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2019.02.08

SMART USENの「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」、第19回のゲストはバーニーズ ジャパンの中箸充男さん

Journal Cubocci編集長の久保雅裕がお届けするSMART USENの「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」。第19回のゲストは、バーニーズ ジャパンのメンズファッションディレクターの中箸充男さん。収録を終えてのアフタートークをお届けします。

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SMART USENの「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」、第19回のゲストはバーニーズ ジャパンの中箸充男さん



――高校時代にギターを弾いていたということですが、中箸さんがその頃聴いていた音楽は?

中箸充男「中学生の頃はBOØWYだったんですけど、高1からメタルに行きました。スキッドロウとかアイアンメイデン、あとはハロウィンあたりのジャーマンメタルも聴いてましたね」

――そしてスケーターでもあったわけで。でも90年代のその頃って、スケートカルチャー周辺の人たちはみんなパンク、メロコア、ハードコアを聴いてたじゃないですか。ハードロック、メタルってユニークですよね。

中箸「ああ、そうかもしれないですね。確かに僕もオペレーション・アイヴィーとか聴いてました」

――いまはどうですか?

中箸「いまは主に邦楽を聴いています。The Birthdayとか好きです。もうTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTからずっと好きですね」

――なるほど。今日の中箸さんはルイスレザーのライダースだからミッシェル・ガンって言われても違和感ないですよ。

久保雅裕「ミッシェル・ガン的な時代感でいうと、僕、「senken h」でカヒミ・カリィの写真撮ったことあるよ。まあ、カヒミは渋谷系だし、ぜんぜんジャンルは違うけど」

中箸「「senken h」にカヒミ・カリィって似合いそう。カヒミ、フリッパーズ、ピチカート……確かに渋谷系の全盛期でしたね」

――スケートとメロコア、パブロックとモッズ、渋谷系と「オリーブ」あたりのファッション誌……その時代の音楽とファッションって親和性が高いんだっていうケーススタディですね。さて、いきなり核心に触れますが、中箸さんが次に目指すステージは?

中箸「えーと、ニューヨーク駐在ですね。バーニーズ ジャパンにはそういう役職はないんですが――そもそもいまのメンズファッションディレクターという役職もなかったんですが、なりたいってずっと言っていたらなれたので――今度も言い続けていればなれるんじゃないかなと思ってます(笑)。僕は子どももいますし、家族で行けたらいいなと。まあ、許されるならひとりでも行きますけど。そうですね……1年間くらいだったらひとりでもいいかなって」

――ニューヨーク駐在ってどういった役回りなんですか?

中箸「主にジャパンとニューヨークの窓口ですね。いまはSNSを使ったりして向こうのバイヤーとコミュケーションをとっていますけど、やっぱり、“ニューヨークではこんなイベントをやってるよ”っていう情報がなかなか入ってこないですし、逆に“日本ではいまこんなブランドがいいよ”っていう最新情報が届いていなかったりしますので、そういう橋渡しができるといいなと思いますね」

――すごい機会損失というか、単純にもったいないですよね。

中箸「そう、もったいないんです。向こうのカルチャーを日本に持ってくる、日本のブランドやコンテンツを向こうに持っていくという相互関係が築けたら、よりよいかたちでバーニーズ全体を発展させられるんじゃないかと思うんです。そのために、リプレゼンティブ・オフィスという部署があったらいいなと」

久保「それ、おもしろそうですね。いや、そもそもバーニーズは、メンズのファッションディレクターという役職がなかったんですね。不思議だね。だって、ウィメンズは春さん(バーニーズ ジャパン ウィメンズファッションディレクター 鈴木 春氏)がずっとやってたじゃない?」

中箸「だから僕が“なりたいです”ってずっと言っていたんですよ。そしたらなれたんですね」

久保「なんでなかったんでしょうね。メンズの売上構成比が極端に低かったとか?」

中箸「いや、ウィメンズが6、メンズが4くらいなので、むしろ業界水準からするとメンズ比率が高いと思いますね」

――それは一般的な百貨店さんと比べてということですか?

久保「百貨店は飲食や食料品もあったりするので一概には言えないけど、たとえば大手のセレクトショップだとウィメンズが7割近くを占めるんじゃないかな。マーケットの規模感でいうと、8割がウィメンズだから。そうだな、イメージ的にメンズが強いセレクトってどこだろう?」

中箸「んー、そうですね……もしかしたらエストネーションさんはうちに近い感じじゃないですか」

久保「あ、そうかもしれない。まあ、あまりないよね」

――ちなみにバーニーズが同業のコンペティターとして参考にする小売店ってどのあたりなんでしょう?

中箸「あらゆる小売店さんをすべて見させてもらっています。でも、国内よりも海外に目を向けることが多いですね。ロンドンのセルフリッジズや、ニューヨークだったらバーグドルフ・グッドマン、もちろんバーニーズも。アメリカだと、L.A.やラスベガスなどにも行く機会があるので、その土地土地の百貨店やセレクトショップもかならず見ていますね」

――本編で中箸さんが言っていた「もういちど販売員にフォーカスされる時代がきてもいい」という言葉の意味するところをもう少し詳しく聞かせてください。

中箸「たとえばバーニーズでは、まだECの販売比率はあまり高くないので、ある意味健全といえば健全と言えると思いますが、逆に弱いとも言えるわけなんです」

――バーニーズとしてもECの比率を高めたいという意思がある?

中箸「はい、高めたいですね。アメリカでのマーケットの規模でいうと、トップはマンハッタン地区で、次がECなんですよ。もはやビバリーヒルズ地区よりもECのほうが規模が大きい。つまり、それだけお客様の選択肢が増えてきているということなんです。だからバーニーズもECの比率を高めたい。高めたいんですけれど、反面、そんな時代だからこそ、強い売り場、かっこいいスタッフというふうに憧れてもらえる存在があって、人と人が繋がれることの大事さというのを提案していきたいという気持ちもあるんです」

――バーニーズが、と言うべきか、中箸さんがと言うべきか。小売店がこんなふうにスタッフのキャラクターを前面に出して主張するようになったのはいつごろからなんでしょう?

久保「やっぱりビームスが早かった。というかそのイメージが強いよね」

――ユナイテッドアローズだとpoggyさんとか……

久保「まあ、UAは栗野さん(ユナイテッドアローズ 上級顧問 栗野宏文氏)が先駆けでしょう。時系列でいうと、そのあとにメンズは村松くん(現SMALL LUXURY WORLD 代表 村松規康氏)、ウィメンズは小野瀬さん(現CYCLAS/The SECRETCLOSET 小野瀬慶子氏)が出てきて、そのあとにpoggyさんて感じかな。ビームスも各ジャンルのディレクター、バイヤーのキャラが立っているよね。メンズのドレスだったら中村達也さん(ビームス クリエイティブディレクター)、カジュアルはマゴさん(ビームス創造研究所 シニアクリエイティブディレクター 南馬越一義氏)、カルチャーだったら青野さん(ビームス創造研究所/BEAMS RECORDS 青野賢一氏)もいるし。逆に会社として個人のキャラクターを前面に出さないというセレクトショップもあるしね」

――バーニーズではそれが中箸さん、鈴木さんということですね。

久保「そうですね。春さん、中箸さんのキャラがだんだん立ってきて、バーニーズという会社も変化してきたんだろうなって感じますよね。だって、いま外部からなにがしかの依頼だったりオファーがあると、まず中箸さんに話が行くでしょ」

中箸「確かに情報が集約されやすい環境にしてもらっているように思いますね。バーニーズもレディ・トゥ・ウェアの部隊と雑貨の部隊があって、バジェットは別々なんですよ。でも提案しにくるブランドさんはウェアも雑貨もアクセサリーもバジェットはいっしょだから、提案をいただいて、VMDに落とし込むと、企画が頓挫しちゃうことがあるんですよ。でも僕のところに話がくれば、それをうまく捌いて現場に落とし込めるので。うまく循環させるというか……」

久保「キャラ立ちさせることで情報が集まってくるっていうプロセスだね。それは機能的に間違ってないと思う」

中箸「実は、バイヤー時代からよくそういうオファーはいただいていたんですが、基本的にあまり前に出ないようにしてたんですね。でもいまの立ち位置になってからは、むしろ前に出て仕事しろって感じになってきているので。ウィメンズは鈴木が同じような役回りですが、彼女の場合は情報収集というよりは、シーズンテーマを考えたりクリエーション寄りの仕事が上手ですね」

――もし中箸さんがニューヨーク駐在ってことになったら、そのポジションに誰か他の人材を充てなきゃいけないってことですよね。

中箸「そうですね。僕もバイヤー時代はそのときのポジションを手放したくない、他の仕事なんてしたくたないって思ってたんですけど、それを手放して新しい環境に身を置いた瞬間にやる気スイッチが入っちゃったので(笑)。だからあまりいまの環境に固執しないほうがいいかなとは思いますね」

久保「まさに“select don’t settle”。やってみてわかることがあるし、やってみないと得手不得手もわからない」

――「考えてとどまっているならば自分から動いたほうがいい」という言葉が印象的でした。でも中箸さんはプロパーで入社されて一貫してバーニーズでキャリアを歩んできたわけですよね。ある意味、ひとつの場所にとどまっているとも言えます。やはり、シカゴで見たバーニーズの衝撃はいまも揺るがないんですね。

久保「いや、いまの仕事がおもしろくってしょうがないんじゃない(笑)」

中箸「はい、そのとおりです(笑)。おもしろくってしょうがない。シカゴの衝撃も薄れるどころか年々増しているような気がしていますね」

(おわり)

取材・文/encore編集部
写真/柴田ひろあき
取材協力/バーニーズ ニューヨーク六本木店



■中箸充男(なかはし みつお)
バーニーズ ニューヨーク メンズファッションディレクター。イリノイ大学留学中、シカゴでバーニーズ ニューヨークを知る。帰国後、バーニーズ ジャパンに入社。スーツフロア、ファニシングフロア、デザイナーズフロアのスタッフを経てバイヤーに。2017年から現職。

■久保雅裕(くぼ まさひろ)
ウェブサイト「Journal Cubocci(ジュルナル・クボッチ)」編集長。杉野服飾大学特任教授。繊研新聞社在籍時にフリーペーパー「senken h(センケン アッシュ)」を創刊。同誌編集長、パリ支局長などを歴任し、現在はフリージャーナリスト。コンサルティング、マーケティングも手掛ける。







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