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2018.01.12

SMART USENの「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」、第6回のゲストはBEAMS創造研究所の青野賢一さん

SMART USENの「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」は、ウェブサイト「Journal Cubocci」編集長の久保雅裕が、ファッション業界のキーパーソンをゲストに迎えてお届けする“トークサロン”。第6回のゲストは、ビームス創造研究所クリエイティブディレクターの青野賢一さんです。収録を終えてのアフタートークをお届けします。

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SMART USENの「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」、第6回のゲストはビームス創造研究所の青野賢一さん!



——これは2004年発行の「CLUB USEN」というフリーペーパーなんですが、巻頭特集で青野さんと同じくBEAMS RECORDSの立ち上げに携わっておられた金田英治さん(現 株式会社ビームス 執行役員経営企画室長兼BEAMS&CO UK LTD CEO)にインタビューさせていただいていて。

青野賢一「この写真は当時神宮前にあったBEAMS NEWSですね」

久保雅裕「あ、本当だ。確か隣にプレスルームがあったんですよね」

——「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」の第1回ゲストとして、設楽 洋さん(株式会社ビームス 代表取締役社長)にもご登場いただいているので、今回がビームス特集の第2弾ということになります。

久保雅裕「青野さんはビームス社内でもなかなかユニークな立ち位置にいる方なんですよ」

青野「僕はビームス創造研究所という部署に在籍しているんですが、BEAMS RECORDSのディレクションとかバイイングも手掛けています」

——ありきたりではありますが、“ビームスって洋服屋さんなのに何でレコードショップをやってるの?”という質問への青野さんのエクスキューズをぜひ。

青野「いつも、やんわりと“いや、あるんですよね……”って言ってますね(笑)。まあ、ビームスという会社をあまりご存知でない方はちょっと腑に落ちないでしょうし、伝わりづらいかもしれません。そうですね、もう少し踏み込んだ説明をすると、ビームスって1980年代終盤までは、1レーベル/1ショップっていうわかりやすい店舗展開がほとんどだったんですが、1990年代前半あたりからだんだん店舗のスケールが大きくなって、メンズとウィメンズの複合型だったり、ドレスとカジュアルをひとつの店舗で展開するようになったんですね。規模が大きくなってくると同時に、服以外の雑貨とか家具も扱うようになって、それはひとことで言っちゃうと——僕自身はあまり好きな言葉ではないんですが——ライフスタイルって言葉で表現することができるんですよ。つまりお店のワンフロアでライフスタイルを提案しましょうということなんです」

久保「設楽さんもおっしゃっていましたが、ビームスはアメリカンライフショップというコンセプトでスタートしていますからね」

青野「そうなんですよ。厳密に言うと、ビームスって、もともと洋服屋ではないんですよね。UCLAの学生の部屋や生活、アメリカ西海岸の文化を提案しようという店だったんです。80年代中盤のデザイナーズブームの次に出現したアメカジ、渋カジというムーブメントによってビームスの扱っている洋服がフォーカスされるような時代がありましたけど、やはりそれでも通奏低音のようにライフスタイルという考え方がずっと貫かれていて。さっきも言ったように、90年代に入ったあたりから、雑貨、家具、そして音楽をやりましょうという流れができるわけです」

——BEAMS RECORDSの立ち上げは1999年ですね?

青野「そうです。最初はショップではなく、レコードレーベルとしてスタートしたんです。会社で“洋服のおまけみたいな仕事だったらやりたくないです”って言ったら、好きなようにやっていいよって言ってもらえたので、ちゃんと原盤権を持って、出版まで手掛ける一般的なレコード会社と同じ機能を持たせて作ったんですね。となると、ショップもあったほうがいいよね?という話になって店舗を構えることになったんですよ」

——なるほど、自分たちの作ったものをアウトプットできる場所を持とうと?

青野「だって、洋服屋さんのレジ横にCDとかレコードを置いても全然売れませんからね(笑)。それじゃ洋服のおまけになっちゃう。そうじゃなくて、音楽は音楽としてちゃんと扱って、かつそれを自分たち自身の手で選ぶということがビームスという会社のやるべきことだと思うんですね」

——セレクトショップと呼ばれる所以ですね。

青野「むしろ、ビームスのなかで、BEAMS RECORDSがいちばんセレクトショップらしい業態かもしれませんね。いま、洋服屋さんはどこもいっしょかもしれませんが、セレクトショップと言いつつも、オリジナル商品の比率が高まってきていますから。その点、BEAMS RECORDSの品揃えは9割超がセレクト商品ですからね。真の意味でのセレクトショップという名前を守る最後の砦というか(笑)」

——番組本編で語られていた“ファッションと文化を切り離して考えるからおかしくなっちゃうんだ”という考察が興味深かったのですが。

久保「たぶん日本ではそう考える人たちがマジョリティなんですよね」

青野「あるいはファッションと文化って関係ないものだと思っている人が多い」

久保「本当はお互いが影響しあって前に進んでいくものなのに、どっちの地位が高い、低いという話題になったり……海外に出ていくと、こういう設問自体がナンセンスなんですけどね」

青野「30代以上の、ファッション業界の景気がよかった時代を知っている世代よりも、20代くらいの若い世代のほうが、変な先入観がないような気がしますね。ファッション業界がダメになっちゃった時期があって、それ以降にファッションに興味を持った新しい世代」

久保「確かに。ダメになった=デフォルトって言うと大げさですけど、ファッションビジネスをゼロベースというか、ニュートラルに捉えている若い世代が出てきましたね」

青野「まあ、規模感は全然小さいし、ビジネスというレベルに達していないかもしれないけれど、それでも自分のやりたいことをちゃんと服に落とし込んでいて、かつ熱狂的なファンがいるってブランドも出てきましたし。縷縷夢兎(ルルムウ)ってブランドは知っていますか?」

——いや、初耳です。

青野「ハンドメイドニットのブランドなので生産量は少ないんですが、女の子たちにカルト的な人気があって、でんぱ組.incや大森靖子さんの衣装を手掛けていたり、ミスiDのオーディションでコラボしていたり……そういう熱狂的なファンがいるブランドって、いまどれくらいあるか?あるいはセレクトショップがそういうブランドを見つけてきて、お店に並べられるか?って思うわけですよ」

久保「当然、ビジネスとしてのスケールは違うでしょうし、そういうブランドとセレクトショップに求められる機能も違うとは思いますけどね」

青野「ビジネス的なスケールメリットならセレクトショップの方に分があると思いますが、文化的な存在感を考えると、そうしたインディペンデントのブランドに可能性があるような気がしますね。いまやセレクトショップや百貨店のようなリテーラーは、そういうブランドを見つけてくるセンスとか目利き力が問われているのかもしれません」

久保「ラグジュアリーストリートの流れはかろうじて途絶えていないんじゃないですか?」

青野「そうですね、シュプリームなんかは頭ひとつ抜けてる気がしますね。いまでもやってることは面白いなあと思うものもありますし。結局そこじゃないですか?服を売ってる側も作ってる側も面白いと思えるものを見つけられるかどうかですよ。まあ、僕は自分をファッション業界ど真ん中の人間だとは思ってないですけど(笑)」

久保「青野さんは、ひとつのイメージで語られたくない人だからね。文学、音楽、文化、ファッション……いろんな引き出しがあるし」

——偶然にも、隣のスタジオにカフェ・アプレミディの橋本 徹さんがいらっしゃっていて、先ほどばったり遭遇していましたが、青野さんと橋本さんは古くからのお知り合いだとか?

青野「ええ、橋本さんとは昔から同じ現場でDJをやっていましたし、僕はいまでもアプレミディでDJをやったりしますから」

久保「ね、変幻自在なんですよ、青野さんって」

——確かに。こんな短いテキストじゃ語り切れませんね。続きはぜひ本編で。

(おわり)

取材・文/encore編集部
写真/柴田ひろあき(撮影協力/BEAMS RECORDS)



■青野賢一(あおの けんいち)
ビームス創造研究所(HALS)クリエイティブディレクター、BEAMS RECORDSディレクター。株式会社ビームス入社後、プレス、広告制作、ウェブサイトのスーパーバイザーなどを経て現職。ビームスの社業以外に、DJ、選曲家としての音楽活動、雑誌やウェブ媒体での執筆活動、イベントやPR企画のディレクションやオーガナイズも手掛けている。

■久保雅裕(くぼ まさひろ)
ウェブサイト「Journal Cubocci(ジュルナル・クボッチ)」編集長。杉野服飾大学特任准教授。繊研新聞社在籍時にフリーペーパー「senken h(アッシュ)」を創刊。同誌編集長、パリ支局長などを歴任し、現在はフリージャーナリスト。コンサルティング、マーケティングも手掛ける。





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