――前作『BURN THE SECRET』から2年10ヵ月、待望のニューアルバム『Version 5.0』が完成しました。率直にどんな1枚になったと思いますか?

柴崎 浩「再始動のタイミングでは、21年という年月が経っていたので、どうしても “WANDSってどういうものだったかな”っていうのを振り返ることを避けて通れなかった感じがあったんですよね。それが、前作をリリースして以降、コロナ禍だったこともあって活動のペースはスローだったものの、そのぶん制作やライブを一歩一歩経験しながら思うところがあったり、考えることがあったりっていうのを、作品にしっかりフィードバックできた感覚があります。現在進行形のバンドとして作れたというか……」

――上原さんはWANDSに加入された当時「プレッシャーを感じた」というような発言もされていましたが、WANDSとして活動を重ねてきた中で心境にも変化がありましたか?

上原大史「そうですね。だいぶ時間も経ちましたし、ライブもそれなりにやってきたので、“現状のWANDSがどういったものか”っていうのは、前作のときよりもわかった状態で取り組めたし、今回はほとんどがオリジナル曲なので、そんなに思い悩むこともなくできたような気がします」

――『Version 5.0』では、オリジナル曲はすべて上原さんが作詞していますが、歌詞を書いていく上でも前作からの変化を感じましたか?

上原「歌詞に関してはあんまり変わってないですね。当時から考えていたのは、かっこいいかどうか。かっこよければいいっていう自分の中のルールは今回も同じというか、より強まったかもしれません。WANDS第5期というバンドを客観的に見たときに、そうであってほしいと思う自分がいるので」

――上原さんの中でのかっこよさの基準とは?

上原「詞の内容はもちろんですが、どちらかと言えば語感のほうを大事にしてるかもしれないですね」

――柴崎さんから見て、上原さんが書く歌詞の魅力はどのようなところだと感じていますか?

柴崎「すごく希望があって、共感しますね。音やメロディと合わさったとき、相乗効果で言葉がよりぐっとくるみたいなこともよくありますし、気持ちが入るというか……」

――すごくよくわかります。言葉選びが巧みで、このメロディにはこの言葉しかないと感じるフレーズが今回もたくさんありました。

柴崎「そうなんですよね」

上原「すごくうれしいです」

――柴崎さんが楽曲を渡すとき、歌詞のヒントになるようなことも伝えるんですか?

柴崎「いや、何もないです(笑)」

――上原さん的には、何かヒントをくださいって思うこともあったり?

上原「あははは!そこはやっぱり、曲がテーマを訴えて来るので。別に何も言われなくても大丈夫。メロディから見えてくる景色があるんですよね」

柴崎「仮に僕が“こういうテーマで”って伝えたとして、上原がそういうふうに感じなかったら、書くのが難しくなるよね」

上原「感じ方に相違が生まれちゃった場合はそうですね。やっぱり、最初に受けた印象がいちばん書きやすいですから」

――アルバムには上原さんが作詞、作曲、編曲まで手掛けた「WONDER STORY」と「SHOUT OUT!!」の2曲収録されています。

柴崎「「SHOUT OUT!!」はアルバムの中だと1番最近できた曲だよね?」

上原「ですね!制作の最後らへん、締め切りに間に合うかどうかって段階で」

柴崎「あと1曲必要だけど曲がない!っていう(笑)」

上原「そのときに思ったのが、全部がいい曲じゃなくてもいいというか――いい曲じゃなくてもっていうと語弊があるけど(笑)――せっかくライブで声が出せるようにもなったので、ライブを盛り上げるためだけの曲っていうがあってもいいなっていうのをちょっと思ったんですよね。あと、わけがわからない曲があることによって、前後の曲が引き立つなって。そういう曲がアクセントとして1曲あってもアルバムなら成立すると思ったんです」

――アルバム全体のバランスと、ライブを見据えての1曲ということですね?

上原「そうですね。トータルで1日、いや、半日くらいで完成させました(笑)。ライブでは一部ループにするとか、いろいろやりようがあって面白そうだなって。逆に音源を聴いてても叫んでるだけだから面白くないかも……っていう(笑)」

――いやいや!面白くないことないです(笑)。むしろWANDSとしては新しいアプローチですよね。

柴崎「うん、新しいですよね。上原から話を聞いたときは、すぐにイメージが湧かなかったから、“じゃあ、作ってみてよ”って言って。そしたら、こういうのが上がってきて、“すげえ振り切ったな!”って盛り上がったんですよね(笑)。僕も楽しんでギターを弾きました」

上原「俺、ギターアレンジは柴崎さんにぶん投げましたね(笑)。リードギターのフレーズとか、めちゃくちゃかっこよくてアガりました」

――もう1曲の「WONDER STORY」はどのように誕生したんですか?

上原「この曲の原型というかサビだけは何年も前からあったんですよね。それを今回のアルバム制作にあたって、柴崎さんが“そういえばあの曲があったな”って思い出してくれて」

柴崎「そうそう!すでに完成してる曲をなんとなく並べてみたときに、“3曲目がないな”と思って。で、ストックしてた曲を聴いてたら、その中にサビだけできてたこの曲があって、なんか、ばっちりハマりそうな曲だなと思ったんですよね。それで、上原に“フルコーラス作ってよ”って投げました」

上原「フルコーラス作っていく中で、ドラムとかもなんとなく僕がアレンジしたものが採用されていったので、結果、編曲も僕になったって感じです」

――今、柴崎さんが「3曲目がないと思った」って言っていましたが、全曲完成してから曲順を考えるというパターンが多いのかと思っていました。

柴崎「ある程度の曲数が完成した段階で、あとどんな曲が必要かなっていうのを考えるために並べてみたら、3曲目っぽいのがないと思ったんですよね」

上原「この並びで聴くと、ここにハマりそうな曲がないっていうのはありますよね。パズルじゃないですけど」

柴崎「そうそう!1曲目、2曲目はわりとアップテンポだから、3曲目はちょっとミディアムで、心地よく聴ける感じがいいのにないなとか」

上原「僕も、3曲目にバラードが来るのは違うけど、「RAISE INSIGHT」だと同じノリが続いちゃうし、かといって「官能SADISTICに濡れて」はアバンギャルドすぎるし。ってなると、確かに3曲目がないなって」

柴崎「曲順の決め方はいろんなパターンがあると思うんですけど」

上原「最初にある程度決めながらのほうが絶対いいっすよね?」

柴崎「うん、俺もそう思う。作りながら足りないピースを埋めてくみたいな」

上原「じゃないと変に偏っちゃったりしますから」

――バランスを見ながら、結果的に「SHOUT OUT!!」のような曲が生まれるということですね。

上原「そうなんです」

――「SHOUT OUT!!」もそうですが、すでにリリースされている「カナリア鳴いた頃に」もWANDSにとっての新境地のように感じました。

柴崎「新境地でしたね。それはリリース時にも感じました」

上原「女性目線の歌詞なこともあってか、女性の評価が高い曲ですね。逆に、男性WANDSファンは、ちょっと眉を顰めた方も多いんじゃないかな。賛否両論を生んだんじゃないかと、僕は思ってます。それこそ「世界が終るまでは…」とかが好きなWANDSファンにとっては、「カナリア鳴いた頃に」は“なんだ、こりゃ!?”って感じだったと思います。もしかしたら、この曲でWANDS第5期を嫌いになった人もいると思うんですよ」

――それくらい物議を醸す曲、挑戦的な曲だったと?

上原「でも、これでWANDS第5期もいいじゃん!ってなった人も大勢いて。確かに挑戦的な曲ではありましたね」

――リリースするのを迷ったりもしたんですか?

上原「いや、それは全然なくって、むしろ面白がってましたよね?」

柴崎「そうだね。やっぱり、やる側としては、そういうファンの人たちのイメージや期待予想を裏切っていくのも結構楽しかったりするので。裏切るというか、驚かしてやろうみたいなものは、「カナリア鳴いた頃に」に限らず毎回ありますね」

――一方で、楽曲のそこかしこからWANDSらしさというのも感じました。今作で改めて気付くWANDSらしさというのもありましたか?

上原「WANDSらしさっていうか、むしろWANDSが何なのかもよくわからなくなってきた感じありますよね(笑)」

柴崎「そうそう、最近はライブも曲作りもあまりらしさって考えはなくって、無意識にやっちゃってるかもね」

――こうインタビューでは、とかくWANDSらしさっていう話題になりがちですよね?

柴崎「なりますね(笑)。でも本人たちは、すごくそこに温度差を感じているというか……」

上原「まわりが思うほど気にしてないんですよ。僕も加入した当初は“WANDSらしさって何だろう?”と思ったんですけど、いまだに“何だろう?”のままなんですよ。たぶん永遠に“何だろう?”のままだと思います(笑)。結局聴き手の数だけWANDS像があるなって。“WANDSってこうですよね”っていうのが、人によって全然違うんです。でも、それってどのアーティストでも同じで、WANDSだったら、「世界が終るまでは…」が好きなのか、「もっと強く抱きしめたなら」が好きなのか、「時の扉」が好きなのか……でも、その3曲もまったくジャンルが違うし、共通項って、上杉 昇さんが歌ってるってことだけだし。それをらしさと言われたら、俺がそのらしさを出すのは無理ってことになってしまうので」

柴崎「だから、自分たちではわからないんですよね。それこそ、第5期始動のタイミングで出した「真っ赤なLip」は、アニメ「名探偵コナン」のタイアップになるときに提出した候補曲の中で“いちばんWANDSっぽい”と言われたんですよ。でも、僕も上原も、“そうなの !?”って(笑)。まあ、振り返ってみれば1stアルバム『WANDS』なんかは割とファンキーだったし、あのときのイメージを持ってる人は「真っ赤なLip」をWANDSっぽいと言うのはわかるし、受け取り方はさまざまなですよね」

――そういうニュートラルな立ち位置というか、おふたりのスタンスが第5期のストロングポイントかもしれませんね。

柴崎「そうですね。90年代の活動していた頃、プロデューサーはコンセプトがあって作っていたと思うんですけど、僕らメンバー自身は別に、こういうものをやらなきゃって意識で制作していたわけではないし、特に自分たちで作る曲に関しては、ただやりたいことをやっていただけなので」

上原「アルバムによってかなり毛色が違いますもんね」

柴崎「そうなんだよね。意外と何でもやってたなっていうのがあるから、それと同じように、第5期は上原が加入して、メンバー構成も一新したので、このメンバーの個性を発揮できればいいかなっていう意識はありますね」

――前作『BURN THE SECRET』を「今のWANDSと過去のWANDSを繋ぐ接着剤のようなもの」と評していましたが、そういう意味で『Version 5.0』はおふたりはどう評価していますか?

上原「WANDSの新曲が詰まったアルバムって感じですね。前作当時は単純に新曲がなかったので」

柴崎「そうだね。パフォーマンスするにしても、新曲が少ないから必然的に過去曲が多くなってただけで」

上原「今回はある意味、WANDS第5期としての1stアルバムだと思ってます」

柴崎「『Version 5.0』というタイトルには、そういう気持ちも込められてるんですよ」

――9月から全国ツアーが始まります。どのようなステージにしたいですか?

柴崎「なにしろ、声を出せる状況でのライブは初めてなので、お客さんがどんな感じで声を出してくれるかもわからないし、僕たちもどんな感じで盛り上げていくのがいいのかっていろいろ考えています」

上原「単純にコール&レスポンスできたらいいなと思います。あとはやっぱり「SHOUT OUT!!」がどうなるんだろうっていう(笑)。今までにないタイプなので、まったく予想がつかないんですけど」

柴崎「そういう意味ではアルバムの新曲は全部楽しみだし、未知数だから僕たちも体当たりでやるしかないですね(笑)」

(おわり)

取材・文/片貝久美子

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