――メジャーデビュー15周年記念EP『Sonar Pocket ~15th Anniversary~』には、懐かしい大ヒット曲たちのセルフカバーが並んでいます。この曲たちはどのように選ばれたのでしょうか?

ko-dai「僕らの成長を辿るうえで、大切にしている楽曲たちはもちろん、9月から始まる全国ツアーの鍵となるような曲を選んでいきました」

――これまで多くの楽曲があるからこそ、選ぶのは大変ではありませんでしたか?

eyeron「どの曲に対しても、聴いている人たちにそれぞれ思い出があると思うんです。なので、何を基準に選ぶのかを決めるのは大変ではありましたね」

――その中で、「願い星」と「花」は、また選び方が違うように思いました。

eyeron「「願い星」は、昨年のクリスマスのライブで歌った時に、あらためて“いい曲だな”って思ったんです。たくさんライブをしていると、どうしても歌う曲って決まってくるんですが、この曲を本当に久しぶりに歌って、新たな感情が生まれたんですよね。今回のテーマを含めても、また皆さんに聴いてもらえたら嬉しいなと思い、選曲しました。「花」は、リリースされたのは10年前なんですが、今の時代にすごく合っているなと思いますし今の自分たちだから届けられるメッセージもあって、選曲しました。3人が殴り合いのケンカをして選曲したわけではないので安心してください(笑)」

matty「そういうアナザーストーリーはなかったね(笑)」

eyeron「もしケンカになったら二人にはフィジカル的に勝てないですからね(笑)」

――あはは。安心しました(笑)。いろんな経験を経た今、10年前の曲の言葉、意味もより深くなると思うのですが、歌ってみていかがでしたか?

ko-dai「これまで、「好きだよ。~100回の後悔~」を歌うことは何百回とありましたが、ちゃんと自分で聴くことはほとんどしていなかったんです。でも今回、セルフカバーをするということで、久しぶりにしっかりと聴いたときに、“どうしたら原曲を超えられるのかな?”って思ったんですよね」

――たしかに、愛されている曲だからこそ、難しいですよね。

ko-dai「そうなんですよね。ただ、2010年にレコーディングをしたときは、とにかくキレイに歌いたいという想いが強くて、ビブラートの数も合わせるくらいだったんです。でも今は、この曲をリリースしてから頂いた反応やメッセージはもちろん、多くの自信もみなさんにいただきましたし、この13年間で自分がこの曲に共感するような恋愛も経験しましたし、その人生経験や、感情を歌声に乗せられたら、絶対に原曲とは違うものに出来ると思ったんですよね。だからこそ、原曲とこの曲を聴き比べてもらえたら面白く感じてもらえると思います」

matty「毎回、ライブのコンディションによって、曲の完成度は変わってくるんです。コロナ禍に入って、声が出せない時期もありましたが、それ以前にこれらの曲をファンのみんなと歌うことで完成した“完全形”を体験しているので、改めてレコーディングしなおすことに、すごく緊張したんですよね。でも、だからこそ、いま歌いなおすというのは、すごくいい経験になったんじゃないかなと思うんです」

eyeron「純粋に、キャリアがないと、過去の歌をレコーディングしなおすということはできないですし…15年という長い間、続けてこなかったら、今回のようにセルフカバーをすることはできなかったので、それだけでも嬉しいですね。さらに、代表曲ともなると、ライブやテレビなどで歌う中で、どうしても歌い慣れしてしまうところがあって。それをまたしっかりと譜面と対峙し、歌いなおすことで、ライブっぽい歌い方になっていることに気づいたり、あらためて原曲の良さに気づいたりもしたので、すごくいいきっかけを頂くことができました」

matty「単純に僕は、2人の声質が成長し、深みが出ていたことに感動しましたね。とくにeyeronなんかオリジナルを聴くと子供の声みたいなんですよ(笑)。今の声と聞き比べると初々しさも感じますし、ko-daiも好青年ということが声からにじみ出ていて(笑)。いまは大人になったからこそ、そこがいい意味で薄れましたし、経験が声に変わっているので、それを耳で確かめられるんじゃないかなと思います」

――あの時だからこそ作れた曲というのもありますよね。

ko-dai「そうですね。時代を切り取っている曲もありますし、当時のように相手を思う恋ができるのかも、今はわからないですし(笑)。だからこそ、20代後半の時に描いたフレッシュさ、無知さが曲にいい風に溢れていますね。人間、時間を重ねるといろんなことを知ってしまうし、いろんな現実から目を背けられなくなるんですよね。当時の曲は、根拠のない自信を持っているくらいの若さが楽曲にはたくさん詰まっていることを感じられます。それに、これらの楽曲でたくさんの人とソナーポケットが出会うことができたので、僕たちにとってすごく大切な曲だということを再確認しました」

――「好きだよ。~100回の後悔~」は先行配信されているからこそ、いろんな声が届いているのではないでしょうか。

eyeron「そうですね。街でもかなり流れているので、すごく嬉しいですね」

matty「“これなんだっけ?”ってアプリで調べてもらえたり、初めて聴く人もいたりして。そのどちらの人たちにも、“ライブに行きたいな”って思ってもらえたら嬉しいです」

eyeron「それに、当時聴いていた人は、懐かしいと思うと同時に、その時に想っていた人を思い浮かべるかもしれないですし…。その感情ってすごくいいですよね」

――それはエモいですね!みなさんも、当時のことを思い浮かべるのではないでしょうか?

matty「「好きだよ。~100回の後悔~」は、当時インストアライブでたくさん歌っていたことを思い出します。「好きだよ」の前にもCMなどに曲を使っていただいていたので僕たちの曲を耳にはするけれど、誰が歌っているかはわからないという人が多かったので、インストアライブで僕たちが歌っているのを偶然聴いた人に、“名前だけでも覚えて帰ってください!”って何度も言っていたんですよね。あの時にこの曲が僕たちを引っ張って行ってくれたからこそ、15周年を迎えられたんじゃないかな?と思うので、すごく感慨深いです」

eyeron「デビュー当時、インストアライブをしても人が集まらなかったんです。でも、曲をリリースして、少しずつ広がっていくことによって、少しずつお客さんが増えていって、この「好きだよ。~100回の後悔~」のリリース時には、インストアライブに何千人という人が集まってくれたんですよ。そうやって夢が叶っていくのを体感した不思議な気持ちを覚えています。あの当時のソナーポケットはがむしゃらに頑張っていましたね(笑)。勢いや運はあるので、それも感じながら、まだまだこれからも夢を追いかけていきたいですね」

――当時の自分たちにはなんて声をかけたいですか?

eyeron「信じてやってきたもの、口に出したことって、結構叶うんですよね。よくko-daiとも話すんですが、mattyさんと出会うまでに、よく“こういうところでライブしたいね”と話していたんです。その後、実際に話していた会場でライブをすることが出来てきた今、“思ったことは口にした方がいい”と伝えていく側になってきたんだなって思いますね」

matty「そういえばライブのMCで、ko-daiが“叶えるという字は、口に十、と書くから、口に10回出せば叶うんだ”ということを言っていて。それがすごく印象に残っています」

ko-dai「1回じゃなくて、10回出せるくらいの強い気持ちが必要なんですよね」

matty「もちろん、誰かが聞いている前でのことですよ。その言葉に責任感を持つということですよね」

――今なら、何を口に出したいですか?

ko-dai「それが、今はあまりなくて(笑)。今は、目の前のことを、しっかり地に足を付けてやることを大事にしています」

――たしかに、今はそれが一番大事ですよね。

eyeron「あとは、同じ言葉でも、今発言するのと、伝わり方が変わってきますからね」

ko-dai「もちろん、もう一回夢を語ってもいいんですけどね。でも、まず今は、デビューからのことを振り返り、そこで得たものの先に、新しい夢を見つけて行きたいと思っています」

――となると、ライブがすごく楽しみですね。全国ツアー「Sonar Pocket 15th Anniversary Tour ~僕らの軌跡~」はどんなライブになりそうですか?

ko-dai「“ソナーポケットと言えば!”という曲たちが、今回のライブにたくさん詰まっています。定番曲はもちろん、声出し解禁になった今、みんなと一緒に歌いたいと思った曲もたくさんやるので、楽しみにしていてほしいですね。コロナ禍になってから、どうしても大切なものを失った気がしていて…。というのも、僕らがアーティストとして活動していくなかで、“やっていてよかったな”とか、“頑張っててよかったな”って思う瞬間は、歓声を浴びた瞬間だったんです。それでどんなにつらいこともすべてをチャラにできていたんですよね。それがついに復活するということなので、このライブでは皆さんと一緒に大きな声で歌いたいなと思っています」

eyeron「ライブって、一つの場所にみんなが集まって、みんなの思い出の曲を、みんなで歌って、また新しい思い出を作ることが出来る場所なんです。だからこそ、アーティストである以上、11本忘れられないライブにしたいという気持ちもありますし、声出しが解禁されて最初のライブなので、ソナポケの楽曲をよりいい状態で聴いてほしいと思います。そのために僕たちがいろいろこだわって準備して、丁寧にやりたいなと思っています」

matty「本当に、みんなと一緒に歌えることがすごく楽しみなんですよ。楽曲も、みんなと一緒に作り上げることが大切で、曲と一緒に全国各地を回り、それぞれの土地にいるみんなと一緒に声を出して盛り上がり楽しみ、完成していくことがツアーだと思っているので、いまからすごく楽しみです。しかも、今回の演出をしてくれるのが、10年前にツアーを一緒に作ってくれた方なので、それもすごく楽しみなんです」

――ソナーポケットのことをすべてわかっている方が演出するのは楽しみですね。

matty「そうですね。ミーティングの時も、阿吽の呼吸を感じたんです。それも含めて、どんどん期待が高まっています。当時を知る人はより楽しめるだろうし、知らない人でも楽しめるライブにするので、安心して来てもらえたらと思います」

――お話を聞かせていただくたびに、仲の良さが伝わってくるのですが、この15年間、どう関係性が変化していきましたか?

ko-dai「変わってないよね」

matty「年を重ねたくらいかな(笑)」

ko-dai「僕の反抗期で、僕だけが一方的にふたりと仲が悪くなった時があったくらいじゃない?」

eyeron & matty「あはは!」

ko-dai「2011年くらいじゃなかったっけ?」

――あはは!何がきっかけだったんですか?

ko-dai「mattyとエレベーターで二人きりになった時にいつも“俺、暇だわ~”って言ってくるんですよ。そしたら“ご飯に行く?”って言うじゃないですか。すると必ず行くから、それなら最初から言えよってなって(笑)」

一同「あはは!」

ko-dai「半年くらいで元通りになりましたけどね(笑)」

――完全に地元の友達の戦いじゃないですか(笑)

ko-dai「まぁそうですよ(笑)。あとは、eyeronmatty2014年くらいに外で口喧嘩したくらいじゃない?」

eyeron「あったね(笑)。寒い日で、結果的に3人で話し合ったんだよね」

ko-dai「ケンカするような話じゃなかったよね(笑)。もう兄弟喧嘩みたいな(笑)」

matty「たわいもないことだよね、ほんと(笑)」

――次の日はケロッとしている?

ko-dai「いや、あの時は次の日もmattyがちょっと引きずって、みんなとのボーリングに来なかったくらいですね」

matty「そうだったね。“ボーリングの乱”です(笑)」

――どんだけ仲がいいんですか(笑)。


eyeron「でも、珍しいって言われますね。まわりからももっとケンカしなさいっていわれますし(笑)」

matty「ツアーも、仲良しOL3人旅みたいな感覚ですしね(笑)」

eyeron「きっと、3人という数がいいんだと思います。キャラクターも違うし、趣味もシェアできるし」

――となると、これから先も楽しみですね。

matty「デビューの時もそうですけど、あまり何周年ということを意識していないんです。だからこそ、ここまで続けてこられたと思うんですよね」

ko-dai「デビューした当時も“10年やれたら天才だって思う”という話をしていたくらいで。だから15周年のツアーが終えたときに、20周年を目指そうかなと思っています」

(おわり)

取材・文/吉田可奈

RELEASE INFORMATION

ソナーポケット『Sonar Pocket ~15th Anniversary~』

2023年9月3日(日)配信

STREAM/DOWNLOAD

INFORMATION

Sonar Pocket 15th Anniversary Tour 〜僕らの軌跡〜


【日程】
9月15日(金) 埼玉 狭山市市民会館 SOLD OUT
9月17日(日) 大阪 オリックス 劇場
10月1日(日) 福岡 福岡市民会館 大 ホール
10月9日(月・祝) 東京 昭和女子大学人見記念講堂
10月15日(日) 愛知 一宮市民会館 SOLD OUT
10月28日(土) 広島 広島JMSアステールプラザ 大ホール
11月3日(金・祝) 愛媛 松山市総合コミュニティセンター・文化ホール(キャメリアホール)
12月3日(日) 宮城 トークネットホール仙台(仙台市民会館)

Sonar Pocket 15th Anniversary Tour 〜僕らの軌跡〜

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