──昨年8月に牧島 輝名義では初のライブ『牧島 輝ワンマンライブ「RePAINT」』を開催されましたが、いかがでしたか?
「楽しかったです。来てくれたみんなもすごく楽しんでくれている感じがして良かったです。初めてライブで披露する曲もあったので緊張していたんですが、レコーディングのときよりも楽しく感じられましたし、演奏してくれたチームも心強いメンバーだったので、楽しく歌えました」
──“来てくれたみんなが楽しんでくれた”とおっしゃいましたが、ファンの方の声や反応で特に印象的なものがあれば教えてください。
「ライブのMCがうまい人っているじゃないですか。でも僕はしゃべるのは好きですけど、盛り上げたりするのはあんまり得意ではなくて…。ライブでもだらだらしゃべってしまったんですが、“その雰囲気も含めて楽しかった”と言ってもらえたのは嬉しかったです」
──牧島さんらしいライブになったんですね。
「そうなのかもしれないです」
──ライブも含めて、昨年はフルアルバム『RePAINT』をリリースしたことや、“牧島 輝”名義で音楽活動を再開させたことで、ご自身の中に何か変化は生まれましたか?
「何か大きな変化があったわけではないですが、やっぱり聴いてくれる人が喜んでくれるのはすごく嬉しいかったです。しかもアニメの主題歌とかになると、僕のことを知らない人が曲を聴いてくれたり、YouTubeでコメントをくれたりして、知ってもらえる機会も増えて。純粋に嬉しかったです。こうしている間にも、僕の曲を聴いてくれている人がどこかにいると思うと、なんかいいなって」
──アニメの主題歌で言うと、最新曲「Gypso」は放送中のTVアニメ『穏やか貴族の休暇のすすめ。』のOPテーマです。初めて聴いたときの印象を教えてください。
「これはアニメ側から“この曲で”といただいた楽曲です。アニメ側のこだわりと、強い想いを感じました。だからこそ、歌うときにはこの世界観を損なわないようにしようと意識しました」
──主題歌発表の際に牧島さんが発表されたコメントもかなり熱いものでしたが、原作は読まれましたか?
「はい。お話をいただいてからですが、漫画を読みました。ゆるい感じの日常系の作品なのかと思っていたのですが、読んでみると意外と駆け引きがあったりして…面白かったです」
──現在はTVアニメも放送中ですが、実際に流れているところをご覧になっていかがですか?
「嬉しいです。自分の声が流れているのは変な感じでもありますけど(笑)」
──アニメのタイアップはこれまでにも何曲も歌われていますが、今でも変な感じなんですね?
「はい。自分だけど自分じゃない感じがして。でも嬉しいっていう。不思議な気持ちです」
──では、「Gypso」も収録されているMini Album『ガッシュ』について伺います。前回のインタビュー時に“以前、ミニアルバムを作ったときは正直、“全体で1つの作品”というイメージがあまりなかった“とおっしゃっていましたが、今回、『ガッシュ』を作る上で、全体のイメージ像や構想はありましたか?
「統一感を出そうとまでは考えていなかったです。でも、何曲かは自分自身で作詞をすることも決めていましたし、『ガッシュ』というタイトルも自分で考えたので、聴いてくれたみんなが明るくなれるような、少しでも前向きになれるようなミニアルバムにしたい気持ちはありました」
──そう思ったのはどうしてなのでしょうか?
「普段、自分がモノ作りをするときって暗い印象のものを選びがちなんですけど、パッと聴いて前向きだと思えるものがいいなって…何でなんでしょうね?」
──ライブをやられたことで、牧島さんの楽曲や歌声を聴いてくれる人の存在を、改めて目の当たりにしたからなのかな?と勝手に推測してしまいました。
「そういうことにしましょう(笑)。 いや、でも確かにそうなのかもしれないです。あと、またライブをする機会があれば、そのときにはいろんな曲調があったほうがいいとか、ライブで歌いやすいそうな曲が欲しいとか、そういう想いはありました」
──『ガッシュ』には牧島さんが作詞を手がけられた曲が3曲ありますので、その3曲について伺います。まずは「月に言い訳」から。前回のインタビューで、“抽象的なことを書くのが苦手だ”とおっしゃっていましたが、「月に言い訳」の歌詞は抽象的でロマンチックですね。あえて挑戦したのはどうしてだったのでしょうか?
「あまり時間のない中で最低でも収録曲のうち2曲は自分で作詞をしようと思っていました。それでできたのが「ガッシュ」と「羽根」です。“もう締め切ります”というタイミングでパッと思い浮かんだのがこの「月に言い訳」でした。正直なことを言うと、おまけみたいな感じで書いた曲で“使っても使わなくてもいいです”という感じだったんです。だけど実際に曲になってみると、自分で書いた歌詞のほうが歌いやすいですし、世界観も想像しやすかったので、完成して良かったです」
──必要に迫られなかった…と言うと「ガッシュ」と「羽根」に失礼ですが、ある意味、気軽な気持ちで書けた歌詞だったんですね。
「そうですね。“考えなきゃヤバイ!”って感じではなかったから、力の抜けた感じで考えられた歌詞だと思います。だから自分の内面に近い歌詞な気がしています。収録曲の中でも、自分がもともと持っている雰囲気に一番近いものだと思いますし、曲自体も“いいな”と思っていました」
──トラックがあって、そこに歌詞を乗せた形ですか?
「そうです。「ガッシュ」と「羽根」もそうです」
──では「月に言い訳」は、トラックやサウンドから引き出された部分もありそうですね。
「はい。曲を聴いたイメージでふわっと書けました」
──これまでの牧島さんの楽曲とは手触りが異なりますよね。ふわっと出てきたものということですが、ご自身で改めて歌詞を読んでみていかがですか?
「たまたまなんですが、僕が好きな曲に<月>というワードが入っていることが多くて、この曲にも<月>というワードを入れたいとは思っていました。そこから、“じゃあどんなふうに入れようかな?”と考えていって…」
──ということは、他の曲とは作り方も少しと違うのでしょうか?
「そうかもしれないです。入れたいワードやテーマを決めてから作った曲ってそんなにないので。逆に、<月>を入れるということしか決めていなかったので、深い意味があるとかでもないんですけど…。だから、気軽に聴いてもらいたいです」
──サウンド感も良いと思っていたとことですが、歌う上ではどのようなことを意識しましたか? 歌詞の手触りも他の曲とは異なる分、歌い方も普段とは違いましたか?
「自分が書いた歌詞を歌うときって、“少し恥ずかしい”と思うことがあるので、“自分が書いた歌詞”とはあまり思わずに、歌詞に素直に歌いました」
──そう思えた理由は何かあるんですか?
「恥ずかしくなっちゃうから、あまり考えないようにしようと思っただけというか…」
──その結果、意識せずに、いい感じに歌えたんですね。
「いい感じ…だと思います。僕、あまり自分の歌を聴かないから、わからないですけど(笑)」
──作り終えたら、あとはもう受け取る人のものという感覚ですか?
「そうですね。恥ずかしいので。僕、自分のお芝居も見返さないんです…見たほうがいいんでしょうけど。でもみんながどう思うのかは楽しみです」
──今のお話がまさに「月に言い訳」で歌っていることと同じで、先ほど牧島さんが、この曲がご自身の内面に近いとおっしゃっていた理由がよくわかりました。
「あはは(笑)」
──続いては「羽根」について。前作で牧島さんが作詞作曲を手がけられた「RePAINT」は<空を高く飛びたかった>という歌詞から始まりましたが、「RePAINT」とのリンクは意識していたのでしょうか?
「『ガッシュ』を聴いてくれる人は、『RePAINT』も聴いてくれていた人も多いと思うので、リンクするような曲があったほうが聴きやすいと思って、なんとなく近い世界観のものは入れたいと思っていました」
──「RePAINT」とリンクしながらも、「羽根」は「RePAINT」よりもさらに前に進んでいる印象を受けました。
「素直に、聴いてくれる人の力になれるような、背中を押したり、励ましたりできるような歌詞にしたいという想いがあって。だけど暑苦しくなりすぎないように、いいバランスで書きたいと思っていました」
──“暑苦しくなりすぎないように”というのが牧島さんらしいですね。
「そうですね。背中を押したい、力になりたいという気持ちはあるんですけど、そのまま書くと自分らしくなくなってしまうと思って。そういう曲を聴くのは好きなんです。だけど、自分では書けなくて…読み返したときに“なんか熱くなってるな”って恥ずかしくなってしまいそうだから。だから、これは照れ隠しソングです(笑)」
──牧島さんなりの応援なんですね。<大丈夫さ 僕が君を 空へ乗せる風になるよ>と、これまでの楽曲とは違い、リスナーを引き上げる、連れていく内容になっているのが印象的でした。牧島さんの中で、ご自身の楽曲に対する意識の変化などがあったのでしょうか?
「僕がその場で歌っていなくても、聴いてくれた人やファンになってくれた人に、距離を近く感じてもらえるような曲にしたくて」
──“距離が近いものであってほしい”というのはどういうところから思ったことだったのでしょうか?
「ライブをやったことで、みんなが“この歌詞が好きでした”とか“曲を聴いて励まされています”といったコメントをくれることを実感したからかもしれません」
──ミニアルバムのタイトルにもなっている「ガッシュ」も牧島さんが作詞を手がけた楽曲です。この曲の着想点はどこだったのでしょうか?
「ミニアルバムのタイトルを『ガッシュ』にすることが決まっていて。“だったら「ガッシュ」という曲の歌詞も作りたい”と思いました。そこから“じゃあ、どんな歌詞にしようかな?”と考えました」
──そうだったんですね。では、曲について伺う前に、ミニアルバムのタイトルを『ガッシュ』にした理由から教えてください。
「前作も『RePAINT』という絵に関するタイトルでしたし、僕は絵を描くのが好きなので、そういう自分に近いワードにしようと思っていました。そこから『ガッシュ』に決めました。“ガッシュ”って響きもいいじゃないですか」
──そうですね。“ガッシュ”は絵にちなんだ用語だそうですが、絵を描く上ではどのような意味を持つ言葉なのでしょうか?
「透明度の低い塗料で、字の上にピッと塗ると字が隠れるくらい不透明なんです。そうやって自分のネガティブな部分も塗り替えていきたいという気持ちで、タイトルにしました」
──ではそのタイトルを冠した楽曲について改めて伺います。歌詞も、まさに今おっしゃったように、ネガティブな気持ちを塗りつぶしたいというテーマで?
「そうです」
──牧島さんは俳優としてもアーティストとしても活躍されているのに、お話を伺っていると確かに牧島さんにはネガティブな面があって驚くのですが、そのネガティブな部分を隠したいという気持ちがあるのでしょうか?
「うーん…隠すために塗りつぶすわけではないんですよ。“ネガティブな部分を何か違うものに変えていきたい”という感覚のほうが近いかもしれないです。僕は、創作をする上でネガティブな感情や、自信のなさ、他人に対するうらやましさって、一つの大きなエネルギーになると思っていて。ネガティブであることに対して、ネガティブではなくて、逆にポジティブなのかもしれないです。だから、そういうぱっと見、暗く見えるような部分を別の力に変えたいという気持ちで書きました」
──まさに<重ねた弱さが強さになって>ですね。この歌詞、素敵ですね。
「ありがとうございます」
──この曲も楽曲が先にあって、そこに歌詞を載せたということで、疾走感あふれるロックサウンドに導かれたところもやはりありますか?
「そうですね。この音楽の持つ世界観に合うものじゃないと曲にはならないと思うので、かなり引っ張ってくれた感じはあります」
──「月に言い訳」は牧島さんの内面に近いというお話がありましたが、「ガッシュ」のような疾走感あふれるロックチューンは、牧島さんの楽曲の真骨頂とも言えるのではないでしょうか?
「そうなのかもしれないです。自分では“〇〇っぽい”ということはあまりわかっていないですが、歌いやすさもありますし。それはキー的な話だけではなくて、勢いという意味でもですし、もともとこういうロックっぽい曲は好きな音楽でもあるので。そういう意味でも歌いやすかったです」
──その他に、『ガッシュ』で挑戦したと思うことはありますか?
「月に言い訳」の歌詞で一人称が<私>なところです。今までと違う雰囲気になっているのは<私>だからなのかな?って」
──一人称を<私>にしたのはどういう想いからだったのでしょうか?
「<僕>って書きがちなので、少し違った雰囲気にしたいという気持ちがありました」
──作詞経験を重ねていくことで、作詞に対してもいろいろな挑戦ができるようになっているんですね。
「どうなんでしょう?…僕は、作詞のセンスがあるとは思っていなくて。ただ、そんなにうまく言えなかったとしても、思い浮かんだものが自分の言葉だから、変にカッコつけないほうがいいと思って。だんだん思い浮かんだものに素直になっていっている感じはあります」
──実際、素直に出したもののほうが聴く人にも刺さりやすかったりしますしね。
「そのほうが歌っていても無理がないですし」
──それこそカッコつけた歌詞にすると、歌うときにまた恥ずかしくなっちゃいそうですしね。
「なっちゃうと思います」
──そんな牧島さんの想いと歌声の詰まったミニアルバム『ガッシュ』ですが、どんな1枚になったとご自身で思いますか?
「実は、曲ができる前に、このジャケット写真を撮ったんですよ」
──そうなんですか!?
「はい。タイトル以外は何も決まっていない状態でジャケット写真を撮ることが決まって。どんな曲を収録するのかも決まっていない状態で…なんなら『ガッシュ』というタイトルすらギリギリに決まったくらいでした。なんなら、このジャケット写真からのイメージで歌詞を書いたところもあったかもしれないです。そう思うと、この写真がジャケットになっているアルバムに収録していても違和感のない曲たちになったと思います」
──自然と導かれていったところもあったのかもしれないですね。
「そうですね。写真を撮る時点で、“こういうミニアルバムにしたい”というイメージはあったので想像はできていたんですけど、それに合う曲が揃って良かったと思いますし、ちゃんと形になったことはすごく嬉しいです」
──先ほど“またライブをする機会があれば”という発言もありましたが、音楽活動においての今後の目標や展望があれば教えてください。
「もっと歌がうまくなれるように頑張りたいです」
──まだまだ向上心があるんですね。
「もちろんあります。今、舞台でミュージカルをやっているんですけど、いろんな表現の仕方ができるようになれば、俳優としてもアーティストとしてももっと幅が広がると思うので。もっといろんなことができるようになりたいです」
(おわり)
取材・文/小林千絵
写真/中村功
(おわり)
取材・文/小林千絵
写真/中村功
RELEASE INFORMATION
EVENT INFORMATION

牧島 輝 1stミニアルバム『ガッシュ』発売記念イベント
2026年2月25日(水) animate hall BLACK(アニメイト池袋本店 北館9F) 18:30~
2026年2月28日(土) イオンモール川口前川 1Fサウスコート
<一部>13:00~ <二部>16:00~
2026年3月1日(日) SHIBUYA TSUTAYA 8Fイベントスペース
<一部>13:00~ <二部>15:30~
※イベントの詳細は後日発表予定です。公式ホームページおよび公式Xでの続報をお待ちください。










