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2018.03.09

SMART USENの「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」、第8回のゲストはミュベールの中山路子さん

SMART USENの「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」は、ウェブサイトJournal Cubocci編集長の久保雅裕が、ファッション業界のキーパーソンをゲストに迎えてお届けする“トークサロン”。第8回のゲストは、ミュベールの中山路子さん。収録を終えてのアフタートークをお届けします。

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SMART USENの「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」、第8回のゲストはミュベールの中山路子さん!



——新ブランドのM(エム)は神田明神の境内にあるんですか?

中山路子「裏参道側の境内に隣接しているビルの3階です。ショップ兼ショールームで、土日は予約なしでもご覧いただけます」

——なかなか得難いロケーションですよね。メインコレクションであるミュベールとMラインの違いは?

中山「ミュベールは着ていただく方が花になる、主役になる。Mは場や空気を引き立てるとき、脇役的な存在でいたいなというときに着ていただきたいお洋服です」

——ベーシックという意味ではミュベール ワークに近いですね。

中山「ミュベール ワークはミュベールをカジュアルダウンして動きやすくしたラインですね。ミュベールは刺繍など凝った作りのお洋服が多いので、ワークを加えることで普段使いというか、ミュベールを毎日使えるブランドにしたいなと」

——中山さんは、それを着る女性のプロフィール……たとえば年齢であるとか、職業、どんなライフスタイルなのかといったことをイメージしてデザインを考えるんですか?

中山「ミュベールは、お客様の年齢も幅広くて——実際におばあさま、お母さま、娘さんの三世代で着てくださっている方もいらっしゃって——それが私にとっても理想的なブランドの在り方だと思っていますけど、そうなることを狙ったわけでもなくて。でも、若い女性が、いま着ているお洋服を、おばあちゃんになったときに“もう一度着てみようかしら”って思えるものを作りたいという気持ちはあります。ライフスタイルではないかもしれませんが、社会や男性に媚びない女性、自己表現を楽しめる女性に着ていただけるといいですね」

——ファッションに目覚めたという高校生の頃の中山さんは、どういったデザイナーやブランドに興味を惹かれましたか?

中山「それまでファッションに全く興味がなかったんです。ファッション好きの友だちに影響されて雑誌を読むようになったんですが、川久保 玲さんや柳田 剛さんに影響を受けましたね。柳田さんの作るお洋服は、コンセプチュアルでもあるし、アートも入っているけどすごくエレガントなんですよね」

久保雅裕「NAiyMA(ナイーマ)の柳田 剛さんですね。1990年代中盤くらいかな……」

中山「「オリーブ」だと市川実和子さん、実日子さんが活躍されているころです。まわりの友だちにもオリーブ少女がたくさんいました」

久保「でも中山さんは「ヴォーグ」派だったんでしょ?」

中山「そうですね。日本の雑誌だと「流行通信」とか、文字の多いお堅いファッション誌が好きでした。ちょうど「GINZA」も創刊されて、すごくいい時代でしたね。紙媒体がそれぞれ違う世界観を見せてくれて。シチュエーションもヘアメイクも——日常に溶け込むものではなく——完全に非日常の物語を描いていましたから」

久保「完全にモード志向だね。銀座あたりのラグジュアリーメゾンにも行っちゃうし。どういうブランドが好きだったの?」

中山「大学時代には、エルメスもシャネルも片っ端から行きましたね。買えもしないのに試着ばっかりしてて(笑)。試着室に入ると誰にも邪魔されずにじっくりお洋服が見られるじゃないですか。“この縫製どうなってるんだろう?うわー!”って。いまは恥ずかしくてとてもできませんけど」

——そして大学に通いつつ、専門学校と掛け持ちするようになるわけですね。

中山「そうですね。大学に入ってから“しまった!お洋服だった!大学は自分のやりたかった方向と違ったなあ”って思い始めて、最初は専門学校の夜間コースで色の勉強したり。でも出遅れてしまったので、1日でも早く追いつきたいと思って専門学校に入り直しました」

——そのころ想い描いていたご自身の未来予想図と現在の姿はシンクロナイズしていますか?

中山「うーん……そのころは具体的な将来のイメージが全くなくて、デザイナーでもパタンナーでもどんな仕事でもいいから、お洋服の世界に身を置いていたいっていう漠然とした気持ちでしたね。専門学校では、そもそもまわりのみんなよりもスタートが遅かったし、知識も技術もなかったので、誰よりも技術を磨くぞ!誰よりも早く縫うぞ!って必死でしたね」

——あのグランマ・チャームというチャーミングなアイコンたちについて教えてください。

中山「ひとことで言うとミューズです。私、人目を憚ることなく好きなようにスタイリングして自分のものしてしまうおばあちゃんたちのパワーが大好きで」

久保「アイリス・アプフェルみたいな?」

中山「まさに!いまではハイブランドもおばあちゃんたちをモデルに使うようになりましたけど、ミュベールを始めたころはまだそうではなくて。私自身も、年齢を重ねるのが怖かったり、50歳になったら、60歳になったらどうしようって気持ちがあったんですね。だけど世の中にはこんなに素敵なグランマたちがたくさんいるんだから、そんなグランマたちに一歩でも近づきたい、その楽しさを伝えられるようなお洋服が作れたらいいなっていう象徴的な存在ですね」

——なるほど。ミュベールをかっこよく着こなしているおばあちゃん世代を見てみたいですね。

中山「素敵なおばあちゃんたちがたくさんいますよ。“今度入院するからそのとき着るわ”って買っていかれるお客様がいたりして。病院でミュベールを着てるおばあちゃんって素敵でしょ?」

——前向きですよね(笑)。そういえば、あのグランマたちは、いま世田谷美術館のパリジェンヌ展にも出張中ですし、先日書店で「HOTEL MUVEIL BOOK」という本も見かけましたが、ミュベールは雑誌だったり、フレッドペリーやアクアスキュータムといったブランドとのコラボにも積極的ですよね。

中山「私、メンズのお洋服も大好きで、特にフレッドペリーは、あのクラシックなポロシャツも好きだし、ブランドとしての姿勢にも共感する部分があったので。他にもいろんなブランドや企業さんからオファーをいただいているんですが、今後もいろいろ考えながら取り組んでいきたいなと思っています」

——久保さんは、今日、中山さんにご出演いただいて、何か新しい発見はありましたか?

久保「今日、中山さんの話を聞いて改めて思ったのは、近道はないってことかな。きちっといいものを作って、それを誰かに届けてハッピーにしてあげるということを続けていくことがブランドとして成功するためには必要なんだろうなと。いや、みんなわかっちゃいるんだけど、なかなかできていないから。どうしても売れてる、売れてないって話になりがちでしょ。番組冒頭で中山さんのことを不思議ちゃんって紹介しましたけど……」

中山「ふふふ……よく言われます」

久保「ですよね(笑)。でも、そういうふわっとしたイメージなのに、芯はしっかりした女性なんだってことも再確認しましたね」



(おわり)

取材・文/encore編集部
写真/柴田ひろあき(撮影協力/GALLERY MUVEIL)



■中山路子(なかやま みちこ)
デザイナーのアシスタント等を経て、2002年からMOSSLIGHT(モスライト)に携わる。2007年、MUVEILを設立し同ブランドのデザイナーを務める。また、2018年2月まで京都精華大学の講師も務めていた。

■久保雅裕(くぼ まさひろ)
ウェブサイト「Journal Cubocci(ジュルナル・クボッチ)」編集長。杉野服飾大学特任准教授。繊研新聞社在籍時にフリーペーパー「senken h(アッシュ)」を創刊。同誌編集長、パリ支局長などを歴任し、現在はフリージャーナリスト。コンサルティング、マーケティングも手掛ける。







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