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2019.08.09

SMART USENの「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」、第25回のゲストは株式会社サザビーリーグ エストネーションカンパニーの大田直輝さん!

Journal Cubocci編集長の久保雅裕がお届けする「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」。第25回のゲストは、サザビーリーグ エストネーションカンパニー プレジデントの大田直輝さんです。収録を終えてのアフタートークをどうぞ。

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SMART USENの「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」、第25回のゲストはエストネーションの大田直輝さん!



――番組本編で語られていた「お客様のショッパーの中身を見せていただきなさい」というメソッドというか行動規範がすごくクリティカルだったんですが、これは販売の現場では日常的に実践されていることなんですか?

大田直輝「どうなんでしょうね(笑)。僕は福岡のユナイテッドアローズ時代からなんですが、当時、ポールスミスでネクタイを買ってきて、それをUAのシャツにあわせて買っていかれるお客様がいらっしゃったんですよ。UAは――もちろん当時はということですが――ポップなネクタイの品揃えが弱かったんですね。それがひとりのお客様だけじゃなくて」

久保雅裕「えっ!そういうお客様が何人もいたってことですか?」

大田「そうなんです。たとえば成人式近くの時期になると特にそういうお客様が多くて。みんなポールスミスのネクタイを持ってくるんですよ。そういうことがあったので、お客様がどこかほかのお店で買われているものが品揃えのヒントになるんだって気付いたんですね。シャツは仕立てのよいユナイテッドアローズがいいけれど、タイは他のお店でポップなものを買うってことですから、ちゃんとそういうテイストのタイを自分たちで用意しましょうと」

――確かにセールの時期のショッピングモールなんかではしごしてると、店員さんに聞かれますね。“あ、ビームス行かれたんですね。何買ったんですか?”って。あれ、ただの世間話じゃなかったんだ(笑)。

大田「そうでしょう?やっぱりね、ショップスタッフは顧客であればなおのこと他店でお買い物されちゃうと悔しいじゃないですか。まあ、ベタなやりかたをするなら、ポールスミスのタイを仕入れちゃえばいいんでしょうけど(笑)。結果的にそういう発想ができたということで、後に商品部に異動したのかなとは思いますね」

石田紗英子「私もよくエストネーションさんでお買い物するんですけど、パンツはセオリーが合わせやすかったりして。だからセオリーが入ってる六本木ヒルズのエストネーションさんはすごく便利なんですよ。親和性が高いということは感じていましたが、いまの大田さんのお話を伺って理由がよくわかりました」

大田「納得感ありますよね。さっきの“ポールスミスを置いちゃえばいいじゃないか”と同じ考え方ですよ。“じゃあセオリーに入ってもらえばいいじゃないか”ってことですから。もしかしたら、紗英子さんがセオリーのパンツを持ってエストネーションにジャケットを買いに来てたかもしれないですよ。結果論ですが(笑)」

――選択肢が多いということは明確な強みではありますよね。太田さんがUA時代に見ていたエストネーションと、いま当事者として携わっているエストネーションに主観の相違はありますか?

大田「そうですね、何て言うんでしょう……結構、破天荒ですね。会社としての規模感も大きいし、サザビーリーグとして上場もしていたこともありますし、もうちょっとガバナンスが効いているのかなあと思ってたんですが(笑)」

久保「ははは!」

大田「いや、陸三さん(株式会社サザビーリーグ ファウンダーの鈴木陸三氏)に会って直接お話ししてわかったことですが、“あ、陸三さんっぽい会社なんだな、陸三さんのカラーが出てるな”ってことなんですけど」

――先日、ロンハーマンのリトルリーグカンパニーに「店舗の働き方改革」というテーマで取材させていただいたんですが、すごくウェットな社風だなと感じました。システマチック過ぎないと言うんでしょうか……

大田「そのとおりだと思います。まあ、会社名にリーグって付いているくらいですから、ある意味メジャーリーグっぽい。ヤンキースがスター選手を集めているのと同じように、他社出身のスタッフが多いんですね。なので“俺が!俺が!”っていう属人的な部分があって。もちろんちゃんとチームアップはしているものの、それぞれが前に在籍していた会社のやり方を持ち込むことによってローカルルールが多くなってしまっているのかなとは思います。個々人のナレッジをノウハウとして落とし込みやすいというメリットもありますから一概には言えませんが」

久保「そういった部分を期待してリクルーティングしている部分もあるでしょうね」

――ある意味、多民族国家というか、さまざまなカルチャーや価値観を持ち寄って強みに変えてゆくという考えかたでしょうか。

大田「そういう姿勢は見受けられますね。仕組みや品揃えみたいな部分はときに淘汰されたり、いったん壊す必要もあるでしょうし。あと、これは外から見ていた印象と同じだったんですが、“エストネーションらしさ”が弱いなってことなんです。これは業界内でもそういうイメージで語られることがありますが、だからこそ僕は社内で“ちゃんとコンセプトを作って魂を入れましょう”ということを言っています。いままではあえて、エストネーションとしてキャラの強さって求めていなかったのかもしれない。お客様によって印象が変化するというか……これからは、もっとど真ん中を攻めましょうということですね。会社全体で理解を深めていけばまだまだ伸びしろがあると思いますから」

久保「仕入れはやりやすいんじゃないですか?ポジショニング的に、エストネーションかバーニーズに置かせてもらえたたらいいなっていうブランドは結構多いですから」

大田「そうやって認知されているエストネーションとしての価値観ってすごいなと思いますね。ものすごい労力と時間をかけて築き上げたんだろうなって」

――先ほどおっしゃっていた、セレクトショップでありながら伊勢丹やバーニーズのような百貨店的なバイイングができるというのは、強みであると捉えていますか?

大田「それが売り上げを作っている元になっていますから。“どうぞこの場所をお願いします”という場所貸しのスタンスは、商品の入れ替えにしてもメーカーさんの協力が得やすいので一定のクオリティが担保されますし、リスクが少ないとも言えますし」

久保「たとえばフラッグシップの六本木ヒルズと、駅直結のNEWoMan 新宿のようなストアロケーションでは品揃えも違いがありますよね」

大田「店舗によって明確に違いを出すというよりは、それがヒルズでもNEWoManでも福岡のソラリアでもエストネーションとしてのコンセプトやイメージを毀損しないことが重要だと思っています。地方の店舗ではすごく利益が出ていたりするんですが、それはいまどきのセレクトの手法を採っているからなんですね」

久保「PBの比率が高いということですか」

大田「そうです。でも“本来エストネーションのコンセプトってそうじゃないよね”と。やっぱり自分たちの目利きでセレクトして買い付けるってことが“らしさ”だと思うので、そこは地方の店舗であっても勇気を持って高価格帯の仕入れを展開したい。六本木はその柱になるべき店舗ですから、買い付けの磨き上げをしなきゃいけない。さらにいうと、いままではバイヤーとオリジナルの企画担当ってほとんど接点がなかったんです。それを変えていきましょうということを言っています。バイイングとオリジナルがきちんと対峙することでラインナップの親和性が生まれるはずなので。それをディレクターがきちんとディレクションするということですね」

久保「先日encoremodeで藤井かんなさんにインタビューしたんですが、いまウィメンズは藤井さんがディレクターですよね。全体のクリエイティブは?」

大田「チーフ・クリエイティブ・オフィサーはトゥモローランド出身の堀江 俊です。ディレクターがいて、クリエイティブがいるっていう仕組みを機能させるのが僕の役割でしょうね」

――ちなみにエストネーションは来年で20周年を迎えるわけですが、開業当時のインパクトはすごかったですよね。

大田「僕が印象的だったのはチョコレートコーナーでしたね(笑)。いまではめずらしくないですが、当時、ちゃんとしたチョコレートバーはあまりなかったのですごく新鮮でした。セレクトショップとしてはかなりコンサバティブな品揃えだなって感じたのを覚えてます。バーニーズに似ていましたよね?」

久保「立ち上げ時点では、バーニーズや伊勢丹出身のバイヤーが多かったですから。確かにコンサバティブというか、取るべきブランドをきちんと取っているなという印象でしたね。当時はまだ六本木にバーニーズがなかったので、商圏も違いますし棲み分けができていたんでしょうね。そうやって自分たちのコネクションとロケーションをきちんと生かしているなと」

大田「エストネーションは六本木ヒルズというロケーションありきで生まれた店舗ですからね」

――先ほどリクルーティングの現場について語っていただきましたが、エストネーション カンパニーが新卒採用という局面でいちばん重視しているのはどんなことでしょう?

大田「んー……なんだかんだ言っても、やっぱり育ちですかね」

久保「それは家柄って意味じゃないですよね?」

大田「家柄じゃないです(笑)。何て言うんでしょうね……感性とか美意識って、僕らが育てるのは限界があるんです。そこはやはり育ってきた環境であるとか、親御さんの影響が大きいと思いますし。そういうベースのポテンシャルが高くないと僕らが要求するレベルに達せない。逆に会社に馴染めるかとか、コミュニケーション力という部分は現場のマネジメントで何とかできますから。最近のアパレルって、どこの会社もそういう目線で人を見ていると思いますよ。だからもらっている子はうちだけじゃなくて何社も内定をもらってますよ」

――逆に内定者がどこを選ぶのかっていうことが採用する側にとっての試金石なんでしょうね。

大田「そこが会社としてのベンチマークになると思いますよ。あと、僕は面接のとき、彼らに他社さんの志望動機も聞くようにしています。みんなお店をよく見ているんですよ。UAは接客がいいですとか、ベイクルーズさんはここが面白いとか、ちゃんと観察していて、その分析を人に伝えるコミュニケーション力も備わっていますし、内定者同士がすごく仲良くなってたりするし、思わず君たちすごいね!って感心しちゃいますから(笑)」

――将来が楽しみですね。さてさて、大田さんがエストネーションに移籍されて1年3ヵ月ほどですが、そろそろ売り場にも大田イズムが現出してくるのではないでしょうか?

大田「そうですね、この秋冬シーズンには徐々にお見せできると思いますよ。六本木ヒルズ店のウィメンズを一部改装してテーマ性を強調したMDを展開しますので期待していてください」

(おわり)

取材協力/エストネーション六本木ヒルズ店
取材・文/高橋 豊(encore)
写真/柴田ひろあき



■大田直輝(おおた なおき)
株式会社サザビーリーグ エストネーションカンパニー カンパニープレジデント。1970年生まれ。福岡のビームス店舗スタッフから1996年、ユナイテッドアローズ入社。同社福岡店次長、商品部を経て執行役員に就任。2018年、サザビーリーグ エストネーションカンパニーに移籍、現職。

■久保雅裕(くぼ まさひろ)
ウェブサイト「Journal Cubocci(ジュルナル・クボッチ)」編集長。杉野服飾大学特任教授。繊研新聞社在籍時にフリーペーパー「senken h(センケン アッシュ)」を創刊。同誌編集長、パリ支局長などを歴任し、現在はフリージャーナリスト。コンサルティング、マーケティングも手掛ける。







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