――20周年おめでとうございます!20周年を迎える今の率直な気持ちはいかがですか?

古屋敬多「ちょうど今、20周年記念ライブの準備をしているんですけど。7月31日に行う“感今導祭”と8月6日、9月17日に行う“導標”の2つのパッケージを同時に作っているので、正直焦っております(笑)」

――感慨に浸っている暇がない、と(笑)。でも、裏を返せば、それだけライブで表現したいことがたくさんあるとも言えますね。

古屋「そうですね。楽曲もかなり詰め込んでいるので。というのも、“感今導祭”ではファンの方からリクエストを募って、それを元にセットリストを組んでるんです。いただいた声に応えたいし、自分たちとしてもできるだけのことをしたいなと思って、ギュッと詰め込んだないようになっていて……。今は、ただただ、それを成功させたいって気持ちで日々を過ごしてます」

鍵本 輝「だから、忙しいまま20周年を迎えそう(笑)。いいことではあるんですけどね。でも、そういうことも踏まえて、僕は速かったなって思いますね。たぶん、10周年のときも、15周年のときも同じことを言ってると思うんですけど(笑)。リリースだったり、何かの締切だったり、基本的に時間を追いかけているので、体感速度はすごく速いなと感じます」

谷内伸也「僕は10周年のときは長く感じたんですよね。やっと10年か、みたいな。でも、そこからの10年は本当にあっという間でした」

鍵本「あと、ここ2、3年はコロナ禍っていうのもあるしね」

谷内「15周年から20周年にポンって飛んだ感じあるよね」

――そうした中で無事に20周年が迎えられるのはうれしいですよね。

谷内「それは本当にそう。みなさんのおかげで20周年を迎えることができて、ありがたいですね」

――このたびリリースされるベストアルバム『Lead the Best “導標”』は、すべてのシングル曲に新曲「導標」を収録し、全38曲という大ボリュームです。

鍵本「さっき完成したばかりのスペシャルボックス盤を触ったんですけど、重いんですよ(笑)。これが20年の重みかぁと思って」

古屋「未開封のスペシャルボックス盤を持ってきました。今、初めて開けます!」

――大きいですね

鍵本「どうですか?」

古屋「あらら……PHOTOBOOKがいい質感!」

――紙質の感想ですか(笑)。

古屋「いやあ、感慨深いです。これ、ちょっとした写真集になってますね」

鍵本「でも本当、何か記念として写真集とかを出したいねって話もしてたんですよ。なので、こういう形で作ろうって思ってくれたスタッフの方にも感謝ですね」

谷内「20年分の歴史が詰まってるわけですから、やっぱりこれぐらいの大きさになりますよね」

――その中にはCD3枚にわたってこれまでの全シングルが収録されているわけですが、ラインナップを見て率直にどう思われましたか?

鍵本「全体的にというか、特に前半2/3は、ほぼしゃかりきだったなって思います。今回ライブを作っていく上で懐かしい曲も振り起こししたりしてるんですけど、当時の振りもしゃかりきなので、若さって素敵だなって思いながらのリハーサルです(笑)」

古屋「新曲を除く37曲の中には、酸いもあり、甘いもあり……歌声を聴くと、なんとなくそのときの状態がわかるんですよ。Leadは一本道でここまできたグループじゃなく、紆余曲折あっての今なので、思い返すことは多いし、言ってみればこのアルバムは自分の、そしてLeadの人生なんですよね」

――谷内さんはどうですか?

谷内「いろんなジャンルの曲を出してきたなっていうのを、改めて感じました。EDMが流行り始めたら電子音が増えたり、HIP HOPのサンプリングから影響を受けたものが反映されていたり。その時代、その時代が映し出されていて、面白いなと思います」

――なかでも、みなさんにとってターニングポイントとなった楽曲はどの曲でしょう?

鍵本「僕は「Upturn」ですね。正直、リリースするのが怖くて、怖くて……。この曲はリーダーだった(中土居)宏宜の卒業ライブで初披露してはいたんですけど、リリースのタイミングで初めて3人でステージに立つライブがあったんですね。それが本当に怖かった。もしかしたら、ほとんどのファンが離れてるかもしれないし、3人になったLeadは求められていないかも……って。だから、その日のステージもお客さんが数人かもしれないって覚悟でステージに立ったんですけど、1曲目のイントロで顔を上げると、後ろのほうまでぶわーっとファンの方がいてくれたんです。それを見て、“あ、俺たち3人でLeadを続けていいんだ”と思えたというか。逆に、ちょっと後ろめたい気持ちでこのステージに立ってしまったことを申し訳なく思いました。それくらい、この「Upturn」という曲と、その時期っていうのは、自分たちにとって大事なタイミングでした」

――古屋さん、谷内さんはいかがですか?

古屋「僕、先に言わせてもらいます」

谷内「いいよ(笑)」

古屋「そうですね……「Upturn」です」

谷内「被せてきましたね!」

古屋「いっしょなんですけど(笑)。輝が言ってくれましたけど、やっぱり、リーダーが卒業してから3人で出す1曲目。それに、この曲の歌詞が<あなたにとって譲れない夢はありますか?>という問いかけから始まって、その後に<うなずく仲間と指きりげんまん 合言葉はそう“Upturn”>と続くんですけど、そこにすべてが詰まっているというか。これまで4人でやってきた時代があって、そこから旅立って違うところに行っても、俺ら4人で頑張っていこうという決意を表した曲でもあるんですよね。リリースしたのは2013年ですけど、ある意味、Leadの20年を表現した曲になっていて。ずっとツアーのメインタイトルにしているくらい大事にしてきたし、これからも大事にしていく。「Upturn」なしではLeadは語れません」

谷内「僕がターニングポイントだと思うのは……「Upturn」。右に同じくという感じですみません(笑)」

――それだけLeadにとって重要な楽曲なんですね。

「そうですね。デビュー曲「真夏のMagic」と同じくらい、Lead第2章の始まりの曲として自分たちの思い入れも、歌詞に込めた想いも強いので。そのときに渦巻いていたいろんな感情が思い出されて、一番に出てきました」

――既存の楽曲でいうと、初回限定盤とスペシャルボックス盤に収録される4枚目のCD「Special Disc “Leaders Choice”」も見逃せません。こちらはシングル曲を外した楽曲の中から、音楽配信サイトでのストリーミング再生数上位の19曲を収録。ランクインした楽曲の印象はどうでしたか?

鍵本「いや、これはもう、発見でしかなかったですね。シングルを外しているぶん、どちらかというとマニアックな部類の楽曲も多いんですけど、入っている曲も順位もめちゃくちゃ意外でした。例えば3位の「君は何かができる」とか。これはダークホースというか、自分たちでもノーマークでした」

古屋「なんで!?って思ったよね」

鍵本「そう。でも、映画『キャプテン』の挿入歌になった曲でもあって、Leadファンじゃない人も再生してくれてるのかなって」

谷内「他だと11曲目の「No Doubt」。これはデビュー曲「真夏のMagic」のカップリングで、その当時以外ほとんどライブでもやっていないんですよ。でも、ずっと人気がある曲で、今回もやっぱり入ってきたなっていう印象です」

――でも、そういうのが何よりうれしいですよね。

鍵本「そうなんですよね。だからこそ、こういう形のランキングは自分たちの音楽の参考になるというか。ライブのセットリストを考えるときもだし、次はどういう楽曲にしようかっていうときも、ファンの人たちがLeadに求めてくれるものが何なのかのヒントになるなって」

――確かに、セットリストに影響しそう。

谷内「そうなんですよ。僕らもファンの人たちの要望を知りたいですし。やっぱりライブにおいては自己満足って一番悪だと思うんですよね。それぞれの楽曲にそれぞれの思い出があると思うし、この20年、僕らのファンであるLeadersといっしょに歩んできた感覚があるので」

鍵本「そういう意味では、僕たちだけの20周年とは思っていなくて。応援してくれる人がいたからこその20周年でもあるので、みんなでの20周年だなっていうのはすごく感じます」

――そうしたみなさんの想いは、新曲「導標」からも伝わってきました。

全員「ありがとうございます!」

――とはいえ、まず驚かされたのが、歌詞の中にシングルのタイトルが含まれていて、しかもそれがリリース順になっているという。

鍵本「それは譲れないこだわりでしたね」

谷内「こういう曲を書こうと思ってるっていうのは、輝が言い出したんですよ」

古屋「最初、何を言ってるのかな?って思いました(笑)。全部のタイトルを歌詞に入れる……どういうことや?と思って。ちょっと理解ができなかったです(笑)」

谷内「大変だったよね?」

鍵本「どちらかというと、1曲に収まらないなっていう大変さはあったかも。でも、タイトルを全部入れたり、順番通りにしたりっていうのは、実はそれほどハードルは高くはなかったですね。というのも、どの楽曲も、リリースしたときの自分たちの心情がそのまま出てたから。それこそ、等身大の曲をずっとやってきたからこそ、リリースの順番がストーリーになってたんですよ。変化球のタイトルもあるにはあるんですけど、書きながら、これって自分たちのそのときそのときの想いだったんだなっていうのがわかりましたね」

古屋「ちょっと書いてみるって言ってから、結構早い段階で今の形に近い状態で持ってきたんですよ。それを見て、率直に“輝、頑張ったな”って(笑)。よくこんなに自然に……。タイトルによっては、どうしても無理矢理感が出そうというか、もし僕が書いたらそうなっちゃいそうだなって思ってたんですよ。それが、ここまで自然に持ってこられると、本当に拍手ですね」

谷内「僕もタイトルのいくつかは、入れ込むの無理じゃない?と思って、実は、途中で挫折するんじゃないかなと読んでたんですよ(笑)。でも、やり切ってきましたね」

古屋「「ギラギラRomantic」とかね」

鍵本「「ギラギラRomantic」は難しかった!」

谷内「あと「想い出ブレイカー」とか。僕はここでつまずくかなって予想してた。けど<想い出はブレイカー>って、セパレートして入れ込んできてて、なるほどなって」

――先ほど鍵本さんもおっしゃっていましたが、まさにLeadのこれまでの歩みを辿るような歌詞になっていて。これまでLeadを応援してきたLeadersはもちろんのこと、みなさん自身が誰よりもグッと来たのではないでしょうか?

古屋「そうですね。歌っていても、この20年間を感じながらだったので、ところどころすごくエモーショナルな歌い方になっていたりするんですよ。そのなかでも、僕はやっぱり伸ちゃん(谷内)のラップにグッと来るものがありますね。エモーショナルでありながら、力強くて。こんなに力強く歌われたら、Leadersも付いて行きたくなるだろうなぁっていう。レコーディングは輝ディレクションだったんですけど、感情を込めることをみんなで意識して。輝も、もっと! もっといこう!と言っていたので」

鍵本「この曲は小手先の技術はなしにして、気持ちでいこうって話しました」

――また、Leadの魅力といえばライブも外せません。スペシャルボックス盤に入っている「BEST LIVE SELLECTION DVD」はメンバーセレクトという点で、シングル集や再生回数上位曲とは違った角度からのLeadらしさが出ているように思いました。どのようにセレクトして行ったんですか?

谷内「それぞれが選んだものを組み合わせたので、メンバーごとに違うと思うんですけど、僕の基準としては、めちゃくちゃ踊ってる曲っていうのを選びました。ダンスチューンだけでなく、しっとり系の曲でも「トワイライト」とか「雨のち君」とか、しっかり踊っているものにして。ダンス込みで見てもらうっていうことにフォーカスを当てましたね」

古屋「僕たち2004年から連続で単独ツアーをやっているんですけど、今までやってきて、その年ごとに恒例の曲みたいなのが出てくるんですね。それが不思議とシングルのタイトル曲じゃなくて、カップリングだったり、アルバム曲だったりして。それがライブの顔になることが多いので、そういうものを中心に選んでいきました」

鍵本「僕はライブの1曲目を全部選びました。ただ、入りきらなくて、最終的には数を絞ったんですけど」

――確かにライブの1曲目って、観に行くほうも楽しみなところです。

鍵本「そうなんですよね。僕らも登場の仕方には拘っているので。さっき敬多が言ったことと似てるんですけど、それこそ1曲目にはその年のLeadが一番カッコよく見せられる曲っていうのを毎回選んでいるので。僕らが命をかけた1曲目を集めてみたらどうだろうっていうのがありました」

――みなさんのライブへのこだわりを聞くと、20周年記念ライブも楽しみになりますね。何かスペシャルな演出、サプライズなども用意してるんですか?

谷内「みんなが驚いてくれそうな曲はありますね」

古屋「あと、例えばデビュー曲とか、絶対大事なところに来なきゃおかしいだろうって曲ももちろんあります。それは、しっかり考えて、ちゃんと大事なところに来てるので」

谷内「それも、何気にそこに持って来るのは初めてくらいな感じの場所になってます」

鍵本「あと、正直めっちゃ苦労したのは「ファンキーデイズ!」ですね」

古屋/谷内「あー!確かに!」

鍵本「「ファンキーデイズ!」は、リリース当時はフルで踊ってた曲なんですけど、ライブを重ねていくごとに踊りが減って、みんなでいっしょに踊ったり、歌ったりする楽曲に変化していったんです。でも、今回はやっぱりアニバーサルライブなので、忘れてしまった振りを呼び起こして、当時の状態で披露しようっていう」

古屋「他にもアレンジが進化していったり、踊りも原型を留めてなかったりする曲があるんですけど、それも全部オリジナルに戻して披露するので、楽しみにしていてほしいですね」

――それを聞くと、冒頭で古屋さんがおっしゃっていた「正直焦ってます」という言葉も改めて納得です。本当、まずはライブを成功させるというのが最大の目標かと思いますが、これから先、30周年、40周年を見据えた場合、どんなグループになっていきたいですか?

鍵本「正直、このコロナ禍でいろいろ失速してしまった部分があるので、最近は1個1個の仕事をやり遂げていこうぜってマインドではあるんですけど……。そういうなかでも、個人的には、もっと個々が活躍できるようになっていきたいなと思います。個々でも強い、まとまっても強いみたいな、そんなグループになりたい。だからこそ、クリエイティブな部分でももっと突き詰めていけたらなって。この年齢になったからこそ、発信する言葉にちゃんと意味が出てくるのかなって思うんですよね」

――古屋さんはどうですか?

古屋「なんていうか、手放しでも、付いていきます!って思われるようなグループになりたいですね」

――手放しでもというのは?

古屋「コロナ禍の今がまさにそうなんですけど、会いたくても会えない状況が続いていて。Leadの20年はファンと歩んで来た20年なので、この状況が続くのはお互い辛いし、そのまま気持ちが離れてしまう方もいたりして……。そういう状態になっても絶対的な存在でありたいし、そのためにはどうしたらいいんだろうっていうのはずっと考えています。その一つが、舞台などLead以外の活動に挑戦することだったりするんですけど。そこで得るものもたくさんあるんですよね。なので、自分のなかで限界を決めずに、無理と思ったことでも挑戦して。いろんなことをやって、成長して、みんなを引っ張っていけるような感じになりたいなって思います」

谷内「僕も気持ちとしては2人と同じなんですけど。とはいえ、個を強くするにはどうするべきなのかを考える時間のほうが、今は多いですね。でも、そういうことって今までもあったし、その時間は絶対無駄じゃないってこともわかっているので。そこから何か見つけるのもそうだし、これまでと変わらず、よりクリエイティブなものを自分たちで発信して、応援してくれる方を楽しませていきたいです」

鍵本「それと、やっぱり、ライブの場とかみんなが集まれる場所を、ずっと守っていきたいです。自分たちが活動していけばそういう場所は残されるのかもしれないですけど、逆も然りで、みんながいないと僕たちの活動場所はないので。自分たちの音楽と共に、みんなで集まる場所をこれからも守り続けていきたいし、その場所がどんどん大きくなっていったら最高だなって思います」

(おわり)

取材・文/片貝久美子
写真/平野哲郎

LIVE INFOLead 20th Anniversary Live~導標~

8月6日(土)大阪国際交流センター大ホール
9月17日(土)中野サンプラザ

チケットぴあ

DISC INFOLead『Lead the Best "導標"』

2022年7月31日(日) 発売
初回限定盤(4CD+DVD)/PCCA-06129/6,600円(税込)
ポニーキャニオン

Lead『Lead the Best "導標"』

2022年7月31日(日) 発売
通常盤(3CD)/PCCA-06130/4,400円(税込)
ポニーキャニオン

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