──収録曲 全7曲の作詞を青山さんが手掛けたMini Album『Roots』が完成しました。まずは、『Roots』というタイトルに込めた想いから教えてください。

「昨年10月に1st Album『解放』をリリースさせていただいて、全10曲の作詞をしたことで、改めて“音楽が好き!”と感じました。その後、11月にソロ名義の初ライブ(1st LIVE KAIHOU』)を開催して…ちょうどその時期に韓国アイドル、IVEさんにどハマりしていて。“初めて韓国アイドルにハマった”と思っていたんです。でも、よくよく考えると、小学生時代にKARAさんにハマって、新大久保のお店に行ってポスターを買ったりしていたことを思い出しました、そこでずっと忘れていた記憶が蘇ってきて、“だったら音楽で過去の人生をたどってみるのはどうかな?”、“過去の人生を今の私の楽曲に落とし込めると面白いんじゃないかな?”と思ったんです。そのアイデアが最初にあって、“だったら『Roots』というタイトルがいい”と思って」

──なるほど。『Roots』にはいろいろなスタイルの楽曲が収録されていますが、それぞれどの時期の青山さんのルーツがあぶり出されているのか、順を追って聞かせてください。まずは1曲目、先行リリースされている「夏の夢」に関してはいかがですか?

「「夏の夢」は私が高校生のときの話をもとにして書いています。当時バレーボール部だった頃の葛藤を綴っていて…。部活での葛藤をもとに書いていますが、仕事だったりいろんなことでの葛藤に当てはめられる楽曲になったと思っています」

──続いての「「ヴィクトリア〜勝利への扉〜」は、爽やかで疾走感ある『夏の扉」から一転、パワフルでエネルギッシュなナンバーになっています。

「これは、私が小中学生の頃にアニメにどハマりしていた時期がルーツになっています。とにかくアニソン的な楽曲を作りたかったし、歌いたい。そんな私の願望を形にしました」

──確かに、何かのアニメのOPテーマでも違和感がないというか…。

「サウンド的にはアニソンにフォーカスしつつ、歌詞ではファンの方を想っています。特に、2番の<もう、イエスマンはやめたんだ>からの一節は、ファンの方への応援ソングになるように…という想いで書きました。私のファンの方はやさしい方が多くて、仕事とかでめげそうになっていても、SNSで“めげそうになったけど、なぎちゃんの曲を聴いて励まされた”とか、報告してくれたりするんです。だったら、そういう人たちの背中が押せるような曲が作りたいと思って書きました。それぞれが“みんな、自分の物語の主人公なんだよ“って」

──3曲目は、「OAO」です。

「音楽的には、私が小学生の頃をイメージしました。「OAO」は“One And Only”を意味する英語圏のネイティブの方が使うスラングです。この曲では初めてコライト(複数人での共作)での作詞に挑戦させていただいたんですが、私のボキャブラリーだけでは生まれてこない表現もあって、新しい発見ができました。そういった面でも、挑戦させていただいた楽曲です」

──続く4曲目は、「モントレゾール」。フランス語で“私の宝物”を意味するタイトルで、三拍子のリズムも素敵な仕上がりです。

「私は幼少期からクラシックバレエを習ったいたんですが、そのときにスタジオでよく流れていた、クライスラーの「愛の喜び」をサンプリングした楽曲です。タイトルが「モントレゾール」=“私の宝物”ということで、過去の大切な思い出が詰まった楽曲にもなっています。歌詞は、今でも宝物ボックスにしまってある宝物目線です。“過去にはこんないい思い出があったよね、つらいことがあったら私のことを思い出してね、忘れないでね”っていう…」

──青山さんも、実際に宝物ボックスがあったりするんですか?

「あります! 習い始めて一番最初に履いたバレエシューズを保存していたり、そういうことって大事だと思います。そういう感情を忘れないためにも、「モントレゾール」を書きました」

──次の曲は、「時が止まればいいのに」です。

「歌詞を見ると純愛かな?と思うんですけど、MVを見るとちょっと怖さを感じたりするかも…曲を聴いてMVを見て完成する曲です。MVでは彼氏に監視されている女の子を表現していて、歌詞は共依存について書いたんですけど、もちろん私が体験したことではないです。」

──6曲目の「MISSION」は?

「これは、私が大学生のときのお話です。当時アカペラ・サークルに所属していて、ホーンの壮大なサウンドにハマっていたので、それを反映させました。アカペラ・サークルではボーカルのアレンジをすることもあったので、そのときにコーラス風に使っていたフレーズを取り入れたりもしています。歌詞の部分では、ミュージカルのチケット争奪戦でのファンと運営サイドの駆け引きを恋愛に落とし込みました(笑)。当時の私が実際にそうだったんですけど、ファンと運営の心理戦みたいな(笑)」

──「MISSION」の歌詞には、そんな背景があったんですね(笑)。

「ファン側からすると、そもそも人気でチケットが取れない…その上にチケットの値段も上がってしまって、“もうグッズが買えない!“って。運営サイド目線では、”ずっと来てくれていたのに急に来なくなったのはどうしてだろう?“とか(笑)。でも、この背景は曲を聴いても絶対にわからないです。このインタビューを読んだ人しか、絶対にわからない背景です(笑)」

──Mini Album『Roots』のラストは、ドラマティックなミディアムバラード「余韻」で締められます。

「「時が止まればいいのに」の主人公のその後…別れちゃった後の後悔が描ければいいなと思って書きました。なので、歌詞に同じワードが使われていたりします」

──自身のルーツを振り返りながら作った『Roots』が完成した今、どんなことを感じていますか?

1st Albumと今回のMini Albumを聴き比べることもあって、単純に“歌唱力が上がったな”と感じる部分はあります。そういう意味では、『Roots』は納得できる1枚になりました。ただ、初めてミュージカルでヒロインを務めさせていただいたり、いろんな経験をさせていただく中で、第一線で活躍されている方たちがどれほどの努力を重ねているかということも、間近で見て痛感しています。当たり前ですが、まだまだもっともっと本気に、真剣に歌に取り組まなければいけないと思いました」

──ソロアーティスト・デビューから1年あまり、歌うことが楽しくなってきていますか?

「はい。歌うときの声色もそうですし、トーンを変えて歌う楽しさというか、声優という肩書きを活かした歌い方をしてもいいというか…。声優だからこそ、いろんな歌い方をしても間違いではないですし、誰かになりきって歌うのも正解かな?とか、いろんな可能性を感じられていて楽しいです!」

──8月には、2nd LIVE TOUR『Roots』が大阪、名古屋、東京で予定されています。

「大阪と名古屋は、私が一人でステージに立つ形です。ライブハウスの距離感は初めてなんですが、ファンの方と近くで向かい合って“やりあうぞ!”という気持ちです(笑)。東京は、バンドをバックに豪華な感じにしたいと思っています。なので大阪と名古屋、東京とでは、まったく違う楽しみ方ができるライブになります!」

──Mini Album『Roots』のリード曲「夏の夢」にちなんで、青山さんの今年の“夏の夢”を教えてください。

「今年に限った話ではないんですけど、流しそうめんがしたいんですよー。ずっと言っているのに、なかなか実現しなくて…。今年の夏こそ、山梨とかの山の奥で流しそうめんがしたいです! もしできなかったら、できるまで言い続けます(笑)」

──最後に話が変わるんですが、ファンの方たちにも知られている青山さんのキャッチフレーズは、“彼女にしたい声優No.1”。1stデジタル写真集のタイトル『彼女にしたい声優No.1』に由来しますが、このキャッチフレーズがあることで心がけていることはあったりするんでしょうか?

「心がけていることは…特にないです(笑)。でも、このキャッチフレーズで気にかけて知ってくださった方もたくさんいて、“ありがたいな”って思っています。ただ、自分的には“別に私を彼女にしたからとて…“って感じなので(笑)、キャッチフレーズのイメージに合っているかどうかはわからないです!」

(おわり)

取材・文/大久保和則
写真/中村功

RELEASE INFORMATION

青山なぎさ『Roots』初回限定盤(CD+16Pブックレット+封入特典)

2025年86日(水)発売
LVNA-10055,800円(税込)

初回限定盤(CD+16Pブックレット+封入特典)

青山なぎさ『Roots』通常盤(CD+12Pブックレット)

2025年86日(水)発売
LVNA-10063,000円(税込)

通常盤(CD+12Pブックレット)

LIVE INFORMATION

青山なぎさ 2nd LIVE TOUR『Roots』

Act One in OSAKA
2025年8月24日(日) 大阪 GORILLA HALL OSAKA
Act Two in NAGOYA
2025年8月30日(土) 愛知 THE BOTTOM LINE
The Final Act in TOKYO
2025年10月13日(月・祝) 東京 Zepp DiverCity(TOKYO)

青山なぎさ 2nd LIVE TOUR『Roots』

青山なぎさ 関連リンク

一覧へ戻る