――日本武道館公演の感想を、改めて聞かせてください。

「ちょうど昨日も映像作品の編集を確認させていただいたんですけど、なんか不思議な感じといいうか。“ああ、このライヴを本当に自分がやったんだな”って。ずっと武道館のことを考え続けてきた1年間だったし、そのステージに立ったんだという記憶が間違いなくあるんですけど、実感がまだないんですよね。覚えてはいるんですよ。最高に幸せな瞬間でした。人生で一番幸せだったんじゃないかって思うくらい。でもまだふわっとしています(笑)」

――OOJAさんにとって武道館は、どんな場所だったのでしょうか?

「デビューした頃から、武道館と『紅白』が大きな目標でした。世代もあると思うし、今の10代の子はもしかしたらピンとこないかもしれないけど、私は“目標です”ってずっと言っていました。なんでしょうね、アリーナっていっぱいあるんですけど、武道館って場所は特別で…」

――僕はOOJAさんよりさらに上の世代ですし、個人的には武道館は別物という感覚があります。

「ですよね(笑)。ライヴの聖地というようなイメージがあって、“いつかあそこでやりたい”とずっと思っていました。それが10周年のタイミングで実現して、ステージに立ってみて、やっぱり特別な場所だと感じました。とにかく楽しかったし、幸せでした。だから、あっという間だったんですよ。気づいたら“もうこの曲歌ってる”みたいな感じで、転換で着替えにいくたびに“ああ終わっちゃう、終わっちゃう”って。もう1回転くらいできそうでした(笑)。10年かかったこともそうですし、関係者の皆さんやファンの皆さんにとっても、待ちに待った武道館だったんだなっていうこともステージで実感したんですよね。もう、一体感がすごくて。これまで以上に、みんなで成し得たライヴだったと思います」

――オープニングでは、その一体感に感極まっていたんですね。

「出ていくまでは、緊張も何もなかったんです。あんまり緊張しないタイプなので、いつものライヴと同じように出ていって幕の前に立って、その時にちらっと2階席が見えたんですよ。“めっちゃ入ってる!”って思いました(笑)。コロナというのもあるし、やっぱり一番の不安は集客だったので、いっぱいになっているのが見えた時に、まずぐっときたんですね。それで幕が開いてたくさんのお客さんを目の前にした時に、10年間のことがいろいろ浮かんできて……。普段は自分で泣かないって決めているんですけど、ちょっと我慢できなくなってしまいました。アカペラの演出だから、どうしようかと思ったけど、どうにもできなくて」

――泣かないと決めていることを知っているファンも、ぐっときたんじゃないかと思います。

「そうなんです。みんな声は出せないから、大きな拍手で応援してくれて、それでよけいに泣けてきました。何人か来てくださった方とお会いした時も、皆さん“あれで引き込まれた”とおっしゃっていて。あそこで想いが伝わったというか、今回の武道館で10年分の私をすべてお届けしたいと考えていたことを、わかっていただけたのかもしれませんね。10周年タイミングでチャレンジしなくて、いつするんだと思っていたので」

――ゆかりのあるゲストがステージ上で祝福してくれるのも、感慨深いものですか?

「そうですね。たくさんご一緒させていただい方の中から、今回は4組の方に出ていただいたんですけど、ああやって一堂に会してくださることなんかないですから、やっぱり特別でした。観ている方にも、“ああそうだったよね”って振り返っていただけたんじゃないかと思います」

――AK-69さんとも、以前から親交が深かったようですね。

「そうなんですよ。デビュー前、クラブで歌っていたので。AKさんは当時のクラブ・シーンでもずば抜けた人気で、常にいろんなチャレンジをしていました。そんな人は周りにいませんでした。インディーズでガイシホールを埋めちゃうとか、“Zepp1日の公演でそんなセットを組むんですか!?”っていうようなライヴをやるとか。たぶん、メジャーでも“そんな人はいないですよ!”っていう。不可能にチャレンジして可能にしてしまう方なので、すごく刺激をもらっていました。仲良くはさせていただいていましたけど、そんなにたくさん話したことはなかったし、心の中で“いつか一緒に”って思っていました。その気持ちがなかったら、今の自分はいなかったと思うくらいです。そうやって名古屋のクラブで一緒にやっていた人と、武道館のステージに立てたっていうのは、やっぱり感慨深いですね」

――OOJAさんのことを“名古屋の誇り”と言っていましたね。

「そうなんですよ、そうなんです。あれは嬉しかったですね。そのうえ、10周年タイミングで共演が実現したあの曲(「I Remember You feat. AK-69」)を、初めて一緒に歌えたので」

――デビューからの10年を振り返っての率直な感想も、聞かせてください。

「それもまた、不思議な感じなんです(笑)。本当にこの自分が“10年やってきたんだ〜”って。紆余曲折というか、トライ&エラーじゃないけど、いろいろ試しながらのチャレンジの10年でしたからね。自分に何が合っているのかとか、何が正しいのかとかを探ってきた10年間でした。とてもいい経験になったし、これから強みになっていくと思っています。武道館という大きな目標を達成できたことで、自信にもなったし、何かにチャレンジすることの大切さを知ることができました」

――悩んだり迷ったりしたことも、あったのでしょうか?

「そうですね。歌うこと自体に対しては、悩みも迷いもないんですけど、うまくいかなかった時もありましたから。武道館でも話しましたけど、「Be…」という曲で結果を出せたのに、自分が未熟だったために後に繋げられなかったんですよね。私の中では、繋がっていないんです。イヴェントとかに出たときに、お客さんがパラパラの時も全然あったし。それはそれで、自分の実力や立ち位置を思い知らされた、いい機会だったんですけど、やっぱりへこみますよね。そういう経験も大事なことがわかったので、必要な10年だったんだと思います。強くなれましたから。武道館にしても、昔の自分だったら怖じ気づいてトライしていなかったと思います。と言っても1年間、そわそわ、ヒヤヒヤしっぱなしでしたけど(笑)」

――デビュー当時、自身の10年後をどうイメージしていましたか?

「想像もできていなかったです。武道館と『紅白』という目標はありましたけど。こうやって10年、この世界でやらせてもらえているのも、すごくありがたいと思っています。デビューした頃は、1年先もわからないような状況でしたから。特に私は、29歳の年のデビューで遅かったので、デビュー前のところに戻ってしまうんじゃないかっていう危機感を、ずっと感じながら活動していました。それは今も変わらないんですけど」

――そうなんですか?

「ずっと販売員のバイトをしていたので、いまだにバイトのシフトに入る夢を見るんですよ。入館証をもらって、百貨店の裏口から入るところとか(笑)」

――それはまたリアルな夢ですね。

「本当にリアルな夢なんです(笑)。夢の中では、その前の月にも何日かシフトに入っているんですよ。“まだその分のお給料をもらっていないな”って考えていたり、すっごくリアルなんです。“バイトしているのがファンの方にバレたら、イヤだな”とか(笑)。そのぐらい、この世界にい続けるのは簡単なことではないって、常に感じながらやっていたんです。ある程度、大人になっていたので、冷静に見ているところもあったのかもしれないですね」

――オールタイム・ベスト『10th Anniversary Best〜私たちの主題歌〜』は、まさに記念碑ですね。

「そうですね。CDを聴かない時代になって、私もほとんどCDでは聴かないんですけど、それでもCDを求めてくださる方がいて。本当にファンの方に支えられています。武道館にしても、私事にしてくれていたんですよ。みんなハラハラしながら“OOJA、大丈夫?”って。だから、冒頭でつまった時のあの応援だったんだと思います」

――その武道館公演の模様が、U-NEXTにて独占配信されます。というわけで、ご本人から観どころをぜひお願いします。

「ゲストの皆さんとの共演も、もちろんなんですけど、素晴らしいバンド・メンバーの演奏や、照明などの凝った演出にもご注目いただきたいですね。Ms.OOJAとしても今までで一番のパフォーマンスができましたし、私の10年間を知っていただくことができると思うので、観ていただけると嬉しいです。実際に、映像も音もとてもいいので、観ごたえも聴きごたえもあると思います。すべてが最高で、夢のような時間でした。パワーが宿った感覚もありました。それが伝わるといいですね」

(おわり)

取材・文/鈴木宏和
Live Photo by Kayo Sekiguchi

U-NEXT10th Anniversary Live“はじまりの時” in 日本武道館

【配信期間】
ライブ配信:2022年4月22日(金) 21:00~ライブ終了まで
アーカイブ配信:2022年4月23日(土) 12:00開始予定
【会場名】日本武道館

後日追加配信予定
【過去ライブ映像】『Ms.OOJA Barthday Live Tour 2021』※U-NEXT独占

【視聴可能デバイス】
・スマートフォン / タブレット(U-NEXTアプリ)
・パソコン(Google Chrome / Firefox /Microsoft Edge / Safari)
・テレビ(Android TV / Amazon FireTV / FireTV Stick / Chromecast / Chromecast with Google TV / U-NEXT TV / AirPlay)
※ライブ配信には1時間に最大約5.5GBの通信量を消費します。当日はWi-Fi環境での視聴を推奨します。

U-NEXT

Ms.OOJA『10th Anniversary Best 〜私たちの主題歌〜』

2022年216日(水)発売
通常盤(3CD)/UMCK-1708/104,500円(税込)
ユニバーサルミュージック

Ms.OOJA『10th Anniversary Best 〜私たちの主題歌〜』

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