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SMART USENの「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」、第15回のゲストはアバハウスインターナショナルの原 清浩さん



――番組本編でもサーフィンとクルマの話題で盛り上がっていましたね。特にクルマについては原さんは相当なエンスージアストとお見受けしましたが、お気に入りのクルマ雑誌はありますか?

原 清浩「んー……「カー・グラフィック」ぐらいかな。クルマ雑誌ってもともとあまり読まない方なんだけど、カーグラは当時副編集長だった加藤さん(現 株式会社カーグラフィック代表取締役社長 加藤哲也氏)と仲良くしていたんで。まあ、さっき番組のなかに登場した“何か書いてみる?”って誘ってきたクルマ雑誌の編集者って、彼なんだけど(笑)」

久保雅裕「そうだったんだ。さっきその話が出たとき、カーグラか「NAVI」だろうなって思ったんですよ」

原「「NAVI」はね、鈴木正文さんが編集長だったころかな……クルマどころか、僕の家まで取材しに来たことがあるよ。面白い雑誌だったよね。鈴木さんはその後、新潮社で「ENGINE」を立ち上げて、いまは「GQ Japan」の編集長をやってますけど」

――原さんのクルマ好きっていう部分はいまでも変わらないんですね。

原「そうだね。運転するのも好きだから、気になるクルマがあるとすぐ試したくなっちゃう」

――いちばん最近試乗したクルマはなんですか?

原「どれだろう……しょっちゅういろんなディーラーに行ってるからなあ。えーと、いちばん最近乗ったのはたぶんアウディのA1かな」

久保「おっ、ちっちゃいクルマですね」

原「そう1リッターのモデルがいいんだよ」

――3気筒のTFSIですね。僕は“普通車に3気筒ってどうなの?”って先入観があるんですが。

原「全然そういうことを感じさせないね。とてもよくできてるなって。ヨーロッパのダウンサイジング・エンジンは本当に優れてると思いますよ。もともと馬力よりもトルク重視って考え方があるからね。日本だとトヨタとホンダががんばったおかげでハイブリッドが普及しましたけど。プリウスもすごいけどね。初代を出したとき、当時トヨタの社長だった奥田 碩さんは、採算度外視で30年間赤字でも売るって言ってたけど、いまじゃトヨタを代表するモデルになりましたから。いまの豊田章男社長も相当なクルマ好きらしいけど」

――いや、原さんも相当なカーガイですよ(笑)。クルマ雑誌が取材するのも頷けます。えーと、こちらから話題を振っておいて恐縮ですが、そろそろファッショントークに戻りましょう。原さんと久保さんのファーストコンタクトは?

原「久保さんが、繊研新聞で「h(アッシュ)」を立ち上げて、ブレーンになってくれないか?って声を掛けてくれたんですよね。あれって何年だっけ?」

久保「1999年ですね」

原「1999年!そうか、もう20年近く経ったんだね。この番組はブレーンに参加していた人がたくさん出演してますよね。ビームスの青野さんも出ているし。南馬越さんは?」

――みなさんのトークの中でお名前はよく登場するんですが、ご本人にはまだ出演していただいていないんですよ。

原「そうなの?それはまだまだ久保さん人脈で呼べる人たくさんいるってことだね」

――原さんは、アバハウスインターナショナルでずっとキャリアを歩んで来られたわけですが、転職や独立といったキャリアデザインを考えたことはないですか?

原「うーん、昔からやりたいことがあるんだったら会社でやればいいって思っていたし、いまじゃ僕も経営陣のひとりでもあるし。うちの社長の眞岸(株式会社アバハウスインターナショナル代表取締役社長 眞岸洋一氏)は、“これがやりたいです!”って手を挙げて言うヤツの話をちゃんと聞いてくれるほうだから。比較的自由な社風なんですよ」

――僕は、やはりアバハウスという名前を聞くと1980年代のDCブランドブームの狂騒を思い出させられるんですが。

原「そうだよね。DCブランドブームのときはこの業界全体が狂ってたと思うよ。だって、マルイさんでセールだっていうと、ニュースで、オープン前の行列をヘリコプターからの映像で流してたじゃない?ヨウジさん、イッセイさん、コム・デ・ギャルソン……」

久保「バツ、ニコル、ビギ、アトリエサブ……いろいろなブランドが競いあっていましたね」

原「あの当時は、マルイにお店が入っていないとブランドじゃないっていう感覚が消費者側にあったように思うし、80年代のファッション業界って若い人たちのマーケットだったからね」

――無理してDCブランドの服を買っていたような気がしますね。

原「だからマルイさんの“赤いカード”ってすごい戦略だと思うわけですよ。僕も学生時代は“分割払いで服買ってバイト代で返せばいいや!”って遣り繰りしていましたし、服飾関係の学校だったからまわりもみんなそうでした。マルイさんにはその時代からずっと続けてきたカード事業に紐づいたビッグデータがあって、いまではそれを軸にしたビジネスも展開していますし、だから自社ブランドの商品を開発してヒットさせることができるんですよ。マルイさんのオリジナルブランド「ラクチン」シリーズは、洋服やバッグ、雑貨まで展開していますが、当初はレディースのシューズからスタートしたんです。それがすごいヒットしてるって話題になってましたからね」

――今は昔という感じですね。原さんは、ファッション業界の次のブレークスルーとしてどんなことが起こると予測していますか?

原「どうでしょうね。業態の変化ってことなんでしょうけど、ファストファッションの購買層である若い人たちの買い物の仕方、消費行動も変化していますよね。ZOZOTOWNさんが商売を始めたとき、熱心に在庫を預からせて欲しいってセールスに来ていましたけど、いま、ZOZOTOWNの平均客単価ってファストファッションのそれと同じくらいだと思うんです。それはどういうことかっていうと、ファストファッションのお店で買い物をしていた消費者がそのままネットで買い物してるってことなんです」

――消費者の、お財布の紐の緩み具合は変わっていないと?

原「そういうことでしょうね。ファッション業界が大きな曲がり角に差し掛かってるのは確かです。次のブレークスルーは何か?それがわかったらいいんだけど(笑)。そうだな、アパレルのマーケットって、アラフォー世代が中心になってきているんですが、その下の世代って1学年で100万人くらいのマーケットなんですよ。それがアラフォー世代だと1学年200万人くらいのスケールだから、その世代にリアルな価値を提供するっていうことなんでしょうね。リアルな価値って、商品だけじゃなくて、買い物体験という意味でいうと、店舗数を追う必要はないんだろうなって思います。だって、アップルもそうでしょ?アップルストアって日本には9店舗しかないけれど、みんなそこでiPhoneに触れて、試してみて、でも買うのはポイントが貯まる量販店だったりするじゃないですか。だからファッションもいろんな買い方があってもいいんだろうと思いますね」

――今日お邪魔した原宿店のABAHOUSE CAFEも買い物体験の価値を高める打ち手のひとつということですね。

原「あれは1年ちょっと前から展開しているんですが、集客装置という捉え方をするならば、そういう見方もできますね。たとえば、期間限定でちょっと見映えのするドリンクメニューを提供すると、特に女性はすぐに反応してくれて、SNSで拡散するんですよね」

久保「“映え”を狙うわけですね」

原「そう。そうやって話題を提供することが大事なんだろうなと。みんななにがしか体感したいんだろうなっていうことは僕も感じていますね。音楽業界も同じじゃないですか?何年か前にライブの売り上げがCDのセールスを逆転したってニュースになってたでしょ。そうですね……アパレル業界も売り方、買い方の細分化が進んでいますが、スポーツ系だけは伸びていますね」

久保「アスレジャーは世界的に見ても好調ですよね」

原「アスレジャー、それからオフィスカジュアルもそうなんですが、スポーツとファッション、オフィスとカジュアルっていうふうにそれひとつで賄えるっていうライフスタイルが重要なのかな……いずれにせよ、ひとまとめにガン!と稼げるジャンルは見当たらないですよね」

――久保さんから見てアバハウスのストロングポイントは?

久保「眞岸さんから発せられる空気感が暖かいんですよ。それが社員のなかに浸透しているのかなっていうのはありますね。成熟した会社なんだけれど、原さんが言うように新しい価値を提供していかないと生き残れないっていう危機感もちゃんと持っている」

原「うん、社長自身も、会社もそういう危機感は常に感じていますね。最近、代官山に出した「THE STORE by C'」っていうショップがあるんですけど」

久保「僕、まだ行けてないんですけど、レディースとライフスタイルのお店ですよね?」

原「そうです。あのお店は、品揃えも空間も、オーナー企業で、自社ビルじゃないとできない設えだと思いますけど、アバハウスにとっては実験的な店舗で、それがマーケットからはどう見えているのかっていうのはとても気になりますね。うちの社長はふだん、マスコミの評判なんて気にしない人なんだけど、「THE STORE by C'」がなかなか好評だったのでめずらしく喜んでいて(笑)」

久保「「THE STORE by C'」も知る人ぞ知るというお店ですが、同様に一般のかたが“えっ、あのブランド、あのショップもアバハウスだったの!?”って驚かれるようなこともたくさん手掛けておられますよね?」

原「そうですね。ここではブランド名は出さないことにしますが、グループ内で、かなりエッジーなコンセプトのショップを手掛けていたり、自社店舗以外の販路のホールセール用にオリジナルブランドの商品を開発していたり、海外ブランドのインポーターとしての機能も持っていますから」

久保「眞岸さんは、社員がアバハウスから独立してブランドを立ち上げたりすると、気に掛けてサポートしたりということもありますし」

――本編で“洋服で新しい価値を創造する”っていうステートメントを紹介していましたが、自社ブランドにこだわらない水平思考から新しい価値が生み出されるってことですね。

原「そういうことでしょうね。まあ、商売なのに金儲け第一じゃないっていう社風が僕らの給料がなかなか上がらない要因かもしれないけど(笑)」

久保「あ、そのくだりはちゃんと書き起こしますよ(笑)」

原「ははは!やめてよ、俺、社長に叱られちゃうよ」

(おわり)

取材・文/encore編集部
写真/柴田ひろあき(撮影協力/アバハウス原宿店)



■原 清浩(はら きよひろ) 株式会社アバハウスインターナショナル 取締役 商品本部統括部長。1979年、デザイナーとしてアバハウス入社。東京都出身。

■久保雅裕(くぼ まさひろ)
ウェブサイト「Journal Cubocci(ジュルナル・クボッチ)」編集長。杉野服飾大学特任教授。繊研新聞社在籍時にフリーペーパー「senken h(センケン アッシュ)」を創刊。同誌編集長、パリ支局長などを歴任し、現在はフリージャーナリスト。コンサルティング、マーケティングも手掛ける。







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