──最初に2年ぶり3枚目のアルバムが完成した心境から聞かせてください。
月城咲舞「私たち2期生が加入してから4年近くが経って、『ABC予想』が2枚目のアルバムになります。2期生が入った時にマネージャーさんから“特に明るい子を選んだ”と言ってもらえたことが印象に残っていて。そういう意味では、今回のアルバムに収録されている「あざす」や「佐藤さん」はきっと1期生の先輩だけだったら歌っていなかったと思うんです。私たちに2期生はおちゃらけることにあまり恥ずかしさのないメンバーたちが多いので、明るくてコミカルで元気な2期生を加えた新しいナナニジが詰め込まれていると思います」
望月りの「アルバムのジャケットイラストがとても可愛くて! 堀口由紀子さんが描いてくださる絵はいつも全部が可愛いんですけど、いつも以上にときめきを感じて嬉しかったです。あとは、3rd Albumをリリースできるくらいたくさんの曲の歴史を刻めたことが嬉しくて、この機会に皆さんにたくさん聴いていただきたいと思っています」
──2期生が加入してからの集大成のような1枚になっていますが、加入してから今まではどんな期間でしたか?
望月「同期とお別れする機会が何回かあって。悲しさはありましたけど、そのたびに、“今いるみんなで頑張ろう”と思っていました。それがあったから、今、一緒に頑張っているメンバーとの絆は深まったと思ってます」
月城「私たちが加入するまでのナナニジらしさ、卒業されたメンバーも含めて積み上げてきたものがあるわけじゃないですか。最初は“それを私たちが崩すわけにかない”という気持ちがあったんですけど、これまでのナナニジも素敵ですけど、“私たちが加入した意味を自分たちでも見出していかなきゃ“という風に思っています」
──その意味というのは見つかりましたか?
月城「さっきも少しお話しした元気さや明るさという部分です。そもそもの人間性が明るい子たちが多くて。1期生の皆さんだけの頃のナナニジらしさは、内に秘めた感情のあるものが多かったイメージなんですけど、1期生の皆さんが積み上げてきたものをより明るくできるようにしていきたいと思っていました。最初は1期生の皆さんと私たちの間に少し境界線があったんですけど、最近はリハーサル中に一緒にふざけたりしていることも多くて。それを遠くで笑いながら見ているメンバーもいますし、グループ全体としてメンバーとの関わりが深まって、明るさも増したと思っています。3期生が加入する前の今のナナニジを存分に楽しんでいただきたいです」
──現在は7人体制ですが、7人で歌ったリード曲「理論物理学的 僕の推論」はどう捉えましたか?
月城「この2年間でアニメのタイアップをさせていただく機会が増えました。直近シングルの表題曲は3作連続でアニメのタイアップをいただけたので、ナナニジらしさがありつつも、アニメ作品に沿った明るさやカッコ良さがある曲が続いていたんです。でも、「理論物理学的 僕の推論」はセリフがたくさんあって、内に秘めた感情もありつつ、パッと爽やかな雰囲気もあって。今のナナニジらしい曲になっていると思います」
望月「「理論物理学的 僕の推論」というタイトルで、しかも、セリフを長々と言っていますけど、結局、伝えたいことは“あなたが好きだ”というところが秋元さんの恋愛ソングの歌詞って感じがしています。こういう歌詞を書いてくださる秋元さんの思考が好きなんです。秋元康ワールドですし、“好きな人といる時間は時間の流れ早いよね“と思いました」
──そう思いますか?
望月「思います」
──よかった。さっきの3人(Vol.1:相川奈央・麻丘真央・天城サリー)は“全く共感できない”と言ってたから。
望月「普通に恋じゃなくても、好きなお友達といる時も時間の流れが早いですから」
月城「私も短く感じます。一緒にいると楽しくて!」
望月「ね! 昨日はファミレスに4時間くらい一緒にいて…」
月城「私とりのちと相川奈央ちゃんと河瀬詩さんの4人で。リハーサルが早く終わったので、“少しだけ行こうよ”って行ったら、2時間くらいのつもりが4時間くらいしゃべっていました。“あ! もう終電がヤバいから、帰らなきゃ”みたいな。本当に短く感じました」
望月「カラオケに行った時も“時間、短いな”と感じます。“2時間くらい”と思って行っても、2時間歌っていたらすぐに終わっちゃいます」
月城「歌うの好きだもんね。私はナナニジに加入してからの1年間は“すごく濃かったな”と思っていて。今、振り返っても、 2年目よりも1年目の方が短く感じます。上京してきた分、日常の変化もありましたし。“アイドルになりたい”という夢を叶えるために上京したので、“頑張らなきゃ”という気持ちもありましたし。いろんな気持ちがあったんですけど、ANNIVERSARY LIVEをやって、キャラクターLIVEもやって。振り覚えだけではなく、やることがすごく多かった1年だったので、楽しさもありつつ、自分の成長も感じた1年間はすごく早かったと思います」
──この主人公はどう感じましたか? 時間を長くするために<もしも次、会えた時/楽しくないふりをしてみよう>という“僕”が、前作『旅人算』のリード曲「君とどれくらい会わずにいられるか?」で会わないようにして、“君”の窓に小石を投げたあいつなんじゃないか?という意見もありました。
望月「ああ、確かに。小石を投げてそうですね。でも、それくらい自分との時間が楽しいって思ってくれている…つまり、“好き”と思ってくれているのは幸せなことだと思います。でも、“一緒にいる時間が楽しすぎて、時間があっという間だよ”と素直に言ってくれた方が可愛いですよね。小石は投げないで欲しいです、危ないので」
月城「(笑)恋愛観として楽曲や歌詞を見ることがあまりないんですけど、私はこの歌詞を見て、少しスピリチュアルなところを感じました」
望月「ヤバい。ヤバい!」
月城「まだ大丈夫。最初のセリフで時間や空間の話をしているんですけど、自分のセリフの<時空は歪んでいる。>というところでみんなの時空を歪ませていきたいなっていう所存でございます」
──(笑)。レコーディングどうでしたか?
月城「実際の音源では、私の<時空は歪んでいる。>というセリフのところでエコーが入って、一気に雰囲気が変わるんです。最初の方のメンバーは“独り言のように言って“とディレクションがあったんです。でも、私は空気感を変えるような雰囲気のセリフがいいかな?と思って、少し強めにレコーディングしてみました」
望月「私のセリフは<君のことが…/好きだ>の<好きだ>だけなんですけど」
──でも、一番大事なところですよね。
望月「そうなんですよ。“<好きだ!>って表面的に言うのではなくて、内に秘めた感じで<好きだ>と言ってください“というディレクションをいただいて。そこを意識しました。あと、歌のパートは夕暮れに好きな人と自転車を押して歩きながら帰っている風景を想像しながら歌いました」
月城「私は夕暮れ時に誰かと一緒に帰った経験がなくて…。部活はしていなかったですし、学校外でダンスをずっとしていたので、放課後に友達とどこかに行くということをしていなかったんです。でも、あまりなかったからこそ、こういうことをすることで、一人の人間としてのいろんな感受性というか…“感情が湧くんだな”というのを客観的に見れて。“自分がこの中の主人公になる”というよりも、“こういう二人がいたらこういうことをするんだな”って、少し俯瞰でとらえてみて歌っている印象があります」
望月りの──では、リード曲以外で特に個人的にお気に入りの曲はありますか?
望月「「箱庭の世界」の曲調が好きです」
──麻丘さんとサリーさんはこの曲の話をするときに泣いていました。
望月「えー、大丈夫かな? 私はこの曲をポジティブに捉えています。22/7という空間はとても優しい空間なので、それが箱庭のように狭すぎる世界だとは思わないです。でも、ここだけにずっと留まっていたら成長できるかはわからない、外に出たらもっと成長できるんじゃないかな?って思っていところに、今年初めて、舞台のお仕事をさせていただきました。今の自分の心境が「箱庭の世界」と似ていますし、自分の背中を押してくれる曲と捉えていました」
──麻丘さんは“箱庭は灰色の世界”と言っていました。
望月「私は虹色だと思っていました。それに、ナナニジ以外の世界を経験してみたことで、“自分の考えに囚われすぎなくていいんだ“って考えられるようにもなりました。いろんなことを柔軟に吸収して、学んでいって、その中で自分にとって何が一番大事なのかを考えながら仕事に取り込むことが大事なんだと思って。いろんな人の演技や振る舞い方を見て、世界にどういう人間がいるのかを知ることは、とてもいい人生経験でした」
──でも、ナナニジが帰ってくる場所でもあるんですよね。出ていっちゃうだけだと不安になるファンもいるかもしれないです。
望月「そうです。22/7という安全地帯があるからこそ、お外に出られる。そう思っています」
月城「私は曲調を重視するタイプで、曲を聴いた後に歌詞をちゃんと見るんですけど、曲調的にすごくナナニジらしさが詰まっている雰囲気が「箱庭の世界」にはあって。「嫌われるということ」のように少しダークな部分のある曲調って、パフォーマンスする上でもリード曲とは違うナナニジを見せられる部分だと思っています。私、ダンスが好きなので、いつかナナニジの曲の振付を作ってみたいという想いがあるんです。この曲は特に作ってみたいと思った曲です」
望月「みんなの時空を歪ませるパフォーマンスをするんでしょ?」
月城「うん。私が手をパッと広げた時にみんなに歪んで欲しい(笑)。ジャズダンスを習っていて、手をきれいに伸ばしたりする振りをやっていたんです。この曲は歌っている人をフィーチャーしたいんですけど、全体で見た時に、作品としてのダンスが作れそうだと思って。箱の中から出ていくような振り付けがあったら、この歌詞もより伝わると思いました」
月城咲舞──そんな月城さんの推し曲は?
月城「「箱庭の世界」も好きなんですけど、「スパシーバ!」です。「地獄一丁目」や「舌打ち」みたいな、“大人の女性の雰囲気の曲が来た!“っていう風に思っていて。赤い衣装で踊っているイメージが浮かんだんですけど、りのちやサリーさんの歌い方が絶対に合うと思った曲です。あと、私、ガヤのところを録ったんですけど、それがすごく楽しくて。このカッコいい曲の中にガヤが入るのが楽しくて。どうパフォーマンスするのかも楽しみな曲です」
──望月さんはどんな主人公をイメージしましたか?
望月「すごく面倒くさい女心の歌じゃないですか、この曲。冷たくされるのは嫌だけど、愛されすぎるのも嫌だし、スマートにもいてほしいし、みたいな。理想の恋人像をすごくおしゃれに言っている歌詞だと思います」
──別れているわけじゃないですよね。
望月「多分、不満がいっぱいなんだなって。<恋する温度はHIBANA>ってすごく温度高いですよ。もう大好きってことですよね。でも、歌いやすくて、とても好きです。ソロでも歌いたいくらい楽しいです」
──新曲3曲を加えたアルバムに『ABC予想』と言うタイトルがつきました。
望月「心理学でABC理論というのがあって…それかと思ったら数学の話でした。数学、苦手なんですよ(笑)でも、“単純な式のようで無限の可能性を秘めている”という説明文を読むと、そういう意味合いを持ったタイトルがついたのは納得だと思いました。無限の可能性、信じていこう!」
月城「あはははは。私は、ABC予想の冒頭の“A+B=C”という式が、今のナナニジとこれからのナナニジも表現していると思っていて。1期生の“内に秘めた感情”が“A”で、私たち2期生の“明るさ”という“B”をプラスして。最初ははっきりと分かれいてた境界線が今、綺麗になじんでいる状態です。そこに3期生が加わることによって、また新しく、無限のナナニジが表現できるんじゃないかな?って。今のナナニジもありつつ、未来のナナニジも表現してくれていると思います」
──未来のナナニジについて聞いてもいいですか? 現在開催中の新メンバーオーディションをご覧になってどう感じていますか?
望月「こんなにも“22/7 になりたい”と思ってくれている子たちがいるんだって感動しました。しかも、一生懸命に頑張って取り組んでくれる素敵な子たちばかり集まったということが嬉しい気持ちでいっぱいです」
月城「私たち2期生の時は決まる前からこんなに指導してくださる機会がなかったので、受かっても受からなくても、このオーディションで得たことはいろんなことに役立てることができると思っています。参加してくれたみんなには“貴重な体験をしている“というのを感じてほしいと思います」
──未来のナナニジはどうなっていきますか?
望月「私たちも頑張って、いい方向に行きたいと思うんですけど、新メンバーがすごく頑張ってくれると思います。あはははは」
月城「(笑)みんなと話をして、“10周年の時に日本武道館ライブをしよう“という夢を掲げています」
──日本武道館を目標にすることはいつ決めたんですか?
望月「今年の1月の寒い日でした。その会でいくつかお知らせがあったんですけど、順番がおかしくて! “10周年記念ライブを日本武道館を目指して頑張りましょう”って、なごみん(西條和)もいる状態で言われたのに、最後にスタッフさんから“西條和から話があります”と言われて、“卒業します”って聞いて。“えー! その未来になごみんもいると思ってたのに!?”ってなりました。“順番、逆でしょ?”ってほんとうに驚きました」
月城「あはははは。そうやって日本武道館を目標に決めたんですけど、3期生が最初に入った時に言われると、“えっ!?”ってなるかもしれないです…未経験の子もいるから。でも、グループとしての目標なので、一緒に頑張っていきたいと思っています。私たちも成長途中ですし、私たちができることはできるだけ支えてあげたいですし、足並み揃えて歩んでいきたいです。1期生の方たちも私たちにそうしてくれたんです。いろんなことを教えてくださいながらも、一緒に歩んでくれました。私たちも先輩、後輩もあるかもしれないですけど、同じ目線に立ってあげたいと思っています。私も最初は歌が苦手だったので、そういう子たちがいたらアドバイスしてあげたいですし、好きなダンスでわからない振りがあったら教えてあげたいです。自信を持ってしっかりと教えてあげられるように、今、これまでの曲の振りを確認しています。そうやって、自分にできることはしてあげていきたいです」
──もう先輩になる準備はできたんですね。
望月&月城「もちろんです!」
望月「でも、“ナナニジ史上、最多人数になる“って聞いたので、物理的にステージに全員立てるか…」
月城「だからこそ、場所を大きくしていかないとね。頑張ります!」
──10周年に向けての目標を定めたんですね。まだどんなメンバーが加わるかは分かりませんが、ナナニジをどんなグループにしていきたいですか?
望月「私たち今回、初めてメンバーカラーの衣装を着させてもらったんですけど、メンバーカラーがつくと一気にお花が咲いているみたいに輝くんだって改めて感じました。今後は、さらに一人一人が際立って輝けるグループになれたらいいなと思いました」
月城「3期生のオーディションで候補生の方たちが“ナナニジの曲が私の心を救ってくれた”とか、“寄り添ってくれた”と言ってくれていて。それこそがナナニジらしさの根本だと思うんです。聴いてくださる方々、皆さんのその時々の状況や感情に寄り添えるような曲をよりたくさんの人に届けていきたいと思います」
──分岐点にリリースされるアルバムになりますが、ファンの人にはどう聴いてほしいですか? 最後にファンの方にメッセージをお願いします。
望月「酸いも甘いもありましたでしょうが(笑)、ここまで推してきた思い出を思い返しながら、楽しく聴いていただけたら嬉しいです」
月城「3期生が入ることでファンの皆さんも不安とかがあるかもしれないですけど、今の私たちができることを精一杯やっていくので、皆さんも変わらずに私たちについてきて欲しいです。10周年の時に日本武道館の景色を一緒に見られると嬉しいので、応援のほど、どうぞよろしくお願いします!」
(おわり)
Vol.3:河瀬詩・椎名桜月 編は12月12日 公開
お楽しみに!
取材・文/永堀アツオ
写真/中村功
- 22/7『ABC予想』インタビュー
- Vol.1:相川奈央・麻丘真央・天城サリー 編はこちら >>>
RELEASE INFORMATION
LIVE INFORMATION

22/7 ANNIVERSARY LIVE 2025
【公演会場・日時】
会場:東京音楽大学100周年記念ホール(池袋キャンパスA館)
日程:
2025年12月14日(日) 開場13:15/開演14:00
2025年12月14日(日) 開場17:15/開演18:00
【料金】
指定席:9,900円(税込)
女性エリア:9,900円(税込)
車椅子席:9,900円(税込)
ナナニジ オーディション密着レポート
22/7の“声優アイドル”という特性を活かし、元AKB48・柏木由紀と実力派声優・竹達彩奈も特別審査員として参加するこのオーディションプロジェクトに、冠番組「22/7計算外 season2」(毎週土曜23:00~、TOKYO MX・BS11)が密着。
これまでの『オーディション密着レポート』はここからチェック!>>>
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