目下、バンド史上初の対バンツアー「Layered Music」を開催中のflumpool。スガ シカオ、Saucy Dogsumikaとの競演を終え、後半戦は盟友・高橋優、レーベルの後輩・フレデリックとのおのおの2Daysが控えている。
その後半戦から、6月12日の高橋優とのTOKYO DOME CITY HALLの生配信がU-NEXTで決定している!

――まずこの対バンツアーを企画した理由を聞かせてください。

山村隆太「自分たち自身、対バンツアーってものをやったことなかったんです。去年、事務所を独立したこともそうですけど、今の状況をずっと続けてても何も変わらないなっていう停滞感をバンドとしても感じてましたし、世の中的にもコロナでしょうがないとは言え、どこかこう刺激が少ない毎日だと思うんです。そこで何か自分たちにとっても成長できるような刺激になるようなことができたらいいなということで、やったことのない大規模な対バンツアーというものをやりたいなと思いました」

――自分たちで対バン相手を決めることはflumpoolが今何をやろうとしてるのかという意思表示にもなると思います。

山村「イベントで他のバンドと同じ照明、同じお客さんという状況でやることは機会としては多かったんですけど、やっぱり自分たち主催で自分たちがホストとなって、相手も複数じゃなくて一対一でぶつかり合うっていうのは自分たちが好きな音楽をバーンって鳴らすだけでいいっていうイベントとはまた違う、来てくれたお客さんに対する責任感であったりとか、逃げ場のない覚悟であったりとか、そういったものはやっぱり対バンの方が強くて。あとは絶対負けたくないっていう気持ちも自分たちのイベントだからこそ芽生える思いっていうのが多いですね」

――出演者として迎えられるのと逆の立場ですからね。

山村「そうですね。やってみてですけど、主催することで得るものが多いですね。先にゲストバンドがやってくれて、その後に自分たちがやるんで。そういう意味では前のミュージシャンが本当にいいライブをすればすごくプレッシャーだし、その分その人たちを受け入れている自分たちとして、お客さんから見るとやっぱり負けちゃだめな感じというかね(笑)。ま、勝ち負けじゃないと思うんですけど、やっぱり後のバンドに対する期待感っていうのは 普通のイベントよりは強いと思うんで。そういったものに打ちのめされそうになるというか、震えそうになるような、そういう喜びみたいなのもありますよね」

――対バンの面々が幅広くて。スガ シカオさん、Saucy Dog、sumika、フレデリック、高橋優さんという面々になった経緯はありますか?

山村「基本的にはバンドメンバーとゲストの方が仲が良いっていうのが大前提としてあって。音楽的にも尊敬しているっていうのもありますね。そこを基準に選ばせてもらいました」

――阪井さんどうですか?ここまでの三本の手応えは。

阪井一生「だいぶ刺激的ですね(笑)。ワンマンライブでは出せない熱量というパワーというのもあるし、僕たちの前にやってもらってっていうのもあるし。とんでもないライブしてくるんで、ああもう“やりに来てんのね”っていうのがわかるぐらいすごいライブだったんで。まあそれをメンバーが見て、ビビリながらも覚悟を決めてやるライブっていうのはやりながら自分で感じるぐらい、“あ、これワンマンライブで出せないパワーだな”みたいなところはあると思います」

――音楽的には違うオリジナリティを持っている面々で。そういう部分ではお客さんにも異なる影響を提供できるという側面も?

山村「このイベントの趣旨にもなるんですけど、同じ価値観であったり似た者同士の枠の中だけで日頃は暮らしていると思いますし、仲の良い友達であったりとか家族であったりとか、似た者が寄り添って、生活は作られていくと思うんです。でも一方で全く違った価値観や考え方がすごく刺激になるなとは思ってて。今のコロナの中で、人と人っていう、そもそも違う価値観を持ってる人たちがぶつかり合うとか、全く知らない人と触れ合うとか繋がることが世の中としてすごく怖いものというかであったり、避けて通るべきものみたいなこの2年間だったと思うんですよ。あとは遠い国では相手の価値観が許せなくて戦争が起こってしまったりして、価値観が違うことに怖いイメージを持ってしまうんですけど、そのイメージを音楽は少し変えることができるんじゃないかなと思ってて。攻撃や論破ではなく、お互いを許し合える空間が今すごく少ないんじゃないかなと思うんで、このイベント全体で、違ったものを受け入れたり、受け入れる楽しさをこの対バンでは作っていきたいなっていうのは感じてたんで。お客さんにはまあそういう違ったもの、普段の日常ではなかなかない違ったものっていうものをしっかり受け取ることによって、新たな学びや刺激を得てくれたらいいなと思います」

――今回のU-NEXTで配信されるライブは高橋優さんとのライブ配信で。flumpoolは付き合いが長いと思うんですが、改めてこの二組の出会いや関係を聞かせていただけますか。

山村「優くんとは2008年の2月ぐらいに、音楽業界内のコンベンションライブで出会って。お互いライバルのような出会い方をして、そこから同じ事務所に所属しデビューをして、いい時もあれば悪い時もあり、相談しあえる戦友のような感じもしますし、一言では言い表せない仲ですね」

――ちなみに高橋さんの武道館2Daysは見られたりしました?

山村「メンバーみんなで行きましたね。初日(「黒橋優の日」)やったっけな?」

阪井「やっぱすごいなと思いましたね。僕らは四人でやってるんで、こう一人でやるってなると想像するだけで怖いんで。あれを武道館っていうステージのセンターで2時間歌い切るっていうのはとんでもないなって思いました、改めて」

――高橋さんとの記憶は沢山あると思うんですが、特に山村さんは活動休止中に高橋さんとカラオケに行ったときのエピソードを拝見したことがありまして。

山村「そうですね。優くんは一人でやってるからだと思うんですけども、やっぱりいろんなことを背負ってきた分、すごく思いやりや人への気遣いを誰よりもしている人だなと思うんです。僕が声が出なくて活動休止していた頃、優くんが心配して声をかけてくれて、“じゃあご飯行こうよ”ってなって。なんとなくご飯を食べてお酒も入って、で、“もう一軒行くか”ってなったところがカラオケバーみたいなところで。それまでは声に関しての質問とかは全然話題の中になかったんですけど、優くんがカラオケにflumpoolの曲を入れたので僕が“まあじゃあしょうがない、歌おうか”ってなって歌ったんですよ。そしたら“隆ちゃん、声出るじゃん!”って、泣いてくれた優くんがいて。それまですごく心配してくれたんだなと、言葉にはせずとも人一倍気を遣う優くんならではの涙というか、そういうものを感じた時に、やっぱり本当に心の優しい人の痛みが分かるミュージシャンだなと思いましたね」

――ところで高橋さんはどんなセットリストでくるかは当日までわからない状態ですか?

山村「そうですね(笑)、分かんないですね。この間ラジオで言ってましたけど、お互い本気でぶつかるじゃないですけども、本気でそのファンを取り合うって言うと言葉悪いんですけど、それぐらい路上ライブをお互いしてきた身としてはどっちが路上ライブやってる時にお客さんが集まるかっていうところは経験してきているので。いい音楽には人がたくさん集まるし、そうじゃないものには人が集まらないっていうシビアな世界でやってきた優くんと僕らなんで。そういう意味でのシビアさも知ってるし、そこから生まれるお互いの熱量、競い合うからこそ生まれる音楽の熱量っていうのは知ってるんで。そこは仲は良いけども、馴れ合いにならず、容赦なくぶつかり合うライブになると思います」

――阪井さんはいかがですか。高橋さんとの対バンへの期待や脅威だなと思うところとか?

阪井「どうですかね。やっぱでも他のゲストの方とやっぱちょっと違うというか。長くデビュー前から知ってるし、仲もいいっていうとこもあるんで、その分やっぱライバルとしてやってきたんで、多分一番バッチバチになるんちゃうかな?っていう感じはしますね。だからそのライブ以降、関係崩れるかもしれないですね(笑)」

山村「ははは。ここでね」

――両者の関係値を知ってて観に来られる方も多いと思うので、ライブはもちろん、どんな話も楽しめると思うんです。

山村「確かにそうですね。そういう意味では対バンの中でも一番濃い時間を過ごしてきたと思いますし、優くんとは。お互いいろんな時期があって、ミュージシャンとしても色々あったんですけども、そういう歴史をお互いのファンが知ってるっていうか、それを支えてきてくれたファンなんで。そういったお互いのファンのリスペクトみたいなのも、近くにいた存在だからこそ分かるファン同士のリスペクトとかもなんかこの対バンの熱を上げるものとして大きな要素になるんじゃないかなと思います」

――会場に行けない方は生配信見られると思うんですけれど、配信を見る人にメッセージやこんな風にしてみたら楽しいよというアドバイスはありますか?

山村「対バンっていうのは毎年やってるわけじゃなくて、本当に今回が14年近くのデビューの中で初めての大規模な対バンツアーですし、今後もこれが良かったから来年再来年やるかっていうとそうじゃなくて。やっぱりこう優くんと出来るライブ、ぶつかるライブっていうのはそう何度もやって毎度いいものじゃなくて、初めてぶつかるからこそそこでしか見れない火花というか、スペシャルな瞬間だと思います。配信を見る方にもその瞬間を一緒に共有してもらうっていうのは今後の高橋優ってミュージシャンにとっても、flumpoolっていうミュージシャンにとっても大事な経験だと思いますので、なかなか生には敵わないかもしれないですけれども、同じ瞬間を共有できるという意味ではぜひU-NEXTで見てほしいなと思います」

――阪井さんはいかがですか?

阪井「せっかく高橋優とflumpoolでやるってことなんで、まあ何か面白いことをしたいなあっていう話は優くんとも話してたんで、多分なかなか見えないちょっとレアなところが見れるんじゃないかなと思うんで。ぜひ配信でも見てほしいですね」

――配信ならではのカメラワークだったり、プレーヤーの手元が見えたり表情が見えたりするのも配信のありがたいところだなと思うのですが。

山村「確かにそういうなかなか近づけない角度での絵であったりたり、表情であったりとか、そういったものは僕たちとしてもワンマンライブでは見れない悔しい表情でやってるときもあるだろうし、嫉妬してる顔も見れるだろうし(笑)。その分熱が上がっているというか、意地でやってるところもあると思うんで、この対バンでしか見れない表情とかそういうものも配信では観れると思うんで、そこはぜひ楽しみにしててほしいですね」

――見ごたえがありそうです。

山村「先日、三公演終わった後に10年近く一緒にやってくれている長年のスタッフさんたちが“こんなに燃えてるflumpool見たことない”って口々に言ってくれたんで、それぐらい自分たちとしても新しいflumpoolというか、生まれ変わってきている部分を感じるんで、そこに関してはぜひ目撃してほしいなあと思います」

――セミファイナルとファイナルは関西でフレデリックとの対バンがあり、これもまたすごい熱量になりそうですね。

山村「そうですね。フレデリックは一応後輩という形にはなるんですけど、僕らとしては全然そんなふうには思ってなくて、常に闘志を陰で燃やしているバンドだと思うし。関西出身いうのは同じですけども、やっぱりやってる音楽っていうのは違くて、ダンスミュージックっていうすごく牽引力や人を巻き込む力があって、フェスでは第一線をいってるバンドなんで、勢いであったりとかそういうバンドの底力みたいな意味では相手としてビビりまくってます(笑)」

――ここからはflumpoolの今後の活動についてお伺いします。3月にコンセプトアルバムの『A Spring Breath』がリリースされ、アコースティックな音像で歌の良さが際立つような印象があったんですが、あのアルバムを作ったことによって今後バンドにどんな影響が出てきそうですか?

阪井「独立っていうタイミングもあったんで、バンドの始まりががもともと路上ライブをやったりアコースティックっていうのもあったし、一回、アレンジを置き換えて何か面白い事してみようっていうところから始まって。ビルボードでのライブがあって、アルバム制作をしてという流れがあったんですね。ああいうアコースティック、今の音楽とはちょっと真逆というか、生の温かさ、生楽器だけで構成されているようなアレンジをするのも久しぶりだったので、改めて四人だけでグルーヴを作ることを再確認できた部分もあったんです。なのでこの四人の強みっていうのは今後も出していきたいなっていうのは感じた部分ですね」

――阪井さんは現状すでに新曲は作り始めてるんですか?

阪井「ライブをしたり、人のライブを見るとすごく制作意欲も起きますし、前回はアコースティックアルバムだっていうのもあるので、めちゃくちゃ反動がすごいですね、今(笑)。最近作る曲は尖った曲しか作ってないかもしれないです。というぐらい、この対バンがあることで意欲が湧いてるんで、ここからまた制作に入ってくる感じだと思います」

――じゃあ次回作は相当な振り幅が期待できるかも(笑)。楽しみにしています。本日はありがとうございました!

(おわり)

取材・文/石角友香
Live写真/関口佳代

U-NEXT >>

flumpool Special 対バン Tour 2022「Layered Music」

>>>配信ライブの詳細はこちら

【販売期間】2022年5月25日(水)18:00~7月2日(土)20:00まで
【視聴価格】3,500円(税込)
【配信期間】
配信ライブ:2022年6月12日(日)15:30~ライブ終了まで
見逃し配信:準備完了次第~2022年7月2日23:59まで
【会場名】TOKYO DOME CITY HALL

【視聴可能デバイス】
・スマートフォン / タブレット(U-NEXTアプリ)
・パソコン(Google Chrome / Firefox / Microsoft Edge / Safari)
・テレビ(Android TV / Amazon FireTV / FireTV Stick / Chromecast / Chromecast with Google TV / U-NEXT TV / AirPlay)
※ライブ配信には1時間に最大約5.5GBの通信量を消費します。当日はWi-Fi環境での視聴を推奨します。

Release Informationflumpool『A Spring Breath』

2022年316(水)発売
AZZS-125/5,500円(税込)
A-Sketch

Live Informationflumpool Special 対バン Tour 2022「Layered Music」

6月11日(土) 東京都 TOKYO DOME CITY HALL
 OPEN 17:00 / START 18:00
 出演:flumpool / 高橋優
6月12日(日) 東京都 TOKYO DOME CITY HALL
 OPEN 15:00 / START 16:00
 出演:flumpool / 高橋優
6月18日(土) 大阪府 オリックス劇場
 OPEN 17:00 / START 18:00
 出演:flumpool / フレデリック
6月19日(日) 大阪府 オリックス劇場
 OPEN 15:00 / START 16:00
 出演:flumpool / フレデリック

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