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2018.05.11

SMART USENの「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」、第10回のゲストはyoshiokuboの久保嘉男さん

SMART USENの「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」は、Journal Cubocci編集長の久保雅裕がお届けする“トークサロン”。第10回のゲストは、yoshiokubo、muller of yoshiokuboの久保嘉男さん。収録を終えたふたりの久保さんと石田紗英子さんのアフタートークです。

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SMART USENの「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」、第10回のゲストはyoshiokuboの久保嘉男さん



——今日は久保嘉男さんと久保雅裕さん、ふたりの久保さんが登場しますので、嘉男さん、クボッチさんと呼ばせてもらいます。

クボッチ「そうだね(笑)。クボッチでいいよ」

石田紗英子「わたし、ミュラー(muller of yoshiokubo)のお洋服は、PARIGOT(パリゴ)さんなんかでよくお見掛けするんですが、すっかり海外のブランドだと思い込んでいて……」

久保嘉男「そうだったんですね。ありがとうございます。ミュラーは、都内だとセレクトショップを中心にたくさん扱っていただいているので、比較的手に取っていただきやすいですね」

——そういえば、2017年はミュラーの10周年だったわけですが、なにかアニバーサリー的な取り組みは?

久保嘉男「いや、特になにもやってなかったんですよね(笑)。うちらしくないというか……muller of yoshiokuboってブランドは、いままでずっと特別なプロモーションを仕掛けるわけでもなく、“何かいいブランドがあるね”って口コミでじわじわ広げていこうと決めてやってきているので。いい服を作って長い時間をかけて、広めたほうがブランドとして強いし、息が長いと思うんですね。そういうブランドづくりに憧れているというのもありますし」

——紗英子さんはミュラーのどこに魅かれたんですか?

石田「さっきも言いましたが、どことなく日本のブランドらしくないというか……お仕事用に何着か買わせていただいたんですが、とにかくラインが綺麗なんですよ。凄く繊細なのに華やかなところに魅かれましたね」

——ミュラーは日本人の体型に合わせてデザインしているんですか?

久保嘉男「特に日本人向けということはないですね。まあ、腰の位置が違ったりはするんですが、日本人も向こうの人も、からだのかたちってそこまで変わらないと思うんですよ。僕は、言い訳しない服、誰が着ても綺麗になれる服ということを考えて作っているので。自分でパターンを作れるというのも僕のウリではあるんですが、紗英子さんが仰ってくれたように、だからこそ綺麗なシルエットが出せるんですよ。ちょっとしたことですごく印象が変わってしまうので。たとえば、腰の位置でぐっと絞ると脚が短く見えちゃうんですが、腰の位置を5センチ変えるだけで全然違って見えるんです。そういう細かいことをいつも考えていますね」

——もともと映像制作に興味があったということなので、ファッションに限らずですが、嘉男さんに影響を与えたデザイナー、ブランド、あるいはクリエイターは?

久保嘉男「うーん……影響を受けたって意味では、中島らもさんですかね。彼が亡くなって以降、全くと言っていいほど本を読まなくなってしまったんですが、それくらい大好きで。物事を違う方向から見ることが大事なんだってことを彼の作品から学びましたね」

——意外な名前が出てきました。らもさんは、僕も『ガダラの豚』にハマって、何回も読み返しました。冒険活劇なんですけど、ちょっとおどろおどろしい描写もあったりして……

久保嘉男「そうそう、僕も好きですよあの感じ。あとは、マシュー・バーニーってアーティストがいるじゃないですか?昔、たまたま立ち寄ったニューヨークのホイットニー美術館で、マシュー・バーニーが美術館をまるごと使ってプレゼンテーションしていたことがあったんですが、それを見て感動してしまって。中島らもとマシュー・バーニー——言うまでもなくファッションデザイナーの先輩方はすべて尊敬していますが——アーティストという意味では、この二人は、すごく好きですね」

——ファッション以外の分野からもインスピレーションを得るということですね。

久保嘉男「そうですね。服のデザインを含め、ファッションに関わるすべてのことを常に考えていますね。インビテーションのグラフィックの参考にしたり、見るものすべて仕事に結びつけてしまうんですよね。電車の向かいの席に座ってるおっさんを見て、“あー、襟が曲がってるな。でもあれってわざとかもしれへんな。ああいうデザインもありやな。あとはカフスを変えて……”って考え始めると止まらなくなっちゃうんですよね。だから、僕、“いますぐデザインせえ!”って言われても100パターンくらい描けますよ」

——こういう思考回路って、デザイナーの方はみんなそうなんでしょうか?

クボッチ「どうなんだろうね。でも、嘉男さん、前も似たような話をしていたよね。服を、パーツ毎にデザインしていくと、その組み合わせで何百パターンもすぐに作れるんだって。常に服のことを考えているから、すぐにデザインが出てくるし、バリエーションも作れるのかもしれないね」

——先ほど本編で語っていた、ファッションの仕事がしたいと思って学んでいるのなら、いますぐ決断し、そして学んでいる時間のなかで覚悟を決めなさい。とにかく好きなものにありったけの時間を費やすべきだという後進へのアドバイスにも繋がるエピソードですね。

クボッチ「そうだね。結局、決断しないっていう選択がいちばんダメで、やってみなくちゃ本当にダメかどうかはわからないからさ。やってみてダメだったら、そこで軌道修正できるわけだし。人生ってそういうもんでしょ。いますぐ決めろ、そしてやってみろ!と……何だかスティーブ・ジョブズというか林 修先生みたいになっちゃったけど(笑)。でもそれが真理だよね」

——ブランド立ち上げ当初に、大判のカタログを作って片っ端から送り付けたというエピソードや“熱意に嘘はないから”っていう言葉も刺さりました。

久保嘉男「格好いいでしょ(笑)。そうそううまくいくわけじゃないし、失敗もしますけどね」

——嘉男さんとクボッチのファーストコンタクトは?

クボッチ「そうだなあ……2004年ごろかな。初めて会ったのはカンナビスの屋上の合同展、その後、graf(グラフ)のイベントだったっけ?」

久保嘉男「そうですね。grafと、WOWっていう映像制作会社と、僕で、家具に合う服っていうコンセプトのイベントをやったとき」

——今日、嘉男さんと語り合って、出会ったころと変わらないな、あるいは変わったなと感じたことはありますか?

クボッチ「いつでも素で語り合えるというか、キャラクターはあのときもいまも変わっていないよね。僕、あの展示会で、嘉男さんにスーツをオーダーしたんだけど、憶えてる?」

久保嘉男「ああ!そうでしたね、憶えていますよ」

クボッチ「いまは体型が変わっちゃってあれなんだけどさ(笑)。すごくソリッドなグレーのスーツなんだけど、よく見るとジャケットとジレがくっついたような、ツーピースに見えて、実はスリーピースっていう、ちょっと難解というか、変わったデザインだったんだよね。で、いまの嘉男さんのデザインはもう少しわかりやすくなったよね」

久保嘉男「そうですね。めちゃくちゃ変わったと思いますよ。よく、アーティストのインタビューとかで、“自分は何も変わってないけど時代が追い付いてきた”って話を聞くじゃないですか。でもそれって、気づいていないだけで、ちゃんと努力して、自分が成長したんちゃうかな?と思うんですよ。時代が追いついたわけじゃなくて、やっぱり自分が時代に追いついたんだろうと。僕もブランドを立ち上げた当初からコンセプトは変えていませんけど、すごく努力してきましたし、同じ型の服でも縫製とかクオリティはあがっているはずですから。そうやって長く続けて年齢を重ねてきたわけですし、これからはより高みにあるアーティスティックな服を作らなきゃいけないと思いますね」

クボッチ「期待してます。ミラノも経験したわけだし、今度はパリでyoshiokuboのコレクションが見られるといいな」


(おわり)

取材・文/encore編集部
写真/柴田ひろあき(撮影協力/株式会社groundfloor)



■久保嘉男(くぼ よしお)
2000年、フィラデルフィア・スクール・オブ・テキスタイル&サイエンスを卒業。ニューヨークのRobert Danesを経て帰国。2005年、yoshiokuboをスタート。2006年、レディースのコレクション、muller of yoshiokuboを発表。2017年、ジョルジオ・アルマーニの支援プログラムによりミラノメンズコレクションに参加。

■久保雅裕(くぼ まさひろ)
ウェブサイト「Journal Cubocci(ジュルナル・クボッチ)」編集長。杉野服飾大学特任教授。繊研新聞社在籍時にフリーペーパー「senken h(センケン アッシュ)」を創刊。同誌編集長、パリ支局長などを歴任し、現在はフリージャーナリスト。コンサルティング、マーケティングも手掛ける。







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