感じたのは、“J-POPはストレートな表現が多い”ということだったんですよね。それも含めて、自分の歌詞を見直して、勉強するようになりました」
――いまはどのくらいストックがあるのでしょうか。
「いまはデモを合わせると30曲ほどになりました。リリックはそれよりもあって、しっかりと完成したものは10曲くらいできました」
――『THE FIRST』では曲作りについてもかなり学べたのではないでしょうか。
「そうですね。みんなの歌詞のセンスや書き方が1人1人違っていて、本当におもしろかったんです。今考えると、音楽の専門学校に行っているような感覚でしたね。しかも、みんな才能がある人ばかりだったので、本当に良い経験ができたなと思っています。ただ、曲を聴いてすぐにメロディを考えたりするのはさすがに早いなと思っていました(笑)。“プデュ”に関しても、グループでやっていく上で必要なことがたくさん学べましたし、韓国の技術を教えてもらえたのは大きな財産になりました。振付けを作ることもあったので、パフォーマンスの基本を学ばせてもらいました」
――夢を目指し続けていれば、叶えることができるということを提示できる存在になっているからこそ、いま、夢を目指している人たちにどんな言葉をかけたいですか?
「僕はまだスタートに立ったばかりですが、今後もっとビックになって、その背中を見せていきたいなと思っています。それに頑張っている子に対しては、一番好きなものを極めればいいんじゃないかなって思うんですよね。とはいえ、選ぶ力も必要だと思うんです。自分がなりたいものと、できることって違うことがあるので、その決断力はつけたほうがいいと思います。それに、今選んでいることではないことで開花する可能性もありますからね。なので、これからもたくさんのことに挑戦していきたいなと思っています」
――新たなインプットのために、していることはどんなことですか?
「カルチャー作品をよく見たり、読んだりしています。僕が好きな映画で『ビューティ・インサイド』という韓国映画があるんですが、毎日外見が変わる男性が主人公なんです。でも心は変わらないからこそ、そこで恋愛は出来るのか?ということが描かれていて。本当に感銘を受けて、そこから歌詞を書いたんですよ」
――刺激を貰ったことがリリックやメロディになっていくのは素敵ですね。ちなみに、今ハマっているサウンドのジャンルはありますか?
「もともとフューチャーベースが好きなんです。さらにフューチャーハウスも好きで、ファンクも聴くようになりました。これからいろんなタイプの曲も歌っていきたいですね」
――お話を聞いているとすごくポジティブだなと思うのですが、心掛けていることはどんなことでしょうか?
「僕はアーティストをやるうえで、つねに元気を与える存在でありたいんです。僕がアーティストに求めているのが、そういった存在なんですよね。なので、つねに笑顔でありたいんです。ちょっとあざといくらい、笑顔でいたいですね(笑)」
(おわり)
取材・文/吉田可奈
写真/中村功
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