PART 1. GENIC『Ever Yours』セルフライナー・インタビュー
――待望のアルバム『Ever Yours』がリリースされます。本当にバラエティ豊かな楽曲が揃いましたが、メンバーの皆さんの推し曲を教えてください。
金谷鞠杏「「Supersonic」という曲は、ライブではみんなでサビの振りを揃えたら楽しそうだなと思いました。ラップやHIP HOPが好きな人たちにもハマる曲調だと思います」
西本茉生「僕は主旋律の1オクターブ下で<Oh Yeah~>って歌ったんですよ。かなり低い声になっているので、そこだけを聴いたら面白いんだろうなって思いました。僕の声だけ抽出したらって話ですけどね(笑)」
金谷鞠杏「そこだけを抽出するのは難しいよね(笑)」
西本茉生「かなり(笑)」
増子敦貴「僕は「夏の聲」「ジリジリSUMMER」「Aventure」「Supersonic」が好きですね。「夏の聲」に関しては、GENICに新しい風を吹かせる挑戦的な曲ですし、「ジリジリSUMMER」は呈が作った、思わずタオルを振り回したくなるサウンドです。さらに「Supersonic」はめちゃくちゃかっこいいですし……何?みんなざわざわしちゃって」
雨宮 翔「いや、全部言い始めたなって思って(笑)」
――あははは!他のメンバーが言う曲がなくなっちゃいますね。
増子敦貴「それを狙って、イタズラしてみました(笑)。でも、本当に新曲の振り幅がすごく広くて、どの曲も聴き飽きないですし、聴くほどに好きになる曲が多いんです」
――挑戦が多いからこそ、難しかったのではないですか?
増子敦貴「そうですね。でも、悩んだとしても、いろんな人の力を借りてなんとか乗り越えることができました。少しレベルアップしたんじゃないかなと思っています」
雨宮 翔「「Supersonic」は、今までにないくらい激しいラップがあったんです。今までやったことがなかったので、僕にとっては大きな挑戦でした。なので、注目して聴いてもらいたいですね」
――ラップパートはもう聴きましたか?
西本茉生「めっちゃ好き!」
雨宮 翔「本当 !?(笑)」
西本茉生「マジですき!」
雨宮 翔「よかった。ディレクターさんとも、新しい世界が見られたねって話していました」
小池竜暉「今回、男子は「U&I」、女子は「My BABY」と、男女別々の曲も収録しているんです。これって、GENICだからこそ歌える曲なんですよね。これからも、新たな男女曲が生まれる可能性を感じられる曲にいなったと思います」
西澤 呈「僕は「Aventure」が好きですね。この1曲で、“GENICが戦えるぞ”って思ったんです。ファンの方も、このイントロがかかるとすごくいい反応をしてくれるんですよ。自分達もこの曲が始まると、おかしいくらいアドレナリンが出始めて、急に力が湧いてくるので特別な曲なんです」
金谷鞠杏「間違いなく、アドレナリン曲ですね」
――疲れた時は、この曲を聴いて元気を注入してほしいですね。
金谷鞠杏「うーん、そこまでは……」
増子敦貴「なんで弱気になってるの?(笑)」
金谷鞠杏「でも、負けたくない時や、“私たちはこんなものではない”というマインドの時に勇気をくれる曲なので、すごくおすすめです。「アンパンマンマーチ」みたいな曲ですね」
西本茉生「いやいや!アンパンマンにアバンチュールって言わせちゃダメでしょ!(笑)」
金谷鞠杏「あははは!そうか」
西本茉生「今回、新曲たちもそうですが、竜暉と呈が楽曲を作るたびに、“すごい難しくなっちゃったんだよね~”って言うんですよ。最初は“マジかよ”って思うんですが(笑)。そのたびに成長させられたと思っていて。今回も、「夏の聲」はかなり難しいですし、大変だと思ったんですが、竜暉がディレクションしてくれたおかげでなんとか歌うことができました」
――難しい曲を作るのは、メンバーができるからって思うからですよね。
小池竜暉「もちろん。「夏の聲」は、作った時に、完成型を想像するのが難しかったんですが、いざ歌ってみたらGENICとしてすごく素敵な曲になったんです」
――毎回曲を聴くたびに、難しい曲だなって思いますか?
雨宮 翔「本当に難しいんですよ。「Aventure」を聴いたときも、竜暉と呈に対して“なんだこの人たちは”って思いました(笑)。でも、僕たちなら歌えると思って作ってくれていると思うので、その期待には応えなくちゃって思ったので、“期待を超えてやる”という勢いでレコーディングしました」
金谷鞠杏「ふたりは、メンバーだからこそ、私たちの声を1個1個分析してちゃんとハマる曲を作ってくれるんです。その違いや特徴に気づくのがすごいなと思いましたね」
西澤 呈「あえて、テンポを取れる音を抜いて作ったりもするんですよ。そうすれば、楽曲の中で歌う人が遊べるようになるんですよね。その時々で歌いやすいように歌ったり、また違った風にアレンジしたときに、サウンドが邪魔にならないように引き算をしているんです」
西本茉生「まあ、ひと言でいえば、変態なんですよ(笑)」
金谷鞠杏「こんなに若いのに、ここまで追求したサウンドオタクなのは武器だと思う(笑)」
――グループにここまでの音楽オタクがいるのはすごく強いですよね。
金谷鞠杏「しかも呈と竜暉は関係もすごく良くて、カップルみたいなんですよ」
増子敦貴「ただ、雑談中に専門用語を使うのだけはやめてほしい(笑)」
小池竜暉「ははは!僕たちふたりにとっては日常会話なんだけどね」
宇井優良梨「変態と言えば……」
西澤 呈「うん、変態と言えば?(笑)」
宇井優良梨「うん(笑)。今回、「ジリジリSUMMER」で、<Session time♪>というフレーズがあるんですが、ここを50テイクくらい録って、いろんなバージョンを試したんです。50テイクの中から、厳選された1テイクが使われているので、じっくり聴いてもらいたいですね」
西澤 呈「僕がレコーディングに立ち会ったんですが、本当にたくさん録ったよね。ディレクターさんとも、“もっといける!”ってちょっと煽ったりしていて(笑)。僕的には、無声音から有声音にかわる“フフ”を聞きたくて」
宇井優良梨「はい、ここが変態のところです(笑)」
一同「ははは!」
(PART. 2に続く)
PART. 2 西澤 呈と小池竜暉のサウンドメイキング
――さて、ここからはGENICの楽曲制作に携わっている西澤さん、小池さんにGENICのサウンドについてお聞きしていきます。まずお互いに思うリスペクトしているところを教えてください。
西澤 呈「竜暉くんは、僕が“曲を作ったんだけど、メロディを付けて欲しい”って言うと、一瞬で素敵なメロディを付けてくれるんですよ。「Aventure」を作った時も、“こんなイントロはどうかな?”って言ったら、そのイントロのコード進行からサビを思いついたみたいで、2分後くらいにメロディを送ってくれたんです。そのメロディメイカーとしての才能は本当にすごい思うし、ハモリもすごく上手に作ってくれるんです。あとは……」
――息つく暇もないくらいすらすらと出てきますね!
西澤 呈「すいません(笑)。僕は本当に竜暉くんのことを尊敬しているので。たとえば、かっこいいメロディを作ったとしても、歌詞がかっこよくなかったり、歌いづらいものだと、その良さが消えてしまうんです。でも、メロディの良さが分かっているから、そこに載せるべき日本語を載せてくれるんですよね。だからメンバー自身も、歌っていてすごく気持ちよくなれるんです。きっと、いま、他のどこにいる人よりもいいメロディを作る人だと思いますよ」
小池竜暉「めちゃくちゃうれしいけど、めちゃくちゃ恥ずかしい(笑)。でも、それができるのは呈のトラックがいいからなんですよ。いつも僕のインスピレーションをものすごく刺激してくれるんです。いつも、その最初に出てきたインスピレーションをいつも大事にするんですけど、呈に送る前に、何個かは録音するんです。でもやっぱり、最初のメロディがいちばんいいんですよね。ちなみにお風呂でスマホをいじっているときにトラックが来たら、そのまま録音しちゃうときもあるんです」
西澤 呈「そう!だからよく水の音が入ってる(笑)」
小池竜暉「お風呂だから(笑)。お風呂はリバーヴがかかってちょうどいいんですよ」
西澤 呈「こうやって、プライベートの時間を削って、メロディをすぐに送ってくれるのはすごくうれしいんですよね。それに、トラックを作って、すぐ聴いてって送れるのも、こういった関係じゃないとできないから、大切にしたいんです」
小池竜暉「こんなに言ってくれていますけど、呈のほうこそ天才なんです。とはいえ、努力型でもあるんですよね。少し前までは、僕がメロディを作り、呈が編曲をすることが多かったんですけど、最近はいっしょに作るのが当たり前になってきたんです」
――歌詞もいっしょに作っているんですか?
小池竜暉「そうですね。呈の書く歌詞は、すごくドラマチックで、ひねり方が上手なんです。"どこから機転を利かせたらこのワードがでてくるんだろう"という言葉選びが上手なんです。僕とは違うワードセンスを持っているのですごく楽しいんです」
――ふたりでコライトするときに大事にしていることは?
西澤 呈「GENICとして曲を作る前から、何曲か趣味でいっしょに作っていたんです。なので、遊びの延長線上的な感覚もあるんですよね。それに、お互いのことをわかりきっているので、"こういうメロを付けてくれるからあまり音を入れないでおこう"とか、"ここは最高のハモリを入れてくれるだろう"って分かるから、音も渡しやすいんですよね。竜暉くんも、お風呂での音とかも送ってくれるので、信頼してくれているのかなといううれしさがありますね。どう?」
小池竜暉「もちろん!僕も仕事なんだけど、ずっと遊んでいるような感覚なんです。コライトという意識もないくらいなんですよね。あと、呈がかわいいなって思うのは、僕がメロディを送ると、驚いている動画を送ってくれるんですよ(笑)」
西澤 呈「うれしくて最高なリアクションを伝えたいけど、文章じゃ伝えられないから、動画で送ろうと思って(笑)」
小池竜暉「それはすごくうれしかったですね」
――どうしても、これでよかったかな……って自信がない時もあると思うんですが、お互いがちゃんと良いところを見つけてくれるという自信があるから、もっと楽しませたい、もっと喜ばせたいって思っているのかもしれないですね。
呈&竜暉「そうかも!(笑)」
――ちなみに制作環境はどうですか?
小池竜暉「呈は打ち込みが多いんですよ。MIDIキーボードから音源を引っ張り出して作っていたりしていて。僕はギターが主軸なので、ドラムを打ち込んで作ったりしています」
西澤 呈「それもあって音色が全然違うし、タイプも違うんです。僕の中に無いものを竜暉くんが出してくれるので、すごく楽しいんです。逆に竜暉くんがいないと、本当に思いつかなくて。いっしょに曲を作るたびにどんどん好きになっていくんです。竜暉くんと同じメンバーになれたことが、今いちばんうれしいことですね」
小池竜暉「その言葉、そのままお返しします(笑)」
――いい話すぎますね!
西澤 呈「僕はいっしょに曲を作っていくうちに、竜暉くんのメロディのファンになったんです。それに、出会いもオーディションよりも前なんですよ。知り合って、ご飯を食べたときに、お互い曲を作っているという話になって、そこから今度いっしょに作ろうよってなったんですよね」
小池竜暉「オーディションも偶然いっしょになって、いまこうやっていっしょに曲を作れていることに、運命を感じています」
――ちなみにおふたりのルーツミュージックってどのあたりですか?
小池竜暉「全然違うよね?」
西澤 呈「僕はEDMが好きで、ザ・チェインスモーカーズや、マーティン・ギャリックス、ZEDDが好きなんです。あとはハウス系も好きですし、とにかくダンスミュージックが好きなんですよね」
小池竜暉「僕はJ-POPが大好きなんです。アイドルソングも大好きですし」
――だから呈さんはトラックに、竜暉さんはメロディに強いんですね。
小池竜暉「そう思います。僕がいちばん好きなのはヨルシカさんで、あとはバンドも好きです。EDMも好きですが、僕はEDMを作るセンスはないとあきらめていた時に、呈と出会ったので、いまは任せっきりです」
西澤 呈「僕も、竜暉くんの作るようなメロディは生み出せないですし、その感性がないので、竜暉くんに頼り切っています。一度、竜暉くんみたいな曲を作ろうって思ったことがあったんですよ。でも、全然手に負えないし、ギターのチューニングさえも合わせられなくてあきらめました(笑)」
――餅は餅屋?
西澤 呈「その通りです(笑)」
――ふたりがいるからこそ、GENICとして幅広い曲が歌えているんですね。歌詞も全く違いますか?
小池竜暉「そうですね。僕は文学的と言われることが多いんですが、呈は音ノリがすごく上手いんです」
西澤 呈「竜暉くんが書く歌詞はアーティスティックなんです。漢字の変換を含めて、その歌詞世界というようなものを作ってくれるんですよ。アートなんですよね。それに、情景がすごくよく浮かぶんですよ。僕はそこを補うために、効果音などを使っているんです」
小池竜暉「この効果音がすごいんです。音の入れ方の思い付きがすごくて、ここでクラップをいれよう、ここでクラクションをいれようというアイディアがものすごくいい方向に行くので、おもしろいんです」
――今後クリエイターとして、どんな曲を作っていきたいですか?
小池竜暉「僕は今回、手癖をガンガンに詰め込んだ「夏の聲」を作ったことで、やりたいことができた感覚があるんです。あとはいつか、バンド編成でやってみたいんですよね。Da-iCEさんがバンド編成もやられているんですが、ダンスもバンドもできるってすごいですよね。それができるようになったら、ライブ感もより出てくると思うので、いつか叶えたいですね」
西澤 呈「僕はいつか、これまでの曲をリミックスし直したライブをしたいですね」
小池竜暉「それ絶対楽しい!」
西澤 呈「バラードがピアノ一本になったり、ロックがEDMになったり、竜暉くんといっしょにすべての曲を新しく生まれ変わらせたいですね。めちゃくちゃ大変だと思いますけど(笑)」
――それにしても本当にウマがあうというか相思相愛ですね!
小池竜暉「ははは!本当にプライベートで仲がいいので、このままいろんな曲を作っていきたいですね」
西澤 呈「いま、僕は幸せです(笑)。たくさんの曲を作り続けたいですし、いつか他のアーティストさんにも楽曲提供したいですね」
(おわり)
取材・文/吉田可奈
写真/平野哲郎
LIVE INFOGENIC LIVE TOUR 2022 -Ever Yours-
7月16日(土)ウインクあいち 大ホール(愛知)
7月16日(土)ウインクあいち 大ホール(愛知)
7月31日(日)なんばHatch(大阪)
7月31日(日)なんばHatch(大阪)
8月6日(土)PENNY LANE24(北海道)
8月6日(土)PENNY LANE24(北海道)
8月20日(土)BLUE LIVE HIROSHIMA(広島)
8月20日(土)BLUE LIVE HIROSHIMA(広島)
8月21日(日)電気ビルみらいホール(福岡)
8月21日(日)電気ビルみらいホール(福岡)
8月27日(土)SENDAI PIT(宮城)
8月27日(土)SENDAI PIT(宮城)
9月11日(日)Zepp Divercity(東京)
9月11日(日)Zepp Divercity(東京)
DISC INFOGENIC『Ever Yours』
2022年7月6日(水)発売
初回生産限定盤(CD+DVD+スマプラ対応)/AVCD-63320/B/7,150円(税込)
初回生産限定盤(CD+Blu-ray+スマプラ対応)/AVCD-63321/B/7,150円(税込)
通常盤(CD+DVD+スマプラ対応)/AVCD-63322/B/6,050円(税込)
通常盤(CD+Blu-ray+スマプラ対応)/AVCD-63323/B/6,050円(税込)
通常盤(CD+スマプラ対応)/AVCD-63324/3,300円(税込)
avex trax
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