――デビューから1年経った現在の心境から聞かせてください。
野島樺乃「et-アンド-はコロナ禍の中で結成したグループなので、初めてのライブも声援がなかったり、MC中の笑い声も本当に小さかったりして。私は以前、SKE48として活動していたので、声援があるライブの楽しさも経験していたので、やっぱり寂しいし、ちょっと物足りない気持ちはあったんですけど、そんな中でも自分たちができることを一生懸命にやってきて。常にコミュニケーションを大事にしてるグループだなって感じますし、メンバー間だけじゃなく、チーム全体で本当に仲が良いのが、最近はファンの方々にもライブを通して伝わってきて。デビューして1年ですけど、確実に自分たちの良さをアピールできてきているなって思います」
山崎カノン「私は元々、ダンスボーカルグループで活動してたんですけど、et-アンド-としてデビューして、やっぱりお客さんの前でパフォーマンスすることがすごく楽しいなって改めて感じています。歌が大好きな4人が集まって、みんなの前でパフォーマンスできるのはすごく楽しいし、もっともっといろんな方に知っていただきたいなって思います」
モラレスきあら「私は以前にグループ活動をしていなかったので、et-アンド-が初めてなんですけど、歌やダンスのスキルも徐々に上がっていってるかなと思うし、何よりもこの1年で、メンバーの仲がすごく深まったなって感じてます。それは、グループにとって一番大事なことだと思うし、これからもどんどん仲を深めていきたいです」
栗本優音「最初はメンバーの中の最年少ということもあって、なかなか自分を出せなかったし、パフォーマンス面でもガッチガチで、自分の中の最大限の表現ができなかったんですけど、7月にデビュー1周年を迎えて、前よりもみんなに相談できるようになって。リハで相談したことで得られた情報をライブで活かせるようにもなったので、すごく成長できたんじゃないかなって思います」
――2022年に入って、春夏秋冬連続配信リリースをスタートさせましたが、第3弾の夏ソング「夏海月」が『週間USEN HIT J-POPランキング』、『週間 USEN HIT J-POP/ 洋楽ランキング』で5位、『週間USEN HIT SNSランキング』では4位を獲得しました。
野島「昨年の10月にリリースした「Newton」もUSENさんでたくさん流していただいて。本当にそのおかげで、自分たちのオフィシャルYouTubeに来て、ミュージックビデオを見てくださった方が本当に多くて。「夏海月」のコメント欄にも“USENで流れててハマちゃった”っていう声がありましたし、すごくありがたくて。やっぱり、街中で耳にする音楽って大事だなと思ったし、それをきっかけにミュージックビデオにたどり着いてくれる方がいることが嬉しかったです」
――曲だけ知ってるという方には、どんなグループだと言ったらいいですか?
モラレス「私は“4人全員がちゃんと歌えるグループだな”って思います。そのひと言ですね」
栗本「同世代のZ世代の子たちの心が響くような楽曲がたくさんあるグループです」
山崎「4人それぞれの声質や歌い方が全然違うので、1曲を通して聴いてて飽きないし、面白い楽曲がたくさんあるグループだと思います」
野島「全員2000年代生まれで、歌がうまくて、かわいい女の子たちのグループです(笑)」
――現時点では、“自分たちらしさ”っていうのはなんだと思いますか?
野島「今、ノン(山崎カノン)が言ったように、一人一人の個性が強くて、バラバラだっていうことですね。声質が違うのは当たり前だと思うんですけど、ボーカルグループの場合、誰か一人の声をメインにして、色を1つにまとめようとしがちだと思うんですけど、私達は、1曲の中にラップもあれば、セリフもあって、ハイトーンボイスやウィスパーボイスもある。いろんな歌い方の曲もありますけど、ストレートに感情を乗せて、歌唱力をアピールした曲もあったりします。ジャンルも常にバラードを歌ってるグループというわけではないし、バラエティ豊かな曲を歌っているので、どんな方でも、et-アンド-の曲で自分の好きな曲が見つかると思うし、誰もが入りやすい、親しみやすいグループなのかなと思います」
――メンバーの個性がバラバラとありましたが、皆さん、どんなメンバーかを紹介してもらっていいですか?
モラレス「はい!まず、樺乃はリーダーということもあって、しっかりしてます。見た目も21歳には見えないくらい大人っぽくて」
――「夏海月」のMVを見ると、モラレスさんと同い年とは思えないくらい大人っぽかったです。
野島「いつも“28歳?”とか言われるんですよね…。ま、言われ慣れてるんで、大丈夫です(笑)」
モラレス「(笑)見た目は大人っぽいんですけど、すごく抜けてるところもあって。普通のかわいい女の子って感じです」
野島「ふふふ。抜けてる自覚はないですけど、私、マイペースなんですよね。たまにふわふわしてしまって。絶対にあいづちは打つんですけど、“今、聞いてた?”って言われると、“なんだっけ?”ってなっちゃうこともあって。でも、それは、1年以上一緒にいて、スッゴイ心を開いてる証拠でもあるんですよ。そういうことがあっても、“もう!”みたいな感じで、またワイワイするので、このグループ、みんな優しくてよかったです(笑)」
――そんな野島さんから見て、最年少メンバーの栗本さんは?
野島「優音ちゃんは最年少らしく、妹的存在ですね。私はまだ21歳で、そんなにヨシヨシする年齢差ではないですけど、私の性格もあるのか、すっごく母性本能をくすぐる系なんですよ。例えば、ライブのケータリングでお菓子が置いてあると、“これ、食べてもいい?”って聞いてくれるんですね。そういうのがとっても可愛くて。あと、最初に自分で言ってたように、結成当初は、最年少だっていうことで、気を遣って、何も言えない感じだったんですね。でも、最近は、だんだん、なんでも言えるようになってきて。その感じもすごく可愛いし、これからが楽しみです」
栗本「はい、今年に入ってからはなんでも聞けるようになりましたね」
――最年少の栗本さんから最年長の山崎さんの紹介をお願いします。
栗本「最年長なのに、最年長らしくない可愛らしいところがあります。例えば、メンバーの中で一番笑いのツボが浅いので、1回、ツボに入ると、ずっと同じことで笑ってたりするし、東京から大阪へ向かう車の中でも、一切寝ないで、ずっと歌ってたりするんですよ。あと、恋愛の妄想が好きで、それもずーっとしゃべってますね。ちょっと変わってる部分もあるんですけど、ライブのパフォーマンス面では一番クールでカッコいい。そんなギャップのあるメンバーだと思います」
山崎「ちょっと恥ずかしいですね(笑)、そんなこと言われたことないので」
――そうなんですね。では、山崎さんにはモラレスさんを。
山崎「モラレスきあらちゃんは、et-アンド-のムードメーカーです。モラがいたら、その場がすごい明るくなるし、ワイワイする。でも、“きあらはこう思ってる”っていう自分の意見を持っていて、すごくしっかりしてるなっていう一面もありますね」
――ありがとうございます。そして、春夏秋冬連続リリースの第3弾「宵宵」がリリースされました。メンバーが作詞にも参加してますが、どのように制作を進めていったんですか?
野島「まず、音源をいただくのと同時に、プロデューサーの菊池さんの方から、“今回は病み曲で”ってテーマをいただいて。それをもとに、メンバー各々1人1人が1曲分の歌詞を完成させるんです。作詞してるときはあえて4人で話し合うことはしないんですけど、全員が書いてきたものを提出して、菊池さんといつも作詞してくださってるケリーさんが1曲にまとめるっていう形でやってますね」
――それぞれは歌詞にどんな思いを込めましたか?
山崎「“病み曲”と聞いたので、私は形から入ろうと思って、部屋を真っ暗にして、携帯の明かりだけで黙々と書きました。私が書いたのは一番最初の3行。“こっちもうまくいってるよ、私は全然大丈夫だよ”って強がりながらも、“本当は嘘だよ”って、ちょっと弱い自分がいる。そんな寂しさを誰にも話さずに一人で抱え込んでる姿を書いています。もう全部、自分の妄想なんですけど、“自分がこうなったら嫌だな。自分がこのシチュエーションになったらつらいだろうな”って思いながら書いていたら、ちゃんと病みましたね(笑)」
モラレス「私も病み曲=失恋というイメージだったので、カノンと同じように夜に部屋を暗くして、恋愛で病むっていうことを考えて。ひと通り伝えたいことを書いて、それをうまく並べるっていうのをしました。私が書いたパートは<更新されたStories/ふたりの世界/なんでそんなに幸せなの?>です。恋愛はふたりだけの世界になるので、<ふたりの世界>という言葉は入れたいなって思ってました」
栗本「私は今、高校生なんですけど、友達と話してるとすぐに“今日、病んだわ”って言うんですよ。私は恋愛相談に乗る役、聞く役になることが多いので、友達から聞いた話を参考にしつつ、私が一番よく見ているTikTokの動画の中から得られるものもあって。例えば、恋愛で悩んでいる方がエモめの曲を流して、文章を書く欄に自分の気持ちを書いたり、そのコメント欄には、共感した方たちの感想がたくさんあったりするんですね。そういうのを基にしつつ、<Congratulation/苦しい苦しいな/祝福すらできなくてさ>の3行を書いて。自分の中で想像したのは、元彼にはもう新しい彼女ができてて、でも、おめでとうって言えないっていう…」
――言わないですよね。言える人いるのかな?
栗本「あははは。そういう苦しい思いを自分の中で想像しながら書きました」
――別れた相手に未練を残してる失恋ソングになってますね。
野島「私は元々は失恋ソングを書くつもりじゃなくて…。同世代の子たちのSNSへの執着心や承認欲求みたいなものを描こうと思ってて。それこそ、すぐに“病んだ”っていう感情になるのはどうしてなんだろう?って考えてて。自分が書いたのは<今日も熱中ゲーム中 毎日ネット厨嫉妬中/現実逃避クセになってる>というところなんですけど、Z世代の子たちは常に携帯を触ってるじゃないですか。ちょっと嫌なことがあったら、すぐにつぶやいちゃったり、発散したりする。それに対して、自分が素直に思ったこと…何でもかんでも現実逃避しがちで嫌だなって思ったことを書いたら、失恋ソングの中でもちょっといいスパイスになっているのかなって感じて。結果的に失恋ソングとして完成した歌詞を見て、自分の書いたワードがこういうふうにいきるんだっていうのが面白いなって感じました」
栗本「うんうん。今の高校生は彼氏がスマホゲームが好きで、ゲームをしまくってて、それに嫉妬しちゃう彼女もすごく多いんですよ。そういう話をよく聞くので、恋愛としても共感する人が多いんじゃないかと思います」
――サビでは<どうして どうして どうして>を何度も繰り返してますよね。
野島「誰もが恋愛をしてて“どうして?”って思うことがすごくたくさんあると思うんですよね。しかも、この<どうして>っていう4文字にはいろんな感情が込められてて、1曲の中に何回も出てくるんですけど、全部が同じ意味には聴こえないんですね。受け取る側次第ですけど、その前の歌詞を踏まえて聞くと、<どうして>に込められた感情や意味の違いが伝わるんじゃないかなって思います」
――初の失恋ソングのレコーディングにはどんなアプローチで臨みましたか?
野島「それぞれ、本当に違ってて。私のパートは<その無邪気さが大嫌いなの>とか、<「世界は案外綺麗だよ」ってね>とか、相手側に対する感情や、相手が言ってるワードなんです。何も気にせずにヘラヘラして笑ってる感じが、女の子からしたらすごく気に入らない、みたいな。そういう感情は私も“すごく共感しやすいな”と思ったので、声に出して読むのと同じぐらいのトーンと感情の込め方で歌って。耳で聞いても、すごくわかりやすく感情を乗せてるかなと思います」
山崎「私は頭の3行を歌ってるんですけど、メロディーだけじゃなくて、バックでかすかにつぶやいてる、ボソボソ言ってる言葉も重ねてて。ここはもう独り言というか、自分に言い聞かせてるという感じを思いながら言ってました」
モラレス「私のパートはすごくキーが低くて初めて聞いたときは不安だったんです。普段はラップ調が多いので、バラードのように伸ばす歌い方を最近してなくて。“できるのかな?どうやって歌ってたかな?” と思っていたんですけど、何回か歌ってみて、納得いくレコーディングができました」
栗本「私はレコーディングの時に“ロボットみたいに感情を無にして歌ってほしい”っていうディレクションをしていただいて。一番難しかったのは、“ロボットっぽく感情を無にして歌うだけでは、聞く側に伝わらないな、響かないな”と思って。“ロボット感を出しつつも、どうやって伝えていこうか?”っていうのは、自分の中で考えたし、悩みました。声のトーンだけでも変わってくると思うので、結構、試行錯誤しながらレコーディングしたのを覚えてます」
――聴き手にはどう届けたいですか?
モラレス「Z世代の同世代の女の子たちには、サビも韻を踏んでて聞きやすいと思うんですよね。失恋ソングだけど、めちゃくちゃ暗いっていうこともないし、ビートも入ってるので、聞きやすいなって思ってもらえたら嬉しいです」
栗本「私は普段から失恋ソングをよく聞くので、et-アンド-で失恋ソングをリリース出来るのが嬉しいし、Z世代の子たちにはこの歌詞に注目していただきたいです。少しでも共感してもらえたらいいなって思います」
山崎「2人が言ったように同年代の子たちに、“わかるわかる”って共感してもらえる曲であったらいいなって思いますし、“秋の失恋ソングと言ったら「宵宵」だよね”って言ってもらえるように、私達も頑張っていきたいなって思います」
野島「自分たちが作詞にも参加していますし、et-アンド-初の失恋ソングで、et-アンド-初の横型MVで、デビュー1周年を迎えてリリースする配信シングルにもなってて。チーム的にも熱量を込めて、ファンの方々に自分たちの新しい一面を見せることができる曲だと思っています。ずっと応援してくださってるファンの方々には、“こんな一面もあるんだ”っていうふうに新鮮に受け取ってもらえたら嬉しいですし、「情報ライブ ミヤネ屋」のエンディングテーマ曲にもなってるので、これをきっかけに、et-アンド-っていうグループの名前だけでも知ってくださる方が増えたらいいなと思います」
――今、お話にあったMVは初の横型なんですね。
野島「前作の「夏海月」は自分たちのスマホで、江ノ島に撮りに行って。Vlogみたいな感じで撮ったんですけど、今回は対照的に、全員しっかり衣装を決めて、メイクも決めて、顔も表情も決めて。初めて演技っぽいMVだったので、最初は“演技できるかな?にらめるかな?”っていう不安もあったんですけど、完成した映像を見たら、すごくかっこよくて。自分たちでもお気に入りのミュージックビデオになってます」
モラレス「まるで映画のように完結する感じがすごく好きです。裏話としては、4人でカードゲームみたいなものをしてて。私はカノンのカードを抜く人だったんですけど、全然、カードを取らせてくれないんですよ。カノンをにらまないといけないのに、ちょっと笑っちゃって。監督さんから“切り替えていこうか!”っていうNGが出ました(笑)」
山崎「あははは。あれ、何もゲームはしてないんですよ。ただ、流れとして、カードを取って、机に置くっていうのをやってて。私の中で勝手に“このカードは引かないでね”っていう妄想をしていたら、ちゃんとそのカードを引くんですよね(笑)。だから、私も、“なんで引くんだよ!”っていう感情が乗っちゃって。結構、力が入っちゃって、カードが抜けなくて、笑っちゃって。一瞬、撮影が止まりましたね」
栗本「(笑)私は、ちゃんと演技するようなMVの撮影が初めてだったので、すごく難しかったんですけど、1人1人の表情を見て、自分の中で取り入れる部分もあったりして。撮影の途中からだんだん緊張も抜けてきて、頑張って、自分の表現の仕方が見つけられたので、結果的にいいものができて、すごく良かったなって思いますし、ぜひたくさんの人に見ていただきたいですね」
――あれは、ストーリーはあるんですか?誰かが勝ち抜けるんでしょうか?
野島「いえ、一番最後にハートのエースが水槽の中に入っていたと思うんですけど、誰もそのハートのエースを引けずに、諦めて全員その場を去るっていう」
栗本「もともと机の上に置いてあるカードにも、個々が持ってるカードにもハートのエースがなくて。愛を探してるんですけど、見つからないっていう」
――全員、恋愛のゲームに負けたってことですね。
山崎「はい。もう希望も何もありません(笑)」
モラレス「全員、失恋してます!」
(おわり)
取材・文/永堀アツオ
写真/野﨑 慧嗣
LIVE INFORMATION
et-アンド- treat tour 2022
2022年11月3日(木・祝) 東京 SPACE ODD 13:30開場 / 14:00開演
2022年11月3日(木・祝) 東京 SPACE ODD 17:30開場 / 18:00開演
専修大学 鳳祭
2022年11月5日(土) 神奈川 専修大学生田キャンパス 15:00出演
他、各地でのイベント出演決定
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