――30周年を迎えるDEENとオーケストラという、とても素敵なコンサート『DEEN Premium Symphonic Concert-WINGS TO THE FUTURE-』が開催されることが発表されましたが、いつごろからアイディアがあったのでしょうか?
池森秀一「今年の春にオファーを頂いたんです。もともと30周年ということで、“記念になるようなライブがしたいな”とは思っていたんですが、フルオーケストラという企画を頂き、“やったことがないからこそ特別な日になるんじゃないかな?”と思い、受けさせていただきました」
――となると、準備期間はあまりとれませんよね?
池森「そうですね。全体リハーサルは前日だけです(笑)。でも、僕たちも、オーケストラのみなさんも、お互いがプロなので、そこに不安はないですね」
山根公路「僕たちのバンドアレンジとオーケストラのアレンジを合わせるので今からすごく楽しみです」
池森「普段オーケストラに触れる機会が少ない方には“オーケストラとはこういうものだ”と聴いてもらえるチャンスでもあるのかなと思っています」
――選曲はどのように行ったのでしょうか?
山根「3月にベストアルバム『DEEN The Best DX ~Basic to Respect~』をリリースさせてもらったので、90年代に、皆さんがよく聴いてくれた曲にオーケストラが載っているイメージになると思います。このベストアルバムは、演奏も、レコーディングも、もともとの楽曲のイメージは壊さずに、楽器も声もすべて今の状態で出したので、そこも楽しんでもらえると嬉しいですね」
――今回、歌いなおしてみていかがでしたか?
池森「30年も歌い続けていると、どうしてもベテランのようになってきて、歌のクセが強めになるんです。だから、そのクセはとにかく出さないように気を付けましたね」
――そこは大事にしたところですか?
池森「はい。ファンの皆さんは、絶対に当時のままの曲がいいと思うんです。年齢や経験を重ねると、アーティスト側がどうしてもアレンジしてしまうこともあるんですが、やっぱり、みなさんの思い出に沿うことができることが一番だと思うんですよね。それに、スタッフとも、ちゃんと“クセが出てきています”など、言えるような関係性を作ってきたので、今回、ちゃんと抑えられたと思うんです。いまになって、30年前の歌を真っ直ぐに歌うことができたのは、すごく良かったですね」
――そこまでクセを出さないようにしているのはどうしてでしょうか?
池森「ヒットした曲って、みんなの生活に溶け込んでいるんです。だからこそ、そこに寄り添うことで、“あの頃に聴いたものがまた聴ける”という面白さがあるんですよね」
――そのヒット曲たちがオーケストラになるのはとても面白そうですね。
山根「オーケストラは、いろんな楽器があるからこそ、どんなものになるのか、すごく楽しみなんです。一度、アレンジしたものを聴かせていただいて、そこからさらに詰めていこうと思っています」
池森「いまは、配信やYouTubeなどでいろいろ見ることができますが、電気を通さない迫力は、まったく違うんです。イヤフォンでは絶対に感じることができない経験ができるので、絶対に生で見てもらいたいですね」
――それにしても、30年間、同じバンドを続けられることは本当にすごいことだと思うのですが、あらためて感じているDEENの楽曲の良さはどんなところにあると思いますか?
池森「共感、共有するというところですかね。そこがファンのみなさんとの絆に繋がっていると思うんです。もともと、共感できないものはあまりやらないようにしているんですよ。そこが、先ほど話した歌い方もより素直に、ストレートにというところに繋がってくるんです。それが保てなくなったら、マイクを置きます!(笑)」
山根「あはは。池森が歌うと、どんな曲もDEENになるんですよ。例えば、僕がいろんなジャンルの曲を作っても、すべてDEENにしてくれるので、楽しみながら作ることができるんですよね。そういうところも30年続けていられるところなのかな?って思うんです。それをずっとやり続けられているのは、すごくありがたいですね。周りを見回しても、いろんな理由で辞めてしまったり、続かない人もたくさんいる中で、スタッフにも恵まれて、たくさんのファンのみなさんの前でライブができることに感謝しています」
――“どんな曲を作っても”ということですが、できたときに驚いた曲はありましたか?
池森「結成当初はプロデューサーを立ててやっていたんですが、だんだんと成長して、セルフプロデュースをするようになったんです。正直、前作のアルバムと方向性の違う作品ができてしまうこともあるんですが、それでも最終的にDEENとして仕上げていくのがすごく楽しいんです。それに、作るまでに必ずコンセプトを決めるので、そこに大きなズレはあまりないですね」
――ちなみに、これだけ長く一緒にいるからこそわかる、お互いの面白さもあるのではないでしょうか。
山根「池森は、基本良いヤツなんですよ(笑)。もはや友達なので、その面白さは当たり前に感じているんですが、時折一方通行になって、周りが見えなくなる時があるんです。そのふり幅が面白いですね。趣味のトークも、盛り上がっちゃって止まらなくなっちゃうんですよ。そういう人間味あふれるところがいいですよね」
――止まらなくなる時はどうするんですか?
山根「そこは“ちょっと落ち着いて!”ってブレーキをかけています。それが僕の役割かもしれないと思いながら止めています(笑)」
池森「そう思っているのは自分だけかもしれないよね(笑)」
山根「あはは。一応、僕はツッコミだと思っているんですけど(笑)。あとは、私生活のことはあまり踏み込まず、いい距離感で、音楽のことでつながっているというイメージを持っていた方が、ずっと飽きがこないんです。DEENを結成したときから、そのスタンスなんですよ。当時、僕はもう26歳だったので、ある程度大人でしたし、素晴らしい音楽を作るために結成したDEENなので、それがすごく良かったのかなと思っています」
池森「まぁ、お互いがツッコミだと思っているし、お互いがボケなんですよね(笑)」
――あはは。その関係性も面白いですよね。このギャップが見られるMCも、このオーケストラのコンサートで楽しめるのかな?と思うのですが、今回だからこそやってみたいことはありますか?
池森「きっと、このコンサートはDEENのファンのみなさんだけでなく、各方面からお客さんが集まっていただけると思うので、この日にしか起きないうねりを感じてもらいたいですね。本当にライブ当日、ここでしか起きないものですから」
山根「40人のオーケストラの皆さんをDEENがひきつれることになりますからね。まだ想像ができないんですが、映像とは全く違う生の体験をしてもらいたいなと思っています」
――さて、30周年イヤーの真っ只中ですが、今後はどのようなことをしていきたいですか?
池森「僕たちは、あまり先を見て、何をしようと思いながらやったことってこれまで一度もないんです。アルバムを作って、コンサートをしてというルーティンを30年間やってきたので、今後もこのチームである限り、続けていきたいですね。そうすれば、また35周年、40周年が見えてくると思うんです」
山根「30年も音楽をやり続けていると、やりつくした感を感じることが時折あるんですが、こうやって何かしら素敵なイベントに誘っていただくことで、続けることができているんです。そのモチベーションが何か?と聞かれたら、やっぱり聴いてくれて待ってくれる人がいて、毎年ライブを楽しみにしてくれる人がいるということなんですよね。それをずっと毎年続けていかないといけないという“天命”かなって思っていて。感謝の気持ちを持ちながら、これからも音楽を続けていきたいなと思っています」
――プライベートではどんなことをしていきたいですか?
池森「いま、僕が手掛けている “そば事業”がかなり大きくなっていまして…」
――そうですよね!お店もオープンしましたしね!
池森「そうなんです。音楽と同じくらいの業務でやっているので、それこそ二刀流です!(笑) なので、これからはフランチャイズに挑戦したいなって思っているんです」
――素敵ですね!これは海外進出もあります!?
池森「いいですね~(笑)。そのためにも、感謝を忘れずに謙虚な気持ちですべてに取り組んでいきたいと思っています」
山根「僕は音楽を作ることに集中しているんですが、普段、池森が僕に話しているようなことをそのままテレビで話していたり、本になったり、そば屋ができたりと、隣でいろんなことが展開されていくんですよ(笑)。なかでも、『さんま御殿』で池森が話しているのを見たときは驚きましたね(笑)。“これは、池森の天然がバレるぞ”と!」
池森「いや~、さんまさんはすごかった(笑)。ものすごく面白く調理してもらいました。これからもチャンスがあれば、いろんなことに挑戦してみたいですね」
(おわり)
取材・文/吉田可奈
LIVE INFORMATION
30th Anniversary Celebration『DEEN Premium Symphonic Concert -WINGS TO THE FUTURE-』
開催日時:
2023年6月17日(土)16時開演 大宮:大宮ソニックシティ
2023年6月22日(木)19時開演 大阪:フェスティバルホール
出演:DEEN
指揮:西谷亮
管弦楽:大宮:パシフィックフィルハーモニア東京、大阪:日本センチュリー交響楽団
編曲:山下康介他
演奏作品:
「このまま君だけを奪い去りたい」(1993年)、「瞳そらさないで」(1994年)、他のミリオンセラー、そして最新作品から選曲。
チケット11,000円(税込・全席指定・特典特製プログラム付)
一般販売日:5月20日(土)10:00~
お問い合わせ先
大宮公演:DISK GAREGE
大阪公演:YUMEBANCHI(大阪)
RELEASE INFORMATION
DEEN『DEEN The Best DX ~Basic to Respect~』
2023年3月8日(水)発売
完全生産限定盤(3CD+Blu-ray)/ESCL-30036/39/12,100円(税込)
ソニー・ミュージックレーベルズ/EPICレコードジャパン
DEEN『DEEN The Best DX ~Basic to Respect~』
2023年3月8日(水)発売
初回生産限定盤(3CD)/ESCL-5774/76/6,600円(税込)
ソニー・ミュージックレーベルズ/EPICレコードジャパン
DEEN『DEEN The Best DX ~Basic to Respect~』
2023年3月8日(水)発売
通常盤(3CD)/ESCL-5777/79/5,500円(税込)
ソニー・ミュージックレーベルズ/EPICレコードジャパン
DEEN Profile
池森秀一(Vo.) 12月20日生まれ 北海道出身 、山根公路(Key.) 1月29日生まれ 東京都出身 。1993年のデビュー以来、一貫してDEEN最大の魅力であるヴォーカル池森秀一の声を最大限に伝える楽曲づくりをしてきた。現在までにシングル48枚、コンセプチュアルマキシシングル4枚、アルバム36枚、31枚の映像作品をリリース。1993年3月10日「このまま君だけを奪い去りたい」でデビュー。NTT DoCoMoポケットベルのCMソングに起用されいきなりミリオンセールスを記録。翌年9月には1st Album『DEEN』をリリース。発売後1週間にしてミリオンセラーに迫るセールスを記録。最終的に160万枚を売り上げた。その後もオリコンNo.1を獲得しミリオンヒットとなった「瞳そらさないで」や「Memories」「翼を広げて」「永遠をあずけてくれ」等数々のヒット曲を生み出し現在までにCDの総セールスは1,500万枚を超えている。
音源制作、ライヴツアー開催と精力的な活動を続けている中、昨今では池森が様々なメディア出演により蕎麦好きミュージシャンとして名を馳せる。
2022年3月10日より、30周年イヤーがスタート。47都道府県ツアー完走の後、2023年3月12日は30周年記念日本武道館公演を大盛況におえた。
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